マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

【理事長のギモン】コロナ感染防止対策で、マンション管理組合の運営はどうすればいいの?

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6月6日付けのダイヤモンド・オンラインに、「コロナで問題噴出!マンション管理組合に求められる新しい形とは?」と題した記事が掲載されていました。

 

diamond.jp

本記事の要約は以下の通りです。

 ■ 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マンションの管理組合にも思わぬ影響が管理組合と業務委託先の管理会社の双方に及んでいるため、業務が停滞してしまったマンションが少なくない。

■ その一つが、「3密」を回避するため、理事会や総会などの開催を見合わせている管理組合が多数出ていることだ。理事にとって気がかりなのが、「規定の集会や会合を開かないことが問題にならないか」という点である。

■ 区分所有法において、「管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない」(同法第34条2項)、「管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない」(同法第43条)と定められている。

■  しかしながら、「前年の開催から1年以内」という開催期限に関する規定はない。 法務省からも「本年中に集会を招集し、集会において必要な報告をすれば足りる」との見解が示されている。

■  「3密」を回避しつつ、理事会などを開催するひとつの方法として、ZoomやLINEなどのオンライン会議システムが注目を集めている。ビジネスシーンでは急速に導入が進んでいるオンライン会議システムを、理事会でも活用しようという動きが盛んになっている。

■  ただ、ここで問題になってくるのは、オンライン会議システムを利用した理事会の開催の可否である。国交省の標準管理規約には、「書面または電磁的方法」の利用についての規定はあるが、オンライン会議システムの利用を想定した規定はないため、その有効性が明確ではない。

■  これについて、国交省がそれを補足する形で、「理事会に出席できない理事について、インターネット技術によるテレビ会議等での理事会参加や議決権行使を認める旨を、規約において定めることも考えられる」という「コメント」を記載している。ただ、このコメントは今回の新型コロナウイルス問題が起きる前に作成されたもので、こうした事態を想定したものではない。

■  このコメントが意図するのは、オンライン会議システムを採用した理事会が成立するためには、管理規約を改正し、その旨をあらかじめ定めておく必要がある、ということだ。

■ しかし、「3密回避」を目的とした方法を採用するために、管理規約を改正すべく「3密」になる総会を開くのは本末転倒だ管理組合や理事会の運営が困難になっているこの非常事態には、もっと柔軟な解釈をしてもよいと思う。


■ 理事の全員が賛成するならば、今はオンライン会議システムを利用して理事会を開催し、のちに通常の理事会が開催された際に、念のため議題を再度上程して追認する、という形を取ればよいのではないか。

■ ただし、理事のうち1人でも反対した場合などは、慎重に進めるほうが得策だろう。

■ 最も感染の危険性が高い場所はエレベーターといわれているため、エレベーターボタンのアルコール消毒をまめに行う。さらに、マンションで感染者が出た場合の対応として、管理組合は感染者とその家族に対する差別やいじめにつながらないような配慮をするとともに、ほかの居住者に対する安全対策も講じる必要がある。

緊急事態宣言以降、管理や清掃員の出勤を停止したり、業務時間を大幅に短縮したり、フロント担当者もリモートワークになったことで、運営に支障が出ているところは少なくない。

■ 気になるのは、現段階で、管理会社からは管理業務削減の申し出はあっても、それに応じて管理委託費の減額が提示されたという話をあまり聞かないことだ。

■ 管理組合は費用感覚に疎いところが多く、管理会社は管理組合からの指摘がなければ、業務の不完全履行が明確であっても、満額で引き落としを行う場合がある。しかし、行われなかった業務分の管理委託費は返金されるべきである。

■ このように、管理組合では理事会の役割が非常に重要である。そのためには、日ごろから理事同士が密に連絡を取れるようにしておくことが大切だ。理事同士で電話番号、メールアドレスなどの情報を交換し、互いに連絡が取り合えるようにしておくことが望ましい。

 

 本記事で提起されている筆者の見解には「ほぼ賛成」の立場ですが、私自身の考えを以下述べてみたいと思います。

 

