マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

人口減少社会で、マンションの資産価値を維持するにはどうすればいい?

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毎日新聞の「経済プレミア」で、マンション管理をテーマに不動産コンサルタントの長嶋氏へのインタビュー特集記事(有料)が3回にわたって掲載されていたので、紹介しましょう。

 

mainichi.jp

 本記事の要約は、概ね以下の通りです。

(1)売るに売れずに廃虚化へ「マンション空き家」の深刻度

■ 2013年の国の調査で、全国で空き家率が13%にのぼることが問題となり、空き家対策法が15年に施行されたが、その対象にマンションは含まれていない。数年もすれば圧倒的な数の空き家マンションが出現するだろう。

 

■ 日本では住宅の質と量の管理をやっていない。先進国では異例です。特にバブル経済が崩壊後、住宅政策=景気対策という意味合いが強まった。


■ 野村総研の試算では、このペースで住宅を造り続ければ33年には空き家が2000万戸近くになる。空き家率は約3割になる。


■ マンションは最寄り駅から徒歩8分を超えると、売れ行き不振となる。バス便のマンションはニーズが全くない。共働き世帯が増え、自動車保有率も下がっているからだ。また、郊外では新築一戸建てが2000万円台前半でも買える。


■ 住民も年金暮らしとなると、「修繕積立金」の余裕はない。建物が傷んでも何もしないから、老朽化でますます売れなくなる「負のスパイラル」に陥る。


■ 建て替え事例は準備中も含めて、全国で270件程度。ただ、それが可能なのは、立地が良く、費用の負担上余剰容積率があるものに限られる。

 

■ 早大の研究者によると、鉄筋コンクリートの寿命は68年。点検・修繕がない状況でこの数字ですから、点検メンテナンスをほどほどにやれば100年以上は楽に持つ。


■ 劣化個所に新しいコンクリートを入れ、鉄筋で補強し、表面はポリマー素材を塗布するという、寿命を延ばす技術も進歩している。 適切にメンテナンスすれば、「100年マンション」を造るのは十分可能。

 

(2)不足する修繕積立金「住民の無関心」が生み出す危機

■ マンションの危機とは、修繕積立金の不足問題のこと。今、8割のマンションでは積立金が不足している。


■ 不足する理由は、修繕積立金を低額に抑えている新築マンションが多いため。国土交通省は2011年に修繕積立金のガイドラインを策定し、適正な目安を示したが、義務ではないので相変わらず低額に設定している。


■ 築30~40年となると、年金暮らしの人も多くなれば「いまさら上げるなんて無理」となる。最近は、その弱みにつけこむ業者も登場している。

 

■ 大規模修繕工事では管理組合を支援する設計コンサル業者が談合に関与し、工事費がつり上げられるケースも横行している。


■ その背景には、住民の無知・無関心がある。マンションの理事になるのは、みんな面倒くさいと思っているため、前例踏襲主義に陥りやすい。

  

(3)少数精鋭の理事がいればマンションの将来は明るい
■ 管理が成功しているマンションをみると、やる気がある理事が最低2人はいて、実際はその人たちだけで回っている。


■ 住戸が100戸もあれば、いろんな人がいる。みんながそれぞれ自分の得意分野でやれるような状況をつくれるといい。


■ 住民も高齢化して積極的に動ける人がいないとか、法律や建築など知識が不足している場合は、外部の専門人材を活用したほうがいい。


■ 管理費が高いからといって、管理会社を替えると意外とうまくいかないことが多い。結局、修繕積立金が高くなったり、管理の質が落ちたりすることもある。


■ ただ、いきなり替える前に問題点を洗い出し、まず今の管理会社と交渉してみる。それでもらちが明かないのなら、交代を考えるぐらいでいい。


■  大規模修繕「談合」を見破るには、まず設計コンサル会社を決めるときは、複数会社から見積もりを取り、コンサル料が異常に低いところは外す。また、過去に行った施工業者の公募条件を調べ「資本金1億円以上」など異常にハードルが高くなっていれば疑う。


■ 修繕積立金については、過少とわかれば、できるだけ早く値上げしたほうがアップ額は少なくてすむ。先送りすればするほど、深刻になるから。

本記事で長嶋氏が仰っていることは、概ねその通りかと思います。

 

人口減少が慢性化する中、住宅の過剰供給の影響もあり、マンションの中古価格は郊外や交通便の良くないエリアから今後大きく下がっていくことは間違いないでしょう。

 

これが深刻化すれば、買い手のつかない老朽マンションも増えていくだろうと思います。

 

その時に、たとえ高経年マンションであっても、

一定の資産価値を維持できるかどうかのポイントは次の3つです。

(1)管理組合(理事会)が適正に運営されているか?

(2)計画にもとづいた修繕を実施できているか?

(3)修繕積立金会計の資金が将来不足に陥るおそれはないか?

 

この3つのポイントをクリアするには、たとえ少数でも区分所有者自身が関心をもって主体的に管理組合の運営に参加して取り組んでいることが不可欠です。

 

 

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私たちのようなプロの専門家が必ずしもサポートしなくても、住民自身の知恵とコンセンサスの形成によって一定の「成果」を出している管理組合も少なくありません。

 

つまるところ

大切なのは、管理組合の運営を「他人事(ひとごと)」ではなく、「自分事」として考えられる人がマンション内にどれだけいるかです。

 

もしマンション内にそうした人材がいなければ、

管理組合をサポートする私たちコンサルタントとしても、お役に立ちようがないからです。

 

 

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