管理組合の理事さんと話していると、「長期修繕計画にしたがって大規模修繕を実施すべきだ」という固定観念をお持ちの方が意外に多いことを感じます。
国交省は、マンション管理組合のために「長期修繕計画作成のガイドライン」を作成して公表しています。
その中に、「長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的」という章があり、以下のように説明しています。
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■マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するためには、適時適切な修繕工事を行うことが必要です。また、必要に応じて建物及び設備の性能向上を図る改修工事を行うことも望まれます。
■そのためには、次に掲げる事項を目的とした長期修繕計画を作成し、これに基づいて修繕積立金の額を設定することが不可欠です。
①将来見込まれる修繕工事及び改修工事の内容、おおよその時期、概算の費用等を明確にする。
②計画修繕工事の実施のために積み立てる修繕積立金の額の根拠を明確にする。
③修繕工事及び改修工事に関する長期計画についてあらかじめ合意しておくことで計画修繕工事の円滑な実施を図る。
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つまり、
長計の作成目的とは、将来見込まれる修繕や改修工事に関する「おおよそ」の時期と「概算」の費用を明確にしたうえで「必要な修繕積立金の金額を明確にする」ことです。
したがって、実際にいつ、どのように、いくらの費用をかけて修繕を実施するかまで決定したものではないことに注意が必要です。
というのも、管理会社は修繕工事を受注したいという立場上、この計画のスケジュールと周期に則って理事会に修繕の提案をしてくるからです。
その際の常套句は、たいてい「長計で予定されている」とか「一般的な耐用年数を経過している」といったものです。
でも、マンションの立地している環境や条件は様々なので、長計や耐用年数だけで修繕時期を判断するのは早計です。
日常の保守点検の状況報告や、外壁打診診断などの結果を踏まえて総合的に判断する必要があります。
もう一つ注意しなくてはならないのは、
管理会社の見積金額が、概ね長計で想定した金額にほぼ近似していることが専らだということです。
大抵の場合、管理会社は管理組合の事務管理も受託しているため、管理組合の財布の中身は「筒抜け」です。
そのため組合が払える範囲内の金額を見定めたうえで見積書を出せるのが管理会社の「強み」なのです。
したがって、その際に理事さんがやるべきことは、
管理会社としがらみのない業者からも相見積りを取得して発注金額を適正化することです。
しかし現実には、冒頭で紹介したような長計に対する誤った固定観念と管理会社の「押し」と「刷り込み」によって、ついつい注文書にハンコを押してしまうことになりがちです。
それこそ、管理会社の「思うツボ」なのです。十分ご注意ください。
<参考記事>
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