マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

【理事長のギモン】ゲリラ豪雨で室内に浸水したらマンション保険で補償されるの?

              f:id:youdonknowwhatyoulove:20141129153548g:plain

 

顧問先マンションで、ルーフバルコニーのある住戸の居住者から下記の内容の要望と質問が書面で理事会に提出されました。

◾️ゲリラ豪雨で、屋上部のドレン(排水口)で滞水が発生していた。

◾️ルーフバルコニーを経由して雨水が室内に侵入するリスクもある。

◾️そのため、ドレンと排水管の詰まり防止対策をしっかりやってほしい。

◾️万が一、室内に浸水した場合の保険等の補償対応はどうなるのか?

 

 

管理組合では、漏水事故を含むリスクに備えて、共用部を対象とする損害保険に加入しています。

 

その補償内容は、火災、破裂・爆発などの事故、自然災害(落雷、風災、雹(ひょう)災、雪災)、物体の飛来・落下などによる「突発的な損害」など多岐にわたります。

 

さらに、主要な「補償特約」として、の2つの賠償保険も付帯していることが多いです。

(1)施設賠償責任補償特約

共用部分の不備や経年劣化が原因で他人の身体や財産を毀損(きそん)した場合の補償

 

(2)個人賠償責任補償特約

専有住戸に起因する事故で他人の身体や財産に損害を与えた場合の補償

 

まず、マンションで発生しやすい漏水の事例をもとに、保険の適用の可否、補償の範囲をご紹介しましょう。

イ)漏水したが、どこが原因なのか分からない!

漏水事故の場合、事故の発生段階ではその原因や浸水した箇所がよく分からないことが多いのが実際です。

 

その場合、まずは「水濡れ原因調査」を行う必要があります。

 

この調査に要する費用はマンション保険の補償に含まれているのが一般的なので、ぜひ覚えておいてください。(ただし、「1年間で100万円以内」など、支払われる保険金に上限が設けられていることが多いです。)

ロ)居住者の不注意で上階の住戸から漏水し、階下の居室が被害を受けた!

この場合、専有住戸間のトラブルのため、管理組合が関与する問題ではなさそうに思われます。


このようなケースでは「個人賠償責任補償特約」を利用できます。

 

下階の被害者から賠償請求された場合、上階の加害者が管理組合(理事長)に事故の報告をして保険適用を申請すれば保険金が支払われます。

 

そのため、加害者が個人的に賠償責任保険に加入していなくとも、被害者は管理組合の保険で救済されます。

ハ)老朽化した給水管(縦管)からの漏水で住戸内が被害を受けた!

漏水の原因が、共用設備の老朽化が原因と判明した場合には、上でご紹介した「施設賠償責任補償特約」の適用を受け、当該住戸の修繕費用については補償の対象となります。

 

ただし、共用設備自体の修繕費については補償の対象になりません

漏水原因が設備の老朽化であって、自然災害や突発的な事故による破損等ではないからです。

ニ)外壁や屋上からの漏水で最上階の住戸内で漏水!

風雨、雪などの吹き込みや漏入による損害は、保険会社の「免責事項」に含まれているため、補償の対象外になります

 

したがって、ゲリラ豪雨によって専有住戸に浸水した場合も、保険による補償は受けられません

 

ただ、共用部の破損や劣化、あるいは管理上の不備でドレンや排水管に詰まり等があり、それが浸水の原因と判断された場合は、管理組合の管理責任が問われ、損害賠償責任を負う可能性があります。

 

そのため、理事会では、屋上ドレンと排水管の定期清掃の実施、また浸水防止のために土嚢を居住者に貸し出すなどの対策を検討することになりました。

 

<参考記事>

suumo.jp

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

         f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

管理組合では、漏水事故を含むリスクに備えて、共用部を対象とする損害保険に加入しています。

 

その補償内容は、火災、破裂・爆発などの事故、自然災害(落雷、風災、雹(ひょう)災、雪災)、物体の飛来・落下などによる「突発的な損害」など多岐にわたります。

 

さらに、主要な「補償特約」として、の2つの賠償保険も付帯していることが多いです。

(1)施設賠償責任補償特約

共用部分の不備や経年劣化が原因で他人の身体や財産を毀損(きそん)した場合の補償

 

(2)個人賠償責任補償特約

専有住戸に起因する事故で他人の身体や財産に損害を与えた場合の補償

 

まず、マンションで発生しやすい漏水の事例をもとに、保険の適用の可否、補償の範囲をご紹介しましょう。

イ)漏水したが、どこが原因なのか分からない!

