マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

マンション保険を見直して地震保険を外すことを決めた管理組合

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顧問先の管理組合(123戸)では、現在加入しているマンション保険が来年7月に満期を迎えることになっていました。

 

ただ、来年1月以降、各損保が保険料率の増額改定を行うため、なるべくコスト増を抑えるべく中途更改を検討することになりました。

 

損保5社からの相見積もりを代理店に依頼したところ、満期で更改した場合は現在の保険料が2倍近くも増えることがわかりました。


そのため、料率改定前の年内での契約更改が得策と判断し、損保5社からの相見積り取得したところ、最も保険料が廉価であるN社を選択する方針としました。


ただ、現契約条件を維持した場合、

最も安いN社でも現状比で保険料が50%増えてしまいます


そこで、改めて今の契約条件を精査したところ、

地震保険が保険料全体の6割強を占めていることがわかりました。

 

火災等の保険金額の3割相当(最高でも5割)で付保しているにもかかわらずです。

 

地震保険の仕組みと費用対効果について、理事会で検証したところ、以下のことがわかりました。

=============

1) 東日本大震災時(2011年)の地震保険金の支払い実績について

 

宮城県の分譲マンションの7割以上が「一部損」と判定されたため、最大保険金の5%相当額しか支払われていないことがわかりました。

 

「一部損」(時価の5%〜20%以下の損害)と判定された場合は、設定額の5%しか保険金は支払われません。(下記参照)

 

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このマンションの場合、火災保険金(10億円)の3割のため、地震保険金は3億円。

 

「一部損」と判定された場合の支払保険金は1,500万円となります。

 

一方、このマンションの場合、地震保険の保険料(概算)は契約更改によって以下の通り負担が現状比で2割以上増えることになっていました。

 

 <現在> 267万円/5年 → <将来> 323万円/5年

 

これに対して、火災保険(個人賠償責任、施設賠償責任等も含む)は、保険金額(最大)10億円に対応する保険料は、更改後でも274万円/5年です。

 

両者の費用対効果を比較すると、地震保険はかなり見劣りすることがわかります。

 

2) 地震保険は、建物の「傾斜・沈下」あるいは「主要構造部(柱、梁など)への損傷」が生じた場合に保険金が支払われる。

 

門、塀、垣、エレベーター、受水槽などの給排水設備等、主要構造部を除く付属設備のみが損傷した場合などは、保険金は支払われません。

 

たとえば、地震に伴ってマンションの壁にクラックが発生したり、窓ガラスが破損した程度では保険金は支払われないわけです。

 

3)当マンションの所在地は、丘陵地のため比較的地盤が硬く揺れにくい。また、津波に見舞われるリスクもない。

 

4) 地震保険は「掛け捨て」タイプしかない。

 

契約期間中に被害がなければ、支払われた保険料は更改後すべてチャラになります。

 

=============

 

以上の事情に鑑みると、地震保険料相当分を剰余金として積み立てておき、万一の際の修繕資金に充当してもよいのではないかという意見が理事会内で大勢を占め、今回継続加入を見送ることなりました。

 

地震保険を外した結果、更改後の保険料は現状より3割以上削減できました。

 

ちなみに、総会でもこれについて特に反対の意見は出ませんでした。

 

地震保険の場合、特に木造の戸建住宅、あるいはマンションの専有部分や家財について付保することはとても有効だと思います。

 

ただ、マンションの共用部については保険料がかなり高額にのぼることもあり、以下の項目をもとに検討し、ケースバイケースで加入すべきかどうかを判断すべきだと思います。

 

■ 建物の築年数(新耐震基準かどうか)ならびにその形状などの特性

■ 所在地域のハザードマップでのリスク評価(地盤の硬さ、浸水のリスクなど)

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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【終了しました】新年オンラインセミナー開催のお知らせ

新年1月度「マンション管理セミナー」を開催いたしますので、ご案内します。

<当初16日(土)の開催予定でしたが、都合により24日(日)に変更いたします。>

 