1)通常総会の開催について

区分所有法の定めで、通常(定期)総会は年に1回開催することが義務付けられています。

 

管理規約では、一般的に決算月から3(もしくは2)か月以内に開催すると定められていますが、これは法定ではなくあくまで「管理組合内のルール」にすぎないため、状況に合わせて延期するなど柔軟な対応を取っても許されるものと思います。

 

とはいえ、例外的に通常総会の開催を延期する場合には、一般の組合員から問い合わせやクレームを受けないよう、理事会で事前に決議したうえで議事録にその旨を記載し、その議事録を組合内で共有するよう広報しておくべきです。

 

ただ、総会の開催時期をずらすと、現在の役員の任期も延長されてしまうという「不都合」も別途生じることになります。

 

コロナ流行以前でも、もともと総会に出席する割合は「平均3割」と言われており、大半の組合員は出席していないのが実情です。

 

それを踏まえると、例年通りのスケジュールで総会を開催しつつも、現下の情勢に鑑みて出席するのは極力新旧役員にとどめ、なるべく委任状や議決権行使書の提出をお願いすればよいでしょう。

 

併せて、各議案に対する質問や意見があれば書面で事前に受け付け、後で作成する議事録にその回答も記載する対応をすれば十分ではないかと思います。

 

ただし、多額な支出を要する議案や、賛否が分かれる可能性が高い議案などは時間が許す限りではあえて上程を避けることが望ましいと思います。

 

なお、総会と同じ日に行われるのが慣例となっている管理委託契約更新に伴う重要事項説明会(重説)について、国交省は、Web会議システムなどITを活用した方法で実施した場合も、適正化法上の重説として認める取り扱いを発信しています。

 

www.kankyo-station.co.jp

 

2)理事会の開催について

通常総会の開催が「法的な義務」であるのに対し、理事会の設置や開催については、あくまで管理組合の規約によって(総会の開催方法に準じて)ルール化されているものです。

 

もちろん集会形式で定期的に開催するのが望ましいのですが、集会室のないマンションでは、公民館などを利用しているケースも少なくありません。

 

その公民館も、自治体によっては使用禁止としたり、利用時間を制限するなどの措置を取っているケースが見られます。

 

それを理由に理事会の開催を見送る例も当然出ていますが、これを機に、私は顧問先の組合にZoomなどのWeb会議ツールの利用を勧めています。

 

特に高齢の方はネットやITリテラシーに詳しくないので、尻込みされることも多いですが、「習うより慣れろ」の精神でスタートしてみると、意外にできるものです。

 

特にZoomについては、画像や音質も良好なうえ、管理会社の作成した資料をパソコンの画面で全員が共有できるのでペーパーレスも実現することが可能です。

 

その意味では物理的に集会形式で開催するのと比べても、ほとんど遜色がありません。

 

Wi-Fiやスマートフォンの普及率を考えれば、Web会議ツールも集会に代わる立派な代替手段となりうるものと考えます。

 

したがって、今後の管理組合の円滑な運営のために、以下の対応を取ることを提案します。

(1)当面は新型コロナウィルス感染予防対策のための「やむを得ない措置」として、次善の策としてWeb会議ツールを利用のうえ理事会を開催することを組合内で広報し、周知しておく。

 

(2)次回の通常総会では、「理事会の開催方法について、役員全員の承認があれば、Web会議ツールの利用も認める」旨、管理規約を改正することを議案に上程する。

 

3)業務縮減または未実施に伴う管理委託費の返金について

記事にも紹介されている通り、管理員の勤務時間の縮減や、(専有住宅への立ち入りを要する)設備点検の延期や中止などが発生していることが多いですね。

 

消防設備点検や雑排水管洗浄などについては、中止となった場合は、返金の対象になるはずです。

 

また、管理員の勤務時間の縮減や中止があった場合には、時間当たりの費用で積算されているので、当然減らされた時間分の返金をお願いしてもおかしくはありません。

 