漏水事故の場合、事故の発生段階ではその原因や浸水した箇所がよく分からないことが多いのが実際です。

 

その場合、まずは「水濡れ原因調査」を行う必要があります。

 

この調査に要する費用はマンション保険の補償に含まれているのが一般的なので、ぜひ覚えておいてください。(ただし、「1年間で100万円以内」など、支払われる保険金に上限が設けられていることが多いです。)

ロ)居住者の不注意で上階の住戸から漏水し、階下の居室が被害を受けた!

この場合、専有住戸間のトラブルのため、管理組合が関与する問題ではなさそうに思われます。


このようなケースでは「個人賠償責任補償特約」を利用できます。

 

下階の被害者から賠償請求された場合、上階の加害者が管理組合(理事長)に事故の報告をして保険適用を申請すれば保険金が支払われます。

 

そのため、加害者が個人的に賠償責任保険に加入していなくとも、被害者は管理組合の保険で救済されます。

ハ)老朽化した給水管(縦管)からの漏水で住戸内が被害を受けた!

漏水の原因が、共用設備の老朽化が原因と判明した場合には、上でご紹介した「施設賠償責任補償特約」の適用を受け、当該住戸の修繕費用については補償の対象となります。

 

ただし、共用設備自体の修繕費については補償の対象になりません

漏水原因が設備の老朽化であって、自然災害や突発的な事故による破損等ではないからです。

ニ)外壁や屋上からの漏水で最上階の住戸内で漏水!

風雨、雪などの吹き込みや漏入による損害は、保険会社の「免責事項」に含まれているため、補償の対象外になります

 

したがって、ゲリラ豪雨によって専有住戸に浸水した場合も、保険による補償は受けられません

 

ただ、共用部の破損や劣化、あるいは管理上の不備でドレンや排水管に詰まり等があり、それが浸水の原因と判断された場合は、管理組合の管理責任が問われ、損害賠償責任を負う可能性があります。

 

そのため、理事会では、屋上ドレンと排水管の定期清掃の実施、また浸水防止のために土嚢を居住者に貸し出すなどの対策を検討することになりました。

 

<参考記事>

suumo.jp

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

         f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

              

※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/

  ↓       ↓

にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ 

管理委託費が大幅増額になると思いきや、逆にコスト削減できたマンション

             f:id:youdonknowwhatyoulove:20141129153548g:plain

 

先日、顧問先マンション(神奈川県 90戸)で通常総会が開催され、管理会社との契約更新に伴い、管理委託費が年間約50万円減ることになりました。

 

このマンションでは、8年前に管理委託費の適正化に取り組み、管理会社との交渉の結果、従前比33%の削減を実現し、剰余金が年間5百万円増加しました。

 

そして今年、8年ぶりに管理会社から人件費単価の上昇に伴う管理委託業務費の増額改定(現状比13%増 → 年額160万円増)の申し入れがなされたのです。

 

ただ、長期修繕計画の資金見通しでは、管理費会計の剰余金(年間5百万円)の修繕積立金会計への振替えを含めて賄うことを予定しているため、これを受け入れるとその前提が崩れてしまいます。

 

また、修繕積立金については、5年前の総会で従前比で50%の大幅改定をしているため、再度の増額は避けたいところです。

 

とは言うものの、管理員と日常清掃の人件費単価が上昇しているのは確かなので、理事会にて管理員と日常清掃の勤務時間の見直しを行い仕様変更案として下記の2種類のプランを検討し、マンション内でアンケートを実施しました。

 

<従前の仕様>【管理員:週勤45時間 日常清掃:週勤16時間】
◾️管理員 :週7日勤務(週5日:各7時間、週2日:各5時間 )
◾️日常清掃:週4日・4時間/日勤務

→ 現状比月額13万円増

 