新型コロナウィルス感染拡大防止のため、「オンライン形式」で開催します。

 

ネット接続環境があれば、首都圏以外にお住いの方も気軽に受講できます。

 

先着10名様のお申し込みを受け付けております。

 

どうぞお早目にお申し込みください。

【日時・会場】<変更後>

令和 3年 1月  24日(日) 13:30~15:00

 

【参加料金】

 お一人様  2,000円(税込)

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方。

弊社に個別にご相談いただける方

 

【内 容】

「管理コストを3割削減するための見直し術」

これまで弊社のコンサルティングによってコスト削減を実現した事例(管理会社のリプレイスを含む6件)を紹介しながら、その費用項目ごとに効果的な見直しポイントを解説します。

 

【内 容】

■ ポイント1:管理人の勤務体制と業務内容
最も多く見られるのが、管理員の勤務時間が過剰なケースです。また、その業務範囲も物件の特性によって違いが見られます。

 

■ ポイント2:設備保守点検の契約形態と実施頻度(エレベーター、機械式駐車場など)
エレベーター、消防、機械式駐車場など各種共用設備の保守点検費用は管理組合側には相場観がないため、メスが入りにくいテーマです。

 

■ ポイント3:遠隔監視&緊急対応費用(ホームセキュリティを含む)
設備保守点検と同様に相場観が掴みづらい項目ですが、そのため割高になりがちです。

 

■ ポイント4:事務管理費など管理会社の経費
管理会社によって提示金額が異なりますが、物件の規模に応じたで適正な市場価格がわかります。

 

【講 師】 村上 智史(弊社代表取締役)

 

【お申込み方法】

セミナーお申込み専用ページからお申し込みください。(お名前、マンション名、メールアドレス、電話番号等をご記載ください。)

加までの流れや、オンライン会議の利用に慣れていない方向けの説明も上記ページにてご案内していますので、ご参照ください。

 

加までの流れや、オンライン会議の利用に慣れていない方向けの説明も上記ページにてご案内していますので、ご参照ください。

 

 

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マンション管理組合の「オンライン総会」は実現するのか?

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(一社)マンション管理業協会が、今般のコロナ禍及び今後のIT利活用の拡大を視野に、本年9月「ITを活用した総会の在り方検討会」を立ち上げ、法的・実務的論点を整理し、それに対する考え方をとりまとめた報告書を、12月1日にリリースしました。

 

www.kanrikyo.or.jp

 その要約は以下の通りです。 

■  AIやIoTといった先進技術の発達を通じた社会構造の変化により、マンションを取り巻く環境は大きく変化しつつある。また、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から「新しい生活様式」への適応を求められる中、管理組合運営においても、大きな変革が求められている。

 

■  特に、理事会や総会については、感染リスクに鑑みて、「3密」を回避又は緩和して開催できる方法を構築する必要があり、 物理的な場所の制約を受けず、どこに居ても参加可能な「新しい総会のスタイル」が望まれている。

 

■  その実現に向けてITの利活用は必要不可欠であり、その他、利便性の向上、出席機会の拡大、 更には、会場費や当日の設営など、コスト削減並びに管理組合の負担軽減にも期待でき、今後の有用な会議体の選択肢の一つになり得る。

 

■  管理組合のIT化の第一歩として、総会や理事会にITを活用する際、適正実施が図られるよう、現行法では必ずしも明らかではない「ITを活用した総会の在り方」について、法的・実務的論点の明確化を目的として、9月に「検討会」を立ち上げ議論を重ねてきた。

 

■  管理組合が総会の在り方を検討するときの追加的な選択を提供することを目的とし、管理組合が主体となって適正実施が図られるよう、問題となり得る法的・実務的な論点を明確にし、それに対する考え方をガイドラインにて示すと共に「区分所有法」並びに標準管理規約等における解釈の明確化の必要性について提言した。

 