管理会社によっては、自主的に管理組合に説明のうえ、後日精算を提案する誠実な会社もあります。

 

一方で、ダンマリを決め込んでいるズルい会社もあります。

 

定額費用で毎月精算している組合が多いため、理事会役員でもつい見逃してしまいがちですが、中止や縮減となった業務に関する費用の精算方法については管理会社に問い合わせましょう。

 

 <参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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次回もオンライン!マンション管理セミナー開催のお知らせ

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新型コロナウィルス感染予防のため、今回もオンラインでセミナーを開催することといたしました。

 

首都圏以外にお住いの方も、ネット接続環境とパソコン等があれば、気軽に受講することが可能です。 

 

先着10名様のお申し込みを受け付けております。どうぞお早目にご応募ください。

 

【日時・会場】

令和 2年 7 月  18日(土)

 13:30~ 15:00

  

【参加料金】

 お一人様  2,000円(税込) 

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方

弊社に個別にご相談いただける方

 

 

【内 容】

マンション保険の最新事情と管理組合がとるべき対策について」

 

(1)損保業界の最新動向と今後の見通しについて

マンション保険については地震や台風等による大規模災害の増加に伴い、年々保険料が上昇していますが、業界の最新情報と管理組合のとるべき対策などについて、損害保険会社の商品開発担当者からご講演いただきます。

<主な内容>
・マンション保険を取り巻く業界の最新事情について
・2021年にも改定!?各社一斉保険料の増額改定の見通し

・累積契約7千件超!「マンションドクター火災保険」が支持される理由
・中途更改でも見直しが望ましいマンションの条件
・保険料の抑制のために打つべき対策は?

<講 師>
日新火災海上保険(株) 商品開発部 
部長 植木 宏文様

(2)「マンション管理適正化診断サービス」受診のススメ

「マンション管理適正化診断」とは、管理組合の運営全般が適正に実施されているかどうかをマンション管理士が客観的に診断し、その結果をポイントに換算して評価する無料のサービスです。

また、この診断の結果に応じてマンション保険料の割引きが受けられるというメリットがあります。

具体的に、「どのような診断項目を行うのか?」「なぜその診断が必要なのか?」「診断を受けるにはどのような手続きが必要か?」「なぜ無料なのか?」についてわかりやすく解説いたします。

高経年マンションで保険料の増額リスクに直面している管理組合はもちろん、まだこの診断を受けたことのない組合役員さんはぜひ知っておかれるとよいでしょう。

<講 師>
(株)マンション管理見直し本舗
代表取締役  村上 智史 


【お申込み方法】

セミナーお申込み専用ページからお申し込みください。(お名前、マンション名、メールアドレス、電話番号等をご記載ください。)

 

加までの流れや、オンライン会議の利用に慣れていない方向けの説明も上記ページにてご案内していますので、ご参照ください。

 

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築45年を超えて、初めて管理規約を改正したマンション!

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今春から顧問を務めることになった、都内にある築46年目のマンションの話です。

 

20世帯にも届かない小規模マンションですが、「マンション管理適正化診断サービス」から着手したところ、大小様々な問題が見つかり、最低ランクの「B」評価になってしまいました。

 

なかでも最も深刻な問題が、組合運営上のルールを定めた「管理規約」でした。

 

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このマンションでは、現状の運営実態との齟齬が以下の通り数多く見られました。

(1) 敷地内駐車場が一部バイク置場に用途変更されたのに、反映されていない

(2) 管理費・修繕積立金の徴収額の改定が反映されていない

(3)組合役員ならび理事会の運営に関する規定がない

(4)管理費等の滞納者に対する対応に関する規定がない

 

現在では、ほとんどの分譲マンションが国交省の「マンション標準管理規約」にもとづいて管理規約が作成されているため、概ね必要な条文は網羅されています。

 

しかしながら、この標準管理規約が最初にリリースされたのは、

1982年(昭和57年)です。

 

つまり、このマンションが分譲されてから8年後のことです。

 

そのため、マンションを分譲したデベロッパーは、当時の区分所有法の規定にもとづいてオリジナルの管理規約を作成したと思われます。

 

その後40年以上の長きにわたって、まったく見直されてこなかったわけです。

 

竣工時から受託している老舗の管理会社は、いったい何をやっていたのでしょう?

