マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

なぜマンションで「住込み型管理人」は減っているのか?

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先日、仕事で都内の大規模マンションに伺う機会がありました。

 

その管理組合から、管理会社の変更を検討したいとのご相談を受けたのですが、「管理会社は変わっても、管理人の住込み方式はなるべく維持したい」との意向でした。

 

管理人の勤務形態には、通勤(日勤)型と住込み型がありますが、昨今は後者の住込み型は少数派になっているようです。

 

その理由を幾つか挙げてみましょう。

 

#1 管理会社が住込み型に対して消極的

通勤型であれ住込み型であれ、管理人の勤務時間はたとえば《月〜金曜日 9:00〜17:00 》のように契約書上に明文化されます。

 

したがって、規定時間以外は当然「勤務時間外」の扱いになるわけですが、マンション内で緊急事態が発生した場合には、居住者から管理人にサポートを要請することも起こり得ます。

 

こうした勤務時間外のサポートは、管理人側からすれば「時間外労働」として残業代の対象になるわけです。

 

しかしながら、管理会社側は通常、定額の管理委託費で組合と契約を結んでいるため、時間外費用が発生しても請求しづらいという事情があります。

 

なので、管理人にその残業代を支払うと会社としての採算が悪化してしまいます。

 

そのため、時間外労働に伴う残業代の未払いが問題となり、管理人と管理会社との間で訴訟になり、管理会社が敗訴してしまったというケースも過去に発生しています。

 

管理会社はこうしたリスクを避けたいと考えているわけです。

 

#2 住込み型の求人に人気がない

住込み型の場合には、その労働条件として

・#1の勤務事情から、オンとオフの境目が曖昧になりがちである

・夫婦での勤務が前提になっている

などの特徴があります。

 

そのため、通勤型に比べると求人に対する応募が少ない、ということがあります。

 

#3 人件費が割高になりがち

また、夫婦世帯での住込みを募集する際には、生活給として月額30万円程度の給与を保証するケースが多いと言われており、通勤型と比べるとどうしても割高になります。

 

通勤型の管理人の時給単価は、首都圏の求人情報を見る限り概ね1,000円程度です。

 

これに対して住込み型の場合、仮に《週5日・1日実質7時間勤務 月給30万円》としたら、時給は実質的には2,000円を超えることになります。

 

それでは、

住込み型に代わるサービスはないのか? と言えばそうでもありません。

 

住込み型へのニーズとは、言い換えれば「緊急発生時の駆けつけ対応があること」と考えられます。

 

こうした対応ならば、セコムやALSOKといった警備会社が提供する「ホームセキュリティ」サービスがマンション向けでも用意されており、緊急時には25分以内(※警備業法上の定め)に駆けつけてくれます。

 

それ以外のニーズとしては、部屋内で発生した漏水や、ガラスの破損といった際の補修対応なども考えられます。

 

また今どきなら、居住者の高齢化に伴って、重い家具等の移動や照明管球の交換も頼みたいというニーズも少なくないかもしれません。

 

こうした専有部内での生活支援サービスについては、マンション管理会社もすでに付帯ビジネスの獲得機会と捉えており、多くの会社が管理組合に提供する体制やシステムを備えています。

 

「全戸一括導入」を前提にするケースが一般的ですが、1戸あたりの月額負担は数百円程度で、一定の範囲内のサービスなら追加負担もないと唄っています。

 

諸事情により管理人は通勤型にならざるをえないかもしれませんが、こうした「機械警備システム」や「専有部向けの駆付けサービス」を補完的に組み合わせることで実質的に住込み型に近いベネフィットを得ることも可能だと思います。

 

 

【参考記事】

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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