12月5日・8日の2日間にわたって、電気新聞に下記の記事が掲載されています。
◆「広がる高圧一括受電(1) 競合多数、顧客囲い込み」
◆「広がる高圧一括受電(2) 既築マンション市場/200万戸巡り争奪戦激化」
本記事の要約は以下の通りです。
- 一括受電とは、従来は低圧で個別に電力会社と契約(専有部:居住者 共用部:管理組合)していたものを、マンション全体で高圧受電し、低圧と高圧の価格差を利用して電気料金を割安にするサービスのこと。
- マンションの共用部で20~40%(専有部なら5~10%)電気料金が安くなる。
- 震災後の電気料金高騰の中、管理組合の収支改善を目的に急速にニーズが高まっている。
- 国内の既築マンション約600万戸のうち、高圧一括受電が可能な既築マンションは約200万戸と言われる。
- 最近では、独立系だけでなく、不動産系、通信・放送系企業、東電などの地域電力会社も参入し、競争が激化する様相を示している。
- 導入に際して管理組合や住民が最も不安視するのは、停電や漏電などのトラブル。
- 24時間の停電・漏電監視システムや、点検時の停電時間短縮をアピールする業者もいて、今後競争を勝ち抜くには、価格面以外の差別化がカギになる。
一括受電のしくみを理解するには、下の図が分かりやすいでしょう。
要するに、これまで電力会社がマンションの電気室を無償で使用して変圧していた業務を、サービス業者に切り替えるスキームです。
<出典:MSN産経ニュース>
簡単に言えば、東電などの地域電力会社が搾取していた高圧と低圧の価格差から生じるマージンの大きさに着目し、ユーザーにその差益を一部還元することで売電契約を獲得するというものです。
これは、2005年の規制緩和によって、一定規模以上のマンションなら一括受電が可能になったためです。それまでは、マンションの各住戸の受電契約は個別の低圧契約しか許されていませんでした。
サービス業者側からすると、変圧器等の初期投資の負担はあるものの、実際には30年以上はもつ設備のため、たとえ管理組合に利益を多少還元しても長期間にわたって確実に収益を上げられる「おいしいビジネス」なのです。
これに多くの企業が気づき始めたので、異業種の参入も増えて競争が激化しているというわけです。
しかし、競争が激化しているのは、それだけが理由ではありません。
2016年の「電力小売りの完全自由化」を見据えた顧客囲込み戦略によるところが大きいと思います。
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その際には、現在個人ユーザーを中心とする約8兆円の市場が自由化します。
ちなみに、携帯電話の市場がおよそ7兆円規模なので、いかにこの市場が重要か分かるでしょう。
事業者としては、2016年の自由化までにマンション単位で顧客を囲い込むことで先んじて「一網打尽」にできるわけで、それが本当の狙いと言えます。
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