■  総会へのIT活用の第一歩として、「リアルとオンライン併用型」における実証実験を行った。その結果、留意すべき点はあるものの、現行の区分所有法において、WEB 会議システム等を用いて集会(リアル+オンライン併用型総会、オンライン総会)を 開催することは否定されるものではない。特に「併用型」については、物理的な参集場所を設けることから、会場への出席を希望する者のニーズも満たされる。

 

■ ただ、留意すべき点として、第三者による区分所有者なりすまし行為や通信障害が発生するリスクが考えられるため、予防対策や障害発生時の対応等について事前に協議しておくことが望ましい。

 

■ ITを活用した総会開催方法の類型としては、以下の3つのタイプが考えられる。

1)リアル総会+オンライン傍聴参加
リアル総会を開催するが、出席者以外にもオンラインでの傍聴を認める。

 

2)リアル+ オンライン併用型総会
リアル総会を開催する一方、会場に来ない区分所有者等についても、WEB会議システムによるリモート出席を認めるとともに、議決権行使・質疑等も許容する。

 

3)オンライン総会
リアル総会を開催せず、区分所有者等がすべて WEB会議システム等を用いて総会に出席する形態。

 

■ オンライン総会およびリアル・オンライン併用型総会の開催に関する今後の課題については、以下の点について区分所有法ならびに標準管理規約等における法解釈の明確化が必要。
①オンライン出席者の議決権行使の取扱いについて
②オンライン出席の管理者等による、毎年1回の「事務報告」の取扱いについて
③オンライン形式で開催する際の招集手続き(通知事項等)について

 

本要約の最後にも記載の通り、オンライン総会の開催を法的に容認するには、

・オンラインでの参加が困難な区分所有者への配慮

・「第三者によるなりすまし行為」のリスクへの対応

・通信障害などが生じた際の対応方法

などについて区分所有法や標準管理規約において具体的な規定が必要ということです。

 

現行法では、年1回開催する定期(通常)総会については、前年度の会計報告を集会で行うことが区分所有法で義務付けられています。

 

そのため、委任状や議決権行使の提出による意思表示も可能としながらも、現行法では物理的な集会による開催が必要とされています。

 

ただし、理事会の開催方法については、(そもそも理事会の設置は法的な義務でもなく、組合の裁量によるため)区分所有法上の定めはありません。

 

そのため、管理規約に規定すれば、Web会議システム等による参加や議決権行使の方法を選択できることが、国交省の「標準管理規約」のコメント欄にも記載されています。

 

それを踏まえて、すでに「Zoom」の活用によるオンライン理事会を開催した経験を有する顧問先マンションでは、以下のような条文を追記する管理規約の改正案を総会に上程することを推奨しています。

 

<追加条文例> 

(理事会開催に関する「招集」の部分)

理事会を有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は映像を送り、伝え、又は受ける方式で適時的確な意見表明が互いにできる方法(以下、「Web会議システム等」という。)により開催する場合は、招集権者が決定して通知するものとする。」

 

 

さて、総会のオンライン開催に関する私の考えですが、議決権行使や委任状の提出を通じた事前の意思表示や、質問・意見書などの事前提出も(組合の裁量によるが)可能であることや、もともと議場参加率が平均3割程度(マンション総合調査結果による)にとどまっている状況等を考えると、「3密」回避のための「必須条件」とまでは言えないだろうと思います。

 

ただ、新型コロナウィルス感染対策を別としても、オンライン開催等の対応を考えた方が望ましいケースも確かにあります。

 

たとえば、投資用マンションの場合には、そこに居住しないばかりか、むしろ遠隔地に居住する区分所有者も少なからずいて、総会会場に足を運びたくても困難な事情を抱えるケースもあります。

 

私がマンション管理士として管理者を務めている都内のマンションでは、大半が関西地方や九州地方に在住する区分所有者で占められています。

 

年1回の通常総会でも、辛うじて過半数からの意思表示が届く程度の状況でした。

おそらく総会議案書が送られてきても開封して読んでいない人が少ないからだろうと想像します。

 

