マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

今年ラスト!12月度 マンション管理セミナーのお知らせ

12月度 マンション管理セミナー」を開催いたしますので、下記の通りご案内いたします。

  

先着10名様のお申し込みを受け付けております。どうぞお早目にご応募ください。

【日時・会場】

令和 元年  12月 21日(土) 

13:30~15:00

 

LEAGUE 地下1階 ミーティングスペース

東京都中央区銀座3-11-3

東京メトロ「東銀座」駅歩2分 「銀座」駅歩5分 

 

 

 

【参加料金】

 お一人様  2,000円(税込) 

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方

弊社に個別にご相談いただける方

 

 セミナー後の個別相談をお申込みの方には、もれなく弊社代表の著書「マンション管理見直しの極意」を進呈いたします!

 

【内 容】

1. 講 演 

管理コストを3割削減するための見直し術

これまで弊社のコンサルティングによって大幅なコスト削減を実現した事例を紹介しながら、その費用項目ごとに効果的な見直しポイントを解説します。

【内 容】

ポイント1】 管理人の勤務体制と業務内容


最も多く見られるのが、管理員の勤務時間が過剰なケースです。また、その業務範囲も物件の特性によって違いが見られます。

ポイント2】 各種共用設備保守点検の契約


エレベーター、消防、機械式駐車場など各種共用設備の保守点検費用は管理組合側には相場観がないため、メスが入りにくいテーマです。

ポイント3】 遠隔監視&緊急対応費用

 

設備保守点検と同様に相場観が掴みづらい項目ですが、そのため割高になりがちです。

ポイント4】 事務管理費などの管理会社経費

 

管理会社によって提示金額が異なりますが、物件の規模に応じたで適正な市場価格がわかります。

【講 師】 村上 智史(弊社代表取締役)

 

2. 個別相談会(※希望者のみ)

貴マンションの管理委託費を簡易診断させていただきます。(無料)その他、管理会社の変更や大規模修繕、高圧一括受電、省エネ対策などのご相談も随時承ります。

 

【お申込み方法】

弊社サイトの問合せページから「セミナー参加希望」と明記のうえ、お申し込みください。 

  

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コンサルティングの前後でマンション管理組合の財政状況はどれだけ変わったか?

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先日、顧問先の都内のマンション(約100戸)で第15期定期総会が開催されましたが、これまでの当社の貢献が評価され、顧問契約も無事更新いただきました。

 

当社がコンサルティングに着手したのは2年前のことですが、その前と後でどれだけ状況が変わったかをご紹介します。

 

1.  管理委託費の適正化

(1)管理会社の変更

当社の「管理コスト適正化診断」では、管理仕様を変更しなくとも現状比14%下げられるという見立てでした。

 

そのため、管理会社と委託費の交渉を行いましたが、2回の交渉を経ても減額率は5%に満たない提示にとどまりました。

 

当時の理事長さんとともに旧財閥系デベの管理会社に赴いて上席の部長にも掛け合いましたが、結局埒が開きませんでした。

 

当初は理事会にリプレイスの意思はなかったのですが、協議した結果、同業他社から相見積もりを取得することを決め、各社プレゼンの結果、従前と同じ仕様のまま他社に契約を切り替えることになりました。

 

その結果、管理委託費は当社の査定額とおおむね同じ水準まで下がり、年間200万円の剰余金が生まれることになりました

 

(2)遠隔監視業務費の適正化

このマンションでは、竣工当初から警備会社のインターホンが設置されていましたが、経年劣化に伴い警備会社から設備更新の提案を受けました。

 

しかしながら、インターホンが特定の警備会社の仕様になっていたため、警備会社を変更することが難しく、監視業務費も下げられない状況でした。

 

そのため、インターホンの更新タイミングを機に遠隔監視業務費の見直しを行うこととしました。

 

具体的には、警備会社を他社に変更できる余地を作るよう、まずインターホンを国産メーカーから直接見積もりを取ることにしました。

 

それとともに、同業他社から遠隔監視業務費の見積もりを取りました。

 

こうした動きに危機感を覚えた警備会社が、インターホンの更新工事費、遠隔監視業務費ともに大幅に減額する提案を行ってきました。

 

その結果、最終的には遠隔監視業務費が従前の半額以下になり、年額75万円の剰余金が新たに生まれました。

 

(3)管理仕様の見直し

このマンションでは、管理仕様がやや手厚すぎる項目が見られました。

 

