対象は管理組合の理事でしたが、「無料招待」ということもあってか、100名くらいの参加者で会場はすでに混み合っていて盛況でした。
セミナーは2部構成。
第1部は、危機管理教育研究所 国崎伸江氏による講演
第2部は、防災備品を取り扱っている複数の業者からのプレゼン
といった内容でした。
第1部の講演がとても役立つ内容でしたので、「さわり」部分を以下ご紹介します。
(1)同じマンションでも地震のタイプによって影響が大きく異なる!
低周期地震動の場合 ⇒ 低層フロアに影響大
長周期地震動の場合 ⇒ 高層フロアに影響大(Ex:東日本大震災)
地表の揺れが震度3程度でも、高層階では「震度6級」の揺れに感じることも・・
(低層階の防災センターや管理室では、高層階の揺れの大きさは感知できない)
(2)死傷者を出さないための事前対策が重要!
家具・ 棚に収納されている本・食器類等が落下して死傷者が発生する事例が多い
・家具の固定化、柔らかくて軽い素材への変更
・収納物の落下防止策として「滑り止めシート」(厚さ2㎜以上)を手前に貼る。
・キャスターは対角線上にロックをかけると有効。
・今流行りの「組立て式家具」は揺れに対して弱いので要注意。
(3)災害後も自宅で暮らせるように備える!
「災害に遭ったら、避難所に行けばよい」というのは甘い考え。現実には様々なストレスや犯罪などのリスクが伴うため、可能な限り自宅で暮らせるようにすべき。
そのためには、家庭内で食品を十分備蓄することが大切。
・備蓄の目安は10日分。
(冷蔵庫内の食品 ⇒ 常温用の備蓄品 ⇒ 非常食の順で消費していく)
・ガス・電気停止に備え、「卓上コンロ」(+カセット型ガスボンベ)は必須。
(4)マンション管理組合としての対策
① 災害対策本部設置の際に必要なアイテム類の購入と保管
ホワイトボード、筆記用具、模造紙、発電機、ラジオ、カッター、ガムテープなど
② ファースト・ミッション・ボックス(FMB)作成の勧め
災害発生の時間帯によっては、管理組合の理事たちが不在の可能性も十分ある。
マンション内の誰でも5人以上いれば初動のオペレーションが迅速かつ円滑に行えるようにするためのツール。
<手 順>
a) 5班分のミッションファイルを準備する
「災害本部レイアウト班」、「安否・避難情報確認班」、「救助・救護班」
「消火・被害調査班」、「仮設トイレ設置・資材管理班」
b) 各班の指示カードを(1指示につき1枚)作成してファイリングする
FMBの完成イメージについては、以下のフロー図を参考にしてください。
【国崎伸江氏の防災コラムより】
災害対策本部を特定のメンバーで構成することが「常識」とされている風潮には以前から疑問を感じていたので、この「FMB」作成のアイデアにはとても共感できます。
なお、FMBの専用サイトも今月末に開設される予定とのことでした。
<参考記事>