マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

週刊東洋経済の「マンション絶望未来」を読んでギモンに感じたこと

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週刊東洋経済の12月8日号では、「マンション絶望未来」と題した特集記事が組まれているので読んでみました。

 

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特集の大まかな内容は、以下の通りでした。

■ 新築マンション販売状況の悪化に伴う「潜在在庫」増加の実態

■ 老朽化・廃墟化マンションの実態

■ 2022年がヤマ場とされる、タワマンの「修繕クライシス」

■ 大規模修繕コンサルの悪質な手口の実態

 

これらの記事の中で、「ちょっとおかしいんじゃない?」と思った部分があります。

 

後半の部分では、首都圏にある20階以上のタワーマンションのデータを収集したうえで現状の修繕積立金額を推定し、組合の財政状況を分析した結果が紹介されていました。

 

そしてその結論として、

「現状の修繕積立金単価(専有面積あたり)と国交省のガイドラインの水準と比較してみたところ、全体の8割強が積立金不足と判定された」ということでした。

 

たしかに、国交省の「修繕積立金ガイドライン」を読むと、30年間の均等積立方式を前提とした場合、「20階建て以上のマンションでは、月額@170円が少なくとも必要」と解釈できます。(下記ガイドラインの抜粋を参照)

 

その金額を下回っているマンション が調査対象となった物件全体の8割以上ある、というのが結論なのですが、それでは残念ながら「お粗末な内容」と言わざるを得ません。

 

その理由を説明しましょう。

 

<理由 その1> 竣工当初の修繕積立金の水準が考慮されていない!

 

多くの新築マンションの竣工当初の修繕積立金は、@90円台の単価で設定されており、築5、6年目を目途に1回目の増額改定期を迎えるのが標準的です。

 

したがって、調査した時点でガイドラインの下限金額(@170円)を超えているとしても、現在の水準に増額されるまでの期間について潜在的な資金不足が累積しているはずです。

 

しかし、本記事の前提条件を読む限り、

増額改定されるまでの期間にかかる資金不足分については考慮されていません。

 

<理由 その2> 機械式駐車場の修繕にかかる加算分が考慮されていない!

 

国交省の「修繕積立金ガイドライン」は、実は2部構成になっています。

 

まず、延床面積と階数に応じた建物本体の修繕積立金の目安が示されています。

これを見る限り、専有面積1㎡あたり@200円前後必要なことが分かります。

 

<修繕積立金ガイドラインより抜粋>

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しかし、もう一つ重要な項目があります。

それは、機械式駐車場が附設されている場合の加算分です。

 

その住戸規模に対して敷地面積の狭い場所に立地しているタワーマンションでは、おそらくほとんどの場合、地下部分等に機械式駐車場が附設されていると思います。

 

この機械式駐車場設備の修繕や更新の費用が、「無視できないレベル」の金額に及ぶのです。

 

最近の新築物件こそ、昨今のクルマ離れの傾向をふまえ住戸数に対する駐車場の付置率を3〜5割程度に抑えていますが、一昔前の物件では付置率は結構高いと思われます。

 

そして当然のことながら、

駐車場の付置率が高いほど、必要な積立金の加算額もそれだけ大きくなります

 

たとえば、国交省のガイドラインでは

昇降横行式(パズル式)地上2段・地下2段の駐車設備の場合、1台当たり月額14,000円以上かかると見込んでいます。(築30年目で設備更新する想定)

 

<修繕積立金ガイドラインより抜粋>

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仮に、全戸に1台分の機械式駐車場が用意されているマンション があるとしましょう。

 

戸あたりの専有面積が70㎡だとした場合、機械式駐車場にかかる必要な積立金の加算額はいくらになるでしょう?

