マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

マンションの管理規約と「住みやすさ」の関係

             f:id:youdonknowwhatyoulove:20141129153548g:plain

 

4月19日付の「まぐまぐニュース!」に、「それで住みやすいか?マンション共用部分にモノ置くなと叫ぶ人々 」という記事が掲載されていました。

 

www.mag2.com

本記事の要約は以下の通りです。

■ まわりに迷惑にならないことまではダメ出しせず、ある程度は個人の事情や利便性を尊重し、これまで特に問題のなかったマンションがある。

■ しかし、ある時から、共用部分の番人のような住人が現われ、見回ってはダメ出しして、管理会社や理事会に厳しく取り締まるように迫るようなケースがある。

■ また、あるマンションでは、室内駐輪場に複数の空気入れが置かれていて、暗黙の了解で他の人もそれを使わせてもらっていた。 しかし、新たに就任した理事長が「共用部分に私物を置いているのはけしからん、すぐに撤去させるように」と管理会社に指示したという。

■ 別のマンションでは、ある住民が、共用部分に私物がないか巡回チェックしていて、少しでも見つけると理事会にクレームを入れる。

■ 「共用廊下やポーチは共用部分だから私物を置いてはいけない。避難通路でもあるから。」というのが原則なのは確か。でも、あまり厳しく取り締まると暮らしにくいと感じることも事実だ。

■ 子供を連れて自転車で買いものに行って帰ってきたが、子供と荷物があるため、自転車をラックにしまえず、しばらく駐輪場以外の場所に自転車を止めていた。それを他の住人に厳しく注意されたことで、その後買い物に行けなくなった…という話もある。

■ 皆が周りを気遣って、ルールを守りながらも、それぞれの事情があるのだからと、一時的なものや迷惑にならないことには、片眼をつぶっているというのが、暗黙のうちにバランスの取れた住み心地のいい状態をつくってきていたなら、それはいい「文化」である。

■ そうした「文化」に無関心な人が画一的に取り締まることでその「文化」を壊していくことは、マンションにとって決してプラスとは思えない。結局、重大な合意形成時に必要なのは、まわりに対する気配りや事情がある人に対する想像力であり、その「文化」が育っていることだからだ。

■ もちろん、最初から、ルールを守ることを徹底し、それによって資産価値を維持するというコンセプトを守り続ける…それもひとつの「文化」だ。

 

筆者が記事の中で主張している「文化」の部分は私にも理解できます。

 

管理規約や使用細則に記載されたとおり何でもキッチリと運営しようとすれば、人間関係がギスギスしたものになりかねません。

 

しかし、だからと言って、管理組合や理事会の立場としては、こうした明文化されたルールとは別の「暗黙の了解」や「不文律」の存在を公式に認めるわけにはいきません。

 

また、筆者が好むような「文化」を好むかどうかは、その個人の価値観の問題です。

 

筆者とは反対側の「文化」を好む人も少なからずいるはずで、彼らは「管理規約や使用細則を遵守すべき」と主張するに違いありません。

 

もし筆者が好むような「皆が周りやそれぞれの事情を気遣って、一時的なものや迷惑にならないことには片眼をつぶるような文化」を醸成したいなら、日頃の住民同士の近所付き合いや、町内会といったコミュニティ活動に力を入れるべきではないでしょうか。

 

マンションで企画するならば、住民間の懇親会や防災訓練、除草会などの活動をレクレーションとして実施することも有効でしょう。

 

実際、顧問先のマンションでは定期的にこうした活動を企画されているところもあります。

 

袖振り合うも多生の縁」という仏教由来の言葉があります。

 

「道で人と服の袖が触れ合うようなささいなできごとでも、それは偶然ではなく前世からの因縁だから大切にしなければならない」という意味です。

 

たまたま同じマンションで暮らしているだけであっても、住民同士はすでに「袖振り合う」関係となっているはずですが、昔のような井戸端会議や近所づきあいもすっかり影を潜め、こうした価値観が薄れつつあるのが現実です。

