All Aboutでマンション管理士試験のガイドとして、2年ほど前から毎月2本のペースで記事を書かせてもらっています。
最近連載しているテーマは、「マン管試験の頻出テーマの攻略法」。一部共用部分、管理組合法人、相続など、必ず例年出題される項目について重要な論点とそれに関する最新の過去問の解説をしています。
この最新記事が、先日アップした「管理組合の会計」です。(下記リンク参照)
この記事はあくまで試験対策をする受験生へのアドバイスが主眼ですが、実務でもかなりの頻度で活用する機会に遭遇します。
というのも、会計業務を担当している管理会社の処理がデタラメなことが少なくないからです。
それはひとえに「簿記」に関する基本知識がないためですが、簿記未習者が勘違いする最大の要因は、「発生主義と現金主義の混同」にあります。
一般的にマンション管理組合では、会計原則として「発生主義」を採用しています。簡単に言えば、これは現金の実際の出入りと異なり、「〇月分の収入や支出を、〇月に発生したものとして計上する」ルールです。
これは経常的な収入や支出に実質的な変動が生じていないかを確認するのに有益な方法です。
たとえば、区分所有者から徴収する管理費が一部未収となったとしても、会計上はその未収分も含めて請求した全額を収入として計上します。したがって、期末時点でその未収が残ったとしても、収支報告書では管理費収入は予算通りの金額で計上されます。
それでは、応用問題です。
マンション保険の契約で、向こう5年分の保険料を一括で前払いしたらその処理はどうなるのでしょう?
今年1年分の保険料は費用計上できますが、残り4年分は本来発生すべき時期がまだ到来していないので、「前払金」として一旦「資産の部」に計上しなくてはなりません。
しかし、簿記の基本的な知識がないと、誤って5年分の保険料を1年分の支出としてまとめて計上してしまうわけです。これでは、毎年の収支が大きく変動してしまって実態が分からなくなってしまいます。
さらに酷いことに、誤りを犯した担当者の上司も正しい会計知識を持ちあわせていない場合はチェックもきかず、そのまま管理組合に提出してしまいます。
そして当の管理組合も、そのミスに気付かず素通りです・・・( ̄_ ̄|||)
複式簿記は優れた会計技法であり、ビジネスマンなら基本くらいは学んでおくべきだと思いますが、管理会社も基幹業務を任されている以上、スタッフには簿記3級程度の知識を最低限身に付けさせてもらいたいと思います。
どうも有難うございました!
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