マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

マンションの管理費が高くないからと言って管理委託費も妥当とは限らないワケ

 

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管理組合の方と話をしていると、時々管理費と管理委託費を混同していることに気づきます。

 

たとえば「ウチのマンションの管理費を下げたい」といった相談がその典型です。

 

でも、管理組合の立場から言えば、管理費は重要な収益源です。

 

管理組合が見直なくてはならないのは、支出の部にある「管理委託費」の方です。

つまり、管理会社に毎月支払っている経費ですね。

 

「でも、管理費から管理委託費を支払っているのだから、両者はほぼ同じじゃないのか!?」とおっしゃるかもしれません。

 

それがそうでもないんですね、実際のところは。

 

先日、ある管理組合さんの財政状況を診断した際のデータを使って解説しましょう。

 

この組合では、各組合員(区分所有者)が管理費のほかに駐車場使用料を負担しています。

 

その金額を専有面積(㎡)当たりの月額単価で換算すると、以下のようになります。

        ■ 管理費    189円

        ■ 駐車場使用料 131円

           合計額       320円

 

ちなみに、新築マンションの管理費の相場は216円(2012年:不動産経済研究所調べ)くらいです。

たとえば、3LDKの部屋(70㎡)なら、月額14,000円強といったところ。

 

したがって、このマンションの管理費自体は「世間相場」に比べると割安と言えます。

 

ただ、この管理組合の場合、その収入源として駐車場収入にもかなり依存しており、なんと全体の4割も占めています

 

管理費に駐車場使用料を加算すると320円になるので、世間相場(216円)を大きく超えてしまうことがわかります。

 

管理会社に支払う委託費や、水光熱費、損害保険料などはこの320円の中から支払われているのです。

 

したがって、このマンションの場合、管理費と管理委託費を混同すると正しい分析ができなくなってしまうのです。

 

ところで、このマンションでは駐車場の稼働率が年々低下しており、経常的な支出を賄いきれない状況になっていました。(下図参照)

 

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幸い今はまだ剰余金残高が豊富にあるため、年間収支が多少赤字でもやっていけますが、さらに今後状況が悪化した場合には管理費の値上げを強いられる可能性も出てきます。

 

それでは、(多少減ったとはいえ)駐車場収入を合わせた管理費収益をもってしても、管理組合が経常的な支出を賄えない原因は何でしょうか?

 

それは、ズバリ管理委託費が高すぎるからです。

 

ちなみに、このマンションを査定したところ、管理仕様をまったく落とさずに3割近くコスト削減できることが分かりました。

 

駐車場収益が割高な管理委託費の「隠れ蓑」になっているマンションは決して珍しくありません。

 

あなたのマンションは大丈夫ですか?

 

 

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