マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

マンション管理適正化評価制度の登録数が伸びないワケ

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月刊不動産流通のポータルサイト「R .E .port」に、「管理適正評価制度、24年度末で登録8,250件に」と題した記事が掲載されていました。

www.re-port.net

本記事の要約は以下の通りです。

==== 

◾️ 一社)マンション管理業協会は14日、2025年3月末時点の「マンション管理適正評価制度」の登録状況を公表した。

◾️ 同制度は、分譲マンションの管理状況(管理体制、建築・設備、管理組合収支、耐震診断、生活関連)について、専門家が30項目をチェック。★の数を0から5までの6段階で表すことにより、マンションの管理状況を可視化するもの。

◾️ 本年3月末時点での登録件数は8,250件で、前年比で約1,542件増加した。最多の評価は上位から2番目の「★4」の3,494件(全体の約42.4%)

◾️ 地方公共団体の認定している「マンション管理計画認定制度」とのワンストップサービスで申請し、認定取得したマンションは1,518件となった。

◾️ 都道府県別の内訳は、東京都が30%で最多。次いで神奈川県、大阪府と続く。

◾️ 物件規模別の内訳は、「50戸未満」が全体の52%を占めた。物件の最大戸数は1,433戸、最小戸数は5戸だった。

◾️ 竣工年別別の内訳は、では「1991~2000年竣工」が最も多く、全体の約3割を占めた。最も築古のマンションは「1965年竣工」(築59年)、最も築浅のマンションは「2024年竣工」(築1年)だった。階数別のトップは「6~10階建て」(同44%)。

==== 

わが国の分譲マンションの総ストックは、約704万戸(2023年末現在)です。

 

本記事によれば、管理適正化評価の登録数(棟)は、現在約8,200。

 

記事によるとこの半分強は50戸未満の中小物件なので、仮に1棟平均50戸と仮定しても登録数は41万戸です。

 

なので、戸数ベースではストック全体のたった6%に過ぎません。

 

先日、ある顧問先の管理組合の理事会で、管理会社から「マンション管理適正評価制度」の資料が配布され、本制度の「普及活動のための営業活動」が行われました。

 

ただ、説明を受けた組合役員は、ほとんど関心を示しませんでした。

 

なぜ関心が薄いのか? この制度がさほど普及しないのか?

理由は明らかで、コスパが悪いからです。

 

この制度に登録するには、

登録料と登録申請料を含めて27,500円かかります。

(費用がかかるので、事前に総会決議も必要です。)

 

しかも、1年ごとに更新が必要な制度のため、

そのため登録を継続する場合、毎年11,000円の手数料がかかります。

 

一方、パフォーマンスとしての本制度活用メリットについて、

マンション管理業協会は以下のように説明しています。

 

(1) 1年ごとに管理状態をチェックすることで、管理組合の目標設定や運営がしやすくなり、ひとつひとつの課題に取り組み改善していくことで、管理の行き届いた状態を長期的に維持できる。

(2) 管理状態の最新の情報を発することで、市場での評価(リセールバリューの向上)が期待できる。

 

(2)については、不動産情報サービスの「アットホーム」と提携し、「マンション管理適正評価制度」における評価結果を同社が運営する「不動産情報サイト」内に掲載しています。(下記参照)

 

2024年3月、マンション管理業協会は、アットホームで登録されているマンションのデータの分析を横浜市立大学に依頼した結果、物件の管理情報の開示が資産価値の向上に繋がる可能性を紹介しています。


その概要として、以下の理由から「管理水準の評価が高い物件は価格が高い」と結論づけています。

1) 総合評価が「★3」以上の場合、評価を取得していない物件と比べて価格が高い。
2)最高ランクの「 ★5」の場合、11%の価格プレミアムが生じている。

 

この分析結果の統計学上の有効性についてはここでは論じませんが、

「管理水準が高ければ、それがリセールバリューにも反映され、相対的に資産価値が高くなる」というのは至極もっともな考え方ではあります。

 

ただ、マンションを当面売却するつもりのない区分所有者や、管理組合からすれば、

このメリットは微妙です。

 

登録に際して一定の費用や手間がかかる以上、

もっとわかりやすいインセンティブが欲しいというのが本音です。

 

たとえば、所有を継続する者にとってのメリットを訴求するなら

・固定資産税の割引

・マンション保険料の割引

・銀行預金など資金運用における利息の割増し

といった措置が考えられます。

 

類似制度として、2016年に日管連が開始した「マンション管理適正化診断サービス」がありますが、こちらは昨年時点で診断件数が累計2万件を突破しています。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

このサービスの場合、診断自体が「無料」のうえ、特定の保険会社との提携があるため、診断で評価に応じて保険料の割引きが受けられ、各社保険料率を増額改定している中、いまや管理組合の必須アイテムとなっています。

 

また、診断項目も「管理適正化評価制度」とほぼほぼ重なっており、事後にはマンション管理士による診断レポートも提出され、管理組合として今後の課題も一目で分かるため、保険契約の更新頻度(5年)で診断を受けていれば十分です。

 

マンション管理適正化評価制度が今後も登録数を増やしていくには、

こうした効果的なインセンティブを付与できるかが鍵となるでしょう。

 

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