大規模修繕をはじめ管理組合が工事を発注する際に、相見積りを取るのは当然としても、どこの施工業者に発注すべきか悩ましい時があります。
大手のゼネコンや管理会社が元請けする場合、企業自体の信用力は認められるものの、下請け・孫請けのピラミッド体系の中で往々にして発注金額が割高になってしまいます。
一方、中小規模以下の工事会社の場合、工事代金はリーズナブルであっても、特にこれまで発注実績がないと、施工品質に不安が伴うだけでなく将来瑕疵が見つかった時にしっかり対応してくれるのかと言った懸念が残ります。
施工品質をチェックする方法としては、設計事務所を起用して「工事監理」を委託するのも一案なのですが、そもそも優良な設計事務所を選ぶのも管理組合にとって容易ではなく、別途そのための費用(工事費の5%程度)も発生してしまいます。
そんな時にぜひ覚えておきたいのが、「大規模工事瑕疵保険」の活用です。
これは、法律にもとづいて国(国交大臣)が認可した保険法人だけが取り扱える「現場検査付きの工事保険」です。
修繕工事の後に瑕疵が見つかり、高額な補修費用を工事会社が負担しなくてはならなくなった場合でも、あらかじめこの工事保険に加入しておくと、修補費用に近い保険金が工事業者に支払われる、というものです。
また、瑕疵が見つかった際に、その工事業者が倒産等で消滅していた場合には、たとえ工事請負契約に瑕疵担保責任が明記されていても、発注者はその履行を請求できなくなってしまいます。
しかし、このようなケースでも工事業者がこの保険に加入さえしていれば、発注者(管理組合)が保険法人に対して直接保険金を請求できるのです。
さらに、施工品質への不安やリスクについても考慮されています。
保険法人が工事会社の保険加入を認める条件として、対象となる工事が一定の施工基準を満たしていることを確認することが必要条件となっており、工事着工前と工事完了後に保険法人の検査員(一級建築士等)が現場で検査を実施します。
そのため、工事監理を設計事務所に委託しなくても、瑕疵の発生リスクをあらかじめ低減することが期待できるわけです。
なお、対象は大規模修繕工事に限らず、不定期に行う共用部の工事や給排水管等の設備更新なども含まれます。
マンション管理組合として覚えておきたいのは、工事業者に対してこの保険への加入を発注の条件にすることです。
また、保証期間は原則工事完了時から5年間ですが、防水工事などは「10年の延長特約」もあります。
詳細は、下記の記事もご参照ください。
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