 

各人がどういう地域コミュニティにしたいのかを真剣に考えながら、地道に努力を継続することが求められるのだと思います。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

    
         f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

 

※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/

  ↓       ↓

にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

管理組合財産の着服事件と「上っ面だけ」の反省文

         f:id:youdonknowwhatyoulove:20141129153548g:plain

 

4月15日付けで国交省 関東地方整備局からマンション管理会社が行政処分(指示処分)を受けたとのリリースがなされました。

 

その内容は以下のとおりです。

■ 処分対象業者

 株式会社日鉄コミュニティ

■ 処分理由

 同社が受託している複数の管理組合において、元従業員が組合財産を不正に着服したため、組合に損害を与えたため。

■ 処分内容

1)本件違反行為の内容及ぶ処分内容に関する役職員への周知徹底

2)法令順守の社内徹底、ならびに社内研修教育の計画的かつ継続的な実施。

3)社内業務管理体制の整備

4)再発防止策の策定ならびに継続的な実施

5)上記のすべてに関する報告書の提出

 

ちなみに、今回処分された日鉄コミュニティの概要は以下のとおりです。

■ 親会社 

 新日鉄興和不動産

■ 従業員

 約1,000名

■ 受託件数

 732棟

■ その他

 平成26年に「興和不動産レジデンスサービス」を吸収合併

 

 日鉄コミュニティのサイトページにもお客様へのご報告とお詫びとして国交省の処分文書とほぼ同じ体裁の文書が掲載されていました。

 

ただ、そこには以下のような「至極当然の事柄」以外は何も書かれていません。

・被害に遭った管理組合への報告と謝罪、ならびに損失の補てんを行ったこと

・コンプライアンス強化と信頼回復に向け全社一丸で取り組むという意思表明

 

本気で再発防止に取り組もうとするなら、その原因を徹底的に分析することが何よりも重要です。

 

着服できた「環境」や「手口」が一体どのようなものか公開されておらず不明ですが、過去の事例から以下のような可能性が考えられます。

 

■ 管理現場で現金を取り扱える環境にあった。

■ 法令で禁じられて久しい「預金通帳と印鑑のダブル管理」が容認されていた。

■ 架空の修繕工事や物品購入など請求書をねつ造した。

 

このような状況と手口のいかんによって、講じるべき対策もおのずと変わってくるはずです。

 

そういった情報も考察もまったく外部には示されず、毎度似たり寄ったりのうわべだけの反省文の提出を繰り返していることがこの業界の最大の問題でしょう。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

           
         f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

 

※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/

  ↓       ↓

にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ 

 

 

 

 

マンション一括受電の導入は、建替えよりも「重大な事案」なのか?

                  f:id:youdonknowwhatyoulove:20141129153548g:plain

 

Business Jounalで、「マンション、電力契約めぐる居住者への“解約強制”で紛争多発…高圧一括受電の闇」という記事が掲載されていました。

 

biz-journal.jp

 本記事の要約は以下の通りです。

■ 3月5日、最高裁は、「管理組合総会で高圧一括受電導入を決議しても、居住者の電力の個別契約解約申し入れを義務付ける部分は効力を有しない」との判決を下した。

■ 居住者が総会決議に反して個別契約の解約に応じなくても、不法行為にならないことになる。

■ 訴訟の舞台となった札幌市のマンション(544戸)では、高圧一括受電に変更して電気代を下げるために、総会で高圧一括受電導入の特別決議(4分の3以上の賛成多数)をした。

■ その決議には、各戸に北海道電力との個別契約を解除し、高圧一括受電サービスを受ける新たな契約を結ぶことが織り込まれた管理規約の改正も含まれていた。

■ この決議に2名の区分所有者が反対して解約に応じなかったため、高圧一括受電の導入が実現できなくなった。そのため、管理組合の元理事が反対者の2名に対して損害賠償を請求していた。