 

14,000円 ÷ 70㎡ = @200円 です。

 

つまり、このマンションの場合、均等積立方式で必要となる修繕積立金は

建物本体分:200円 + 駐車場加算分:200円 = @400円

にまで膨らんでしまうのです。

 

仮に駐車場の付置率が50%ならば、

@100円が加算されるので、合計@300円です。

 

つまり、

調査対象の物件に関する機械式駐車場の付置率もデータとして加味しなければ、分析してもほとんど意味をなさないことがわかります

 

そして、こうした点を考慮すれば

ほぼ100%のタワマンが「アウト」になるだろうことは容易に想像できるのです。

 

 <参考記事>

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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マンション管理委託費の削減率が25%⇒35%に跳ね上がった理由

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顧問先マンション(全50戸)では、3ヶ月間にわたる現管理会社との条件交渉が合意に至り、管理委託費の35%減額が臨時総会にて無事承認されました。

 

このマンションの場合、管理委託費の削減幅35%の内訳として、

単純減額分:25% + 仕様変更分:10% となりました。

 

この「仕様変更」とは、管理員の勤務時間の見直しです。

 

このマンションでは、従前の管理員の勤務時間は以下の通りでした。

  ■  夏季休暇・忌引を除いて毎日出勤
  ■ 1日実質8時間勤務

  ■  受付・立会い・点検のほか、日常清掃を兼務

 

マンション内には特別の共用施設や設備があるわけではなく、物件の規模に対してどう考えても適正な勤務時間を超えています。

 

また、警備・監視のために管理員が必要なロケーションでもなく、むしろ都心の文教地区にあり、治安も良好です。

 

そのため、管理会社に品質低下を招かないレベルでの仕様変更案を要望したところ、以下の提案がなされました。

 

 ■勤務日数  「毎日」 → 「週6日」(日曜休務)
 ■勤務時間  月〜金曜日:「6時間」勤務 + 土曜日:「4時間」勤務

 

つまり、週56時間勤務 ⇒ 週34時間勤務に縮減するというわけです。


 物件規模を考えればこれでも十分すぎるレベルですが、「安かろう悪かろう」のそしりを受けないためにも、これくらいで様子を見たほうが良いと判断しました。

 

その結果、コストの削減幅も25% ⇒ 35%に跳ね上がることになったのです。

 

他のマンションに住んだ経験が少ないので、ご自身のマンションの管理仕様が「標準」レベルだと思っている方がほんとどだと思います。

 

しかしながら、多くの物件をコンサルティングしていると、このような「過剰な仕様」になっている事例は少なくありません。

 

マンション管理コストの適正化は、

「価格」と「仕様」両面での見直しが必須なのです。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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セミナー参加からわずか半年!管理委託費3割ダウンを実現した管理組合

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一昨日、都内のマンション(約30戸)で臨時総会が開催され、管理会社との管理委託契約の変更が決議され、来年1月以降、現在に比べて委託金額が約3割下がることになりました。

 

こちらの管理組合さんが行動を開始したのは、今年の6月のこと。

当社のセミナーに理事さん2名が参加され、セミナー後に個別相談でお話を伺ったのがきっかけです。

 

その後、8月に理事会に出席を求められ、業務メニュー等についてプレゼンをした結果、「管理コスト適正化診断プログラム」のお申し込みを戴きました。

 

yonaoshi-honpo.co.jp 

9月下旬に、当社から管理委託費、マンション保険、電気料金の主要3費目について見直し余地を査定し、その結果をレポートして報告しました

 

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一方、こうした理事会の動きを知った管理会社からも「委託費の減額条件を提示したい」との提案がなされ、当社と同じタイミングで提出されました。

 

その結果、当社の査定結果に近似した金額での提示だったことから、理事会も納得したうえで条件変更の合意に至り、臨時総会の開催につながったというわけです。

 

管理組合からの減額要望に対しては、強気な姿勢の管理会社も少なくないので、こんなに早くコスト適正化が実現するとは意外でした。

 

ひょっとすると、他のマンションでリプレイスされるなどの経験があるのかもしれません。

 

