2015年7月号の「Wedge」に「タワーマンション狂奏曲の裏側」という興味深い特集記事が組まれていたので、さっそく読んでみました。
その中で、特に内容で気になったのは、<「住みづらさ」増すタワーマンション 立ちはだかる区分所有法の壁>と題する記事です。
記事の要約は、概ね以下の通りです。
◆東京都心部や城南エリア、川崎・武蔵小杉などではタワーマンションが人気を集めていて坪単価が跳ね上がっている。
◆そのタワマンの購入ニーズを支える要因としては、大きく2つ挙げられる。
①今年の税制改正で相続税の課税が強化されたことに伴い、相続税上の評価減が大きいタワマンが投資対象として注目されていること。
②分かりやすい立地にあるタワマンは、特に中国人富裕層に好まれやすい傾向にあること。
◆しかし、高まる人気の一方で増加傾向にある中国人オーナーなどの行動の結果、以下のようなマンション内に不協和音が生じつつある。
①中国人などがゲストルームなど共用施設の利用を事実上独占している。
②「Airbnb」とよばれる宿泊マッチングサイトが登場し、自分の家の空いている部屋に旅行者などを有料で泊める行為が増えつつある。
【参考記事】
◆マンションに外国人旅行客が連日ウロウロ…「Airbnb」のリスクと闇 | All About News Dig(オールアバウト ニュースディグ)
◆こうした行為を禁じるにはマンションの管理規約を改正することが必要だが、これは区分所有法上の特別決議事項に該当し、全区分所有者等の4分の3の賛成が必要なのでほとんどのマンションで不可能な状況にある。
◆管理規約が改正できない以上、「Airbnb」のようなマンションのホテル化を防ぐ手立ては事実上ないも同然のため、区分所有法の改正で規制するほかない。
この記事を読んで、私が指摘したい項目として2点あります。
【異議 その1】
● 共用施設の利用を制限する程度なら管理規約の改正までは不要で、通常は「使用細則」の変更で足りると思われる。
● その場合は、普通決議(過半数の出席、かつ出席者の過半数の承認)で変更できるので、逆にほとんどの管理組合で実現可能である。
【異議 その2】
● 標準管理規約では、「専有部分は専ら住居として使用するものとし、他の用途に供してはならない」との定めがあるので、そもそも「Airbnb」のような利用方法は規約違反に該当し、そのための規約改正は不要なはずである。
●また、マンスリー・ウィークリーマンションのような一時使用目的の賃貸借は,借地借家法の例外に該当する。したがって、マンションの部屋の「ホテル化」は、たとえ個人間の取引であっても、不特定多数の他人を継続的に宿泊させた場合は旅館業法違反に該当する可能性が高い。
●なお、旅館業に該当すると判断された場合には、そのための営業許可が必要なうえ、その要件として防災設備の設置や衛生上の維持管理(シーツ・寝具の交換、部屋の清掃など)が求められる。
【参考記事】
【ウィークリーマンションは『借家』ではないが,旅館業営業許可が必要】 | 不動産 | 東京・埼玉の理系弁護士
●当然このような用途変更は、上記の通り通常の管理規約では許されていないが、「水際」で防げるかは別問題である。
●したがって、管理規約の定めや旅館業法違反の可能性の2つを理由にこのような利用方法は禁止事項であることを区分所有者にあらかじめ周知し釘を刺しておくのが少なくとも管理組合の仕事になると思われる。
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