■  最高裁判決は、総会決議をしても、その決議はマンションの専有部分には効力が及ばないため、決議に応じなくても不法行為とならないという判断を下した。

■ 高圧一括受電の既存マンションへの導入は、居住者全戸が導入に同意しなければならないことが導入のネックになっていた。そのため、導入に反対する居住者に対して、訴訟の可能性も示して圧力をかけ紛争に発展する事例も多数みられた。今回の最高裁判決は、こうした問題に終止符を打ったことになる。

■ 一方、今回の判決は高圧一括受電業界にとっては大打撃となるだろう。高圧一括受電業界では、大手のオリックス電力や長谷工の子会社、長谷工アネシスなどが事業から撤退するなど、大きな岐路に立っているが、今回の判決が影響を及ぼす可能性もある。

■ 電力自由化のなかで、地域電力会社から他社に変えるなど多彩な選択肢を探っている。高圧一括受電を導入した場合は、居住者は専有部分について電力会社を変更することができず、電力自由化の恩恵を受けることができない。

■ 今回の最高裁判決の趣旨が、全国のマンション管理組合と管理会社へ徹底されるためにも、国土交通省の指導的な役割が求められる。

 

 従来から、マンション内で高圧一括受電を導入する場合には、組合総会決議に加えて専有住戸に関する既存の受電契約について全戸分の解約同意書を提出することが (電気事業法にもとづいて)地域電力会社から求められていました。

 

そのため、一括受電の導入は「全組合員の同意取付け」が事実上の要件とされており、新築はともかく、既築のマンションではかなりハードルが高いのです。

 

その意味で、今回の最高裁判決の内容自体には画期的な印象はありませんが、導入時のハードルの高さをさらに揺るぎないものにしたとは言えるでしょう。

 

 

そもそも高圧一括受電の本質とは、「マンションの変圧器を誰が保有するのか」という問題にすぎません。

 

マンション内の共用部分ならびに各専有住戸の電気は、電力会社の送電線(高圧)から共用部の電気室にある変圧器を介して低圧に変換されることで供給されています。

 

地域電力会社が、マンション内にある「電気室」を無償で借りつつ、そこに変圧器を設置しているのが一般的(※注記参照)です。

<※注:大規模マンションの場合には、共用部は高圧受電しているため、変圧器を自ら保有・管理しているケースが多く見られます。>

 

そのため、変圧器の所有および管理権限は、地域電力会社にあります

 

言い換えると、高圧一括受電は、この変圧器の所有・管理の権限を一括受電業者(新電力)、もしくは管理組合に変更することです。

 

一括受電業者と契約する場合には、管理組合側に初期導入コストはかかりません。

 

これまで地域電力会社が無償で提供してきた変圧器、ならびに各住戸内の検針メーターやアンペアブレーカーを業者側が新たに提供してくれます。

 

一括受電が流行した当時の相場では、共用部の電力料金が従前に比べて約4割下がることが多かったと思います。

<ただし、料金削減のメリットをすべて共用部に集約して還元しており、専有部分の電力料金は従前と同じとすることが多い。>

 

一方、区分所有者にとって一括受電のデメリットあるいはリスクとは何でしょうか?

 

主に以下の4点が考えられます。

(1)専有住戸の受電については、個別に他の新電力と契約することができなくなる。

(2)電力料金の削減によるベネフィットは、管理組合が一括で享受する。

<ただし、管理費から支払われる支出が減るという意味では、組合員にも間接的なベネフィットはある>

(3)変圧器の点検のため、3年に1回全館停電を実施する必要がある。

(4)一括受電業者が倒産・廃業するリスクがある。

 

(3)は頻度自体は少ないものの、抵抗感のある方はいらっしゃるでしょう。

 

ただ、(4)のリスクが顕在化したとしても電力供給がストップして、マンション全館が停電になることはありません。

 

