マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

侮れない!新電力への切替えによるコスト削減効果

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2016年の4月から電力小売りが全面自由化され、ガス会社、通信会社や管理会社などの異業種企業もこぞって「新電力」に参入しています。

 

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ただ、全般的に無関心層の多いマンション管理組合ではまだまだし新電力への切り替えは行われていないのが実情です。

 

しかし、です。

 

当社がコンサルティングしている管理組合では、

複数の新電力から相見積もりを取得したところ、予想以上に料金削減ができることがわかりましたのでその一部をご紹介します。

 

 

【ケース1】 東京都76戸の場合(低圧電力 受電先:東京ガス)

 

この管理組合はすでに「東京電力」から「東京ガス」に切り替え済みで、現在210万円の電気料金を支払っています。

 

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しかしながら、新電力3社から見積もりを取ったところ、さらに最大10%の削減ができることがわかりました。

 

ちなみに、

基本料金が下げられる「電子ブレーカー」がまだ導入されていないのですが、導入によってさらに年間20万円弱の削減が可能であることもわかりました。

 

<参考記事>

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

【ケース2】 神奈川県90戸の場合(高圧電力 受電先:東京電力)

 

こちらのマンションは共用部の電力を高圧で受電しています。

そのため低圧に比べると3割くらい料金単価が安くなっています。

 

そのため、以前は高圧電力の場合、新電力に切り替えても料金はほとんど下がらないと言われていました。

 

しかしながら、先般相見積もりを取得したところ、各社とも10%近い削減効果があることがわかりました。

 

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 今年の10月から、いよいよ消費税率が10%に改定される予定です。

 

当然ながら、

各マンション管理組合も漏れなくこの増税の影響を受けることになります。

 

そのショックを緩和するためにも、

新電力への切替えを検討されることをお勧めします!

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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マンション保険料が大幅増額改定につき、急遽「臨時セミナー」開催のお知らせ

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突然ですが、

今年10月からマンション保険料の増額改定が予定されていることをご存知ですか?


しかも、今回は全損保一斉の改定になります。

 

今回の値上げは大々的で、保険料が大幅に上がるそうです。

 

したがって、今年もしくは来年あたりに契約更改を迎える予定の管理組合さんは要注目です

 

と言うのも、たとえ来年の更改予定であっても、増額前に先行して更改しておけば、保険料の負担増を4年くらい遅らせることができるからです。

 

また、5年分の保険料を一時払い済みでも、未経過期間の保険料は返還されます。

 

ただし、増額後の保険料を計算できるのが、今月からと言うから遅すぎる!!

 

多くても月1回の理事会を開催するに過ぎない管理組合の時間軸にまったく合っていません。
 

保険代理店も兼ねている大手管理会社もすべての管理組合にはとても告知しきれないものと予想します。

 

顧問先の管理組合さんには逐次ご連絡し、対応につきご提案していますが、一般の管理組合さんは自らが主体性をもって取り掛からないと、みすみす高い保険料での更改を余儀なくされることになってしまいます。

 

そこで、弊社では急遽今月セミナーを開催し、保険業界の最新動向と保険料の改定見通しをお知らせするとともに、管理組合の取るべき対策についてご案内することとしました。

 

  

先着10名様のお申し込みを受け付けております。お早目にご応募ください。

 

【日時・会場】

令和元年  7月 27日(土) 

13:30~15:00

 

LEAGUE 地下1階 ミーティングスペース

東京都中央区銀座3-11-3

東京メトロ「東銀座」駅歩2分 「銀座」駅歩5分 

 

 

 

【参加料金】

 お一人様  2,000円(税込) 

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方

弊社に個別にご相談いただける方

 

【内 容】

1. 講 演 

(1)最新の保険業界の動向と保険料の増額改定の見通しについて

マンション保険を取り巻く最新情報と管理組合のとるべき対策などについて、以下のテーマで損害保険会社担当者様から講演いただきます。

 

・保険料の増額改定を決断した業界事情について
・今年10月からの改定の見通し(築年別)
・中途更改することが望ましいマンションとは?
・保険料負担の軽減のために管理組合として打つべき対策は?