そのため、このマンションで管理会社をリプレイスするための臨時総会を開催する際には、区分所有者名簿をもとに直接本人に電話で連絡を取って経緯を説明するとともに、書面の提出を要請した結果、回収率を上げることができ、開催要件をクリアしました。

 

また、実際にご本人と話してみると、予想通り議案書に目を通していない方もいましたが、中には「議案書の送付先住所には現在住んでいないため、総会の開催自体を知らなかった」という方も複数いたのです。

 

そのような方には、メールアドレス宛に議案書をPDFで送付し、その後メールで議決権行使書等を提出いただきました。

 

こうした経験から、ゆくゆくはオンライン総会の開催実現を目指すこととしても、当面は「議案書や委任状等の郵送」ならびに「集会型の開催」といったオフライン一辺倒のやり方を見直して、電磁的方法による議案書の送付や、遠隔地居住者の利便性に資するオンライン傍聴などを可能にするよう急ぐ方が区分所有者のベネフィットに資するのではないかと思います。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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マンション保険の見直しに役立つベスト記事をご紹介!

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2021年1月 マンション総合保険は値上げに!保険料削減の5つの対策」と題した記事が掲載されていました。

 

損保業界の動向や、今後管理組合がとるべき対策がとても分かりやすく解説されているので、ご紹介します。

 

cube-c.com

本記事の要約は、以下の通りです。

・2021年1月1日から火災保険料が値上げになるが、以下のような相談が寄せられている。
「2020年中に切り替えた方がお得なのか?」
「2021年2月に更新を迎えるが、更新後の保険料が2倍になった。どうにかならないか?」

・そのため、下記3つのテーマについて解説します。
 ①マンション保険は2021年1月にどれだけ値上げになるのか
 ②マンション保険の値上げの理由
 ③値上げに対する具体的な5つの対策方法

■ 保険料値上げの要素は主に4つ

(1)2021年1月の火災保険料率改定

 2018年の台風21号やマンションの漏水事故増加を理由として、損害保険料率算出機構は、火災保険の参考純率を平均4.9%引き上げることになった。(算出機構が出している参考純率を考慮し、各社が個別に火災保険料率を設定しているため、4.9%以上の値上げになる会社もある。)

 2020年9月の各保険会社の決算状況を見ると、火災保険の損害率は90%前後で自動車や傷害と比べても突出して高い。このことから、保険料の値上げをしないと、経営が苦しくなってしまうことが分かる。  

 マンションは給排水管の老朽化によって漏水事故が増える傾向にあり、事故の半分は漏水事故によるものである。また、水濡れ損害による支払保険金は右肩上がりに増加を続けている。 

 なお、今回の料率改定には、2019年の台風19号の被害は反映されていないため、今後さらなる値上げも予想される。

 

(2)築年数の経過

 マンションの場合は、「築年数」も加味する必要がある。「築20年」では「築5年」と比べて2倍の保険料になる。「築35年」になると「築5年」に比べて3倍の保険料にせまる勢いである。

 
(3)過去の事故件数

 過去の事故件数も保険料に影響する。次回の保険開始日(保険始期日)から6ヶ月さかのぼった、2年間もしくは保険会社によって1年間の事故の件数(保険金を受け取った件数)によって、保険料が決定される仕組みである。当然のことながら事故件数が多くなるほど、保険料は高くなってくる。

 また、事故件数は損害保険金の大きさは関係ない。 したがって、軽微な事故であれば保険を使わないという選択肢を考える必要がある


(4)地震保険料の改定

  地震保険は、東日本大震災によって、約1兆3,203億円の保険金を支払ったことを主な理由として、2017年、2019年、2021年と3回に分けて、地震保険料の値上げを行っている。

 保険料が値上げの地域は、徳島県、高知県など南海地震が予想される地域、東京都、神奈川県、千葉県などの首都直下地震が予想される地域である。

 
■  マンション総合保険の保険料削減のための5つの方法

1)2021年1月前にマンション総合保険を切り替える
現在加入中のマンション総合保険を解約して、同日付で新しい契約をスタートさせることによって、2021年の料率改定を5年先延ばしにすることができる。 