特に管理員業務は毎日8時間勤務となっているうえに、清掃員は別にスタッフが2名派遣されていました。

 

そのため、以下の項目について勤務日数・時間の変更に関するアンケートを実施した結果、7日勤務は維持したまま1日の勤務時間を2時間カットすることになりました。

 

その他、自動ドアや自家用電気工作物の点検頻度を若干減らす変更を加えた結果、年額86万円の剰余金が生まれました。

 

こうした3つの見直しを行った成果として、年額360万円の経済効果を実現することができました。

 

2. 修繕積立金の増額改定

このマンションの修繕積立金は、専有面積(㎡)あたり月額120円でした。

 

しかしながら、このマンションのために作成された長期修繕計画(30年)で逆算してみると、均等積立てで必要となる徴収額は、同278円です。

 <国交省のガイドラインにもとづいて試算すると、月額223円>

 

将来の資金不足を回避するには、管理委託費の適正化で得られる剰余金の繰入れを加味しても、現状比で@100円以上の増額が必要な状況であることがわかりました。

 

理事会で審議した結果、こちらも区分所有者の皆さんの生活に直結する重要テーマのため、当社のサポートのもと、現状の資金収支の見通しをお知らせするとともに、修繕積立金の増額に関するアンケートを実施することになりました。

 

その集計結果をもとに理事会で審議したところ、均等積立方式への移行はしなかったものの、@200円まで増額することを選択し、先日の総会で無事承認されました。

 

この水準まで増額しておけば、上記剰余金と合わせると実質@230円程度になるため、今後さらに2倍も値上げするような事態は避けられると思われます。

 

 

管理組合の財政は、管理費と修繕積立金という2つの会計で運営していますが、このマンションは2年でどちらも大きく変革することができ、当面の大きなリスクは解消されました。

 

皆さんのマンションは大丈夫ですか?

 

 <参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 


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「理事会の役員になりたくない」が8割超・・これがマンション管理組合の実態!

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「マンション・ラボ」というサイトで、貴重なアンケート結果が公開されていたのでご紹介します。

 

www.mlab.ne.jp

記事の概要は以下の通りです。

■ マンション住民約2,500名を対象に、『理事会運営』の実態についてアンケートを実施。以下は、質問とそれに対する回答状況。

 

■ 理事会役員の経験の有無について  

・「現在も含め経験あり」:59%

・「経験なし」:41%

 

 <役員経験者への質問>

■ 理事会の開催頻度、主な曜日・時間帯、所用時間

 ・「月1回」の開催頻度      :58%
・「土・日の午前中」の開催    :全体の約7割
・「1時間以上2時間未満」    :全体の約6割

 

■ 現在(もしくは過去)の理事会の主な議題やテーマ

トップ3は、

「大規模修繕工事」

「住民トラブル、マナー対策」

「管理費・修繕積立金の見直し」

 

■ 理事会運営にあたってのお困りごと

「住民への理事会活動の周知不足」

「意見がまとまらない、出てこない」

「毎回の理事会参加者が少ない」

「議案への対応に時間がかかりすぎる」

「高齢化などによる理事のなり手不足」

「理事会にかかる時間が長すぎる」

「管理会社の課題対応が遅い」

 

<役員未経験者への質問>

■ 理事会の役割や取り組みの内容をご存知ですか?
「知っている」:55%

 

理事会役員になりたい(なってもいい)と思いますか?
「なりたくない」:82%

 

■ 理事会役員になりたくない主な理由
「拘束されそうだから」「面倒臭いから」「忙しいから」
「よくわからないから」

 

 このアンケート結果は、私のこれまでの経験と照らし合わせても、とても納得のいくもので、管理組合の実態をよく反映していると感じました。

 

特に印象的だったのは、役員未経験者のうち「理事になりたくない」という回答が全体の8割超を占めているという結果です。

 

その理由は、アンケート結果にある「役員経験者の悩み」からある程度推測できます。

 

おそらくは、「理事会の役割・業務がよくわからない」中で参加しても、「意見が出ない、まとまらない」ため「所用時間がかかりすぎる」という事態が予想され、こうした「苦痛」を味わいたくないというのが役員就任が忌避される原因かと思います。

 

そのため、本記事のタイトルにもあるように、

「いかに理事会業務の効率化を図るか」という課題が浮かび上がってきます。

 

ただ、残念ながらそれは容易なことではありません。

 

