マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

駐車場の空き問題に悩むマンションで進められている一大プロジェクト

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顧問先のマンションでは、先日機械式駐車場の一部「平面化」を進めるプロジェクトについて住民向けの説明会が開催されました。

 

まもなく築20年を迎えるマンションですが、その当時は立駐設備を導入してでもなるべく駐車場の附置率を上げようとする商品設計がなされるのが珍しくありませんでした。

 

そのトレンドに沿って、このマンションは全戸分の駐車場が用意されており、分譲当時はそれが購入客への訴求ポイントになっていたのです。

 

ところが、蓋を開けてみるとフル稼働になったことはほぼなく、年経るごとに稼働率は低下して、現状は6割の稼働を維持するのが精一杯という状況です。

 

つまり、立駐設備の4割が事実上の「遊休施設」と化してしまったわけです。

 

それによって管理組合が負担する経済コストはどれくらいになるのでしょうか?

 

長期修繕計画で見込まれる修繕や設備更新費用、そして定期保守点検費用を合わせた「トータル維持コスト(TRC)」を積算してみました。

 

その結果、1台あたり年間8万円かかることがわかりました。

 

たとえば約30台の空き区画がある場合、その分の使用料が得られないにもかかわらず、年間240万円もの負担を強いられていることになります。

 

このマンションでは、管理委託契約の見直しで3割のコスト削減を実現した結果、年間の剰余金が500万円以上増加したのですが、この遊休設備の維持負担分でその余剰金の約半分も費消してしまう計算になるわけです。

 

この状況は看過できないということで、この2年の間に外部貸しの検討、住民アンケートの実施、遊休化した設備の閉鎖などの種々の検討を進めてきた結果、この管理組合にとって最適なプランとして導き出した答えが、一部平面化のプランでした。

 

32台分を収容する立駐設備を撤去したうえで鋼製板を敷いて「平面化」し、12台分の平面駐車場にリニューアルしてしまうというプロジェクトです。

 

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もちろん平面化のための工事費を当初負担しなければなりませんが、将来軽減されるTRCを考えるとそれでも十分元が取れることは確認済みです。

 

車のサイズや高さの制限がないうえ、使い勝手の良い駐車区画が増えることで、稼働率が今より改善されることも期待されます。

 

こうした管理組合を取り巻く財政事情や、これまでの検討経過をまとめた資料を作成して事前に配布したうえで迎えた住民説明会では、その方針に対して反対や疑問を呈する声は一つもありませんでした。

 

以前から駐車場の空き問題は気になっていたが、ここまで具体的な見直し案が今回提示されたのに驚いた」というご意見もいただきました。

 

説明会の終了後、理事会や専門委員会のメンバーの方々が一様に安堵された表情が印象的でした。

 

どうやら「総会承認」という大きな関所は越えられそうですが、工事実施に向けたアクションプランの詰めはまだまだ必要です。

 

引き続き、気を引き締めて取り組んでいきます。

 

 <参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

 

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