<仕様変更プラン:A案>【管理員:週勤39時間 日常清掃:週勤14時間】
◾️管理員 :週6日勤務(週5日:各7時間、土曜:4時間 日曜:休
◾️日常清掃:週4日(1日の作業時間を30分短縮)

→ 現状比月額4万円増

 

<仕様変更プラン:B案>【管理員:週勤32時間 日常清掃:週勤10.5時間】
◾️管理員 :週6日勤務(週4日:各6時間週2日:各4時間、日曜:休
◾️日常清掃:週3日(1日の作業時間を各30分短縮)

→ 現状比月額4万円減


アンケートの結果、全戸の7割強から回答があり、

回答者の約7割が「B案」を支持しました。

 

そのため、B案で総会に議案を上程することとなり、コスト削減できたというわけです。

 

このマンションでは、竣工時から管理員が2人体制で、毎日朝から夕方まで勤務しているうえ、日常清掃も別に清掃員を派遣しているため、同規模の他のマンションと比較しても「かなり手厚い」仕様になっていました。

 

このように、従前の管理品質をさほど落とさないことを前提に、管理仕様を見直す視点を持つことはとても重要だと思います。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

aplug.ykkap.co.jp

                     f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/

  ↓       ↓

にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年10月以降の大幅改定に備えてマンション保険の中途更改を検討しよう!

             f:id:youdonknowwhatyoulove:20141129153548g:plain

以前、このブログでも取り上げましたが、

2024年10月以降、損保各社の保険料率が一斉に改定されます

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.comkasai.insweb.co.jp

今回の改定では、火災保険の参考純率が平均13%の増額となります。

 

過去10年間で参考純率が4回引き上げられている中で、

今回は5回目となり、過去最大の引き上げ幅となっています。

 

これを受けて、

私がマンション管理士として理事長(管理者)を務めている都内のワンルームマンション(築19年)では、マンション保険の中途更改を検討しました。

 

現在の保険契約の満期は、来年の12月ですから、

1年2ヶ月間前倒しすることになります。

 

現状と同じ補償条件、かつ同じ保険会社で保険料(5年分)比較すると、

以下のとおりとなりました。

・現保険料          :335,280円

・9月末までに中途更改した場合  :406,350円(現状比 +   71,070円

・10月以降に更改した場合   :492,390円(現状比   +157,110円

 

したがって、来年の満期で更改するよりも、

中途更改の方が約86千円保険料を節約できることがわかりました。

 

もちろん、中途更改しても現在に比べて保険料の負担は増えてしまいますが、

1年2か月分の前倒しによるコスト増は、実質約17千円です。

 

したがって、満期で更改するよりも差引き約69千円お得ということです。

そのため、9月に臨時総会を開催し、本議案を上程することにしました。

 

なお、今回の中途更改では、補償条件も一部変更することにしました。

それは、(保険会社の)免責額の設定です。

 

現契約では免責は「基本ゼロ」ですが、

保険事故1件につき5万円の免責を設定します。

 

これによって、保険料を約25千円節約できます。

そのため、保険料の負担増を最小限に抑えることができました。

 

もちろん、保険会社の免責分は結局管理組合の負担となり、

保険金の受取額が事故1件につき5万円減ることにはなります。

 

ただ、免責の設定に伴い、今後は少額の保険金請求を控えることになり、

それが将来の更改時に保険料の負担増を抑える効果も期待しています。

 

と言うのも、現在のマンション保険契約では、過去に保険金を受け取った件数が次回の引受保険料に影響するしくみになっているからです。

 

具体的には、次回の保険始期日から6ヶ月前の時点から遡った2年間(1年間の場合もある)を対象とする保険金の支払いを伴う事故件数がカウントされます。(下図参照)

 

 

上記対象期間中の事故件数が0件であった場合、「無事故割引」を受けられ、次回の引受保険料が安くなります。

逆に事故件数が多ければ、次回の引受保険料は高くなってしまいます。


なお、この過去の事故実績の反映は、カウント対象の期間内に保険金を受け取った事故が「何件」あるか(支払保険金ではない)、また、そのマンションの住戸数に対する発生件数がどれだけの割合かという点がポイントになります。

 

今年中もしくは来年に保険契約の満期を迎える予定があれば、

中途更改を検討してみることをお勧めします。

 

