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マンション一括受電を理解していないのは、大手新聞社も同じ

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3月9日付けの日経新聞に、マンション一括受電に関する記事が掲載されています。



これによると、

◆千葉・市川にある200戸のマンションでは、東京電力から新電力の一括受電サービスに切り替えた結果、共用部の電気料金が半額(年間300万円⇒150万円)になった。

◆電気代が大きく下がった理由の説明として、
 ①地域電力会社は、工場から家庭まであまねく電気を届けるのに大きなコストがかかる。
 ②一方の新電力はマンションに絞って電力供給すれば、追加コストは変電設備の交換で済み、電気代を大幅に割り引いても数年で投資を回収できる。

と説明されています・・・。

この記事を読んでたいへん驚くとともに、ガッカリしました。

まず第1に、「電力会社は送配電機能も担っていて投資負担が大きいのに、新電力はその負担が小さい。だから電力料金が大きく下がる。」という説明はまったくの誤りです。


なぜなら、東京電力もすでにマンション向けの一括受電サービスに参入しているからです。

「スマートマンションサポートサービス」の開始について|東京電力


マンションの規模等の条件によりますが、「共用部の電気料金を20~40%程度削減することが可能」と唄っています。


第2に指摘しなければならない点は、「新電力に切り替えた結果、電力料金が大きく下がった」のは共用部分だけで、専有部分を含むマンション全体では決して大きくないということです。

これを理解してもらうには、一括受電のしくみから説明しておく必要があります。

#1 高圧で受電すると、低圧より3割も価格が安くなる

これまでマンションの専有住戸は、小口(低圧)で地域電力会社と契約するしかありませんでした。しかし、10年前の電気事業法改正による規制緩和の結果、一定規模以上のマンションの場合、マンション全体で一括受電できるようになりました

管理組合が大口契約者となり、電力会社と契約すれば共用部分・専有部分を問わずマンション全体の電気料金が3割安くなります

たとえば200戸のマンションなら、仮に1世帯毎月平均1万円の電気料金を支払っていたと仮定すると、専有部分だけで1万円/月×200戸×12ヶ月=2,400万円/年の3割(=720万円)も安くなります。

一方、共用部分の電気代が300万円/年なら、それも3割(90万円)安くなります。

つまり、一括受電に切り替えるとトータル810万円/年(=720+90)がコスト削減になり、そのほとんどは専有部分から生み出されることが分かります。

 

そして、新電力(一括受電サービス業者)はこの大きな価格差に着目し、規制緩和に乗じて電力会社を出し抜くビジネスを考えついたのです。

 

#2 大口契約するための条件は、受変電設備を持つこと

ただし大口契約するには、一旦高圧で受電することが必要です。一方、各家庭に供給しているのは100Vなどの低圧電力なので、変圧しなければなりません。そのため、いわゆるトランスと呼ばれる変圧器が不可欠です。

 

また、各住戸に設置されているアンペアブレーカーや検針メータも、一旦撤去して新たに入れ替える必要があります。

つまり、新電力はトランス等の受変電設備を自らの負担で提供するので、電力会社から小口よりも3割安く電力を仕入れることができるのです。

ちなみに、200戸のマンションの場合だと、2千万円強の初期投資費用がかかると推測されます。

#3 管理組合は、専有部分の価格還元メリットの大きさを認識していない

新電力は受変電設備の設置等で約2千万円の投資が必要ですが、高圧と低圧の価格差を利益源にして確実に回収し、その後は長期にわたって安定した収益を稼ぐことができます。(※変圧器は、通常30年程度もちます。)

もちろん電気料金の差額の一部を管理組合にも還元しますが、それ以外は新電力の粗利(=810-150=660万円)になります。(この他に、各住戸を含む検針から電気料金の出納請求業務、受変電設備の保守点検に関する経費も新電力は負担します。)

これを管理組合側から見ると、初期投資の負担もなく共用部の電気料金がただちに半額になるとは言え、専有部分200戸で得られる価格メリット(年間720万円)についてはたったの60万円/年(=150ー90)しか還元されていないのです。

 

しかし、新電力は自社の利益を守るため、このカラクリ全体をあえて管理組合に開示して説明しません。その結果、管理組合は共用部の電気料金が下がった効果のみに注目して満足することになります。

 

一括受電サービス業者(新電力)のビジネスモデルは、各社とも概ねこのような仕組みです。

 

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マスコミも記事にするなら、もう少しこのビジネスの本質を勉強してもらいたいですね。

 

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