 

<講 師>
日新火災海上保険(株) 経営企画部グループ長 植木 宏文氏

 

(2)マンション管理適正化診断のススメ

「マンション管理適正化診断」とは、管理組合の運営全般が適正に実施されているかどうかをマンション管理士が客観的に診断し、その結果をポイントに換算して評価する無料のサービスです。

 

具体的に、「どのような診断項目を行うのか?」「なぜその診断が必要なのか?」「診断を受けるにはどのような手続きが必要か?」「なぜ無料なのか?」についてわかりやすく解説いたします。

 

また、この診断の結果に応じてマンション保険料の割引きが受けられるというメリットがあります。

 

高経年マンションで保険料の増額リスクに直面している管理組合はもちろん、まだこの診断を受けたことのない組合役員さんはぜひ知っておかれるとよいでしょう。

 

<講 師>
(株)マンション管理見直し本舗 代表取締役 村上智史 

 

2. 個別相談会(※希望者のみ)

講演終了後、個別のご相談も承りますので、事前にご予約ください。

 

【お申込み方法】

弊社サイトの問合せページから「セミナー参加希望」と明記のうえ、マンション名、連絡先等を記載してお申し込みください。 

  

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「管理組合理事による3千万円着服事件」から学びたいこと

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6月25日に、マンション管理組合の元役員が多額の着服で逮捕されるというニュースが飛び込んできました。

 

news.biglobe.ne.jp

 

事件の概要は以下の通りです。

■ 警視庁は25日、マンション管理組合の口座から約2000万円を引き出して着服したとして、業務上横領の疑いで、元会計担当理事(女性 76歳)を逮捕した。

■ 元理事は、100回以上にわたって計約3600万円を着服したとみられる。

■ 元理事は、平成25年1月から26年12月にかけて、東京都江東区にあるマンションの組合名義の口座から、52回にわたって預金を引き出した疑いがある。

■ 元理事は「家族と経営していた会社の運転資金に使った」と説明している。

■ 警視庁によると、元理事は10年から管理組合の会計担当理事を務めていた。28年7月以降、通帳を持ったまま行方不明となったため、組合理事長が通帳を再発行して着服が発覚したという。

 

ニュースの見出しでは、元役員の着服額は2千万円となっていますが、記事本文を読むと実際の着服額は合計3千万円を超えるようです。

 

このマンションでは、8年以上の間、預金残高と決算数値の照合すらきちんと行われていなかったものと思われます。

 

管理組合の定期総会では、過去1年間の会計報告を必ず行うことになっていますが、その際、預金先銀行の発行する残高証明書を添付のうえ 貸借対照表の預金残高と齟齬がないかを確認できるようにしています

 

管理会社が会計事務を受託している場合には、決算書の正当性を立証するために必ず実施するはずです。

 

この管理組合では、どうやらその照合作業を行なってなかったと推測されます。

それは、おそらく「自主管理方式」で運営していたからではないかと考えます。

 

築年数の古いマンションの中には、

理事長(あるいは会計理事)が毎月の入金確認や滞納があった場合の督促だけでなく、決算書の作成までを行なっているケースも見られます。

 

ただ、残高証明書を入手するには、預金口座のある銀行すべてに赴く必要があるうえ各銀行ごとに手数料もかかるため、つい省略してしまいがちです。

(預金通帳のコピーがあれば十分、と考える人もいます)

 

その場合には、残念ながら決算の粉飾計上も容易になってしまいます。

 

さらに言うと、

役員のなり手不足というありがちな事情から、長期にわたって理事長や会計理事が同じ人物のまま変更がない場合はさらにリスクが高まります

 

少しの労を惜しんだり性善説に立って考えることが、致命傷になりかねないことを肝に命じなくてはなりません。 

 

 

自分の大切な財産がしっかり保全されているか確認するには、

定期総会で決算書を漫然と眺めるのではなく、残高証明書等の必要な証憑も漏れなく添付されているか必ずチェックしましょう。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 
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意外に多い?マンションのズサンな長期修繕計画

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顧問先以外の「初めまして」の管理組合さんを対象にマンション管理適正化診断を実施していると、その長期修繕計画の内容に問題があることに気づくことがあります。

 