また、地域電力会社の送電線を経由している以上、電力の「質」自体は一切変わりません。

 

ここで素朴な疑問が生まれます。

このような高圧一括受電の特性を踏まえて、はたして全戸同意まで取り付けなくてはならないほどの重大な事案なのか?ということです。

 

区分所有法上で、もっとも厳格な決議要件が求められるのは、建替え決議です。

総組合員数及び総議決権数の各5分の4以上の賛成が必要です。

 

言い換えれば、全体の8割以上の賛成があれば建替え事業は実現できるわけです。

 

また、建替えに強固に反対する人が最大2割いたとしても、建て替えを円滑に進めるため、管理組合が反対者に対して住戸の売渡し請求ができるようになっています。

 

一方、高圧一括受電の導入についてはなぜか全組員の同意が必要です。

 

両者の重要性を比較考量した場合、どうにもバランスが悪いように感じます。

 

さらに言うと、

最高裁が判決理由として述べた「管理組合の総会決議が専有部分には影響しない」という点も、この建替え決議にはそぐわない気がします。

 

なぜなら、建替えは共用部分のみならず専有部分も当然対象になるからです。

 

というわけで、今回の判決理由についてはモヤモヤした気分になります・・。

 

 <参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

 yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

          f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

 

※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/

  ↓       ↓

にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マンション管理は、本当に「売り手市場」に変わったのか?

                                 f:id:youdonknowwhatyoulove:20141129153548g:plain

 

Business Jounalで、「マンション購入後の管理費&修繕積立金がぐんぐん高くなっている理由」という記事が掲載されていました。

 

biz-journal.jp

本記事の要約は以下の通りです。

■ この2年ほどで、マンションの管理業務をめぐる環境がガラリと変わった。これまでの買い手市場から売り手市場に逆転してしまった。 

 

■ 数年前までは、管理会社に支払う業務委託費が低減できる可能性が高かったため、リプレースを検討するのが管理組合の健全なあり方と考えられてきた。

 

■ マンションの売主系列の子会社が管理会社の場合、彼らは自社が十分に利益を取れる水準に最初の業務委託費を親会社に設定してもらえているからだ。

 

■ 一方、マンションの販売側にとって、管理費や修繕積立金などの月々の負担が低いほうが売りやすくなる。そこで、「ごまかし」を行うことがデベロッパー業界の悪弊になっている。

 

■ まず、管理費は管理委託費の原資になるもので一定水準より下げることができないから、修繕積立金のほうをわざと安くする。

 

■ そして、修繕積立金の足りない分は15年程の年月をかけて徐々に値上げして、最終的に当初の3倍くらいとなる長期修繕計画をつくる

 

■ そこで、管理組合には管理委託費が軽減できれば、その分を修繕積立金の会計に回して、予定されている値上げを回避できるのではないかという考えが自然に浮かんでくる。これがリプレースの主たる動機であった。

 

■ 数年前までは、複数の管理会社に声を掛ければどこも喜んでプレゼンに参加してくるのが普通だったが、今は違う

 

■  今は売り手市場になっているため、管理会社にとってよほど儲かりそうなマンションでない限り、手間もひまも費用もかかるプレゼンテーションを行ってまで、彼らは仕事を取りに来ようとはしない

 

最大の原因は人手不足にある。管理員のなり手が急減したため、「新たに物件を受託しても管理員が見つからない」のが今の状況。

 

■ 管理業務を受託中のマンションでも、業務委託費の減額を要求されたりリプレースの動きが出ているのがわかると、「契約期間終了後の延長はできない」との通告で打ち切ってしまう。

 

■ 場合によっては、前の管理会社よりも高い委託費を飲まなければいけなくなるかもしれない。そうなった場合、修繕積立金の値上げを回避するどころか、管理費の値上げに追い込まれる可能性もある。

 

■  こうした流れが変わることはないだろう。そのうち、外国人の管理員も現れそうだ。5年先、10年先は「マンションは買いたいけど管理費が高すぎる」と購入を諦める人が多くなっているだろう。