「怠慢、ここに極まれり」です。

 

そのため、当社からの提案にもとづき、以下の方針で管理規約を全面改訂することを臨時総会に上程しました。

 

■ 規約全体を国交省の「マンション管理標準規約」をベースに改訂する
<上記(3)、(4)の問題に対応>

 

■  現状の当マンションの運営実態を管理規約に反映させる
<上記(1)、(2)の問題に対応>


その結果、改正後の管理規約については、以下の規定が新たに盛り込まれました。

 

1.  組合役員の定数ならびに任期について <現規約に規定なし>
・理事長、副理事長、監事を含む定員4名(任期1年)

 

2.  総会の議決に関する要件 <現規約は、区分所有法に準拠>
・成立要件

議決権総数の半数以上を有する組合員が出席

(委任状、議決権行使書の提出を出席とみなす)

・決議要件

原則として「出席組合員」の議決権の過半数で決する

(特別決議事項を除く)

 

3. 理事会の設置ならびに運営方法 <現規約に規定なし>
・開催要件、決議方法、決議事項等に関する規定を盛り込む。

 

4. 管理費滞納者への対応 <現規約に規定なし>
・期限までに納付しない場合には、その未払金額について、年利14.6%の遅延損害金ならびに違約金(弁護士費用および関連費用)を加算のうえ、滞納者に対して請求できる。
・未納の管理費等の請求について、理事会の決議にて訴訟その他法的措置を追行できる。


5. 専有部の用途制限の追加
・民泊事業のほか、シェアハウス、短期賃貸、グループホーム、暴力団事務所としての使用も禁止。

 

こちらは小規模なマンションのため、全体の3分の1くらいの組合員がグループLINEで繋がっており、コミュニケーションが日常的に取れる状況だったのが奏効しました。

 

最終的には、議決権行使書や委任状を含めて全員の意思を確認でき、特別決議の要件をクリアして決議されました。

 

それにしても、従前の規約に「この規約の改廃は、区分所有者全員の書面による合意によって行うことができる」と記載されていたのには驚きました。

 

管理組合にとって最も難事業である「建替え」でさえ、全体の8割以上の賛成で実現可能なのにもかかわらず、規約の改正ですら全員の合意ができないというのはあまりにも理不尽です。

 

ただ幸いにして、区分所有法では、「組合員総数ならびに議決権総数の各4分の3以上の賛成があれば規約の改廃できる」という規定があります。

 

しかも、当該条項は区分所有法どおりにしか運用できない「強行規定」に該当するため、管理規約でこれを変更することはできません。

 

したがって、従前の規約における規定は「無効」とみなすことができ、改正にこぎつけることができました。

 

こうして、インフラ整備の最重要テーマであった規約改正については、顧問就任後2ヶ月で解決できました。

 

引き続き、優先順位をつけながら、長期滞納者問題、管理会社のリプレイス、長期修繕計画の更新などの課題に取り組んでいきます。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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自宅マンションを担保に「修繕積立金」の融資が受けられるのは、おトクな話か?

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5月26日付けのYahoo!ニュースに、「自宅を担保にマンションの修繕積立金を融資する制度とは?活用できるケースと問題点」という記事が掲載されていました。

 

news.yahoo.co.jp 

本記事の要約は以下の通りです。

■ 4月27日付けの日経新聞に、「マンション修繕積立金、自宅担保に融資 住宅機構、老朽化備え」という記事が掲載されていた。

 

■日経記事の内容は以下の通り。

住宅金融支援機構がマンション所有者向けに自宅を担保に将来分も含めた修繕積立金を借りられるローンの導入を準備している
借り手は借入期間中利息だけを支払い、元金は借り手が亡くなった際に自宅を売却した資金で返済する
・この制度により管理会社は修繕積立金を事前に確保でき、マンションの劣化対策を資金面から支援する 