長計の標準書式や作成方法については、2010年に国交省がリリースしたガイドラインで詳しく解説されています。

 

そのガイドラインから、

長計作成上注意すべき重要なポイントを抜き出すと、以下のようになります。

 

■ 長期修繕計画は、将来予想される修繕工事等を計画するとともに、その必要な費用を算出し、月々の修繕積立金を設定するために作成するものである。

 

しかしながら、現状では計画期間の不足、推定修繕工事項目の漏れなどによる不適切な内容の長期修繕計画が見受けられる

 

■ また、設定する修繕積立金の額も十分でないこともあり、計画修繕工事の実施時に、修繕積立金の不足が生じる原因となっている。

 

計画修繕工事の実施時に修繕積立金が不足することがないよう、多額の推定修繕工事費が見込まれる年度を含むよう計画期間を設定する必要がある。(新築時は、経年が30年程度において実施が見込まれる昇降機設備、給・排水設備の取替えなどを含めた期間以上とする。また、大規模修繕工事が2回以上含まれる期間とする)

 

■  計画期間内に修繕周期に到達しない修繕工事がある場合、(例えば、「建具関係」の取替は、修繕周期が36年程度のため新築時の計画では対象外となる)「修繕周期に到達しないため推定修繕工事費を計上していない」 旨を明示する。

 

しかしながら、
現実にはこのガイドラインに反する長計に遭遇する頻度が少なくありません。
 
その中で最も多いのが、給・排水管の更新費用を見込んでいないというケースです。
 
ポンプの交換工事費用は見込んでいても、配管の修繕費用を計上していない。
 
あるいは、更生工事(延命のためのライニング実施)の費用は見込んでいるものの、配管の交換費用までは見込んでいないというケースも多いです。
 
中には「悪質」と思われるケースにも遭遇したことがあります。
 
都内の某タワーマンションでは、現状の低い修繕積立金の徴収額でも計画期間中の資金収支が黒字になっていました。
 
その点が不可解だったため、管理会社が作成した計画の前提条件を精査したところ、計画期間の最終年度の翌年に総額10億円あまりの設備更新工事がごっそり計上されていることがわかりました。
 
 
<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 理由は確認できませんでしたが、おそらくデベロッパー系列の管理会社も修繕積立金の増額提案をなるべく先送りしたかったからではないでしょうか。

 

こういうのを「長計の粉飾」と呼ぶのでしょう。
 
性善説にしたがってこの計画を信じた組合は、将来突然資金不足に直面するリスクがあるわけです。
 
ご自身の管理組合の長期修繕計画は大丈夫ですか?
一度確認してみてください。
 
とは言うものの、
管理組合自身ではなかなか無機質な数字が並んだ長計をチェックしてみる気にはならないものです。
 
そのような場合には、マンション管理適正化診断サービス(無料)を活用すれば、診断資格を有するマンション管理士が代わりに確認してくれます。
 
ぜひ一度お試しを!
 
 
<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 
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週刊エコノミストの「マンション管理の悲劇」を読んで

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最新の週刊エコノミスト(6月18日号)では「マンション管理の悲劇」と題した特集が組まれています。

 

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主だった内容は、

1)マンションの管理不全を防ぐために自治体に広がる監視制度

2)高齢の区分所有者の死亡に伴う滞納や相続放棄の問題

3)廃墟と化したマンションに対する行政代執行の事例

4)新築時の施工不良チェックの勧め

5)高騰したマンション価格の今後動向について

といったところです。

 

ひと通り目を通しましたが、他誌の類似の特集ではあまり見かけないテーマとして、4)の「新築時の施工不良チェックの勧め」は押さえておくとよいと思いました。

 

記事の要約は、概ね以下の通りです。 

住宅品質確保法(品確法)では、以下を対象に物件引渡しから10年間、売主が瑕疵担保責任を負うことが義務付けられている。

構造耐力上主要な部分

(柱、梁、耐力壁、基礎、地盤、土台などの構造躯体)

雨水の侵入を防止する部分

(外壁や屋根の仕上げ、下地、開口部など)

 

■ 上記の法律に加えて、デベロッパーなどが加入している(一般社団法人)不動産協会が定めている「中高層住宅アフターサービス規準」もある。これは、一定の不具合があれば売主等が無償で補修する内容を定めたもので、建物の部位ごとにサービス期間(最大10年)を設けている。

