マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

修繕積立金の「簿外債務」に直面する管理組合の現実

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これは、築15年目を迎える、あるマンションの実話です。

 

昨年春まで修繕積立金の改定は1回しかなく、70㎡の部屋で毎月4,500円の負担でした。

 

これを㎡単価に換算すると64円です。国交省の「修繕積立金ガイドライン」で示されている均等積立方式で必要とされる水準(200円強)の3分の1に過ぎません

 

不幸なことに、2年前に実施した大規模修繕で外壁の浮きが予想以上に広範囲に及んでいることがわかり、費用が大幅に予算を超過しました。その結果、修繕実施後に積立金の残高が僅少になったため、昨年慌てて2回目の改定を実施し、106円/㎡まで増やしました

 

私がコンサルさせていただくことになったのは、その直後です。

 

ただちに長期修繕計画を作成し、今後28年間の修繕費用を試算しました。駐車場の収益を加味したとしても、現在の積立金では近い将来不足することは火を見るより明らかでしたが、結局このままでは必要な金額の3分の1しか手当てができないことが判明しました。

 

【現状の積立金収益の累計 VS 修繕費用の累計】

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つまり、この不足分を均等積立方式で賄おうとすれば、現状の積立金を3倍にまで引き上げなければならないということです。

 

【積立金の3倍増額案 VS 修繕費用累計】

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しかし、1部屋あたりの負担を毎月8,000円から一気に24,000円へ改定することは現実的とは思えません

 

そこで、負担増を緩和する方法として、今年:+8,000円⇒5年後:+6,000円⇒10年後:+4,000円の段階増額方式を代替案として理事会に提示することになりました。

 

【3段階の増額案 VS 修繕費用の累計】

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上のグラフで、赤線と青線が接近しているポイントは、積立金の残高が僅少になっている時期を示しており、これで将来安心だとは言い切れません。

 

今後は修繕の実施時期と価格面で努力を積み重ねて、支出をなるべく抑制する方向でコントロールしていくしかないでしょう

 

このマンションの場合、分譲会社の系列会社が昨年まで管理を受託していましたが、業務が杜撰だったことが発覚し、リプレースされました。

 

それによって管理コストは適正化され、品質も改善しましたが、これまで何も対策を講じてこなかったのがツケとなって、その爪痕を大きく残した格好になっています。

 

しかし、決して珍しいケースではないはずです。中古マンションの広告で管理費と修繕積立金のバランスを見ればおおよそ予測がつきますから・・・。

 

皆さんのマンションは大丈夫ですか?    

 

どうも有難うございました!

 

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