■ ほとんどのマンションでは管理費と合わせ、将来の改修工事等に備えた「修繕積立金」を所有者から集め積み立てているが、必要となる修繕費に対して余裕をもって賄えるものであるとは限らない。

■ 修繕積立金が不足しているマンションは3割を超えているほか、管理組合が積立金の積立額が将来の需要に対し適正な額であるかどうかを把握していない物件も3割以上に上っているといわれている。

 

■ 新築マンションが販売される際に設定している修繕積立金は適正な金額よりも低めに抑えられている物件も少なくない。そのため、将来、必要に応じて管理組合で修繕積立金の増額を決議する、あるいは自動的に値上げするような規約を策定しているケースもある。

 

■ ただ、新築当初は修繕がほとんど発生しないことから、修繕積立金の不足が表面化するのは、築15年目頃以降になるケースが少なくない。

 

■ 大規模修繕を行う必要があるものの修繕積立金が不足し、各戸から追加費用を一時金として徴収せざるを得ない場合、家計に余裕がない世帯では対応できないことも考えられる。

■そうした場合、大規模修繕費の負担について住民の合意が得られないため必要な修繕が行えず、結果的にマンションの資産価値が低下してしまうという事態にもなりかねません。

■ このような事態を回避するための手段として、居住者が自宅マンションを担保提供し、修繕積立金を将来分もまとめて住宅供給支援機構と民間金融機関が協調融資を行うという制度を2020年度中にも開始するという。

 

■この制度は、債務者となる居住者が亡くなった後は、債権者(金融機関)が同物件を売却し、その売却資金から貸付け分を回収し、残金は相続人に戻される。いわば「リバースモーゲージのマンション修繕版」といえる。

■ この仕組みによって、居住中のマンションを「終の棲家」と位置づけているものの、必要な修繕費の負担金を支払えず、管理組合が大規模修繕を行えない状況になったような場合に、管理組合がその居住者にこの制度の利用を促すことで資金を確保する手段を提供することが可能になる。

■ 一方、この制度だと最終的に自宅マンションは金融機関を通じて売却されることになるため、誰かに相続させるということは難しくなる。

■ 相続人がその物件をそのまま受け継ぎたい場合、金融機関に借入金を返済する必要があるため、それができなければ売却して借入金返済後の残金を受け取るしかなくなる。

■ そのため、同居している子がいる場合には、その子の住まいを奪うことにもなりかねなくなり、金融機関はこの仕組みを使った融資の実行に難色を示すことも想定される。

 

■ まず大切なのは自分が居住しているマンションの管理組合の活動に参加し、こうした問題が将来起こる可能性がないか把握しておくこと。そのためには、マンションの管理を管理会社に任せきりにしないことが大切だ。

■ 管理組合は、もしそうした問題が発生する可能性があるのであれば、修繕積立金の増額などを含めた是正策、健全化になるべく早く着手する必要がある。対応が遅くなるほど、居住者の負担は増大し、判断が難しくなるからだ。

 

本記事でも解説しているとおり、多くの管理組合では修繕積立金の徴収額が十分ではないという実態があります。

 

主な理由は、すでに本ブログでは数え切れないくらいお伝えしていますが

新築マンション販売時に設定される修繕積立金が低すぎるからです。

 

将来的に増額の必要のない水準を100とすれば、実際の設定金額は50を下回るマンションがほとんどです。

 

そのため管理組合は、その後5年ごとを目安に修繕積立金を5割アップを強いられるケースが多いのです。

 

その点に購入者も早く気付いて行動すれば軽傷ですむのですが、もともと管理組合の運営に無関心な人が多いうえに、気づいたとしても我が事と考えずに問題を先送りする傾向も強く、そのまま放置されてしまいがちです。

 

その結果、築20年前後になってようやく、

修繕積立金が足らない現実と大幅な増額が避けられない事実の両方に直面し、

「このままではうちのマンション、ヤバいぞ」と感じるわけです。

 

ただ、マンションを購入して20年後となると、新築で購入した多くの人はそろそろ定年を迎える時期に当たります。

 

ピーク時の収入から比べると半分以下に減る人も少なくありません。

 

日本人の平均寿命を考えると老後の生活もまだ20年以上ありそうなので、貯蓄と年金で賄っていけるよう消費のありかたも見直しが必要になってきます。

 

そんなところに突然、修繕積立金がこれまでの2倍とか3倍に値上げになると聞いたらどうでしょう?