 

2)保険期間を5年にする
5年の長期契約とすることで、保険料の割引が効くため、特別の理由がない限りは5年契約がオススメである。 

 

3)保険金額を下げる
 建物の評価が10億円のマンションに、保険金額10億円を設定されている場合があります。 このこと自体には何ら問題はないが、鉄筋コンクリートの建物に、10億円の損害が生じる「全損リスク」の可能性は、限りなく0に近いのかも知れない。

 例えば、建物の評価が10億円の物件に対し、60%の6億円を保険金額とするという契約方法が可能である。 

 

4)免責金額を設定する
免責金額10万円など高めに設定することで保険料を削減ができる。ほとんどの保険会社で過去の事故実績によって、次回の保険料が決定される仕組みとなっていて、保険金の受取額が1万円であっても、1億円であっても1件カウントになる。免責金額を設定することで、保険料を安くする効果と、次回更新時の保険料を安くする効果も得られる

 

5)複数の代理店から見積もりを取る
実はこれが一番大事である。同じ保険代理店で保険を更新し続けることで、競争原理が生まれにくくなる。 また、契約内容の誤りがあっても気付きにくくなるということもある。

 

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記事後半の保険料の削減対策5つのうち、

マンション管理組合が即対応できるのは、(2)と(5)でしょう。

 

特に築30年以上など高経年マンションの場合、1年契約で更新している管理組合も少なくありません。

 

確かに、一部の保険会社では、高経年のマンションについて新規で長期契約の引受けをしていないケースもあります。

 

しかし、損保全社で長期契約ができない、というわけではありません。

 

マンション管理組合の場合、管理会社が保険代理店を兼ねているケースがもっぱらですが、管理会社も必ずしもすべての損保会社を取り扱っているわけではありません。

 

また、自らの代理店としての成績をバランスよく上げたいという管理会社の思惑から、現在の損保会社以外をあえて管理組合に紹介をしないというケースもあります。

 

その結果、管理組合としては、単に長期契約よりも割高な保険料を負担しているだけでなく、その後も毎年のように保険料の値上げに見舞われるため、多大な機会損失を被っていることになるのです。

 

そこで重要なのが、

管理組合自身が自主的にセカンドオピニオンを兼ねて管理会社以外の保険代理店を探して相見積もりを取る ことです。

 

これによって、その他の削減対策である(3)(4)などについても、新たに提案を受けられる可能性があります。

 

特に(3)の保険金額の設定水準については、これまでコンサルに携わった数多くのマンションを見ても、「建物評価額=保険金額」になっている事例が少なくありません。

 

上記記事の解説にあるとおり、鉄筋コンクリート造の建物、しかもその共用部分が全損するリスクが一体どれだけあるのか?という観点から考えた場合、付保率(保険金/建物評価額 × 100)は50%〜60%程度でも十分だと思います。

 

付保率を見直すことによって、保険料が従前の半額程度に下がった事例もあります。

 

<参考記事> 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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高経年マンションほど照明灯をLED化していない!?

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当社が今年コンサルティングした物件では、築40年を超える高経年マンションが2件ありました。

 

驚いたことに、その2物件とも照明灯のLED化はもちろんのこと、照明器具の交換すらまだしていませんでした。

 

照明器具の更新は、長期修繕計画では築20年目で実施するよう想定しているのが一般的です。

 

築40年超ということは、すでにその更新周期を2回分経過していることになります。

 

都内にある築47年目のマンション(48戸)では、電気料金の削減余地を査定するため、以下の3つの施策を検討しました。

(1)電子ブレーカーの導入

(2)照明灯のLED化

(3)新電力への切り替え

 

その結果、この3つを同時に実施した場合、電気料金の削減効果が年間52万円弱もあることがわかりました。

 

