埼玉県の戸田市では、平成27年4月より「マンション管理ネット登録制度」なるものを開設したとのことです。
マンション管理ネット登録制度 - 戸田市公式サイト
同市のサイトによると、「分譲マンションに居住する市民に対して、マンション管理に関する情報やセミナーなどのイベント情報などを電子メールを通じて提供する」とのことです。
また、「マンション管理ネットの運用を通じて、マンション管理について関心を持ってもらい、現在、問題になっていることやご不明なことなどを解決するお手伝いができればと考えています。」と記載されています。(下記参照 ※戸田市の資料より抜粋)
ネットで検索してみると、戸田市のほかに、同じ埼玉の草加市でも同様の制度が発足したようです。
行政がマンション管理組合に対して積極的な情報発信を行う意欲を持つようになったこと自体は歓迎すべきことでしょう。
ただ、当の管理組合が、この制度にどこまで関心を寄せるのかはかなり疑問に感じます。その理由は大きく3つあります。
◆管理組合の運営に無関心、理事会役員への就任にも消極的な人が多数派を占める現状の中、この制度に関心持つ層はかなり限定的だと思われること。
◆管理組合の運営において、具体的にどのような課題やリスクがあるか何も触れられておらず、どのようなベネフィットがあるのか伝わりにくい。
◆本ネットの登録者は管理組合内の特定個人に過ぎないため、一旦登録されたとしても、その後の区分所有権の異動や役員交代等の事情により、本登録情報が継続的に活かされるか定かではない。
もし行政が本気で管理組合との接点を増やし、役立つ情報の提供を通じて健全な運営に貢献したいと考えるなら、少なくとも次の3点に留意したほうがよいと思います。
#1 どのような課題やトラブル等がいま現在起こっているのか具体的な事例を挙げるとともに、解決した事例を紹介することで興味を持ってもらう。
【例】・管理会社の業務懈怠、役員との癒着などの法令違反
・管理組合役員のなり手不足・高齢化問題
・大規模修繕工事の資金不足
・管理費等の長期滞納問題への対応
・駐車場の空き区画増加への対策
・施工不良等による売主とのトラブル・・・など
#2 行政内部に相談窓口を設置し、メールや電話を通じてタイムリーに相談を受け付ける。(※相談窓口業務は、マンション管理士等の有資格者に委託するのも一案。)
#3 特定の個人の登録方式ではなく、管理組合毎にIDとパスワードを付与して継続的に管理者(理事長)名も把握できる仕組みを構築する。
せっかく市民の税金を使うなら、より有益で継続性の高い制度になるように前向きに見直してもらえればよいですね。
どうも有難うございました!
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