当社がコンサルティングしている某管理組合での実話です。
9月から現管理会社と管理委託費の減額交渉をしてきたものの、過去組合からの要望に応じて減額に応じてきたことを理由に、今回ほとんど減額に応じる姿勢を見せませんでした。
しかし、当社の査定では、現在管理仕様を全く変えない場合でも2割ほど下げる余地があると考えていました。
結局2回にわたって回答を得たものの5%の減額にとどまったうえ、この時点ですでに約2ヶ月も時間を費やしていました。
こうした状況から、現管理会社との交渉を継続しても期待する成果は望めないと判断せざるを得ませんでした。
その後当社の提案により、新たな管理会社候補を探してリプレイスすることが理事会で承認されました。
3社から見積もりの提出とプレゼンを受けるとともに、フロント担当候補者との面談も行った結果、当社の査定金額以下に収まる条件で新たな委託先が見つかったため、今月の定期総会のタイミングで変更の決議を取り付ける段取りをつけました。
現管理会社を解約するには3ヶ月前予告が必要なため、12月の総会で管理会社変更が承認されても実際にリプレイスが実現するのは来年4月からとなります。
一方、今月末で現管理会社との委託契約が更新となるため、来年3月末までの間は現在の条件で暫定契約を一旦締結することになります。
もしリプレイスの承認を得るためだけの臨時総会なら、総会議案書をすべて当社で作成し、議案書の送付手続きと委任状等の回収だけを現管理会社に任せるところでしたが、今回は偶然にも定期総会の開催とぶつかったため、管理委託先変更の議案のみこちらで作成して、現管理会社に他の議案と統合してもらうことにしました。
が、その隙を突いて管理会社が「暴挙」に出たのです。
理事会の事前承諾も得ずに、総会議案書に「暫定契約に至った経緯について」と題した頁を勝手に設け、2ページにわたり自分たちとの契約を継続するようアピールしているのです。しかも、これをすでに組合員に送付していました。
要約すると以下のような内容です。
◆新たな委託金額の提示
→ これまでの理事会との公式の交渉では提案していない金額。ちなみに、リプレイス先の金額よりもまだ高い。
◆自分たちが理事会に提案する委託費は、大手管理会社(管理戸数10万戸規模)としては相応の金額である。
→ リプレイス先は、自分たちより格下だから安いのだと言わんばかりである。
しかし、彼らが誇る輝かしい実績は、親会社のデベロッパーが供給してきた物件を「ただ同じ系列だから」という理由だけでやすやすと受託できたものに過ぎないことを忘れているのではないだろうか。
◆管理品質に関する6つの提案(最寄駅そばに支店がある、これまで長期にわたってサポートしてきた実績、デベロッパー系列ならではのバリューチェーンの存在、ISO認証やプライバシーマークの取得実績・・・など以下省略)
→ いずれも、大したアピールになっていない。
いくら「美辞麗句」を並べたところで、理事会が目も通さず、事前に承諾すらしていない自社の主張や提案を勝手に盛り込むなどといった行為は決して許されません。
その時点でアウト! 管理会社として失格です。
しかも、それは自分たち管理会社としての売上げと利益を守りたいというエゴイズムのみによる行動です。
彼らの文書にある「管理組合のため」という枕詞の空疎なこと。
リプレイスをなんとか妨害しようという本音が丸見えです。
当然ながら、この議案書を読んだ管理組合の理事長さんもいたくご立腹でした。
自ら直ちにフロント担当者と連絡を取り、勝手に挿入した箇所の削除と修正版の再送付を命じたところ、管理会社の担当は二つ返事で了解したようです。
こんなことになるなら、最初から素直に減額に応じていれば良かったものを・・・といまさら後悔しても「あとの祭り」です。
いまや「大手ブランド」だからといって信用できないのは、他の業界とまったく同じ。
管理会社の体質をしっかり見抜く「眼力」が管理組合にも求められると言えます。
そして、この管理組合にとっては、自社の利益しか考えない不誠実な管理会社と縁を切れる良い機会になったと考えれば、ある意味ラッキーと言えるでしょう。
※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/
↓ ↓
- 作者: 村上智史
- 出版社/メーカー: 自由国民社
- 発売日: 2013/05/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る