5月13日付の日経新聞に、「マンション管理組合、自治体が監視 神戸市が認証制度」という記事が掲載されていました。
本記事の要約は以下の通りです。
■ 神戸市は、超高層のマンション管理組合に対する認証制度を2020年度にも導入する方向で検討を始めた。既存の約70棟ならびに新築のタワーマンション(高さ60メートル以上)への導入を想定し、自治体が審査する全国初の試みとなる。
■ タワマンは、高層建築のため修繕費がかさむ。大勢の所有者や居住者の合意形成にも時間を要し、将来にわたる維持管理の難しさが指摘される。積立金不足などで管理不全となれば安全面や景観などで地域に悪影響を及ぼしかねない。
■ 具体的には、専門家らでつくる審査組織が、書類の確認や面談を通じ管理規約の内容や修繕積立金の残高を把握するなどの仕組みを検討しながら、積立金が足りなくなった場合の対策の有無も確認するという。
■ 管理が適切と認めた「優良マンション」はホームページなどで公表する。数年ごとに管理状況を確認し、不十分とみなせば認証の取り消しも検討する。今夏にも不動産関係の事業者などから意見聴取を始めるとのこと。
■ 一方、東京都は、適正なマンション管理を促す条例を3月に施行し、20年4月から83年以前に建設された物件を対象に、管理費や修繕積立金などの報告を義務付ける。都内のマンションの4分の1程度が該当するという。
■ 都は届け出がない場合に督促・指導し、建物への立ち入りを含めた調査も実施する方針。
■ 都市計画の専門家は、「積立金問題は管理組合が自主的に工夫してきたのが実態」と指摘し、「自治体が対策に乗り出すことは持続可能な都市運営に役立つ」と評価する。
ついに、自治体がマンション管理組合の運営をモニタリングする時代が到来しました。
特に神戸市の試みについては、対象をタワマンに絞って導入すること、具体的な審査イメージも提示されていることから、一定の効果が期待できそうです。
重要なことは、管理組合の運営実態を公表することです。
既存マンションの運営実態の良し悪しが流通市場で具体的な資産価値として反映されるようになれば、区分所有者全体の意識も一気に変わる可能性が出てきます。
またタワマンの審査で一定の成果が生まれれば、その他のマンションにも対象を広げることになるでしょう。
その意味で、神戸市の「優良マンション」認定制度の試みについては管理組合の運営によい意味での緊張感を生み出す可能性も秘めており、ぜひ実現してもらいたいと思います。
一方、神戸市と比べて東京都の試みは、「仏作って魂入れず」の感があります。
単に管理費と修繕積立金の実態を届け出を義務付けるだけでは、深刻な財政問題の解決に繋がるようには思えません。
わが国のマンションストック:約640万戸の半分が首都圏にあることを考えると、東京都こそが現実的かつ有効な施策でリードする役割を担ってほしいと切に願います。
<参考記事>