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「LED化」と「電子ブレーカー」には初期導入費(253万円)がかかりますが、上記削減効果で5年弱で回収することができます。

 

夜間のみの点灯であればLED電球は10年持ちますし、電子ブレーカーもメーカー保証が10年付くので、やって損をすることはありません。


さらに、このマンションが所在する区の「地球温暖化防止設備導入助成制度」を活用した場合には、「直管型LED照明器具」の導入に伴う工事費用の一部助成(上限20万円)が受けられることがわかりました。

 

 <参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 


この補助金を受けられた場合は、回収期間を4.5年まで短縮できます

 

ちなみに、このマンションの財政状況をチェックしたところ、

一般会計収支については、ほぼ収支トントンで年間剰余金は残らない状況でした。

 

今後もマンション保険や消費税といった諸経費の負担増が避けられない中で、賢くコスト削減できる手段があるにもかかわらず、まったく「手付かず」の状態にあるのはもったいないとしか言いようがありません。

 

長年このマンションに携わっている管理会社は、管理組合のベネフィットになる提案をしていないわけです。

 

ちなみに、マンション保険についても、代理店でもある管理会社は高経年を理由に(保険料が割高な)1年契約しかできないと説明していました。

 

しかしながら、他社では保険料の割引を受けられる長期契約(5年)を締結できるため、保険料も下げられることがわかったため、当社の提案で代理店を含めて変更してもらいました。

 

当事者の組合役員には見えづらいのでしょうが、「管理会社にお任せ」タイプの管理組合の機会費用は相当大きいものがあると思います。

 

「あれ、何かおかしいな?」と感じたら、

専門家のセカンド・オピニオンを求めることが大切です。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 


           f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

 

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無料の「マンションライフサイクルシミュレーション」をさっそく試してみた!

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集合住宅管理新聞「Amenity」に、「大規模修繕工事費と資金計画の試算ツール「マンションライフサイクルシュミレーション」をネット上で無料公開 /(独)住宅金融支援機構」と題した記事が掲載されていました。

 

www.mansion.co.jp

本記事の要約は以下の通りです。

■ 大規模修繕工事はマンション管理組合にとって一大事業であるが、十数年単位で行われる事業のため、管理組合内でその知見が蓄積されにくい側面がある。

■ 1回目、2回目と回を重ねるごとに、必要な工事内容も変わるため、施工会社から見積もりをとっても、その内容及び費用の妥当性を管理組合が判断するのは困難なことが多い。

■ このような状況に対して、(独)住宅金融支援機構は、管理組合が大規模修繕工事の工事費等を試算できるツールを開発し、無料でネット上に公開した。
■ 同機構が開発した「マンションライフサイクルシュミレーションツール」は、2013年から2018年までの同機構が実施した「マンション共用部分リフォーム融資」1550棟分の工事費データを活用したものである。

■ 各マンションの管理規約や長期修繕計画、収支予算書等から、マンションに関する建物情報、過去の工事情報、資金情報等の基礎情報を入力することで、建物規模、築年数などに応じた各マンションの以下の試算結果が得られる。

1 平均的な大規模修繕工事費用
2 修繕積立金会計の収支計画グラフ・キャッシュフロー表

■  試算される工事項目は、直近の外壁塗装等改修工事を実施する年に必要となる総額工事費と、仮設工事から外構・附属設備までの17項目の工事費が、同規模のマンション工事費データを低い順に並べた時に、当該マンションがどこに位置するか示されている。

■ 同シュミレーションは、一般的な修繕工事を想定しているため、建物の形状が複雑、設備が豪華だったり、グレードの高い工法・材料を選択した場合などは、シュミレーションとの乖離幅が大きくなる。

■ 同シュミレーションで想定する物件規模等は、階数30階以下、平均専有面積100㎡以下、単棟型等を想定しているため、想定を超えるマンションも乖離幅が広くなる。

■ 日常的な小修繕工事や、特殊な設備工事(プールや温泉施設等)、調査・診断費用等は試算の対象外となる。

■ 同機構によれば、シュミレーション結果から、見積額とシュミレーション結果との差異の要因について、施工会社などに確認することにより、管理組合が工事内容や金額の納得性を高めることができるとしている。