 

本記事で筆者が主張しているポイントは、以下の通り3つあります。

 

(1)管理委託費の削減によって管理費会計の剰余金を生み出し、故意に低く設定された修繕積立金の増額リスクを抑制するための常套手段が管理会社のリプレイスであった。

(2)しかし、今は人手不足によって、それが通用しないほど市場環境が激変した。管理員の確保が困難となり、人件費も増加しているため、管理会社にとって儲からない物件は敬遠される。

(3)その結果、管理会社をリプレイスすると従前に比べてコスト増になるリスクが出てきた。

 

たしかに、都心部を中心に人手不足が深刻化しているのはマンション管理市場も同様です。

 

そのため、管理員や清掃スタッフの確保に苦慮したり、もしくは人件費が上昇する傾向にあることは間違いありません。

 

ただ、だからと言って、管理委託費がリプレイス前に比べて上昇するというのは、少々「言い過ぎ」の感があります。

 

管理会社に支払う業務委託費は、以下の項目で構成されています。

① 管理員業務費

② 清掃業務費(日常・定期)

③ 設備保守点検費

 <エレベーター、消防設備、機械式駐車場、遠隔監視など>

④ 事務管理費

 

上記の費目のうち、

①ならびに②の日常清掃は、昨今の人件費の上昇で削減余地がなくなっていますが、それ以外の費目についてはかなり割高な状況にあるマンションもまだ多いはずです。

 

つまり、業務委託費全体で見れば、市場原理を導入して適正化することによってコストダウンを実現することは十分可能なのです。

 

要するに、もともと設定されている管理委託費の水準が高すぎるのです。

 

これは、実際に現場のコンサルティングにおいて、管理コストの適正化を実現しているプロの一人としてはっきりと断言できます。

 

百聞は一見にしかず!

まずは管理コストの適正化にトライしましょう!!

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

         f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

 

※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/

  ↓       ↓

にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ 

 

 

 

東洋経済「マンション管理と修繕最強ガイド」が刊行!

            f:id:youdonknowwhatyoulove:20141129153548g:plain

 

当初の発売予定よりだいぶ遅れたようですが、私も監修に協力した「マンション管理と修繕 最強ガイド」(東洋経済)が先日発行されました。

 

見本誌が、本日手元に届きました。

 

f:id:youdonknowwhatyoulove:20190405141041j:plain

 

私は、第5章「管理コストの見直し方法」のパートを担当させていただきました。

 

■ 新築当初の段階では修繕積立金が故意に低く設定されていること。

■ 管理費会計の支出については、割高なことが多く大いに削減余地があること。

 

一般のマンション管理組合では、この2つの構造的なリスクを抱えているため、なるべく早い段階で、管理委託費、電気料金、マンション保険料の主要3費目の適正化を図ることを推奨しています。

 

管理組合の役員に初めて就任された方でも読みやすい本だと思いますので、

興味のある方は読んでみてください。

 

 

         f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

 

※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/

  ↓       ↓

にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ 

 

マンション管理組合も避けられない!「相続放棄」と「所有者不明」という厄介なリスク

         f:id:youdonknowwhatyoulove:20141129153548g:plain

 

最近、「老いた家 衰えぬ街」(野澤千絵著  講談社現代新書)を読みました。

 

f:id:youdonknowwhatyoulove:20190403153239p:plain

 
本書では、不動産に関する「所有者不明」と「相続放棄」という2つのリスクに焦点を絞った解説がなされており、大変興味深い内容となっています。
 
著者は、まず所有者不明の不動産が増える原因が何かについて説明しています。
 
その理由として、わが国の民法上、所有者移転等の登記移転手続きが義務ではなく、相続後も未登記のまま放置していても罰則が存在しないことを指摘しています。
 
つまり、不動産の名義変更を行うかどうかは、相続人の判断に委ねられているのです。
 
また、相続発生の際に、遺産分割協議もされないまま多数の相続人による共有状態になっており、自分自身が相続人になっている事実さえ知らないケースも少なくありません。
 
その結果、相続人の数がねずみ算的に膨れ上がり、所有者を特定することがますます困難になる・・というわけです。
 
将来その不動産を売却したいと思っても、過去に遡って戸籍謄本などすべての相続人を探索・確定させ、その全員の合意を取り付けることが条件になるので、せっかくのチャンスを逃してしまいかねないのです。
 