マンション管理組合の役員は、自治会(町内会)やPTAのそれとと同じように扱われる傾向がありますが、一定の専門知識も必要です。

 

だからこそ、「マンション管理士」や「管理業務主任者」という国家資格が存在するのです。

 

にもかかわらず、

理事会役員を1年毎の輪番制で慣例で運用しているマンションがもっぱらでしょう。

 

そのため、役員就任から1年経過してようやく知識も増え慣れてきたところで全員が「お役御免」となりリセットされてしまいます。

 

その結果、理事会のマネジメント力は一向に改善されないという状況が繰り返されます。

 

プロのマンション管理士の立場から言わせてもらうと、

管理組合の運営は「資産管理会社の経営」と同じだと考えています。

 

多くのマンションでコンサルティングしていると、どの管理組合もアンケート結果のように概ね類似した課題を抱えていることがわかります。

 

そのため、別のマンションで課題を解決した時に得られた知見を、他のマンションにも活用することができるのです。

 

そして、

専門知識を持つ外部プロフェッショナルの活用こそが、役員就任のトラウマを解消し、「理事会業務の効率化」ならびに「課題の早期解決」につながると思います。

 


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携帯基地局の設置は、マンション管理組合の副収入として有難い!

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ネットマガジンの「日刊 住まい」で、先日マンションに関する興味深い記事を見つけました。

 

sumaiweb.jp

本記事は、都内にある築古の賃貸マンションのオーナーさんが、日常の運営管理に関する自身の体験談を連載しているブログです。

 

漏水問題や修繕工事への対応といった、分譲マンションでも起こりうる事象について良い意味で「素人目線」で説明されていて、管理組合にとっても役立つ記事だと思います。

 

さて、今回取り上げる記事ですが、その要約は以下の通りです。

・ある日電話で「御宅のマンションの屋上に携帯基地局のアンテナを建てさせてもらえないか」という営業を受けた。


・営業の担当者と面会したところ、「通信会社は携帯電話の電波を安定的に供給するため、拠点となる基地局を建てる場所を探している」とのこと。

・営業担当者の説明は以下の通りだった。

「携帯基地局はある程度の重量があるうえ高さも必要なので、ふつうの木造の個人宅の上には建てられない」

「分譲マンションはだいたいの場合、電磁波が出るというだけで警戒される方も多く、総会で否決されてしまう」

「賃貸マンションはワンオーナーなので決断が早いので、積極的に営業している」

「お住まいのエリアの家賃相場を基準に、屋上にお借りする面積に比例した金額を支払う」

 

・なお、設備のメンテナンスは通信会社が責任をもって行ううえ、アンテナに使用する電気代も負担するとのこと。

 

設置にかかるスペース代は年間30万円ほど、不労所得としてはかなりありがたい副収入になる

 

・ただし、基地局は200キロ程度の重量があり、屋上に設置した場合はそれなりの荷重がかかることが心配だと伝えると、「通信会社にて事前に検査して、建物の構造負荷を超える可能性がある場合は辞退させてもらう」との説明があった。

 

・その後、検査結果として「構造検討書」を受け取り建物に対する構造的な負荷については問題がないことを確認。安全面での見通しも立ったので設置に向けて動き、工事開始から1か月ほどで設置工事が完了した。

 

・現在も何事もなく稼働しており、設置前と後で何ひとつ変化はない。また、メンテナンスも年1回なのでこちらの手間もかからない。

 

・この話を聞いて「うちも設置したい」と思うかもしれないが、残念ながら携帯基地局の設置はオーナーの側から売り込むということはできない模様。あくまで通信会社が独自に検討した基準を満たす箇所に設置の提案をするとのこと。

 

実は、今年の話ですが、私が関わっている都内の投資用マンションでも本記事と同じような経緯で基地局を設置しましたので、その経験談をご紹介しましょう。

 

まず、事前に対象エリアや周辺環境、設置したい建物の構造・階数・規模などの要素を考慮してターゲットとなる物件候補を通信会社がセレクトします。

 

設置対象としては、タワーマンションのような超高層タイプはNGで、10階建前後の敷地の広いマンションの方が好まれます。

 

また、通信電波の送受信を円滑に行うために、小高い丘陵地が適しています。

 

そして、通信会社の「代理」と称する「専門の営業会社」が窓口になって説明や条件交渉、事前調査、設置工事などを行います。

 

まずは、理事会で概要について説明を受け、前向きに進める場合、本記事の通り建物の構造に問題がないか検査を実施させてほしいとの申し出を受けます。

 

