4月15日付けで国交省 関東地方整備局からマンション管理会社が行政処分(指示処分)を受けたとのリリースがなされました。
その内容は以下のとおりです。
■ 処分対象業者
株式会社日鉄コミュニティ
■ 処分理由
同社が受託している複数の管理組合において、元従業員が組合財産を不正に着服したため、組合に損害を与えたため。
■ 処分内容
1)本件違反行為の内容及ぶ処分内容に関する役職員への周知徹底
2)法令順守の社内徹底、ならびに社内研修教育の計画的かつ継続的な実施。
3)社内業務管理体制の整備
4)再発防止策の策定ならびに継続的な実施
5)上記のすべてに関する報告書の提出
ちなみに、今回処分された日鉄コミュニティの概要は以下のとおりです。
■ 親会社
新日鉄興和不動産
■ 従業員
約1,000名
■ 受託件数
732棟
■ その他
平成26年に「興和不動産レジデンスサービス」を吸収合併
日鉄コミュニティのサイトページにも「お客様へのご報告とお詫び」として国交省の処分文書とほぼ同じ体裁の文書が掲載されていました。
ただ、そこには以下のような「至極当然の事柄」以外は何も書かれていません。
・被害に遭った管理組合への報告と謝罪、ならびに損失の補てんを行ったこと
・コンプライアンス強化と信頼回復に向け全社一丸で取り組むという意思表明
本気で再発防止に取り組もうとするなら、その原因を徹底的に分析することが何よりも重要です。
着服できた「環境」や「手口」が一体どのようなものか公開されておらず不明ですが、過去の事例から以下のような可能性が考えられます。
■ 管理現場で現金を取り扱える環境にあった。
■ 法令で禁じられて久しい「預金通帳と印鑑のダブル管理」が容認されていた。
■ 架空の修繕工事や物品購入など請求書をねつ造した。
このような状況と手口のいかんによって、講じるべき対策もおのずと変わってくるはずです。
そういった情報も考察もまったく外部には示されず、毎度似たり寄ったりのうわべだけの反省文の提出を繰り返していることがこの業界の最大の問題でしょう。
<参考記事>