 

■  ところが、一般的なマンションの場合、築12年目以降に大規模修繕工事を実施することが多いため、その時点で瑕疵や不具合が発覚しても「時すでに遅し」で売主等に補修を請求することが難しくなる。

 

■ このため、築10年を経過するまでに、建築士などの外部専門家を入れて調査診断を実施することを勧める。

 

先日も、ある管理組合の役員さんから、「築10年以前に発覚した最上階住戸の雨漏り問題が現在も解決に至らないまま続いているが、このままでは保証期間が終了してしまう。どうすればよいか?」というご相談を受けました。

 

管理組合でありがちなのは

・管理組合を通さずに区分所有者自身が個別に売主に相談しているケース

・売主や施工会社に対してのみ補修の相談や依頼を行なっているケース

というパターンです。

 

しかし、これでは残念ながら本当の問題の解決に至らないリスクがあります。

 

特に雨漏りなどの現象は、構造躯体を含む共用部の不具合が原因である可能性が高いです。

 

したがって、漏水発生箇所が専有住戸内であっても、管理組合にまず現況を報告してマンション全体の問題として認識することが大切です。

 

その際、すぐに管理会社に相談しがちですが、売主のデベロッパー系列会社の場合には、利害相反の関係からなんとなくスルーされるなど、真摯な対応がなされない場合がありますので注意が必要です。

 

また、売主が対応してくれた場合でも、記事でも紹介されているように、

「施工自体には問題はなく、経年劣化が原因」と抗弁されるケースが多いでしょう。

 

そのため、外部の調査会社や建築士などの専門家を導入することが有効だと思います。

 

しかし、別途費用がかかるため、

予算を新たに計上したり、そのために総会を開催しなくてはなりません。

 

そのため、手間を惜しんで導入に消極的になる管理組合が多いのが実情です。

 

ただ、記事でも紹介されているように、コンクリート内部の鉄筋が破断していたり、耐震スリット(緩衝材)が入っていないなどの施工当時の重大な欠陥も見つかる場合があります。

 

実際に、昨日の新聞記事でも大和ハウスが販売した分譲マンションにおいて、耐震スリットの設置を失念していたために売主自ら補修を行なったという事案が発生しています。

 

<参考記事>

www.asahi.com

本件については売主の自主検査で発覚したようですが、管理組合が自ら発見した場合には、民法上の「不法行為責任」を売主に追及することができます。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

なお、漏水の原因調査については、マンション共用部で加入している損害保険でその費用が賄えるのが一般的です。

 

こうした知識は、組合役員さんならぜひ押さえておきたいものです。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

    
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マンションの組合総会が紛糾しないための予防策 それを実践するのは「誰」か?

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6月3日付のダイヤモンド・オンラインで、「マンション管理組合が、紛糾しがちな「総会」を成功させるための合意形成術」と題する記事が掲載されていました。

 

diamond.jp

本記事の要約は以下の通りです。

■ 組合総会ですんなり通ると思っていた議案が、思わぬ反対意見の登場で否決されてしまうことも少なくない。その原因は、「合意形成」の失敗によるところが大きい。

 

■ 管理組合は、会社組織のような上下関係のない、メンバー横並びの「文鎮型組織」である。参加メンバー間での力関係の差がないがゆえに、逆に組織を円滑に運営していくのは容易でない。

 

■ しかも百人百色の人がいる管理組合という文鎮型組織を動かし、合意形成を図るためには、その手続きを踏むための独自の手法や戦略が必要なのだ。

 

■ 合意形成を図るための4つのポイントを以下紹介する。
(1) 広報活動
・総会が紛糾する原因の1つに、日常の「広報不足」がある。理事同士は問題を共有していても、区分所有者はその問題を認識できてない状態にある場合、心理的に反発を招いてしまうからだ。

・一般の区分所有者にも正しく問題を認識してもらうための広報活動として、理事会の議事録を毎回公開することはもちろんだが、A4サイズの用紙1枚でもいいので年に数回程度広報誌の発行を行うことを勧める。