<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

                            f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/

  ↓       ↓

にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

修繕積立金の不足に悩むマンションは、まず管理コストを見直そう!

             f:id:youdonknowwhatyoulove:20141129153548g:plain

 

7月28日付のJBpressに、「ほぼ半数のマンションが修繕積立金不足に陥っている現実、計画通りに実行できないと資産価値の暴落も避けられず」と題した記事が掲載されていました。

 

jbpress.ismedia.jp 

本記事の要約は以下の通りです。

======

◾️ 修繕積立金の積立方式には、長期修繕計画に必要な費用を毎月に割り振り、当初から同じ額を集める「均等積立方式」と、当初は少なめにして段階的に引き上げていく「段階増額積立方式」がある。

◾️ 均等積立方式だと分譲時の修繕積立金が割高になって購入者の負担が重くなり、販売に不利になりかねないので、デベロッパーとしても販売しやすい段階増額方式を採用するマンションが多い。新築マンションのほぼ9割は段階増額積立方式である。

◾️ そのため、当初は管理費と修繕積立金の合計が月額2〜3万円で済んでいたのが、5年後、10年後には4〜5万円に増えてしまう可能性がある。

◾️ 段階的に増額していくにしても、修繕積立金の引き上げには管理組合での決議が必要になる。特に、竣工から年月が経過しているマンションだと、所有者の高齢化も進み、年金生活になっている人が多いといった事情から、積立金の引き上げが難しくなる。

◾️ 国交省の「マンション総合調査」によると、「計画通りの額までは増額できなかった」が26%、「増額したかったができなかった」が4%と、約3割が十分な増額改定ができなかったと回答している。

◾️ 長期修繕計画に対して、積立額が不足しているとするマンションが少なくないのが現実で、現在の修繕積立金の状況について、積立額が不足しているマンションは、(「不明」と回答した割合を除いて)回答者全体のほぼ半数を占めている。その結果、本来の修繕計画を予算に合わせて縮小せざるを得ないマンションが増えている。

◾️ その一方で、工事に必要な資材などの原材料費の高騰が続いているうえに工事に携わる専門職の人件費も上がっている。建築業界でも残業規制などによる「2024年問題」が深刻化し、工事費を押し上げる要因となっている。

◾️ ただ、資金不足だからと大規模修繕積を行わないわけにはいかない。実施できないと、建物の老朽化が一段と進み、居住性、資産性の大幅な低下につながりかねない。屋上の防水が劣化して雨水が浸透、水漏れや内部のコンクリートの中性化につながり、鉄筋が錆びて爆裂したり、タイルが剥落したりするなど事故のリスクも高まる。

◾️ それでは、不足分をどう賄うのか。区分所有者から一時金を集める、あるいは管理組合が金融機関から借り入れを行う方法があるが、どちらにしても、最終的には所有者が不足分を補うことになる。

◾️それができないと、計画通りの修繕工事ができずに、建物の老朽化が加速することになる。反対に、計画通りにきちんと工事が実施できれば、外壁やエントランスなどの内壁も新築時並みに戻り、資産価値の維持・向上につながる。実際に、大規模修繕工事の前と後では相場価格が500万円も上昇したといった取引事例も見られる。

◾️ 逆に大規模修繕が計画的に行われず、老朽化が進んで、空き室の多い“幽霊マンション化”し、ほとんど価値がなくなってしまった事例も決して珍しくないので注意が必要だ。

======

 

都内にある顧問先マンション(築27年目 70戸)では、30年間の⻑期修繕計画で見込まれる修繕費(609百万円)に対して約24%(147百万円)の資金不足が生じる状況にありました。

 

上記不足額を30年で割戻すと、年あたり約500万円の積立金不足となります。

 

ただ、マンション保険や管理委託契約を全面的に見直し、管理会社とは一部仕様の変更を含めて条件交渉したところ、従前に比べて約3割コスト削減ができたため、年間350万円の剰余金創出効果が得られました。

 

この管理費会計の剰余金の増加分を修繕積立金会計に振り替えることができるため、資金不足は年間平均150万円に減らせることになりました。

 

つまり、コスト削減効果で資金不足分の7割をカバーできることになったけです。

 

