コンサルタントとして管理組合を訪問すると、理事さんに「管理会社とマンション管理士は何が違うの?」とよく聞かれます。
その質問に答える前に、マンション管理組合が抱えている4つのリスクをまず説明しています。
#1 管理委託費が割高なまま放置されている
その理由は、3つあります。
1)競争原理が働かないまま、分譲会社系列の管理会社が選ばれている。
2)管理組合側に必要な知識・情報がない。
3)管理会社は管理組合と利益相反の関係にあるため、これを解決できない。
【参考記事】
#2 将来的に修繕積立金の増額が避けられない
新築時に設定された修繕積立金の金額では、将来必要となる修繕費に対して3~4割程度にしか満たないのが実情です。
その結果、築10年も過ぎると、ほとんどの管理組合がいつどれだけ修繕積立金を増額すべきかという難題に直面し困惑することになります。
【参考記事】
#3 組合運営の中枢を担う人材がいない
管理組合の運営に必要な知識・情報・意欲の3つを持ち合わせる人材がいないのが現実です。組合の中枢を担う理事会役員も、多くは1年交代の輪番制で持ち回りになっており、業務の引き継ぎもろくになされないため、ノウハウも蓄積されません。
マンションの老朽化とともに、区分所有者も売却や相続等で徐々に変わるうえ、所有し続けたとしても確実に高齢化していくことから、その運営力を維持していくのは至難の業です。
【参考記事】
#4 管理会社への依存体質
管理員、清掃、設備保守、事務管理に至るまで委託する、いわゆる「全部委託」型の管理組合が全体の7割以上を占めると言われています。
そうなると、理事会はもはやお飾り的存在で、事業計画や予算案の作成を含めて総会の議案書作りはもちろん、ひどい場合には総会の進行・議案の説明まで管理会社にお任せしている組合もそう珍しくありません。
ここまで依存してしまうと、管理会社をチェックすることは事実上不可能で、ただ性善説にしたがって信じるしかなくなってきます。
こうした行き過ぎた依存体質が、管理会社社員による組合財産着服事件を引き起こす一因になるのです。
【参考記事】
私は、これらのリスクを未然に回避するためにマンション管理士の存在意義があると考えています。
つまり、マンション管理士の役割(ミッション)とは、以下の3つです。
◆管理会社と利益が相反する経済的な事案の解決
◆管理組合のマネジメント力の維持・向上
◆管理会社に対するモニタリング
この3つをマンション管理士が管理組合に代わって行うことで区分所有者の負担を軽減することが管理組合のベネフィットになるのです。
どうも有難うございました!
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