 本記事を読んで、さっそく支援機構のサイトページにアクセスしてみました。

 

www.jhf.go.jp

そして、実在する物件をもとにシュミレーションの精度を確認することにしました。

 

現在2回目の大規模修繕を予定している顧問先のマンションを題材に、本サイトのナビゲーションにしたがって、物件の諸元データを以下の通り登録しました。

■建物情報

・建設地: 神奈川県

・住戸数: 31戸

・新築年(西暦): 1994年

・建物階数(地上): 4階

・敷地面積: 2871m²

・延べ専有面積: 2135m²

・機械式駐車場台数: 0台

・エレベータ台数: 1台

・外壁の仕様: タイル

・廊下等方式: 片廊下型

■ 工事情報

・大規模修繕工事で実施する項目:

屋根防水改修、床防水改修、鉄部塗装等改修、建具・金物等改修、共用内部改修、給水設備改修(管更生)、排水設備改修(管更生)、電灯設備等改修、情報・通信設備改修、消防用設備改修、エレベータ設備改修(補修)、外構・附属設備等

・改修給水設備改修(管取替)の実施状況これまでに工事を実施しましたか?:

いいえ(又は不明)

・排水設備改修(管取替)の実施状況これまでに工事を実施しましたか?:

いいえ(又は不明)

・エレベーター設備改修(取替)の実施状況これまでに工事を実施しましたか?:

いいえ(又は不明)

■資金情報

・積立金徴収額: 563万円/年

・専用使用料(駐車場等)からの繰入金: 200万円/年

・現在の修繕積立金総額(残高): 5280万円

・既存の借入金: なし 

 

登録を完了したところ、ほぼ瞬時に試算結果を得ることができました。

 

例えば今後30年間の資金収支計画については、以下のようなグラフが表示されます。

<凡例>

・青の棒グラフ:修繕積立金の年間収入

・赤の棒グラフ:大規模修繕工事等の支出

・赤の折れ線グラフ:繰越剰余金残高の推移

 

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また、上記の資金収支結果から、以下のようなコメントも記載されます。

「試算期間における工事費に対し、修繕積立金が不足しています。修繕積立金増額の検討が必要です。以下の年次では資金不足となります。

・2024年(2393万円)・2025年(1844万円)・2026年(1081万円)・2027年(318万円)・2033年(1158万円)・2034年(395万円)・2057年(1954万円)・2058年(1191万円)・2059年(428万円)   」

 

ちなみに、これらのアウトプットはすべてPDFファイルでダウンロードすることができます。

 

肝心のデータの精度についても検証してみました。

 

このマンションには管理会社が2年前に作成した長期修繕計画がありますが、

30年間の修繕費の支出累計額は、税込243百万円です。

 

本シミュレーションについて同金額を確認してみたところ、

なんと税込247百万円! ほぼピタリ賞です!!

 

長計の作成費用に30万円近くも費用がかかったことを考えると

この無料シミュレーションの精度はかなり優れている・・かもしれません。

 

各項目の修繕費をざっと見たところ、それほどおかしな金額が計上されていないので、

上記の前提条件をクリアしているマンションであれば利用価値は十分あるかと思います。

 

管理組合の役員さんは、ぜひお試しあれ!

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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預金残高1千万円超のマンション管理組合は、今すぐ資金運用を見直そう!

