マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

トンチンカンな記事にあ然・・

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私の場合、マンション管理に関する情報やニュースは、Googleのアラート機能を使ってあらかじめ指定したキーワードで配信されるようにしています。

 

その中で、タイトルで「おっ?」と思う記事は、一応アクセスして読むのですが、明らかに間違ったことを書いているものも、残念ながら時折目にします。

 

その代表例として、最近の記事をご紹介しましょう。

 

「マンション管理規約の変更で激震」(The News)

この記事では、おかしな箇所が2つありました。

 

【その1】

国交省の諮問委員会は「現在の組合の管理規約からコミユニティ条項を外した新しい標準管理規約への移行」を検討し「管理組合の役目は建物の財産管理だけ」にしようとしている。これにより全国のマンション管理組合から「コミユニティを良くする」と言う住民間を含む調整機能がなくなる。

 

標準規約からのコミュニティ条項削除の方針については、先日このブログにも記載しましたが、経緯を要約すると次の通りです。

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管理組合では、自治会への加入が事実上強制されている実態が多く見られ、管理組合と自治会はそれぞれの目的・性格等の違いが明らかなのにもかかわらず、半ば渾然一体化して運営したために管理組合内で内紛や訴訟に発展したケースもある。

 こうした過去を教訓に、管理組合における自治会的な活動に関する取り扱いについて今般見直すことになり、標準管理規約から、「地域コミュニティの形成に配慮した居住者間のコミュニティ形成」を削除することを提案するに至った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 さらに、この諮問委員会の資料を読みこむと、以下の説明も補足されています。

 

「今回の見直しは、管理費の支出をめぐり意見の対立、内紛、訴訟等の法的リスクがあるという法律論にもとづくものであり、政策論としてマンション内のコミュニティ活動を積極的に展開することを否定しているものではない。」

「マンション管理と自治会活動の定義・範囲を整理し、費用の徴収と支出を区分して適切に運用するならば、居住者間のコミュニティ形成や周辺地域とのコミュニティとの円滑化は積極的に行われることが望ましい。」

 

つまり、マンション内のコミュニティ活動については、管理組合と自治会の組織目的や会計処理等について適切に整理と区分がなされるなら、積極的に行って構わないということを強調していることが分かります。

 

標準管理規約からのコミュニティ条項の削除イコール、マンション内のコミュニティ活動の否定という非常に短絡的な解釈で記事が書かれるのは多くの人に誤解を与えるおそれがあり、害あって一利なしと言わざるを得ません。

 

少なくとも、委員会の資料に目を通すなど、事実関係を十分確認すべきではないでしょうか。

 

さらに、この記事にはこんなコメントも続きます。

【その2】

また年間の管理費と修繕積立金の管理も管理組合の手を離れることになる。この金額は全国で年間1兆5000億円と言われる。なんだか「住民目線の話ではなくいやな利権がらみの策謀」と映る。

 

この記事を読む限り、あたかも管理規約からコミュニティ条項が削除されることによって、「管理費と修繕積立金の管理が管理組合の手を離れる」ことになったように思えます。

 

これについては、いったい全体、どうしてそのような突拍子もない結論が出てくるのか、まったく理解に苦しみます。

 

情報が氾濫する時代。

ニュースを適切に選んで読むリテラシーも求められているようです。

 

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