昨日、私がコンサルさせて頂いている管理組合の定期総会が開催され、管理委託契約の変更が決議されました。
その結果、定額委託費が34%下がり、年間370万円の余剰資金が生まれることになりました。
68戸のマンションなので、1部屋当たり年間54,000円の節約になります。
しかしながら、管理組合の将来を考えた場合、その成果の使い道がとても大切になってきます。
まず考えられるのが、皆さんから毎月徴収している管理費を減額して利益を還元する案です。今の管理費が12,000円/月なので、4,500円/月も安くなれば、皆さん大喜びでしょう。
残念ながら、それはあまり賢明な策とは言えません。
と言うのも、ほとんどのマンション管理組合は「修繕積立金の簿外債務」を抱えているからです。
こちらのマンションの場合だと、築35年目までの長期修繕計画で合計5億円超の支出が見込まれているのに対して、現状の積立金のペースではその半分(2.5億円)しか目処が立っていません。
つまり、この管理組合の場合は「修繕積立金会計に2.5億円の簿外債務を抱えている」と見なすことができます。
この債務を積立金の改定でカバーするには、現時点で2倍以上にしないと賄えないことが分かりました。
このマンションのケースでは、それは一部屋当たり年間約16万円の負担増に相当します。
したがって、この負担増(年間+16万円/戸)をなるべく減らすのに、今回のコスト削減で得た余剰資金(年間5.4万円/戸)を充てるのが管理組合の健全な運営のためにはもっとも合理的な選択と言えるでしょう。
さて、管理見直しの第1弾によって、簿外債務の3分の1を減らすことができました。しかしながら、残り3分の2についてどうするかは引き続き検討すべき課題となります。
ただ、簿外債務を減らすのに有効な策はまだいくつかあります。
中でも重要なのが、大規模修繕工事をいかに実施するかです。
長期修繕計画を鵜呑みにせず、いかに無駄な工事を省き、価格を適正化させ、品質の確かな工事ができるかが大きな正念場になるでしょう。
引き続きベストを尽くしてサポートしていきたいと思います。
どうも有難うございました!!
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