もう一つ意外だったのは、

本件をきっかけに当社がこの管理組合さんから顧問契約を戴けることになったことです。

 

管理委託費等の査定が的確であることを立証したことで、信頼を得られたからではないかと思います。

 

また、電気料金やマンション保険料にも大きな見直し余地があることがわかったため、新年が明ければ直ちに検討に入る予定です。

 

その他にも、築20年を間近に控えて駐車場の空き区画増や、役員のなり手不足などの問題を抱えています。

 

引き続き理事会さんのサポートをさせてもらえることになったので、コンサルタントとして腕が鳴ります!

 

なお、今年最後のセミナーは、12月22日(土)午後に開催予定です。

【受付中】12月度セミナー開催のお知らせ|マンション管理見直し本舗

 

個別相談(無料)も随時受け付けています!お気軽にお申し込みください。

 

<過去記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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「積立金貧乏なマンション」が生まれるワケ

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本日、ニュースサイトの「フォーブス・ジャパン」に、『「積立金貧乏」のマンションが多発する理由』と題した記事が掲載されていました。

 

forbesjapan.com

本記事の要約は以下の通りです。

■ マンションの修繕積立金とは、将来の大規模修繕に備えた原資になるが、多くのマンションで早ければ2回目、遅くとも3回目の大規模修繕となると積立金不足といった事態が生じている。

■ この時、各々が数10万円単位の一時金を足並み揃えて拠出できるケースは非常にまれ。管理組合でローンを組むか、修繕積立金をアップさせることでローン支払いをしていくケースもある。

■ 当初は毎月5000円程度だった修繕積立金が、いきなり3万円にアップするなどというのは、家計によっては受け入れられない場合があり、管理組合総会で否決されることも多い。

■ 今ある手元資金でできることだけをやるとか、何もしないといった選択をすると、建物はどんどん陳腐化し、資産価値を下げることにつながるうえ、建物の寿命も短くしかねない。

■ 多くのマンションがこうした負のスパイラルに陥る原因は、「新築販売時の修繕積立金設定」にある。

■ 新築マンション購入時には「売買価格や諸費用」のほか「住宅ローン返済額」「管理費」「修繕積立金」などが提示されるが、毎月家計から出ていくこれらの出費は少ないに越したことはない。

■ 売主系列の管理会社から見れば、管理費(≒ 管理委託費)は、毎月の売上であり利益だから、管理費は極力高めに設定しておきたい。一方、修繕積立金は、管理組合がプールする貯金であって売主には直接は関係ないから、どうしてもここを極力低額にして、マンション購入のハードルを下げて売りやすくする。

■ 国交省は「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を公表しているが、それによると、概ね平米あたり200円を目安としている。例えば70平米のマンションなら適正な毎月修繕積立金額は1万4000円。この水準の積立金を入居直後から続けていればおおむね問題ないことになる。

■しかし、ガイドラインはあくまで指針に過ぎない。現在でも積立金方式は「段階増額積立方式」または「一時金徴収方式」であり「毎月均等」としているところはほとんどない。

 ■ こうしたからくりに気付き、修繕積立金方式を変更するなどで、マンションの持続可能性を担保しようとする管理組合は少数派だ。

■ 修繕積立金が潤沢で今後値上げや借金をする必要がなく、物理的にも経済的にも優れているマンションと、修繕積立金が枯渇し、値上げをするか何もできずに陳腐化し、寿命も短くなるマンションが、本来同等の資産価値を持ち得るはずがないが、これらが同列に扱われているのが国内不動産市場の実態だ。

 

本記事でも紹介されている「分譲マンションにおける修繕積立金のワナ」については、すでに本ブログでも何回も紹介しているので、繰り返すつもりはありません。

(添付した過去の記事を参照ください)

 

参考に、あるマンションの事例をご紹介します。

 

今年で築21年目を迎える顧問先のマンションでは、長期修繕計画を5年ぶりに見直すことになりました。

 