 

管理組合からの値上げの提案に抵抗したいと思うのではありませんか?

 

ただ、修繕積立金の増額改定は過半数の決議で成立してしまうので、よほどのことがない限り総会に上程されれば承認されてしまいます。

 

そんな時に、いよいよ修繕積立金の値上げ分を負担できないとなったら、本記事で紹介された「リバースモーゲージ」をご活用ください、というわけです。

 

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ただ・・、

もともとは、デベロッパーが決めた修繕積立金の徴収システムに構造的な問題があるのにそのツケがマンション購入者に回ってくるなんて、なんか釈然としませんね。

 

リバースモーゲージと言うと、スマートに聞こえるかもしれませんが、自宅を担保に入れた融資という点では、「住宅ローンの追い貸し」と同じことです。

 

また、相続の発生時にローンの元本が返済できないと、大切な資産のマンションも金融機関に問答無用で「召し上げ」られてしまいます。

 

そんな悲しい事態を招かないために、まだできることがあります。

 

それは、マンション全体で集めている管理費に無駄な支出がないか、管理組合の支出状況を見直すことです。

 

修繕積立金は不足しているのかもしれませんが、

幸か不幸か、管理費の使い方には多くのムダが潜んでいます。

 

管理組合の経常的な支出の8割を占める以下の主要費目を徹底的に見直すのです。

・管理会社に支払っている業務委託費

・共用部の電気料金

・マンション保険料

 

その結果、当社に相談された多くの管理組合では、従前比でコスト3割削減を実現しています。

 

それによって生じた剰余金を修繕積立金の不足分に充当することで、大幅な値上げを回避することができるのです。

 

皆さんは、どちらの道を選びますか?

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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「マンション管理適正化診断サービス」で発覚した法令違反とは?

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先日都内の某マンションで実施した「マンション管理適正化診断」でのお話です。

 

診断の目的はマンション保険の更新期を迎えるにあたって、新規引受け保険料の見積りを取得することにありました。

 

「日管連」からの依頼にもとづき、私がこのマンションの診断を担当することになりました。

 

この診断では、各種法定の設備点検の実施状況だけでなく、

・改善や修繕が必要な箇所の有無に関する指摘事項の有無

・指摘事項に対するその後の是正状況

について確認を行います。

 

そのため、消防設備点検の最新の実施状況を確認すべく、報告書を閲覧させて欲しいと申し出たところ、同席した管理会社のフロントが2018年に実施した報告書を提示してきました。

 

==========

 

「すみませんが、最新の点検報告を見せて欲しいのですが?」

 

管理会社

「このマンションでは消防設備点検は3年ごとにしか実施していません」

 

消防設備点検は年2回実施する義務があると思いますが?」

 

管理会社

消防署への報告義務は3年ごとなので、その頻度で実施しています。」

 

==========

 

皆さんは、この会話での両者の主張がズレていることが分かりますか?

 

・消防設備の点検義務は年2回

点検結果の報告義務は3年に1回

 

実は、主張している内容自体は、以下の通り「おおむね」どちらも正しいのです。

 

■ 消防法によって、消防用設備等を設置することが義務づけられている建物の関係者(所有者・管理者・占有者)は、設置した消防用設備等を定期的に点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告するが義務があります。

 

点検の種類と実施頻度の義務

 ・機器点検:6ヶ月に1回

 ・総合点検:1年に1回

 

総合点検は機器点検と兼ねて実施するため、都合年2回実施する義務があります。

 

■ 点検結果の報告

 特定防火対象物 :1年に1回

 非特定防火対象物:3年に1回

 