国交省が実施したアンケート調査によると、分譲マンションでも連絡不通者が存在すると回答した比率が13%にのぼり、所有者不明問題が徐々に蔓延し始めているようです。
 
2つ目のテーマは、相続放棄です。
 
現行の民法では、相続人はすべての財産を引き継ぐのが原則とされています。
 
ただ、被相続人の負債や、引き継ぐ不動産にかかわる固定資産税や管理費などの負担を考えた場合、その資産価値に対して割りに合わないと考えて相続放棄するという選択肢も視野に入ってきます。
 
もし、マンション内に相続放棄された住戸が発生したらどうなるのでしょうか?
 
まず、次の区分所有者(承継人)が決まるまで管理費や修繕積立金が滞納されることになるため、管理組合としては資金状況が厳しくなります
 
利害関係人である管理組合としては、債権回収を早期に行うため「相続財産管理人」制度を利用することになるでしょう。
 
具体的には、家庭裁判所に相続財産管理人(弁護士や司法書士が一般的)の選任を申し立て、財産の清算を依頼することになります。
 
ただ、その際に、相続財産の管理費用や相続財産管理人の報酬を支払うための資金を確保するため、管理組合は「予納金」(数十万円〜100万円)を家裁に納めなくてはなりません。
 
その後、家裁で選任された相続財産管理人が当該住戸を売却した際に、その売却代金から滞納された管理費・修繕積立金をようやく回収することができます。
 
しかし、立地条件や築年数などの理由で売却見込みすら立たないようなマンションだと、予納金の回収すらおぼつかない恐れがあります。
 
また、老朽化が進んだマンションでは、管理組合の役員なり手不足等の問題を抱えていることも多いため、相続放棄された住戸が発生しても円滑にこうした対応ができず、後手に回ることも危惧されます。
 
分譲マンションでの合意形成は管理組合の総会の決議にもとづいて行われますが、
相続放棄された住戸については「非賛成」の扱いになってしまいます。
 
仮にこうした住戸の区分所有者が全体の4分の1を超えた場合、管理規約の改正などの重要決議を成立させることができなくなってしまいます。
 
このようなリスクへの対応としては、
相続放棄されることのないようにマンション全体の資産価値を長期的に維持できる運営を行うことが最善の策と言えるでしょう。
 
そのためには、
計画的な修繕を円滑に実施できるよう管理組合を適正に運営していくことが必要です。
 
具体的には、
(1)管理委託費を含む維持管理コストを早期に適正化し、組合財政を健全化する。
(2)修繕積立金の負担が将来増えないよう早期に「均等積立方式」に切り替える。
(2)定期的な保守点検・劣化診断をもとに適切な時期と支出管理を行いながら計画的に修繕を実施する。
 
この3つが「鉄則」となります。
 
ただ、もっと重要なのは、誰が主体となってこの施策を実行していくのかです。
 
管理会社なのか?管理組合(理事長)なのか?
マンション管理士なのか? あるいは、行政なのでしょうか?
 
