マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

マンションの長期修繕計画を鵜呑みにしてはいけないワケ

 

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いきなりですが、質問です。

 

マンションの長期修繕計画(以下 長計)は、なぜ作成しなければならないのかご存知ですか?

 

国交省が公開している「長期修繕計画ガイドライン」では、以下のように説明しています。

マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するためには、適時適切な修繕工事を行うことが必要です。また、必要に応じて建物及び設備の性能向上を図る改修工事を行うことも望まれます。

 

そのためには、次に掲げる事項を目的とした長期修繕計画を作成し、これに基づいて修繕積立金の額を設定することが不可欠です。

①将来見込まれる修繕工事及び改修工事の内容、おおよその時期、概算の費用等を明確にする。


計画修繕工事の実施のために積み立てる修繕積立金の額の根拠を明確にする。

③修繕工事及び改修工事に関する長期計画について、あらかじめ合意しておくことで、計画修繕工事の円滑な実施を図る。

 

これをまとめると、

マンションの資産価値を維持するには適時適切な修繕の実施が不可欠なので、それに必要な資金需要を概算で見込んだうえで適正な修繕積立金の額を決定するためだと言えます。

 

言え換えれば、長計で想定されている建築や設備の修繕時期や工事範囲を忠実に守って運用しなければならないわけではないのです。

 

マンション管理組合の理事さんとお話ししていると、

「長計では来年が大規模修繕を実施するスケジュールになっているので、そろそろ検討しなくてはいけなくて・・」 といったご意見を耳にします。

 

しかし、長計で設定された修繕時期はおおよその「目安」にすぎないので、あなたのマンションにとって最適な時期とは限りません。

 

一般的な長計では、たとえば大規模修繕工事の周期は12年電灯設備の取替えは15年目、給排水管の取替えは30年目と設定されています。

 

この他の共用設備についても、「法定耐用年数」あるいは「設備メーカーが推奨する時期」に応じて設定されていることが普通です。

 

でも実際には、こうした耐用年数を優に超えて維持できていることも少なくありません。

 

たとえば、電灯設備を15年目で全て交換しているようなケースは稀でしょう。

 

1回目の大規模修繕についても、築15年目くらいまでに実施することが望ましいとは思いますが、12年目に是が非でもやらねばならないということはありません。

 

つまり、長計通りの周期で修繕を実施すると、かえって余計なお金がかかってしまうリスクがあるのです。

 

また、屋上防水工事でも12年目の大規模修繕の際に全体を更新する想定になっていることが多いですが、部分補修によって十分延命できることも少なくありません。

 

実際に修繕すべき時期や修繕の範囲については、日常の保守点検あるいは専門家による劣化診断の結果などを踏まえて慎重に判断していくことをお勧めします。

 

 

【参考記事】

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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