マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

アエラ特集記事 「限界マンション」はなぜ生まれるのか?

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5/29号の雑誌「アエラ」に、「マンション管理」の特集が組まれています。

 

老朽化ストックが増加する一方、居住者の高齢化や管理への無関心によってマンションのハードウェア(建物・設備)とソフトウェア(管理組合の運営管理)の両方の荒廃が進行していく「限界マンション」が急増しているとのこと。

 

深刻な問題やトラブルを抱える管理組合の紹介しているだけでなく、問題解決のために目下奮闘中の理事や専門家に取材しながら、立て直しに成功しつつある事例についてもレポートしています。

 

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住民(区分所有者)の無関心や管理組合の形骸化に伴い、必要な修繕や設備の法定点検すら実施されないために、老朽化するだけでなく日常生活にも支障が出ているマンションを昨今「限界マンション」と呼んでいます。

 

限界マンション化している複数の事例を見ていると、新築当初から以下の4つの問題点を抱えているように思われます。

 

■ 当初から管理規約が作成されず、理事会などの執行体制が確立されていない。

 (理事会の形骸化による管理会社へ丸投げもしくは管理会社の傀儡状態を含む)

■ 定期総会すら開催されていないため、組合の財政状況が不明の状況

■ 長期修繕計画が作成されず、必要な修繕積立金が把握されないまま

■ 管理費等の滞納者が現れても、督促回収する役割の担い手不在のため放置状態

 

このような状況のまま、時が経過するとどうなるか?

 

建物の経年劣化に伴い、築12〜15年目を迎えて大規模な修繕が必要になっても、管理組合には必要な資金が足りないという「おカネの問題」にまず直面します。

 

その時点ですでに管理費の長期滞納者がいる場合には、その分収入を取りっぱぐれているため、さらに資金がショートしています。

 

次に、直面するのが「合意形成の問題」です。

 

管理規約の作成は法定の義務ではないため、管理規約がなくとも最低限の合意形成は区分所有法にもとづいて総会を開催することは可能です。

 

しかし、組合の構成員である区分所有者が全体的に無関心、あるいはその所在地が不明なために連絡がつかないケースもあります。そのような場合には、委任状の回収すら進まず、総会の開催自体ができなくなります。

 

たとえば、区分所有法では

老朽化したためにマンションの建替えを決議しようという場合には、組合員全体の4/5以上の賛成票を集める必要がありますし、管理規約の改正には全体の3/4以上の賛成が成立の条件となります。

 

また管理組合が自身の力だけでは問題を解決できないので、マンション管理士などの第三者の専門家に理事長や役員になってもらおうと思っても、やはり管理規約の改正が伴うため総会決議は免れません。

 

総会での決議=合意形成ができないために袋小路に陥ってしまい、「負のスパイラル」から抜け出せなくなるのが「限界マンション」の問題の恐ろしいところなのです。

 

空き家問題と同様に、将来大きな社会問題と化していくのは確実だと思います。

 

限界マンションから脱出するためには、区分所有法等の現状の法体系では解決するのは困難です。

 

事実上機能不全に陥っていると判定された管理組合やマンションを対象に、国や各自治体等が管理組合の運営に対して強制的なメスを入れることのできる制度の導入が求められていると思います。

 

【参考記事】

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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