現在平米あたり月額200円を徴収していますが、この金額になったのは今からまだ4年前のことです。

 

それ以前は半分以下の90円でした。

 

一方、国交省のガイドラインに基づいて試算したところ、機械式駐車場が全戸分付設されていることもあって、均等積立方式による徴収で必要な金額は340円です。どう考えても将来さらなる増額を余儀なくされるのは明らかでした。

 

そのリスクはなるべく抑制するために、4年前に当社がコンサル会社に起用され、管理委託費の3割削減に成功したことで、戸あたり年間約6万円に相当する剰余金が増えたのです。

 

さらに、その後、照明のLED化による電気料金の削減、空き駐車場の平面化工事などの手を相次いで打ったことで、さらにこの組合の財政状況は改善されました

 

それでも、現状の修繕積立金(@200円)を70%値上げして、@350円にしないと将来足りなくなるというのが現実です・・。

 

もし築10年目以前にメスを入れていれば・・と思うと残念です。

 

その一方で、まったく4年前からとはいえ、何もやっていなければ、倍額の@400円にしても足りなかったはずです。

 

それを考えれば、戸あたりで毎月1万円強の負担増も決して楽ではありませんが、まだ許容範囲ではないかと思います。

 

ところで、

本記事で紹介されている「修繕資金が潤沢で物理的にも経済的にも優れたマンション」というのは世の中にどれだけあるのでしょうか?

 

私の見立てでは、

100棟あっても、そのうち2,3棟もあれば上出来ではないでしょうか?

 

中古市場では、圧倒的多数派の「積立金貧乏なマンション」で溢れかえっています。

 

残念ながら、

流通市場では「悪貨は良貨を駆逐する」状態がまだしばらく続くことでしょう。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

 

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新年に発刊予定ムック「マンション管理の基礎知識」の取材を受けました!

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東洋経済新報社から発行予定のムック「マンション管理の基礎知識(仮題)」の編集者から先日取材を受けました。

 

2年前も同様の取材を受け、当社名の掲載をしてもらいましたが、当時の版元はダイヤモンド社でした。(下の画像は、2017年版)

 

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今回は、版元が東洋経済新報社に変わったとのこと。

 

本誌は、マンション管理組合を対象に組合業務の基本情報を提供する内容となっており、「マンション管理のコスト」をテーマにした章を設ける予定のため、その専門家として90分ほどインタビューを受けました。

 

その際のやり取りを一部ご紹介しましょう。

 

【質 問】

最近の事例で管理組合の収支の影響のある項目はどんなものがあるか?

 

【回 答】

駐車場の空き区画が増加しており、それが組合の収入減になっている。機械式設備の場合には空きが増えても保守点検費は変わらないため、組合の収支が逼迫し、ひどい場合には管理費を値上げする必要も出てくるかもしれない。

 

【質 問】

修繕積立金が足らなくなる管理組合が多いのなぜか?

 

【回 答】

そもそも竣工当時に設定される修繕積立金の金額が低すぎるのが最大の原因で、それは管理組合の責任ではない。

 

将来増額の必要がないよう均等に積み立てるのに必要な金額に対して現状は半分以下にとどまっているのが一般的。

 

修繕積立金の将来増額リスクをなるべく抑制するには、なるべく早い段階で割高な管理委託費を含め維持管理費全体を見直して適正化することが大切。

 

【質 問】

管理組合が自力で管理委託費を削減するのは可能か?

