マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

マンション一括受電は、なぜ100%の同意が必要なのか?

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マンション管理組合で一括受電を行いたい場合には、当然ながら総会決議で承認を得る必要があります。

 

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管理組合が事業者となる場合には、これまで電力会社に無償で提供していた電気室から、電力会社の変電設備(キュービクル)を撤去し、自家用の設備を新たに設置します。

 

これ自体は、管理規約の特別決議事項の一つである「共用部分の大きな変更」には該当しないので、「普通決議」(出席組合員ならびに議決権数の過半数の賛成)でクリアすることができます。

 

総会決議で正式に承認された場合には、それが管理組合としての「機関決定」となるわけですから、各組合員の意思にかかわらず原則としてその決定には従わなければなりません。

 

もしそれを無効にするなら、何らかの方法で臨時総会を開催し、機関決定されたその議案を多数をもって否決する必要があります。

 

ところが、

一括受電の場合、総会議決後の手続きとして「厄介なハードル」が残ります。

 

それが「各住戸の同意書100%回収」です。

 

具体的には、下記の書類を全組合員から提出してもらうことが成立の条件となります。

 ◆ 電気需給契約廃止申込書(各区分所有者 ⇒ 電力会社 ※小口契約の解除)

 ◆ 電気使用開始申込書 (各区分所有者 ⇒ 管理組合  ※一括受電の承認)

 

と言うのも、

この「電気需給契約廃止申込書」の全戸分回収がないと、電力会社が小口契約の解除を受け付けてくれないからです。

 

ところが、総会決議の際に反対票を入れた方を中心として、この同意書の提出を「個人の権利」と称して拒むケースが出てきます。

 

その理由は、個人によって様々です。

 「仕組みがよく分からないから」

 「電力会社を選ぶ自由を奪われたくない」

 「再生可能エネルギーを買いたい」

 「高額な電気設備の故障によって停電が発生したらどうする?」

 

管理組合の総会において多数の賛成で決議された事実自体は重いものがあり、よほどの正当事由がない限り、一組合員としてこれを拒否することは認められないはずです。

 

しかしながら、電力会社が「全戸分の同意書を回収しない限り、一括受電への切り替えは受け付けない」というスタンスのため、それが逆に「反対派の最後の対抗手段」と化してしまうという問題が出てくるわけです。

 

ただ、マンション管理組合にとって最重要なイベントと言える「建替え」でさえ、全体の5分の4以上の賛成で決議でき、全戸の同意まで求められることはありません。(※反対者には組合から区分所有権の買取り請求ができる。)

 

なぜ「電力のまとめ買い」くらいの案件で、100%の同意が求められなければならないのか?? 考えてみればおかしな話です。

 

 

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