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不動産流通研究所が発行している「不動産ニュース」で「『マンションすまい・る債』の応募は8万6,684口」と題した記事が掲載されていました。

 

www.re-port.net

本記事の内容は以下の通りです。

■ 住宅金融支援機構は4月から募集を行なっていた「マンションすまい・る債」の募集結果を発表した。

■「マンションすまい・る債」は、マンションの修繕積立金の計画的な積み立てと適切な管理をサポートすることを目的に、同機構がマンション管理組合向けに発行する債券。

■ 今回の募集口数15万口(1口50万円・総額750億円)に対し、応募口数は8万6,684口(対前年度比8.7%減)、応募組合数は1,521組合(同13.8%減)。組合平均の応募口数は57口(同3.2口増)だった。

■ 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、4~6月にかけてのマンション管理組合の総会が延期となり、応募手続きが滞ったことが減少の要因。

 

つまり、住宅金融支援機構が発行する「マンションすまい・る債」の今年度の募集口数(総額750億円)に対して、応募がその6割にも満たない状況(1521組合 × 57口 × 50万円/口=433億円)にとどまったため、応募したすべての組合は無抽選で「すまい・る債」を購入できたというわけです。

 

ちなみに、2020年度の「すまい・る債」の募集利回りは0.08%。

<本金利は10年満期まで預けた場合の年平均利率(税引後:0.0678%)

 

超低金利時代のもと、以前と比べて魅力的な利回りではないかもしれません。

 

ただ、一般的に管理組合が預けている銀行の普通預金や定期金利はどうなのでしょうか?

   普通預金: 年利 0.001%

   定期預金: 年利 0.002%

 

天文学的に低い利息のため、もはや「タンス預金」と実質変わりません。

 

しかも、銀行預金には「ペイオフ」(破綻した金融機関に代わって、預金保険機構が預金者に預金を一定額までは払い戻す制度)という制度があります。

 

預金の保護対象は、1金融機関あたり元本1千万円まで(+その利息)です。

 

一方、50戸程度のマンションであれば、数千万円の預金残高があるのが普通です。

 

上記基準額を超える部分は破綻した金融機関の財産状況に応じてしか支払われないため、組合財産を毀損するリスクがあるのです。

 

要するに、

1つの銀行に多額の預金を預けることは、明らかにリスクとベネフィットのバランスが悪くなっているのです。(以前はマンション保険にも積立型プランがあり、5年間預けるとそこそこの利息がついていましたが、今は掛け捨てプランしかありません。)

 

そのため最近では、利息は一切付きませんが、全額が保護対象になる「決済用預金」に切り替えるマンションも増えています。

 

それに比べて、「すまい・る債」は銀行に預けるよりは数十倍も金利が高いわけですから、これを活用しない手はありません。

 

「すまい・る債」は、政府保証こそ付いていませんが、法にもとづき国の認可を受けて発行しています。

また、支援機構は政府100%出資の行政法人ですから、国債を購入するのと実質変わりません。

 

さらに、金利だけではなく、以下のようなメリットもあります。

(1)中途換金も可能

10年間の利付債券ですが、大規模修繕工事費用に充てるなどの場合には、第1回の積立ての債券発行から1年以上経過すれば中途換金の申出ができます。

 

(2)債券は安全に保管

積み立てた債券が盗難・火災・紛失等の事故に遭い、財産の保全に支障を来たすことのないように、組合に代わって支援機構が無料で債券を保管します。

 

(3)大規模修繕工事等の融資を受ける際に金利の優遇がある

資金面で苦しい管理組合が大規模修繕工事を実施する際に、支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を利用する際に、その融資金利(10月現在:0.68%)について年0.2%の引き下げ優遇が受けられます。

 

なお、私が管理者を務める都内の投資用マンションでは、今年大規模修繕を実施した際に、支援機構の融資を受けることで資金を確保することができました。

 

しかも、東京都の場合、独自の助成制度(下記参照)によって支援機構のリフォームローンの融資金利(最大1%相当分まで)を対象に助成金を受けられます。

 

このマンションについても、先日支援機構からの融資決定を受けて都に申請したところ承認されて10年間の融資が「実質無金利」となったのです

 

<参考サイト>

www.mansion-tokyo.metro.tokyo.lg.jp

 

<参考記事> 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

なお、 管理会社のフロント担当者が、資金運用の見直しまで管理組合に助言してくれることは期待しない方がよいでしょう。

 


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