マンションのような共同住宅は「非特定防火対象物」に該当するので、「3年に1回」の報告義務あり。

 

ただ、管理会社の主張が誤っているのは、

「消防署への報告が3年に1回だから、点検の実施も3年ごとでよい」

と考えている点にあります。

 

このマンションの管理委託契約書で消防設備点検の実施頻度を確認したところ、当初は法定通りの頻度で実施していたものの、数年前に3年ごとの実施に変更されていることがわかりました。

 

当時の経緯は不明ですが、コスト削減の一環で「改悪」されたようです。

 

このマンションは、区分所有者の居住せず賃貸している割合が高く、住戸内の点検実施率が低いのですが、それも要因の一つになっているのでしょう。

 

ただ、点検自体が3年ごとにしか行わないのに、その1回を受検しなければ仮に室内の煙感知器の不具合が発生していても、その状態が最大6年間放置されるリスクがあります。

 

また、このマンションはすでに築20年を超えているにもかかわらず、

雑排水管洗浄の実施も3年ごとであることがわかりました。

 

ちなみに、2年前に洗浄した際の住戸内の実施率は、全体の6割を切っていました。

 

雑排水管洗浄は、築10年超の場合毎年実施するのが「標準」で、少なくとも隔年での実施は必要とされています。

 

ワンルームタイプのような投資マンションをはじめ賃貸比率の高いマンションでは、賃借人である居住者の協力が得られず、住戸内の消防点検や排水管清掃の実施率が押し並べて低いケースが少なくありません

 

それでも業務委託費は全住戸分を実施する前提で見積もられるため、投資マンションでは無駄な費用を削減しようと実施頻度を落とす傾向が強いのが実情なのです。

 

しかし、今回のように法令違反を割と堂々と行なっているマンションには初めて遭遇したのでかなり驚きました。

 

診断レポートにはその点をしっかり指摘しておきたいと思います。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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「Withコロナ」の時代に適応するために、マンション管理組合の運営も見直そう!

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5月7日付けの朝日新聞に、「コロナ拡大、マンション管理の定期総会どう開く?」という記事が掲載されていました。

 

digital.asahi.com

 本記事の要約は、以下の通りです。 

■ 新型コロナウイルスの感染が広がる中、多くの分譲マンションの管理組合が、年に1度の通常総会の時期を迎えている。総会は、新年度の予算などを決める大切な場。どんな開催方法が考えられるか。

 

■ 神奈川県内の団地(250戸)の管理組合の総会では、扉や窓を開けっ放しにした集会室にマスクをつけた理事ら約20人が集まり、間隔をあけて着席。出席者数や所要時間は、いずれも例年の4分の1程度。

 

■ 事前準備の段階で、そもそもこの時期に開催するかどうかが議論になった。総会開催にあたっては、法務省が3月、「本年中に集会を招集し、集会(総会)において必要な報告をすれば足りるものと考えられる」との見解を公表したため、延期の「お墨付き」が与えられていた。

 

■ しかし、その 一方で損害保険の契約など必要な手続きを決議したい、あるいは総会延期によって役員の任期が延びてしまうなどの事情から総会の開催を求める声も出た。

 

■ 結局、なるべく出席者を控えるよう求めるとともに、所要時間も短縮して総会を開く方向で調整に入った。また議案に関する質問があれば事前に書面で提出してもらうこととした。

 

■ 定期総会は、区分所有法で年に1回開催することが義務づけられている。総会の成立要件として「議決権総数の半数以上を有する組合員の出席」が必要だが、委任状や議決権行使書を提出すれば出席とみなされるため、会場に足を運ぶ必要は必ずしもない。

 

■ それを踏まえた専門コンサルタントからの提案は以下の3点。

(1)総会の開催通知で「感染防止のため、できるだけ少人数で開催したい」ことを伝え、委任状や議決権行使書の提出を求める。

(2)上程する議案は、管理組合が加入する損害保険や、管理会社の業務委託の契約更改に関するものや、新年度の予算案など必要最低限の項目に絞る。(住民の意見が大きく分かれる可能性がある議案の上程は避ける)