<参考記事>

 

 

※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/

  ↓       ↓

にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ 

 

管理会社が設計するマンション保険にありがちな「落とし穴」

            f:id:youdonknowwhatyoulove:20141129153548g:plain

 

3月26日付の「まぐまぐニュース」で、「管理組合が火災保険の「付保割合」を知らないマンションは危険」と題した記事が掲載されていました。

 

www.mag2.com

本記事の要約は以下の通りです。

■ お金がないのに、30年以上も付保割合100%の保険をかけ続けているマンションが多い。

■ 付保割合とは、建物評価額に対する保険金額の割合のこと。

 

■ 管理組合が共用部分の火災保険を掛ける場合、鉄筋コンクリート造のマンションで火災やガス爆発があったとして修復に満額必要になると考えにくいので、付保割合を30%~60%ぐらいに設定しているケースが多い

 

■ しかし、保険契約の情報として、総会議案書にその付保割合が記載されていない場合がある。

 

■ たいていの場合、管理組合は管理会社が保険代理店になっている。管理会社は企業として売上・利益を上げるのが目的なので、あえて自分たちの売上を減らすような提案はしない。

 

■ 組合員に質問されて突っ込まれないよう、わざと付保割合を議案書に記載しないこともある。

■ 皆さんのマンションの火災保険(マンション総合保険)の付保割合は何%ですか?もし、知らないなら、議案書を見て確認するか理事に聞いてみるべき。

 

先日も都内の投資用マンション(築12年)の総会で、保険契約を更改する議案を上程しましたが、従前の契約は建物評価額(再取得価額)と保険金が同額でした。

 

つまり、本記事とまさに同じく、付保割合が100%のケースだったわけです。

 

もし従前と同条件で更改した場合には、

保険料(5年分の合計)が現状の57万円から69万円に上昇する見込みでした。

 

しかしながら、この付保割合を今回60%の適正水準に修正することにしたところ、保険料は逆に50万円を切る水準まで下げることができました。

 

言い換えれば、

これまで管理組合は10年以上にわたって過剰に保険料を支払ってきたわけです。

 

しかし、その「逆のケース」もみかけたことがあります。

都心のタワーマンションですが、付保割合が2割すら下回っていました。

 

その理由は定かではありませんが、なるべく保険料を低めにしたい事情があったと思われます。

 

ちなみに、

ご紹介した事例はいずれも保険代理店がそのマンションの管理会社です。

 

これに関連して、さらに少々厄介な事例もありました。

 

それは、物評価額(再取得価額)が保険会社の定める規定の範囲を下回っているというものです。

 

この建物評価額とは、

建築費単価にマンションの延床面積を乗じたものです。

(設定される建築費単価は各保険会社によって異なるようです。)

 

それでは、この建物評価額が規定の水準に満たないとどうなるのでしょうか?

 

たとえば、下記のような保険契約があるとします。

 ■ 現在の建物評価額:  1億8,000万円 (保険証券に記載されている金額)

 ■ 適正な建物評価額:  2億4,000万円 (保険会社の規定にもとづく下限)

 ■ 保険金額    :       1億8,000万円 (付保割合 100%

 

本来2億4,000万円の資産価値を有するにもかかわらず、過小な金額(現在:1億8,000万円)で設定すると、保険料は過小な再取得価格のテーブルで算定されるため、保険料も本来に比べて安くなります。


ただし、本来の建物価値(2.4億円)に対して実際の契約では1.8億円と過少評価されているために、火災等によって建物が全壊・全損した場合の支払保険金は下記の通り減額されてしまいます。


全損の場合の保険金 = 1億8,000万円×(1.8/2.4)=1億3,500万円

 

つまり、保険証券上は「付保割合100%」と判断できるのでの過剰な保険金額が設定されているかのように見えますが、実はそうではなかったことがわかります。

 

ただ、建物評価額(再取得価額)の設定が規定範囲内かどうかは保険証券を見ても判別できないため、保険代理店などの専門家でないと診断できないのが実情です。

 

現状では保険代理店も管理会社が兼ねている場合がほとんどですが、管理組合としてはこうしたリスクを回避するために、セカンドオピニオンとして他の保険代理店からも相見積もりを取得して契約の設定条件や補償内容が適正か、確認されることをお勧めします。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

            f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

 

※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/

  ↓       ↓

にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