12月17日付の毎日新聞に、「続・マンション漂流/上 剪定8万円、管理に不信 不要な出費も 広がる委託変更」と題した記事が掲載されていました。
この記事の要約は以下のとおりです。
■ 大阪にある築約40年のマンションで修繕工事を実施することになった。設計監理は管理会社が担当し、前回の修繕の際と同じ施工会社が選定されていた。
■ 管理組合の理事長が提出された工事見積書をチェックしたところ、心当たりのない項目が幾つも並んでいた。
■ たとえば、足場を組む場所には植栽と呼べるものはないにもかかわらず、植栽の剪定に8万円の費用が計上されていた。これについて問い合わせると「では、外します」と機械的な返答が来た。
■ 工事作業員に共用のトイレを貸すことになったが、トイレに至る床にシートを敷くのに2万円が必要とのこと。前回の工事にも同じ項目があったにもかかわらず実施していなかったことを問い詰めると、あっさり非を認めて謝罪した。
■作業中は駐輪場を一時撤去するとの提案があったが、特に作業に支障はなさそうなのでその理由を尋ねるとこれもすぐに撤回した。
■ 前回の外壁補修の後、100箇所以上の施工不良が見つかり、設計監理を担う管理会社が機能していなかったという印象も強まった。
■ 管理会社への不信感が頂点に達したため、その後管理組合は管理会社リプレースに向けて動き、管理会社は40年目をもって変更となった。
■管理組合の当時の理事長は「任せきりでは管理会社を替えた意味がない。自分たちの住まいにどれだけ関心を持ち続けられるか。私たちの姿勢が問われている」と気を引き締めている。
■国土交通省による13年度の調査では、分譲時の管理会社をリプレースした経験があるのは、管理会社に委託しているマンション全体の18%。10年前の10%から大幅に増えた。なお、築39~43年では31%に上るとのこと。
さて、「騙す管理会社」と「騙される管理組合」どちらが悪いのか?
もちろん騙す方が「悪い」に決まっているのですが、
その場合、管理組合は「信じて任せていたのに裏切られた・・」と言うのが常套句になっています。
本記事の例では、理事長が見積書を確認した際に不自然な項目を見つけたことから業者らの不正行為が発覚したわけですが、それ自体は特に専門知識が必要でもなく、あくまで常識的なレベルで問い合わせるなどの対応していたと思われます。
つまり、本件の最大の問題は、
業者側が「この管理組合はきっと見積書のチェックもしないだろう」とタカをくくっていた節が見受けられるということです。
もし管理組合の理事らが日常的に基本的なチェックも怠り、業者に一切を「丸投げ」していたとすれば、逆に組合員から理事会役員の「善管注意義務違反」を指摘されるおそれがあります。
また、管理組合側の「丸投げ」体質が変わらない限り、たとえリプレイスしたとしても常に騙されるリスクはあることを肝に銘じるべきでしょう。
<参考記事>
※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/
↓ ↓