なお、残った資金不足分(150万円)を修繕積立金に換算すると、

戸当たり平均で月額1,785円です。

 

これなら、現状の修繕積立金(戸当たり平均12,000円)に対する増額幅も15%弱に収まるため、総会決議を得やすいレベルです。

 

御多分に洩れず、

顧問先のマンションでも当初は修繕積立金の増額リスクを抱えているのが実情です。

 

当社のコンサルティングでは、必ず管理委託契約やマンション保険、共用部の電気料金の適正金額を査定するブログラムを最初に受けていただいています。

 

その後1年くらいかけて管理コストの適正化に取り組み、管理費会計の収支状況が改善できた後に、改めて修繕積立金の不足問題に取り組むようにしています。

 

それは、なるべく修繕積立金に増額幅を抑える努力をしないと、総会で議案が承認されにくいだろうと予想されるからです。

 

また、管理組合で不相応な支出がなされている可能性もあるのにその見直しもしないで修繕積立金の増額を提案することに対して、区分所有者から感情的な反発も予想されます。

 

管理組合が最大限財政状況の改善に努めたうえで、その結果としてなお生じる資金不足分について賄うための増額提案であれば、「仕方ないよねぇ」ということで総会でも理解が得られやすいと思います。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

           f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/

  ↓       ↓

にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ 

新築マンションの管理費が平均月2万円超!「豪華共用施設」は本当に必要か?

            f:id:youdonknowwhatyoulove:20141129153548g:plain

7月15日付けの読売新聞に、「マンション管理費が2万円突破、首都圏で初めて…サウナなど共用施設の充実や人件費の増加で 」と題した記事が掲載されていました。

 

<参考記事>

www.yomiuri.co.jp

本記事の要約は以下の通りです。

=====

◾️ 分譲マンションの維持管理費が上昇している。23年に首都圏の新築分譲マンションの平均管理費(70平方メートル換算)は前年比4・1%増の月2万358円となり、初めて月2万円を超えた。修繕積立金と合わせると月3万円弱の負担になる。

◾️ 管理費を押し上げている要因は、人件費増のほかに、共用施設の充実と多様化だ。

◾️ 東京都文京区で販売中の新築マンションは共用施設の充実が売りで、屋上に共用テラスを設置しているほか、テレワーク対応のワークスペースや来客者用ゲストルームを確保している。

◾️ さらに、朝の通勤・通学時間帯には管理組合がシャトルバスを運行し、マンションと最寄り駅を往復するという。
◾️ 昨年東京・昭島市で販売された分譲物件では、共用施設に本格的なサウナを設け、全481戸が完売となる人気ぶりだった。
◾️ 共用施設の維持管理費は、エレベーターなどと同様、区分所有者から徴収する管理費でまかなわれる。最近ではスポーツジムを備えたり、フロントにコンシェルジュが常駐したりする物件も珍しくない。
◾️ 東京23区内のマンション管理費は、10年前から約6000円増加した。昨今増加している「第三者管理方式」のマンションが増えていることも一因とされている。

◾️ 一方、建築資材や人件費など修繕にかかるコスト増に伴い、修繕積立金も上昇している。23年は首都圏で前年比9・9%高い平均月8729円となった。
◾️修繕積立金はマンション購入時には低めに抑えられているが、年数がたつと段階的に増額されるケースが多い。国交省の調査では、修繕積立金が計画に対し不足しているマンションは全体の36%に上り、物件によっては今後さらに負担が重くなる可能性がある。
◾️今後は住宅ローン金利も上がることも想定され、消費者には維持管理コストも含めた負担額の見極めが求められそうだ。

=====

マンションの高級感を顧客に訴求するために、新築物件のパンフレットで使われる常套句が「ホテルライクな空間」です。

 

たしかに、ホテルや旅館のような訪問客が癒しを求める場所なら、温泉やフィットネスルーム、コンシェルジュなども必要でしょう。

 

しかし、ホテルで過ごすのは、1年のうちせいぜい数日程度のこと。

一方、マンションは「日常生活そのもの」です。

 

設備やサービスのベネフィット(便益)とかかるコストを天秤にかけると割に合わなくなる場合があるのは当然です。


コストパフォーマンスや、住民の利用頻度や負担の公平性に鑑みて、ムダと思われるものを以下に挙げてみましょう。

 