・特に重要な議案がある場合には、総会の数ヵ月手前から複数回、議案やそれに関する情報を掲載する。そうすることで事前に議案を周知したという証拠にもなるし、理事会の説明責任を果たしたことにもなる。


・また、地道な広報活動が功を奏して管理組合や理事会の活動に関心を持つ区分所有者が増えるため、総会や説明会の出席率アップにもつながりやすい。
 
(2)説明会
・重要な議案や複雑な議案を上程する場合には、事前の説明会開催は必須である。

・総会の予行演習にもなるし、仮に理事会の方向性が間違っている場合には、そこで反対意見などが出てくるので、議案の作成について軌道修正を図ることもできる。
・また、説明会を行うことで、周知徹底を丁寧にしたという証拠にもなる上、区分所有者の「ガス抜き」の場になるという効果もある。
・口頭での説明だけでなく、資料やスライドを使うなど、丁寧な説明を行うことが望ましい。

 

(3)アンケート
・アンケートは区分所有者全体の意見を集約するためというよりも、「理事会で決めたことを啓蒙するための手段」として活用できる点にこそメリットがある。
・アンケートを集計して、その意見によって物事を決めるというのであれば、理事会や専門委員会は不要になるからだ。
「区分所有者の民意を反映した」という証拠にもなるため有益だ。

 

(4)専門委員会・プロジェクトチーム
・例えば大規模修繕工事や管理規約の改正などは大きなテーマだが、任期の短い理事にとっては負担の大きなテーマであり、どうしても楽な方法や簡単に決定できる方法を選択しがちだ。

・反対意見が出ることが予想される事案、議案検討に時間を要する事案、あるいは専門的な知識が必要な事案などの場合は、それに特化した専門委員会やプロジェクトチームを設置するとよい。

・専門委員会やプロジェクトチームを作っても間違った方向に進む可能性はあるが、その場合は理事会がそれを牽制する働きをするので、やはり重要なテーマについてはそれを継続的に検討する機関を設けるべきだ。

・委員やチームのメンバーには、モチベーションアップのために「あめ」を用意してほしい。たとえば、1回あたり1000~2000円程度でいいので会議費として予算をとって、会議の際には弁当や飲み物を出す。ユニークな事例としては、理事になる輪番をスキップできるという「あめ」を付与しているマンションもある。
 
■  理事会がこうした手法をとるために大きな助けとなるのが「仲間作り」だ。「こんなマンションを目指しましょう」という合言葉を作って思いを共有し、1人ひとりが自分自身の課題としてとらえ、アイデアを出し合って協力し合う組織を目指してほしい。

 

■  そういう理事会の姿勢が、やがてはマンション全体のコミュニティー意識を高め、資産価値の向上にもつながってくる。

 

記事の内容は、いちいちご尤もであります。

 

管理組合役員向けの「テキスト」という意味では、申し分のない内容だと思います。

 

現状では、こうした教科書的なものすら世の中に存在しないので、管理組合の役員さんや一般の区分所有者にとって貴重なのは確かでしょう。

 

ただ、教科書の内容を理解できても、その内容を実践できるかどうかは別問題です。

 

たとえば、

輪番制の理事会では重要テーマや専門性の高いテーマは扱いきれないので、専門委員会を設置しようというのは紛れもない「正論」です。

 

ですが・・

専門委員の募集をしても立候補が皆無、というのが管理組合の抱える「現実」です。

 

それは、専門知識、情報共有、コミュニケーション・・云々以前の問題として、

管理組合の仕事を「わが事」と認識していないことが根っこにあるからです。

 

たいていの区分所有者は、管理会社が組合業務を適切に代行してくれるものと思いこんでいます。

 

それには、管理会社がマンション分譲主の系列会社であることも多分に影響しているでしょう。

 

それゆえ、組合の運営実務を管理会社に「丸投げ」してしまいがちなのです。

 

その結果、多くのマンションでは以下のような現象が生じています。

・組合役員の就任依頼が来ても、多忙を理由に拒否

・理事会や総会の議事録作成は、管理会社にお任せ

・管理費滞納や設備の不具合にも管理会社が適切に対応してくれるものと盲信

・修繕積立金が将来不足しそうでも増額プランに反対

・駐車場の空きが増えても無関心

 

こうした管理組合の「実態」を放置せずに、本記事に掲げるような適正な組合運営を行っていくには、まずこうした実態に対して危機感を持つリーダー的な存在が必要です。

 

こうしたリーダーが生まれる素地・環境づくりをどうやって作るのかが重要であり、もっとも厄介な問題なのだと思います。

 

また、専門知識のないリーダーをサポートする役割としてマンション管理士などのアドバイザーの存在も同時に不可欠になってくる、というのが私の考えです。

 

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

           f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

 

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NHKクロ現+ 「都会のマンションに異変!」を観ましたか?

