先日、自宅マンションの定期総会が開催され、管理規約の改正に関する議案が全会一致で承認されました。
それは、組合員だけでなく賃借人を含めてシェアハウスとしての利用を禁じることを目的とした改正です。
※シェアハウス問題についてご存知ない方は、下記の記事をご覧ください。
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シェアハウスと脱法ハウスの境界線
平成25年に、東京・麻布十番にあるマンションで管理組合がシェアハウス事業者の専有部分利用禁止の仮処分を申立てたものの、却下されるという地裁判決がありました。
この時、管理組合が敗訴した最大の理由は、「当時、管理規約にシェアハウスとしての利用を特に禁じていなかった」ことにあります。
そもそも、改造型シェアハウスには、大きく2つの問題が潜んでいます。
一つは、法令違反の問題。
シェアハウスは建築基準法上「寄宿舎」に該当することになったので、各居室に採光窓の設置、天井までの間仕切壁の設置、間仕切り壁の防火仕様が必要です。
この他、消防法(居室ごとの火災報知器の設置)や東京の場合なら建築安全条例(居室面積:7㎡以上)の制限もあります。
ただ、もし業者がこれを遵守してクリアしてしまえば、シェアハウス自体を排除することはできません。
やはり最大の問題は、部屋の大きさに比べて多人数の人間が居住することで騒音や大量のゴミ廃棄などが生じ、それがトラブルや居住価値の低下につながることなのです。
そして、たとえそれが適法であってもこれを排除したい場合には、管理規約を改正することで封じるしかありません。
では、どのように改正するか
たとえば、「シェアハウスとしての利用は禁じる」あるいは「不特定多数の者に対する賃貸を禁じる」と定めるだけでは業態や判断の基準が曖昧です。
そこで、マンション管理に精通された弁護士先生から教えてもらったのが「複数世帯の居住の原則禁止」の定めです。
世帯には、「居住と生計を共にする社会生活上の単位、もしくは独立して生計を営む単身者」と明確な定義があります。
さらに、「生計を共にしている」と言えるには
①同一の住民票に記載される間柄
②親族関係
③家賃や公共料金の支払いを一人の代表者が行っている
という3つが条件になります。
つまり、複数の「世帯」が同じ部屋内で居住することを禁じることで結果的にシェアハウスを確実に排除することができるというわけです。
ただし、各個人のライフスタイルに関わることであり、一定の「例外」を認める配慮は必要であろうと思います。
個別の事情ごとに許容できる場合もあり得るので、「個別に理事会に申請し承認を貰えば許される」という定めを追加しておくとよいでしょう。
築年数が進むと、賃貸住戸も多くなる傾向があります。
賃貸が増えると、総会の議決に必要な委任状が集まりにくくなったり、区分所有者間の価値観も多様化するので意見がまとまりにくくなるかもしれません。
規約改正は特別決議(4分の3以上の賛成)になりますから、なるべく早めの改正がおススメです。
どうも有難うございました