◾️ ゲストルーム
親族などの来客が宿泊するために用意されるマンションの「ゲストルーム」。確かにその使用料金は近隣のホテルに比べて割安に設定されており、おトクなように見えます。

しかし当然ながら、室内の清掃やリネン等の交換、そして将来的なリフォーム費用が管理費に含まれています。

また、一部の利用者に利用が偏ったり、事前予約を巡って住人間でトラブルになるなど、おカネ以外の問題もあるようです。

◾️ AVルーム
機材類や工事費で軽く1000万円を超えるものもありますが、利用状況を聞くと「誰も一度も使っていない」という声が少なくありません。

◾️ キッズルーム、保育施設
最初こそ利用されるものの、子供の成長につれ3、4年もするとほとんど誰も遊ばなくなる傾向があります。

また、周囲の住戸から騒音のクレームが出たり、ケガや事故の防止対策として監督を置かなくては、厄介な問題が噴出するリスクもあります。

 

◾️ 噴水や人工池などの水景設備
あると確かに華やかですが、水垢が溜まるため定期的な清掃が必要です。そのほか、水道代、ライトアップにかかる電気代、修繕費の負担もバカになりません。

 

◾️ 温泉施設、プール

最近の新築物件ではほとんど見かけなくなりましたが、水景設備と同様、ボイラーや循環ポンプなどのメンテナンス、清掃や水光熱費等のランニングコストが重くのしかかってきます。

また、当然ながら経年劣化に伴い、設備の改修コストも必要になってきます。その一方で便益を受ける利用者が一部の住民に偏りがちという問題もあります。

これは、「フィットネスルーム」や「プール」、「ジャグジー」、「ドッグラン」なども同様です。

 

◾️ コンシェルジュ
各種共用施設の予約や料金精算、クリーニングなどの居住者向けサービスの受付などのために、管理人とは別にコンシェルジュを派遣するケースがあります。

しかしながら、提供できるサービスやメニューの数も中途半端であることが多く、多額の人件費を負担してまで設置すべきか疑問に感じることが多いです。


◾️ 夜間警備員
管理員、コンシェルジュのほかに、深夜の宿直対応を含む警備サービスを提供するマンションもタワーマンションなどでは珍しくありません。

一定の規模を超える共同住宅では、防災要員を配置することが法的に必要となるケースもありますが、機械警備による遠隔監視サービスもありながら、警備員を常時配置するのは「屋上屋」ではないでしょうか。


一方、マンションに「必須」と考える設備やサービスは以下の通りです。

 

◾️ オートロック付き集合インターホン
いまや賃貸マンションでも必須アイテムとされていますが、「TVモニター付きのインターホン」が今は標準仕様となっています。

不在時の来客者録画機能、宅配ロッカー利用時のアナウンス機能、キーレス対応など利便性を重視した仕様もあります。

これと同様に、セキュリティ面のアイテムとしては、防犯カメラ、駐車場のグリルシャッターも必須でしょう。

 

◾️ 宅配ロッカー
夫婦共働きが当たり前の時代、今や戸建て住宅にも導入されつつある設備です。

宅配業者の再配達をなくせるという社会的な貢献を考えれば、一番の必須アイテムかもしれません。

 

◾️ 集会室
意外と重要になってくるのが「集会室」。

理事会や総会など管理組合の運営や住民同士の交流を目的とした会議用スペースがあるほうが望ましいです。

(ただし、近隣に利用可能な自治会館等の公的な施設があればその限りではありません)


◾️ 24時間出せるゴミ置場
どのマンションにもゴミ置場はありますが、昼夜問わずいつでも出せるマンションは多くありません。

時間や曜日に関係なく屋内の集積所にゴミを出せて、管理員が収集日に外に出すという仕組みが、多くの新築マンションで導入されています。

「収集日の朝まで待たずに出せる」という点が、多忙な住人に好評を得ています。

 

◾️ 遠隔監視サービス
管理人が常駐しているマンションはごく一部に過ぎないため、管理人不在時における各種設備の不具合等が発生した場合の緊急対応が必要不可欠です。

こうした場合、機械警備による「遠隔監視サービス」があれば、異常信号の受信から25分以内(警備業法上の制限)に警備員が駆けつけ対応をしてくれるので安心です。

 