構造的に問題がないことを確認できると、いよいよ条件交渉に入り、総会決議を経てはじめて契約締結が可能になります。

 

以下、その手順をご紹介します。

 

(1)基地局の設置場所と箇所数の確認

屋上部に設置しますが、具体的にどこに何台設置するのかを確認します。

 

屋上の防水床に直接設置するよりも、ペントハウス(エレベーター機械室)やパラペット(笠木部分)にアンテナを設置してもらう方が漏水リスクが少なくなるため安心でしょう。

 

<基地局設置後のイメージ>

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また、電気室からの配線について、外壁面に這わせるなど露出するパターンが一般的かと思いますので、美観上問題がないかチェックが必要です

 

なお、通信会社が負担すべきアンテナの電気量を個別に計測できるよう、メーターは別途設置してもらいましょう。

 

(2)賃料条件の交渉

通信会社が支払ってくれる賃料ですが、基本的に「屋上に設備を設置する際に占有する面積に応じて設定する」との説明がなされると思います。

 

そのうえで、本マンションの場合には当初「周辺の駐車場料金相場でどうか」との打診がありました。

 

ただ、向こうから申し出を受けている立場としては、原則としてこちらが「強気」の姿勢に出ても問題はありません。

 

そのため、このマンションの場合には、「基地局の設置料金は駐車場の周辺相場と何ら関係性はないはずで、あくまで需給関係によって決めるべきだと思う。本気で基地局を設置したいならその意欲を条件で示すよう再検討してほしい」とネゴを行いました。

 

その結果、設置料金については当初の提示額からかなり上げてもらうことに成功しました。

 

(3)契約条項の確認

通信会社と締結する、基地局設置許諾契約の条文についてチェックしたところ、先方の損害賠償責任について明確にするために、以下の条文を追加してもらいました。

<通信会社>は、本設備にかかわる機器、設備の破損または落下等により、許諾者及び本物件の居住者、通行人を含む第三者並びに本物件に損害を与えた場合、相当因果関係の範囲内の損害を賠償するものとする。

 

万が一、暴風などによってアンテナの落下・破損等に伴い、第三者やその所有する財物に損害を与えた場合でも、管理組合は一切責任を負わず、通信会社が負担することを明記してもらいました。

 

(4)住民説明会の開催

総会に上程する前に、住民向けの説明会を開催しました。

 

本記事にもあるように、電磁波による健康リスクや設備破損時等のリスクへの対応などについて不安を感じる住民が出ることは避けられないからです。

 

事前の説明会の開催は必須条件と考えた方が良いでしょう。

 

(5)臨時総会の開催

屋上に第三者の所有する設備を設置するわけですから、「共用部分の大きな変更」として総会決議はもちろんのこと、「特別決議事項」に該当すると思います。

 

なお、特別決議事項については「区分所有者全体」の4分の3以上の賛成が必要となりますからご留意ください。(当日の出席者数が母数ではありません!)

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 
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滞納管理費の督促の仕方が悪いと、マンション管理組合が訴えられる!?

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10月13日付の日経新聞に、「マンション管理費滞納どう対応? 法的措置を粛々と」という記事が掲載されていました。

 

www.nikkei.com

「自宅マンションで長期間にわたって管理費を滞納している住民に対してどのような対策をすればよいか?」という質問に対して、弁護士が回答しています。

 

管理組合としてぜひ知っておきたい重要な点も含まれているので、ご紹介します。

 

■ 多くの管理組合では、以下のように滞納への対応ルールを定めている。(1)滞納が3ヶ月以内

文書・電話・訪問等による督促を行う

(2)滞納が1年程度

理事長が滞納者に対して支払督促や少額訴訟等の法的措置を講じる

(3)滞納が1年超

弁護士に依頼して通常訴訟を提起する


■ 上記のような対応に加え、滞納者に対してペナルティーを与えるケースも見受けられる。例えば、一定期間以上管理費を滞納した区分所有者の氏名をマンションの掲示板に張り出すようなケースがある。しかし、これは「自力救済禁止の原則」から問題があるうえ、氏名の公表は名誉毀損行為として不法行為が成立する可能性もある。

 

■ その他にも、電気・ガス・水道を管理組合で一括して契約しているマンションの場合は、滞納者に対する電気・ガス・水道の供給を停止したという事案もある。しかし、このような供給停止は、滞納者に対する不法行為に当たるとして管理組合に損害賠償の支払いを命じた判例もある。

 

■ このように、管理費滞納者に対してペナルティーを与えることは、そのこと自体が不法行為となってしまう可能性があるため、支払督促や訴訟の提起といった法的措置を講じて粛々と対応すべきだ。

 

(1)「自力救済禁止の原則」とは?

