マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

マンション管理組合が滞納問題を抱えやすい4つの理由

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あなたのマンションでは、管理費の滞納はありませんか?

ただし、管理費(一般)会計の収支を見るだけでは滞納の有無は分かりません

 

その理由を理解するには、

会計とキャッシュフローの違い、そして複式簿記の概念を知っておく必要があります。

 

管理組合の収益(=売上げ)の主たる項目として、管理費収入が計上されますが、それはあくまで組合員に対する請求ベースの金額です。

 

つまり、「各組合員にいくら請求したか」という事実が記録されているにすぎません。

 

したがって、管理費収入の実績金額が予算どおりに進捗しているのは当然の話で、これだけ見て「ウチの管理組合は順風満帆だ」と考えるのは早計です。

 

ならば、滞納があるかどうかをどこで確認すればよいのでしょう?

 

その答えは、貸借対照表(バランスシート)の中にあります。

 

バランスシートの左側を見てください。

「資産」に関する勘定項目が計上されています。

 

一番上にあるのは、おそらく「預金」でしょう。

その下に、「未収金」という項目があると思います。

 

この未収金こそ、その時点の管理費の滞納額です。

滞納が解消されると、未収金が減る代わり預金残高がその分増えるというわけです。<※修繕積立金の滞納もまったく同様。>

 

さて、管理費の滞納問題は、築年数の経過とともに数が増えるだけでなく、長期化して解決が長引く傾向がハッキリと見られます。

 

これは、賃貸化や高齢化の進行と少なからず関連があると思いますが、管理組合の現場を見ていると問題が長期化する原因は大きく4つあると考えています。

 

1.管理組合(理事会)の対応の遅れ

上で述べたように、滞納の有無について必要な会計知識を持ち合わせていないので、まずリスクとして認知するタイミングが遅れがちです。

 

2.管理会社への依存体質

全部委託方式で管理会社と契約しているケースにありがちですが、滞納問題をわが事とは考えず、滞納者への督促は管理会社の仕事だと割り切っている「丸投げ型の理事会」も少なくありません。

 

3.管理会社の怠慢

1~2ヶ月の滞納初期段階で、管理会社が積極的に督促を行ってくれればよいのですが、催促のプレッシャーが弱い(あるいは無い)ために滞納者側もつい甘えてズルズルと長期化してしまうことがよくあります。

 

少なくとも、理事会で督促の状況、滞納者の返済意向等の確認をこまめに実施して管理するようにしなければなりません。

 

4.遅延損害金請求に消極的なスタンス

標準的な管理規約では、滞納が生じた場合にはペナルティとして「遅延損害金」を請求できる定めを設けています。

 

しかも、年利14.6%(日歩4銭)とイマドキにしては相当な高利です。

 

滞納初期段階で損害金を課すのはともかくとして、

6ヶ月以上に及んだ場合には規約どおり損害金も請求すればよいと思います。

 

ただ、その規約の定め自体を知らなかったり、同じマンションに住む居住者同士ということもあって逡巡したりで請求していないケースが多いのです。

 

滞納者にとっては支払いを留保するメリットがなくなるどころか、かえって損失が増えるわけですから、可能な限り早く支払うよう努力し始めるはずです。

 

※ただし、「角を矯めて牛を殺す」ような行為は避けるべきです。滞納者の経済事情を十分斟酌してなるべく円滑に返済してもらうよう誘導すべきなのは言うまでもありません。念のため・・。

 

しかし、です。

上の4項目にも注意して努力した結果、それでも管理費の滞納が長期化して回収の見通しが立たないケースも残念ながら起こりえます。

 

その際は、必ずしも弁護士に頼んで裁判・・という選択をしなくても、比較的簡易にしかも安価に法的措置を取ることも実は可能なのです。

 

詳しくは、本日リリースしたSUUMOジャーナルの記事をご一読ください。

 

suumo.jp

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