もし自分にとってはさほど必要とは感じない施設やサービスがあっても、それらの維持管理費は毎月納める管理費の中にしっかりと含まれています。

 

それだけではありません。

将来更新が必要な設備の修繕・更新費用についても、別途修繕積立金として強制的に徴収されているのです。


必要な設備やサービスに関する「目利き力」を身につけることをお勧めします。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

           f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/

  ↓       ↓

にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ 

 

機械式駐車場の平面化プロジェクトが無事完結!

             f:id:youdonknowwhatyoulove:20141129153548g:plain

 

先月末に、顧問先マンション(築19年)で機械式駐車場の平面化工事が竣工しました。

 

当マンションの駐車場は、3年前から経年劣化に伴う部品交換等の修繕工事の提案(総額約6百万円)を受けていました。

 

一方、駐車場の稼働率が近年低下傾向にあり、全32区画の半分以上(18台)の空き区画が発生していました。

 

居住者を対象にアンケートも実施しましたが、今後も利用者の増加は期待できないことがわかりました。

 

さらに、既存設備のメーカーの製品は、駆動用のシャフトが破断してパレットが落下する事故等が発生した事例があり、その耐久性に関するリスク情報を管理会社や保守業者から入手していました。

 

そのため、既設メーカーの設備を維持しながら修繕工事を実施するのは安全性だけでなく経済面のリスクも大きいと判断しました。

 

現状の稼働状況が改善する見込みが小さいことから、駐車場の区画を減らすことを基本方針にしたものの、その区画数の調整が重要な課題となりました

 

と言うのも、当マンションの場合、敷地形状の制約から、下図のとおり駐車設備が4ヶ所に分散していました。

 

・Aブロック(パズル式:16台)  ・Bブロック(パズル式:8台)

・Cブロック(ピット式:4台)   ・Dブロック(ピット式:4台) 

 

 

仮にすべてのブロックを平面化した場合、間口の狭いAブロックには3台分の平置き区画しか確保できないため、区画数が10台まで減ってしまい、現契約車両を収納しきれないことがわかりました。

 

そこで、Aブロックを新たにパズル式2段のタイプに改装して10台分の区画に減らす一方、他の3ブロックは、既存設備を撤去のうえ、新たに鋼製板敷込みによる平面化を行い、平置き駐車場(計7区画)に改装することにしました。

 

これによって新たな区画数が「17」になり、契約車両をすべて収容することができます。

 

ただ、既存設備の修繕費(約6百万円)の負担を免れる代わりに、設備更新を含めて平面化工事に約26百万円もの費用を要することから、これに難色を示す区分所有者が現れることが予想されました。

 

そのため、現設備(32台)を維持修繕する場合の今後30年間のライフサイクルコスト(LCC)を比較対象に、今回の提案プランと比較する資料を用意しました。

 

イニシャルコストの負担は大きいものの、駐車設備を3分の1に減らすことで今後30年間のトータルコストが従来の半分以下に抑えられ、経済的な負担を軽減できることを説明しました。

 

駐車設備の撤去・平面化は、「共用部の変更」に該当するため、特別決議事項となり、議案の承認に際して「組合員総数・議決権総数の各4分の3以上の賛成」が必要です。

 

そのため、理事会主催で事前に住民説明会を開催するなど丁寧に対応しながら駐車場問題の認知向上に努めた結果、2回目の総会で何とか可決されました。

 

工事は、第1期をAブロック、第2期をその他3ブロックと2期に分けて実施し、約2ヶ月の工事期間を経て、先頃無事完工しました。

 

なお、工事期間中は、契約車両の仮移動も必要になるため、外部の駐車場を事前に確保する必要があり、その駐車料金は管理組合が負担しました。

 

また、従前と駐車場の仕様が大きく変わるため、工事中に希望区画のアンケートを実施しつつ、希望が重複した区画の抽選も行いました。

 

その後、余った3つの区画について新規利用者を募集したところ、使い勝手が向上したためか、すべて埋まり、管理組合の収入も増加することになりました。

 

<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

           f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/

  ↓       ↓

にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ 

 

