先月、当社の「管理コスト適正化診断プログラム」を発注いただいた管理組合さんの話です。
築20年目を迎えるマンションの概要や管理仕様の内容などを提供してもらった上で査定したところ、仕様を変えずに現状の委託費に対して3割以上削減できるという診断結果になり、その詳細を理事会でご説明しました。
その際、理事の方から、
「おたくの会社は、管理規約の見直しはやってくれるのか?」との質問がありました。
もちろん対応することはできるのですが、
話をよく伺ってみると具体的に変更したい項目があると言うことではなく、竣工当初に設定すべき原始規約がどうも存在しないのではないか、ということでした。
原始管理規約には、原則として竣工当初の区分所有者全員の記名押印があるはずです。
しかし、組合員が実際に「規約」として持っているのは、区分所有者の記名押印がないばかりか、会計期間や役員の任期が空欄のままのドラフトしかない、というわけです。
それが事実だとすれば、「いま現在この管理組合には有効な規約が存在しない」ことになるため、必要なのは新たに管理規約を「設定」することになります。
そしてその場合には、(規約の変更と同じく)区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による組合総会の特別決議を経る必要があります。
ただ、原始規約の設定については、実態として2つの方法が採られています。
1)管理規約(案)の事前承認付き分譲のケース
マンションの販売契約時に、分譲業者が作成した規約案を購入者に提示して書面による承認を取り付けます。
その書面では、建物引渡し後に管理規約が発効することを停止条件に、原始規約が設定される、というものです。
管理規約の設定は「集会(総会)で決議すべき事項」に該当するのですが、「区分所有者全員の書面による合意があるときは、集会の決議があったものとみなされる」ので、総会の開催はこの場合不要だというわけです。
2)マンション購入者による総会承認によるケース
マンション購入者への建物引渡し時又はその後、設立総会を開催して、分譲業者等が作成した管理規約(案)について特別決議を経て原始規約の設定を行うというものです。
この場合は、管理規約を設定した際の設立総会の議事録が、規約原本の機能を果たすこととなります。
現時点で推測するに、
このマンションの場合は、上記1)のケースで規約設定を進めたものの、当初の規約案が不完全なまま設定されてしまい、その後長らく見直されずにきてしまったのではないかと考えます。
ただ、このマンションの管理会社は、竣工以来分譲業者の系列のままですから、このような状況を長期間放置したことについては大いに責任があると言えるでしょう。
本件については今後新たな事実が判明しだい、続報としてこのブログでも取り上げたいと思います。
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