(3)新型コロナの感染拡大を踏まえ、共用部分の消毒などに使う感染予防対策費も入れておく。

 

■ 昨今、急激に普及しているウェブ会議システムを使って、総会を開くことは可能なかについては、法務省の見解は「現行の区分所有法では規定がなく、その可否は判然としない」とのこと。


■ 従来通り会場に集って総会を開く場合に委任状や議決権行使書を本人確認できる電磁的システム(メールなど)で提出することは可能だが、こうした仕組みを新たに導入するには、管理規約などの改正必要なため注意が必要。


■ 住民の安全を守るためにも、弾力的な組合運営が求められることから、今後電磁的システムのニーズが高まる可能性がある。

 

管理組合の役員さんにとっては、地域によっては集会所さえも閉鎖され、スケジュールどおりに総会や理事会の開催がままならず悩んでいらっしゃる方も少なくないでしょう。

 

その点では、本記事はとても参考になる内容だと思います。

 

当社の顧問先マンションでZoomなどWeb会議ツールを活用して理事会を開催する事例が増えていますが、画面や音質の状況はきわめて良好です。

 

ネット接続環境(Wi-Fi)さえあれば、パソコンもしくはタブレットを使って簡単に打ち合わせができます。しかも、原則「無料」(通信料金を除く)です。

 

近いうちに緊急事態宣言の解除がなされたとしても、今後も外出自粛を含め「3蜜」対策が求められる可能性が濃厚であることを考えれば、集会に代わる代替手段としてWeb会議の導入にトライしてもよいと思います。

 

ちなみに、マンション管理見直し本舗でもオンライン個別相談のサービスを開始しました。

 

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本サイトページのQ&Aでも説明していますが、
Web会議に参加すること自体は難しいものではありません。

 

なお、導入に関する敷居が高いのではないかといったご不安については、下記のサイト(YouTube)も参考になると思います。

 

スマートフォンで専用アプリからZOOMを利用する方法
  

パソコンからブラウザでZOOMを利用する方法
 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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初のオンラインセミナー開催のお知らせ

5月16日(土)に予定していた弊社セミナーにつきましては、

緊急事態宣言発令中につき、東京・銀座での開催を中止いたします。

 

それに代わって、同じ日時で「Zoomミーティング」を活用したオンラインセミナーを開催することとしました。

 

先着10名様のお申し込みを受け付けております。どうぞお早目にご応募ください。

 

【日 時】

令和 2年 5月 16日(土) 

13:30~15:00

 

 【参加料金】

 お一人様  2,000円(税込) 

 

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方

弊社に個別にご相談いただける方

 

 

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【内 容】

1. 講 演 

管理コストを3割削減するための見直し術

これまで弊社のコンサルティングによって大幅なコスト削減を実現した事例を紹介しながら、その費用項目ごとに効果的な見直しポイントを解説します。

【内 容】

ポイント1】 管理人の勤務体制と業務内容


最も多く見られるのが、管理員の勤務時間が過剰なケースです。また、その業務範囲も物件の特性によって違いが見られます。

ポイント2】 各種共用設備保守点検の契約


エレベーター、消防、機械式駐車場など各種共用設備の保守点検費用は管理組合側には相場観がないため、メスが入りにくいテーマです。

ポイント3】 遠隔監視&緊急対応費用

 

設備保守点検と同様に相場観が掴みづらい項目ですが、そのため割高になりがちです。

ポイント4】 事務管理費などの管理会社経費

 

管理会社によって提示金額が異なりますが、物件の規模に応じたで適正な市場価格がわかります。

【講 師】 村上 智史(弊社代表取締役)

 

【お申込み方法】

マンション管理見直し本舗のサイトページ からお申し込みください。 

 

なお、セミナー後の個別相談については中止とさせていただきます。

 

今後は、オンラインで対面のご相談ができるしくみを常設する予定です。

準備が整い次第、会社サイトや本ブログでお知らせいたします。

 

   

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