 

 

 

 

 

マンション管理費の長期滞納問題、知っておくべき解決方法と事前の対策

            f:id:youdonknowwhatyoulove:20141129153548g:plain

先日国交省が発表した「マンション総合調査結果」(令和5年度)によると、管理費・修繕積立金を3ヶ月以上滞納している住戸のあるマンションは約3割を占めているとのことです。(下記参照)

 

 

www.mlit.go.jp

顧問先のマンション(築29年目)でも、長期滞納者が1名います。

滞納期間もすでに2年近くに及び、未収金は60万円を超えました。

 

滞納が半年を超えた時点で法的措置をとるべく検討していますが、経済的に困窮していることが原因と思われるものの、滞納者本人と連絡が一向に取れず困っています。

 

区分所有法(第7条1項)では、債権者である管理組合に「先取特権」(マンションそのものや、マンションに備え付けた動産の売却代金・賃料等から優先的に管理費等を回収できる権利)が認められており、当該住戸を競売にかけて換価された売却代金から滞納管理費等を回収するという方法が認められています。

 

しかし、当該住戸には住宅ローンの抵当権等の返済がより優先される債務が存在しているため、これら優先債権の方が住戸の売却代金よりも大きい場合は、競売を実施しても意味がないとして競売を取消されてしまうという問題(無剰余取消し)があります。

 

ただし、分所有法第59条にもとづく強制競売」の場合には、仮に無剰余であっても競落人から滞納管理費等を回収することが可能です。

 

しかしながら、管理費等を滞納している区分所有者にとっては、「区分所有権を奪われる」ことになるため、その適用要件も厳格です。

 

第59条の強制競売を適用するには、

「建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為があったこと、又はそのおそれがあり、その行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しいこと」、「他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であること」が要件となっています。


「長期間かつ多額の管理費等の滞納」についても、区分所有者間の不公平感等を生むだけにとどまらず、これを放置すると管理費等の支払いを拒む者が他に現れる可能性も予測され、最終的にマンションの維持管理が困難になるという観点から、共同利益違反行為に当たるとした判例があります。

 

競売が実現すれば、新たな区分所有者が、前区分所有者の滞納管理費債務を承継するため、管理組合は滞納債権を回収できるというわけです。(区分所有法第8条)

 

ただ、過去の判例を見る限り、「滞納期間2年と60万円の債権額」の段階では、59条競売が認められる可能性は低く、滞納債権が100万円を超えた時点が目処ではないかと思われます。

 

というわけで、まだ訴訟に持ち込むことは難しい状況ですが、管理組合として他にやるべき事項もあります。

 

現行の管理規約を確認したところ、管理組合が法的措置を取ることになった場合、不利に働きかねない条文があったため、以下の改定について総会で提案し、承認されました。

 

1)管理組合に対する債務項目の追加

国交省の標準管理規約では、管理組合に納付すべき項目として、管理費と修繕積立金、専用使用料(駐車場、専用庭、ルーフバルコニーなど)しか記載されていないのが一般的です。

 

ただ、マンションによっては、例えばインターネットサービス料、ケーブルテレビの視聴料金、専有部サービス料も管理費等と併せて納付しているケースもあります。

 

滞納となる場合には、こうした費目も含むことになるため、管理組合の債権となりうる項目はすべて網羅しておきます。

 

さらに、これらも、管理費等と同様に、当該区分所有者の包括承継人および特定承継人に対して債権行使できるように定めておきます。

 

2)遅延損害金及び違約金の定めの追加

支払い期日以降の債権に関する「遅延損害金」(年14.6%相当の金利)と「違約金」(弁護士費用や督促・徴収の諸費用)請求できる旨を追加します。

 

また、管理組合が支払督促、強制執行、競売等申立て、訴訟等の法的措置を機動的に取れるよう、「理事会の決議」を経てそれを追行できる新たに条文を定めました。

(当該条文がない場合は、区分所有法にもとづき「総会決議」が必要と解されます)

 

管理費の長期滞納はそのマンションでも起こりうるリスクです。

 

その時になって慌てることがないよう、あらかじめ必要な準備を怠らず周到に対応できるようにしてください。
   

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

       

 


 f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/

  ↓       ↓

にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