マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

マンション管理組合の運営を悲観する区分所有者のブログを読んで・・

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管理組合の運営に対して悲観的な想いを綴った、ある区分所有者のブログを見つけたので、ご紹介します。

 

miketoy.hatenablog.com

ブログの要旨は以下の通りです。

 

■ 先週、年に1回のマンションの組合総会に出席したが、いつも長期的な視点に欠けており、通常は昨年の決算報告と次年度予算承認と新役員の選出だけで終わる。


■ 役員は自分の任期の時だけ何とかやり過ごせれば良い、あとは先送りでその次の人に考えてもらおうという他人任せの姿勢が見える。これではまずいと思う。

 

■ 管理会社としては、現状維持なら管理会社を変更しようという提案も出ないから好ましいのだろう。

 

■ マンションの集団無責任体制はあちこちにある。具体的には、長期修繕計画の妥当性チェック、さらにそのための費用をどう捻出するかの観点だ。

 

■ 管理組合は所詮は素人、管理会社は多くの情報を持っていて、情報は非対称の構造だ。

 

■ このままでは、税金を上げるのと同じように管理費<筆者注:修繕積立金の間違い?>を値上げするという策が安易に採用される公算が大きい。これも管理会社にとっては、自分達の収益が維持向上できるので好都合だし、実際多くのマンションで管理会社主導になっている。

 

■ 全体の積立額から自分達の管理委託費の取り分を確保して、残りであとはバランスを取ろうとする構造はまさに銀行が投資信託で手数料をとり残額で運用するのと同じメカニズムだ。銀行や管理会社などが自分達の贅肉をとったりの根本的解決策が模索されることは多分ない。

 

■ 築数十年経過したマンションでも、将来どうするか長期修繕計画の選択肢が議論されることは少ないのは、どこも似たようなものだからだろう。長期的な視点のない自転車操業ばかりで、すべて問題先送りの現状維持路線だ。

 

■ マンションを管理会社から管理組合へ取り戻そうとする選択肢は、面倒臭いと多数決、事なかれ主義者によって否決される。共同体を作ろうというのは夢物語か。マンションの共同体である管理組合とは、所詮そんなものかも?と愛想が尽きてきた。

 

■ マンション管理の未来に関して悲観的になってきてくじでババを引かないためにも、改革志向のないマンションなら脱出した方が良いかも、自己責任で完結する戸建ての方が良いのかも?と思い始めている。

 

このブロガーは管理費と修繕積立金を混同されているようですが、マンション管理組合の運営にかかる様々な問題点にお気付きです。

 

役員の輪番制の弊害として、長期的視点の欠如、現状維持主義、問題先送りなど、管理組合に関する普遍的かつ本質的な課題について実に的確なご指摘をされています。

 

いっそのこと、問題意識の高いご本人が役員に立候補して改革を実行されては?とも思いますが、それもなかなか容易ではないと達観されているのか、マンションに見切りをつけて戸建て住宅に移ろうかと考え始めているようです。

 

ただ、世間一般では、マンションへの永住志向は年々高まっています。

 

国交省によるマンション総合調査(平成30年)では、過半数を超える6割以上が「永住するつもり」と回答しています。(下記グラフ参照)

 

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しかしながら、将来的な資金不足に直面するリスクを孕んだままの長期修繕計画への対応をはじめ、重要な課題に対して管理組合が真摯に向き合って対応できていないのが実情です。

 

しかも、今回紹介したブログのような管理組合の運営に対する不安感は、以下の理由から今後ますます増大していくだろうと思います。

 

(1)大規模タワーマンションの急増

各住戸の資産価値や部屋の面積にあまり差異がない既存マンションと違い、日照条件や階数、家族構成・ライフスタイルまで大きく異なる世帯が多数同居するタワマンが急増しています。

 

特に首都圏では、超高層マンションの占める割合は全販売戸数の2割近くにのぼり、2021年には累計30万戸に達する見込みです。

 

大規模なタワマンの増加は、今後管理組合内の運営と合意形成に関する難易度をさらに引き上げることになるのは間違いありません。

 

(2)所有者不明問題や相続放棄問題の勃発

人口減少と少子高齢化の進行に伴って、今後既存マンションの資産価値は確実に右肩下がりになると思われます。

 

その結果、老朽化して資産価値が大きく下がった一方で、維持管理費の高いマンションが巷に増加し、立地条件の劣る物件を中心に区分所有権が誰にも引き継がれなくなる事例が次第に増えていくことでしょう。

 

そのようなマンションにローンの残債があれば、相続放棄の対象となるリスクも上昇します。

 

仮に相続放棄された住戸がマンション内で発生した場合、管理組合はただちに管理費や修繕積立金の滞納問題に直面することになります。

 

滞納を回収するには次の区分所有者を至急見つけなくてはなりません。

 

そのためには、まず相続財産管理人の選任を求めて家裁に申請するなどの煩雑な手続きや予納金などの経済的負担がのしかかってきます。

 

もちろん、こうした手続きには総会決議で承認を得ることが求められます。

 

素人集団で構成される管理組合が、果たしてこうした難題をうまく解決できるでしょうか?甚だ疑問です。

 

マンションへの永住志向ニーズに真摯に応えようとするなら、管理組合の運営スキームを従来の「住民自治主義」から大きく転換を図る必要があると思います。

 

その解決策とは、端的に言えば「所有と経営の分離」です。

 

管理組合の運営に必要とされるスキルが高度化・複雑化していく中、素人で構成される理事会では対応しきれなくなるのは自明です。

 

稀に、とても勉強熱心で辣腕をふるう理事長が現れるような幸運なケースもありますが、その人物も何らかの事情で区分所有権を売却することは可能なので、恒久的に安泰なわけではありません。

 

それでは、プロの管理会社に理事会機能もすべて任せたらどうか?

それこそ利益相反の極みでしょう。

 

所有と経営の分離の担い手として 、今こそマンション管理士という国家資格を有する有能な人材が活用されるべきではないかと思います。

 

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com
 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 
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