分譲マンションの大規模修繕工事は、長期修繕計画上は概ね12年毎に実施する想定になっています。
主な内容は、外壁改修、屋上防水、鉄部塗装工事などです。工事費の相場としては標準的なファミリータイプのマンションで戸当たり80~100万円位と言われています。(※高層タワーマンションは除く)
50戸のマンションなら、およそ4千万円~5千万円かかるわけですから相当な出費になります。
この工事をいつ、誰に、どのように任せるのか? その選択次第で、せっかく10年以上にわたってコツコツ貯めてきた修繕積立金をみすみす工事業者に持って行かれ、これまでの努力が水泡に帰すことになりかねません。
貴方が管理組合さんの理事ならば、大規模修繕工事の計画を進める前に、次に掲げる4つのポイントに注意されるとよいと思います。
#1 長期修繕計画を「鵜呑み」にしない
長期修繕計画における修繕の実施時期は、国交省が定めたガイドラインに過ぎません。
貴マンションの規模や特性に応じた修繕周期・時期を慎重に検討すべきで、工事予定金額も参考程度にとどめましょう。
#2 実施時期と工事範囲を見極める
マンションの規模や特性、劣化度合いに応じて、最適な修繕時期や周期は異なります。
事前に建物・設備の劣化状況を調査診断することで不要不急の工事を延期し、ライフサイクルコストを低減することができます。
実施する時期や工事の範囲を決める前に、外壁打診診断を実施するなど現状を把握して修繕の必要性や緊急性を部位ごとに確認するようにしましょう。
#3 「設計・監理方式」で進める
設計と施工が一体化した「責任施工方式」は、工事内容と費用内訳の関係があいまいになりやすく、施工会社のみの判断に偏るため、不必要な工事まで含まれるリスクがあります。
「設計監理方式」は工事費以外の設計費用等は発生しますが、診断・改修設計と施工が分離しているため、必要な工事を客観的に見極めることができます。
ただ、小規模な工事の場合や、依頼すべき設計事務所が見つからない場合には、責任施工方式を選択せざるを得ない場合もあります。
その場合は、施工会社が「大規模工事瑕疵保険」に加入することを条件にするとよいでしょう。
【参考】大規模修繕工事のかし保険
管理組合にとっての利点の第一は、工事後の瑕疵保証が原則5年間あるうえに、万が一工事業者が倒産してもその保険が適用される点です。
第二は、工事業者がこの保険に加入した場合、工事中や完工後に設計通りの施工が行われているかを保険法人の専門家がチェックしてくれるプロセスです。
保険料見合いのコストが実質的に工事費に上乗せになるものの、決して大きな負担ではないですし、責任施工方式のリスクをカバーする効果を享受することができます。
#4 競争原理を導入して優良な施工会社を選ぶ
コストパフォーマンスの高い工事を実現するには、正確に積算された資料をもとに、多くの工事業者に見積り参加機会を与え、その中から信用力・実績そしてコスト競争力を兼ね備えた施工業者を選択することが大切です。
相見積もりを取るのも面倒などと言って、「管理会社に全部お任せ」するのはNGです。
管理会社は管理組合の財務状況を熟知していますから、その範囲内で収まるMAXの見積金額になりがちです。
適度に競争原理を働かせることで、コストを適正化させる仕組みを取り入れることが大切です。
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