マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

知っておきたい老朽エレベータのリスク

マンション共用部にあるエレベータの法定耐用年数は、25年とされています。

そして、実際の管理組合の長期修繕計画では、築25~30年目に更新費用として、1台15百万円くらいを計上していることが多いと思います。

エレベータの場合、管理組合は管理会社もしくは保守点検業者とフルメンテナンス(FM)契約を締結していることが多いため、設備故障時の修繕や、部品交換費用は保守点検費の中で賄われるしくみになっています。


したがって、耐用年数を超過して不具合が生じてもランニングコストが増
えることはないので、30年目以降の更新でもその点は問題ないでしょう。


しかしながら、物理的なリスクについては注意が必要です


たとえば、中枢機能である「メイン基盤」は25年を越えるといつダウン
してもおかしくない
と言われています。

その際、古い機種だと中に乗っている方は閉じ込められてしまいます


他にも、閉じ込めのリスクはあります。

それは、「停電」と「地震です。

新しい機種ならば、停電時と地震発生時についても閉じ込められることはありません。

停電の際には、「予備電源」が作動するので最寄りの階まで移動したうえで、ドアが開く仕組みになっているからです。

また、地震発生の際には、初期微動を感知できるので、本揺れが発生する前に最寄階に移動して扉が開き、閉じ込めを防ぎます。

しかし、現在すでに25年以上を経過した機種にはそのような機能は装備されておらず、震度4以上の揺れで停止してしまう可能性が高いです。

つまり、停電と地震時の管制運転機能が装備されていない古いエレベータには閉じ込めのリスクがあるということです。

閉じ込めで怖いのは、特に大きな災害が発生した場合です。

広い範囲で停電や大地震が発生した場合、一度閉じ込められると救助されるまで相当の時間を要することになります。

民間のマンションは、病院や役所などの公的施設に比べて復旧作業の優先順位が低いからです。

エレベータ設備の更新には、高額な費用がかかるので慎重な判断を要しますが、まずは現設備の仕様自体にリスクが潜んでいないかを確認されることをお奨めします。

どうも有難うございました

 

あなたの資産を守る!  マンション管理見直しの極意

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