 

【回 答】

コンサルタントになる前に私自身も経験しており、もちろん可能だ。

ただし、その場合には以下のように留意すべき点がある。

1)管理組合には管理委託費の「相場観」がないので、金額の妥当性を知るには他社から相見積もりを取らざるを得ない。しかし、管理会社の変更までを検討する組合は少ない。

2)管理会社と交渉してもその「弱み」につけこまれ、わずかな減額提示にとどまったり、仕様変更(清掃や点検頻度のカット)によるコストダウンでごまかされやすい。その場合、コストは高いままで品質が悪化してしまうリスクもある。

 

管理委託費を適正な水準に見直すには、管理員、清掃、設備管理、事務管理といった業務別に費用を精査するとともに、これらの仕様も過剰な部分がないかチェックすることが大切。

 

【質 問】

管理委託費以外に見直すべきコスト項目はあるか?電気料金も下げられると聞いている。

 

【回 答】

管理委託費のほかに、共用部の電気料金とマンション保険料を合わせると、管理組合のて経常支出のおよそ7割を占めている。

 

これら主要3費目を見直すことで組合収支が改善し、毎年の剰余金が増えるので、修繕積立金会計における将来不足分を補填すればよい。

 

電気代の見直しについては、照明のLED化と電子ブレーカーの導入が今でも有効なツール。築20年を超えるのに、いまだにLED化していないマンションも少なくない。なお、電子ブレーカーは高圧受電している大規模マンションには適用できない。

 

大規模マンションは、高圧一括受電という有効なツールがあったが、2年前の電力小売りの全面自由化で各住戸が自由に電力会社を選べるようになったため、全戸同意を取り付けるのが極めて困難になった。また、新電力でも若干ながらコスト削減ができるので、相対的に一括受電の魅力も下がってしまった。

 

マンション保険については、築年数とともに漏水事故が増加するため、それにしたがって保険料も上昇するのが一般的であった。しかしながら、3年ほど前に日新火災が「マンションドクター火災保険」という商品を出してから大きく風向きが変わった

 

この保険の場合、管理組合の運営状況、設備保守点検や大規模修繕等の実施状況が良好と判断されれば、高経年マンションでも保険料の大幅な割引きが受けられる

 

管理組合においては管理会社が保険代理店を兼ねていることがもっぱらだが、マンション管理士がその診断に関わることから、日新火災の代理店登録をしていないことも少なくない。

 

・・・・といった感じです。

 

本誌は、来年2月に発行予定とのことでした。

 

 

 

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管理組合理事長を激怒させた管理会社のズサンな仕事ぶり

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先日、都内マンションの理事会にて、組合理事長さんが激怒した事件が発生しました。

 

以下、事件の経緯を説明しましょう。

■ 昨年12月に消防点検が実施され、管理会社が屋内消火栓からの水の流量を測定した結果、規定以下の流量が確認されたこと、そしてその原因は水中ポンプの経年劣化にあるとの報告がなされた

■ その後、管理会社から水中ポンプの更新工事の見積書が提出されたが、他の業者からの相見積りも取得することとなり、弊社より別の業者を紹介する。

■ 相見積りを取得した結果、金額が割高だったうえに、他社からの指摘によって管理会社の見積書には下記の通り3つの不備があることがわかった。

 ・消防庁への事前申請や調整業務は発生しないとの説明だが、実際は必要だった。

 ・見積書記載のポンプが対応する周波数が東日本エリアには不適合な機種だった。

 ・ポンプの出力設定値が適正な水準よりも2段階も高かった

■ 6月の通常総会にて、ポンプの更新工事を弊社紹介の業者に発注することをを決議。

■ その後、ポンプ更新の工事に着手する準備をしていたところ、当該屋内消火栓の型式が見積書の内容と異なることが判明。(既設の消火栓は「2号」であるのに「1号」と勘違いしていたことがわかった。)

■その結果、現在計測された流量でも基準を十分クリアしており、ポンプの更新を急ぐ必要はないことが判明した

  

結局、管理組合としては、

(1)ポンプ更新工事の検討を1年近くかけて、予算計上のために総会決議して工事に臨んだにもかかわらず、管理会社の指摘内容自体が誤っており、まだ更新する必要がないことが分かった。