本記事で取り上げられている「自力救済禁止の原則」については、あまり認知されていないので、補足のため解説しておきます。

 

「自力救済」とは、自己の権利を侵害された権利者が、法律の手続きによらずに実力行使で自己の権利を実現することです。

 

日本を含む近代国家では、自力救済は原則として禁止されています。

 

自力救済を認めると過度の暴力が用いられたり、権利がないのに実力行使がなされたりといったことが起こりかねず、社会秩序の維持が難しくなるからです。

 

たとえば、

自転車を貸して相手がなかなか返してくれない場合に、相手の家に行って勝手にその自転車に乗って帰ることは自力救済にあたります。

 

たしかに、自転車の所有権を持っているのは自分ですが、自転車は貸した相手に「占有」されている状態です。


法的に言えば、占有しているものはその占有者の財物とみなされ、たとえ真の所有者であっても占有者に無断で持ち帰ったりすると不法行為(窃盗罪)に問われる可能性があります。

 

管理費のような管理組合にとって債権を回収する場合も同様で、相手先に押しかけて暴力や脅迫と受け取られるような請求を行うことは自力救済=不法行為とみなされる可能性があるのです。


このようなリスクを回避するには、(多少お金がかかっても)弁護士等に依頼して粛々と法的措置を取った方が安全ということです。

 

なお、マンションによっては管理費の滞納を理由に、駐車場等の専用使用契約を解除できる旨あらかじめ管理規約に定められているケースもありますが、これは法的にまったく問題ありません。

 

ただし、契約解除された後も当該滞納者が駐車場を明け渡さないことが考えられます。

 

このような場合、たとえば管理組合がその車両をレッカー移動したりするのは、上記の通り「自力救済」に該当するのでNGです。

 

レッカー移動によって車両の使用を制限したということで、逆に滞納者から損害賠償請求を受ける恐れがあります。


管理組合としては、駐車場の明け渡し請求訴訟を提起のうえ債務名義(勝訴判決)を取得後、裁判所にレッカー移動等による車両の排除(=強制執行)を申請するのが「正しい」手順となるのです。


(2)滞納者へのペナルティが不法行為に該当するケースとは?

滞納者の氏名や、滞納の事実及び滞納期間等をマンション内で公表するのは、名誉毀損=不法行為に該当するのでしょうか。


本記事の解説と異なりますが、判例によれば、長期間にわたる滞納については、不法行為の成立を否定するケースもあるようです。

 

たとえば、6ヶ月以上の滞納者が実名を公表されたとして、不法行為に基づく損害賠償請求をした事案では、「長期間にわたって管理費等の支払を怠っている」事実をふまえ、「管理費等の自発的な支払を事実上促す措置として、長期滞納者の部屋番号と名称を館内に掲示することが違法とまではいうことはできない」と請求が棄却されています。

 

<参考サイト>

schoolformkk.com

 

ただ、管理組合の理事として行った行為は、理事個人としての不法行為にもなり得るリスクもあるため、公表については慎重に判断したほうが良いのは確かなようです。

 

また、滞納の理由が、本人の失業・疾病等に伴う純粋に経済的な事情なら、氏名公表による督促の効果も期待できないと思います。

 

いずれにしても、督促や示談交渉を通じて長期滞納に至った理由を把握したうえで、慎重に対処することが大切です。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 


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マンション管理費の滞納問題が深刻になる前に、管理組合役員が知っておきたいこと

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顧問先のワンルームタイプの投資用マンションではすでにその傾向が現れていますが、最近ではいわゆるファミリータイプでも長期の滞納者が出始めています。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 滞納期間が3ヶ月を超える場合は、「うっかり失念」ではなく「確信犯」と考えてまず間違いありません。

 

しかしながら、滞納の初期段階では、管理会社も未納の理由すら確認せず放置しているケースも少なくありません。

 

その結果、やがてそれが長期間の滞納に発展し、その後の回収にも時間や手間を要する事態に陥いる傾向が見られます。

 

じっくり読み込んだ方は少ないと思いますが、

管理組合の「ルールブック」である管理規約には、以下のような内容が定められているのが一般的です。

 

