マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

タワーマンション購入に「死角」はないか?

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都心のタワーマンションといえば、庶民の憧れの的で、その人気ぶりから販売価格も高めに設定されています。

最近では、相続税が課税強化されることが決まり、その節税対策としてもタワマンが有効と言われています。

【参考記事】
「相続税対策の不動産は、タワーマンションが有利?」

もともと資産価値として時価が同じだとしても、現金と不動産では相続税評価上の違いがあります

なぜなら、土地は「路線価」(2割引)、建物は「固定資産税評価」(4割引)をベースにした価値が課税対象となるためです。


さらに、この不動産を賃貸している場合には、建物は貸家評価(3割引き)、土地も「貸家建付地評価」(2割引)となり、さらに評価を下げることができます。

つまり、たとえ時価が同じでも、相続税評価上は現金に比べて4~5割評価を下げることも可能というわけです。


したがって、不動産投資そのものが相続税対策になります。

ただ、タワーマンションの場合、それらに加えてさらに利点があると言われています。

一般のマンションとの違いとして、次の2つがあげられます。

(1)全体の中に占める土地評価の割合が小さく、建物割合が大きい。

(2)土地に占める1住戸当たりの持分が小さい

それによって、建物の固定資産税評価減のメリット(4割減)が効きやすく、相対的に高い土地の影響を受けにくくなるわけです。


そして、高層階の住戸の場合には、さらにメリットがあります。


というのも、資産価値(販売価格)が下層階の住戸に比べて高いにもかかわらず、相続税評価上は、上記の通り建物や土地全体の持分(=専有面積按分)で決まるため、時価と相続税評価のギャップがさらに広がるからです。

では、「タワマンは良いこと尽くめなのか?」といえば、そうでもありません。

それは、ランニングコストの問題です。


先日、30階超のタワマンの管理委託費について診断しました。その結果、一般の分譲マンションに比べて5割くらい高いことが分かりました。

これは、下記のようなタワマンの構造上やむを得ない部分があります。

(1)超高層のため、共用部分の比率が大きい。

(2)高速エレベータ、非常用発電機、防火シャッターなど重装備である。

(3)管理人だけでなく、コンシェルジュも付いているうえ、防災上24時間常駐が必要になる。

(4)豪華共用施設(ラウンジやゲストルーム、ジムなど)が設置されている。

その一方で、修繕積立金の設定については、本来必要な積立金額の3割程度しかなく、一般のマンションと同じ水準なのです。
(※これは、分譲業者の販売戦略上の都合によるものです。)

したがって、将来的には現在の5~6倍に上げなくてはならなくなる可能性が高い、といえます。


しかも、設備が重装備なだけでなく、ハイエンドな技術のために、メーカーに代ってメンテナンス専業業者に変更することが難しいケースが見受けられます。

そのため、設備管理については、管理コストを思ったほど削減する余地が小さいのです。


タワマンを購入する動機は人それぞれでしょうが、業者の宣伝文句に踊らされることなく、その利点とリスクを冷静に、かつ総合的に考えたうえで判断することをお奨めします。

 

どうも有難うございました!

 

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