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5/31に放送されたNHKの「クローズアップ現代+」では、マンション管理組合の運営リスクに関わる最新の状況が取り上げられていました。

 

www.nhk.or.jp

 この番組は概ね以下のような内容でした。

■ マンションの空室が増加傾向になる中、所有者不明や管理費滞納の問題が発生している。東京都新宿区にある築30年以上のマンションでは、空き部屋の所有者が管理費などを4年半も滞納していた。理事長はマンション管理士に助けを求めたところ、部屋の登記簿を通じてようやく所有者の親族を探し当てることができた。

 

■ その所有者の親族によると、4年前に所有者が地方の実家に帰った後にその部屋の管理を任されたとのこと。所有者本人に売るつもりがないため、そのままにしているという。この管理組合では、所有者の親族と滞納されている管理費の支払いについて協議を続けていくという。

 

■ こうした賃貸や販売に出ていない「埋もれた空室」は、東京23区内で5000戸にものぼり、最も多いのは新宿区だという。

 

■ 世代交代による相続放棄の問題も生じている。マンションの所有者が借金を抱えて亡くなった場合、相続人が借金を嫌って相続放棄するとマンションの部屋の所有権が宙に浮くケースがある。マンション管理士が相談を受けたマンションの部屋の所有者は5か月前に死亡しており、親族からは相続を放棄したので関係ないと告げられた。

 

■ 管理組合自身が部屋を一旦取得して売却することも考えた。しかし、その場合には家庭裁判所への申立てが必要なため、専門家に依頼する必要があり、100万円ほどの費用がかかる。また、たとえ売却できたとしても、所有者の借金返済にも充てられて、全額を回収できない可能性がある。

 

■ 建設ラッシュから約10年。これから一斉に修繕時期を迎えるタワーマンションでは、修繕積立金が不足しているので修繕工事が出来なくなる恐れがある。

 

■ その原因として、多くのマンションでは入居当初の積立金が低く設定されており、修繕資金を賄うには段階的に増額する必要があるからだ。積立金を値上げするには都度、区分所有者の過半数の合意が必要になるが、マンションの中には理事会の反対で竣工以来値上げが一度も出来ていないケースもあるという。

 

■ 「段階増額積立方式」と、当初から積立金が変わらない「均等積立方式」では、現在7割のマンションでは段階増額積立方式が採用されているとのこと。

 

■ 都心のマンション市場にも異変が生じ始めている。2000年代に入って供給が増えたタワーマンションの人気を支えてきたのは海外投資家だったが、昨今では海外からの買いニーズが減っただけでなく、すでに取得した物件の売却相談も増えつつあるという。

 

■ そんな海外の投資家に代わってタワマン人気を支えているのが、職住近接を希望する共働き世代で、業界では「パワーカップル」と呼ばれている。

 

■ 東京都中央区ではこの20年間で人口が倍増したが、その影響で通勤時には駅に人があふれるなど、暮らしへの影響が深刻になりかねないため容積率緩和の原則廃止を決定したという。専門家は、「住宅ストックのコントロールしていないのは、世界でも日本だけ」と語った。

 

 特にこれといって目新しいテーマはありませんでしたが、NHKでもそれなりの視聴率が得られる看板番組なので、特に所有者不明や相続放棄といった新たなリスクについては、相当のインパクトを視聴者に与えることができたのではないでしょうか。

 

こうした注意喚起をマス媒体を通じて頻繁に行ってもらえると、管理組合内の意識向上に確実につながっていくと思うので、今後も随時フォーカスしてもらえることを期待しています。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com  

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

           f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

 

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