(2)ポンプ更新の見積内容も常識では考えられないくらい杜撰で、もしその仕様通りに工事を実施していた場合には、設備の故障に発展する事態に及んでいた可能性もあった。

という総括になったのです。

 

この間、理事長さんは、見積書の裏付けを取るために関係各所にあれこれ照会し、確認のために奔走し、苦労されていました。

 

また、このような結論に至ったことに対し、管理会社からは真摯な謝罪もほとんどなされず、最後には「いずれにしてもすでに耐用年数を超過しているので、ポンプの更新をお勧めします」とのたまう始末・・・。

 

その結果、

いつもは極めて丁寧で温厚な理事長さんの堪忍袋の緒も、遂に切れてしまいました。

 

「こんな杜撰な仕事をする管理会社に人命にかかわる設備の点検や工事を任せることはできないので、今後は消防点検業者を別会社に変更したい」と提案されました。

 

全会一致で解約の方針が承認されたのは言うまでもありません。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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利益相反の極み!「管理者管理方式」のマンションの実態とは?

 

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先日、都内のマンションの区分所有者の方から、管理会社との契約についてご相談を受けました。

 

このマンションでは、区分所有者(組合員)による理事会が設置されておらず、区分所有法上の管理者には管理会社が就任しています

 

こうしたマンションは、「管理者管理」(もしくは第三者管理)方式と呼ばれています。

 

分譲マンションでは、区分所有者が管理組合を結成のうえ、組合の執行機関として理事会を設置し、その役員を区分所有者の中から選任するのが一般的です。

 

ただ、居住者の高齢化や住戸の賃貸化などによって理事長等のなり手がいない、あるいは役員業務をこなすには荷が重いなどの事情で、組合員以外の第三者が管理責任を担うことも可能です。

 

この「管理者管理」方式が採用されやすいのが、投資用マンションです。

 

投資用物件の場合、多くの区分所有者がそこに居住せず、資産運用のために賃貸に出すのが一般的なため、居住用マンションよりもさらに管理組合の運営に対する意欲・関心が乏しい傾向があります

 

ご相談を受けたマンションもまさにその類で、新築以来、分譲したデベロッパー系列の管理会社が管理組合の代表である管理者を務めています

 

つまり、管理業務に関する発注者と受注者が事実上同一人物というわけです。

 

この相談者は、他にもマンションを複数所有されていて、管理委託費の相場観についても知見をお持ちだったため、総会に出席した際に、この管理会社に対してコスト削減の検討を申し出たとのことです。

 

その結果、管理会社から以下の提案があったため、これに対して意見を求められました。

(1)エレベーター保守点検:非メーカー系の保守会社に変更して費用減

(2)定期清掃      : 年6回 → 年3回への頻度減

(3)自動扉保守     : 年2回 → ゼロ(点検中止)

 

上記のコスト削減案には、管理会社自身の「出血」を伴うものはほとんどありません

 

また、(1)はともかくとして、(2)や(3)については管理の質が低下し、居住者からクレームを受けるリスクもあります。

 

一方で、「事務管理費」など、管理会社の「粗利」に相当する項目についてはまったく減額する意向はない、とのことです。

 

さらに驚いたことには、

その管理会社は要員体制が不十分なためか、受託した業務のほとんどを別の大手管理会社に再委託していることがわかりました。

 

残念ながら、

このようなケースでは、「管理者管理」の体制を変えない限り、真のコスト適正化実現はきわめて難しいと言わざるを得ません

 

しかも、この体制を変更するには管理規約の改正が不可欠です。

それには、区分所有者全体の4分の3以上の賛成が必要(特別決議事項)となります。

 

管理規約の変更を議案に上程するには、管理者である管理会社に事前にそれを承認してもらうか、5分の1以上の区分所有者を集めて総会の招集を管理者に要求することが必要です。

 

結局のところ、無関心派が多数を占める管理組合では「堂々巡り」となってしまうため、こうした「改革」を実現するのは至難の業です

 

<参考記事>

 

 

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