マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

緊急事態宣言の発令でマンション管理組合はどう対応すればいいの?

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ついに昨日、東京都をはじめ主に首都圏を対象とする7都府県で、新型コロナウイルス感染拡大防止のため緊急事態宣言の発令がなされましたね。

 

当初は、緊急事態宣言の発令イコール、欧米諸国のようないわゆるロックダウン(都市封鎖)になる、と捉える向きが多かったようです。

 

しかし、現在の日本の法律ではロックダウンを実行することは不可能らしく、実質的にはこれまでの外出等の自粛要請とあまり変わらないという報道がなされています。

 

しかしながら、マンション管理の現場では、緊急事態宣言のアナウンス効果の影響で混乱が生じていて、管理会社によっても対応がまちまちの状況です。

 

最もスタンダードな事例として、保守的な姿勢の某大手管理会社から昨日送付された書面の内容は以下の通りです。

 

当社も行政発表による指示・要請に基づいて対応を行うため、管理業務にも大きな影響が生じてまいります。

 

お住まいの皆様にはご不便をお掛けいたしますが、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

 

《主な影響》

1.お客様センター・設備緊急センター

・センタースタッフの一斉感染を防止するため、分散して勤務する等の対応を行います。通常より大幅にお電話が繋がりにくくなる可能性がございます。

・緊急対応業務の出動についても、発令の状況により大幅にお時間を要する場合がございます。

 

2.点検業務

・お住まいの皆様への感染拡大防止とスタッフの安全確保を考慮し、作業を中止する場合がございます

 

3.管理員業務及び清掃業務

・お住まいの皆様への感染拡大防止とスタッフの安全確保を考慮し、管理員及び清掃員の勤務を中止する場合がございます。(ゴミ出し対応は実施いたします。)

 

4.総会・理事会延期または中止のお願い

・マンション内での感染拡大防止のため、総会や理事会の延期や、当社が参加できない場合がございます

 

5.その他

・管理組合の各種支払いの遅延、共用施設の利用申込み・解約等の受付中止、会計決算提出時期の変更等の影響が生じる場合がございます。

 

管理組合もしくは居住者にとって最も関心が大きいのは、

日々の管理員によるゴミ出しや日常清掃が行われるのか?ということでしょう。

 

これについては、ウィルスの罹患に関係していない限り、管理員の出勤を継続するところがほとんどと思われますが、一部の管理会社では宣言に伴って中止することを伝えているところもあるようです。

 

ただ、さすがに朝のゴミ出し作業は、それを止めると住民からクレームが発生すると予想されるため実施すると思われます。

 

一方で、それほど当面の日常生活に影響が大きくないもの、定期清掃、設備点検や修繕工事については、延期や中断をするところが多いようです。

 

理事会については、喫緊の課題がない場合は当面延期を選択している組合が多いですね。

 

そもそも会場とされやすい都内の公民館などは、先月の東京都の自粛要請に伴って予約済みのものも含めてキャンセルとなった事例が多く発生しています。

 

一方、4月から5月にかけて総会開催を予定している組合では、総会議案書の準備や次期役員候補の選任などを進める必要があるため、メールや最近普及し始めたWeb会議システムを活用しようという動きが出ています。

 

ちなみに、定期総会については、前年度の会計報告を集会で行うことが区分所有法で義務付けられているため、委任状や議決権行使の提出による意思表示も可能とはいえ、やはり物理的な開催は必要です。

 

また管理規約でも、「決算から3ヶ月以内の開催」を定めているのが一般的ですから、たとえば1月決算の管理組合なら例年4月中に開催していることでしょう。

 

とはいえ、

総会の開催自体が、「不要不急の用事」に該当するわけではないでしょうが、多くの人が密閉空間に密集することも十分考えられるため、さすがに緊急事態宣言の期間内で強行開催することには住民間でも賛否が分かれるかもしれません。

 

そういった混乱が生じかねないことをあらかじめ想定したのか、

区分所有法を管轄する法務省(民事局)から先日、以下のような通達が出ており、前回の開催から1年以内に開催する必要は特にないことを強調しています。

 

新型コロナウイルス感染症の影響により,管理者が選任された管理組合又は管理組合法人において,前年の開催から1年以内に建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」といいます。)上の集会の開催をすることができなくなった場合について,以下のとおりお知らせします。
 
 区分所有法においては,管理者又は理事が,少なくとも毎年1回集会を招集しなければならないとされ,集会において毎年1回一定の時期にその事務に関する報告をしなければならないとされていますが(区分所有法第34条第2項,第43条,第47条第12項,第66条),前年の開催から1年以内に必ず集会の招集をし,集会においてその事務に関する報告をすることが求められているわけではありません。
 
 したがって,今般の新型コロナウイルス感染症に関連し,前年の集会の開催から1年以内に区分所有法上の集会の開催をすることができない状況が生じた場合には,その状況が解消された後,本年中に集会を招集し,集会において必要な報告をすれば足りるものと考えられます。

 

www.moj.go.jp

また、公益財団法人マンション管理センターからも「新型コロナウィルス感染拡大における通常総会開催に関するQ&A」が示されており、理事会役員にとっては大変参考になると思いますので、その要点を以下ご紹介しておきます。
 
■ 総会を開催する場合の留意事項は?
①組合員に対し、総会会場に来場することなく、議決権行使書又は委任状(理事長等を指定する)により、議決権を行使してもらうことを、通知又は個別連絡により勧める。
②組合員には、体調を考えた上で、総会への出欠を慎重に判断してもらい、欠席する場合には、議決権行使書により、議題に対する賛否を表明してもらうようお願いする。
③出席者がある場合には、マスク着用、室内換気、短時間の運営等に努める。
 
■ 通常総会の開催を管理規約に定めた期間から延期してもよいか?
・災害発生の場合等には、やむを得ず期間内に総会を開催できないこともあり得ることであり、総会を開催するリスクや組合員の安全等も勘案して、期間内の開催が可能か否かが検討されるべきである。
 
■ 通常総会の開催を延期することを理事会で決定してよいか?
・緊急時の対応として、やむを得ず期間を超えて総会を延期せざるを得ないと判断する場合には、執行機関である理事会で通常総会の開催を延期することを決議する方法が考えられる。
・ただその際、組合員には、緊急時の、組合員の安全・安心のためにやむを得ない対応であることを理解してもらう必要がある。
 
■ 通常総会を延期する場合にはどのような手続きが必要か?
・一例として、通常総会の延期と併せて、その間の管理組合の運営は次のように行うことを決議する。
①総会開催までの期間について現役員が職務を行うこと
②総会で次期収支予算が決定するまでは今期収支予算に従い予算執行すること
③管理会社との委託契約の更新を予定している場合には、従前契約と同一条件での暫定契約を締結すること
 
なお、理事長は、通常総会の開催を延期すること等に関する組合員から問合せ、異議等については真摯に対応することとする。
 
<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

 

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