国土交通省は2月26日、「マンションの新たなルールに関する有識者会議」を開き、管理組合運営の新たなスキームを検討のうえ、標準管理規約に追加する方向での検討を行いました。
今後は、取りまとめの会議を開催後パブリックコメントの実施を経て、今夏にも標準規約を改正する予定です。
会議が開かれたのは、実に2年半ぶりのことです。
この会議が、長期間にわたって開催されなかったのには理由があります。
2012年8月に開催された委員会において、
(1)標準管理規約に盛り込まれている「コミュニティ」の文言は削除し、組合活動と自治会(町内会)活動と一線を画すべきではないか。
(2)議決権の割合は現行の専有面積割合や各住戸平等ではなく眺望や景観などの付加価値を反映させた価値割合に変更してはどうか。
(3)新築マンションの分譲段階で専門家の活用を選択メニューとして加えるべきではないか。
──など新たな提案が事務局から持ち出され、委員間で議論が紛糾したためと推察されます。
その後、委員と事務局で論点を再度整理し、今回検討の方向性をまとめたうえで、ようやく今回委員会を再開した模様です。
さて、この委員会での最大のテーマは何でしょうか?
それは、区分所有者の高齢化や役員のなり手不足に伴い理事会の運営が脆弱化していく中、管理組合の運営にマンション管理士等の外部専門家を活用する選択肢があることを明示し、標準管理規約に盛り込むことにあります。
その外部専門家の活用法として、以下の3つの案が提示されています。
◆パターン①:理事・監事または理事長を外部専門家にする場合
◆パターン②:外部専門家を管理者として選任し、理事会がこれを監視する場合
◆パターン③:外部専門家を管理者として選任し、理事会は設けない場合
多くの管理組合では、その規約に「理事長を区分所有法の管理者とする」と定めていますが、法律上は管理者の資格や任期に制限はありません。総会の決議か、規約の定めがあれば外部の人間を選任することもできます。
しかし、ほとんどの管理組合の管理規約には以下のような定めがあるはずです。
「管理組合の役員は、(現に居住する)組合員の中から総会で選任する。」
したがって、仮に標準規約の改正がなされ、上記3つのパターンの選択肢が示されたとしても、各管理組合が現行の規約を改正しない限り、外部専門家を組合の理事に選任することはできないのです。
また、規約を改正するには、区分所有者等の全体の4分の3の賛成が必要(特別決議事項)なため、一般的な意思決定事項よりもかなりハードルが上がります。
ただ、標準管理規約の改正が実現すれば、管理組合の意識が今後徐々に変わっていくことは十分に期待できます。
管理組合自治主義を前提とする従来のパラダイムが、いよいよ転換期を迎えつつあると言えるでしょう。
今後の動向に要注目です!
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