支払期日までに管理費等を納付しない場合は、その未払金について「遅延損害金」(年利14%)ならびに「違約金」として弁護士費用、督促ならびに徴収の諸費用を加算して請求できる。

 

管理費の納付は「前払い」になっているケースが多いですが、その場合たとえば10月分の管理費は、9月末日が規約で定められている期日となります。

 

したがって厳密に言えば、未納となった場合はその期日から起算して高金利の遅延損害金を請求できることになっています。

 

ところが、管理会社から「規約にもとづいて遅延損害金を請求しましょう」という提案は少なくともこれまで聞いたことがありません。

 

もちろん、1、2ヶ月間の「うっかりミス」は起こりうることなので遅延損害金まで請求するのは行き過ぎでしょうが、滞納期間3ヶ月を超える確信犯に対しては請求してもよいのではないかと思います。

 

と言うのも、滞納者の側に立って考えると

・納付期日から遅れても、うるさく督促されない

・遅延損害金(金利)も請求されない

と、管理組合の運営実態がとってもユルイがゆえに軽んじられやすいからです。

 

次に、滞納者に対してすでに督促しているものの、本人と連絡が取れず一向に支払われないというケースもあります。

 

その場合、管理組合役員を含めて「管理会社に任せておけばいいんでしょ?」と考えている方が大半だろうと思われます。

 

しかし、それは大きな「誤解」です。

管理会社との委託契約書には、このように定められているのが一般的だからです。

 

① 滞納者に対して最初の支払期限から◯ヶ月の間、電話、メール、督促状または自宅訪問(当マンションの居住者に限る)などのいずれかの方法により、支払いの督促を行う。

 

②上記①の方法で督促してもなお滞納管理費が支払われない場合は、管理会社はその業務を終了する。

 

管理会社が行う督促期間である「◯ヶ月」に入る数字は、「6」が一般的だと思います。

 

また、「業務が終了する」という表現についてはかなり事務的な印象が強いですが、「管理委託費の枠内で行う業務範囲」ということを意味しています。

 

つまり、それ以降は、組合の判断で有償(追加費用)での対応、あるいは弁護士の起用を含めて法的な措置をとってくださいということです。

 

したがって、契約の範囲内で管理会社が督促対応してくれるのが滞納期間6ヶ月間までとすると、滞納者が「確信犯」と判明してから実質4ヶ月程度しか残っていないことになります。

 

こうした事情からも、管理費の滞納問題はなるべく小火(ボヤ)の段階で消火活動を行って確実に回収することが大切です。

 

そのため管理組合としては、初期段階での滞納理由の見極めと、管理規約に則って「確信犯」を判断した場合の遅延損害金の請求については速やかに行っていくことをお勧めします。

 

<参考記事>

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 


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「現代ビジネス」に執筆記事が掲載されました!

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昨日、「現代ビジネス」に執筆した記事が掲載されました。

 

「マンションの共用施設を見れば「損か得か」一瞬で判断できるワケ」

 

gendai.ismedia.jp

<内 容>

(1)「ホテルライク」である必要はない!
(2)こういう設備・サービスは「損」をする!
(3)「得」する設備・サービスはこちら
(4)実は「リスク」だらけのタワマン

 

至れり尽くせりの豪奢な仕様と巧みなセールストークに魅了され、新築でマンションを購入した時点では満足度も最高潮に達します。 

 

しかし、それから10年も経つと「これって本当に必要なの?」と思わざるを得ない設備やサービスがあることに気づき始め、サービスの見直しや廃止の対象になる事例も耳にします

その理由は、マンションを購入した瞬間から、管理や修繕等に関する経済的負担をどうするか、という「不都合な現実」に直面するからです。

 

新築販売時の魅力的な謳い文句や世間的な人気に惑わされて、結果的に高い買い物をさせられないためには、マンションには維持管理費がかかるという「不都合な現実」から目を背けず、長期的な視点に立って冷徹な判断を下すことが大切だと思います。

 

これまで数多くの様々なマンションについて財政状況を診断してきたコンサルタントの立場から、マンションの設備・サービスとして本当に必要なものとそれほどでもないものとを選り分けて整理しました。

 

また、タワーマンションの実データを参考に、通常のマンションと比べていかに維持管理に大きなコストがかかっているかを紹介しています。

 

なお、タワマンについては、そのほかに2つの「リスク」についても留意する必要があることも指摘させてもらっています。

 

ぜひご一読ください。

 

 

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