マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

またもや発見!アコギな電子ブレーカー業者

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現在コンサル中の都内のマンションで電気料金の調査をしていたら、料金削減のために共用部に電子ブレーカーと蓄熱式暖房機をすでに導入済みであることが分かりました。

 

管理組合に伺ったところ、これについては電気料金削減状況の報告書があると聞いたので、すぐに「ピン」ときました。

 

これには、例によって「ピンハネ業者」が介在していることが予想できたからです。

 

<参考記事> 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

その業者から提出された報告書を読んでみたところ、「案の定」でした。

・・・・

【契約の概要】

■ 契約期間は「10年」

■ 業者へ支払う報酬の条件

システム利用料」と称して、1年目:料金削減額の100%、2年目以降は同40%を毎年支払う。

 ■ 中途解約の条件

残りの契約期間に対応する上記利用料の70%を違約金として支払う義務がある。

・・・

このマンションでは、年間23万円の料金削減効果が出ており、すでに5年目となっていました。

 

10年間で「システム利用料」を支払い続けると、管理組合は年間削減額の460%(=100%+40%×9年)を負担することになります。

 

このマンションの場合は、23万円 × 4.6倍= 106万円となるため、

一括購入の金額(65万円)よりも40万円以上搾取されてしまうわけです。

 

なお、このシステムの場合、

今後10年の期間満了を迎えると、再度設備更新に相当する費用を請求される仕組みになっており、このままだとマンションが存続する限り、この業者が労せず管理組合から搾取し続けられることになります。

 

では、この契約を途中で解約し、設備を新たに購入したらメリットがあるのか、検証してみましょう

 

電子ブレーカーと蓄熱式暖房機を購入した場合の投資効果を試算してみます。

■ 設備導入費用: 合計 65万円

■ コスト削減額: 23万円/年

■ 違約金 :残り5年間とした場合、32万円(=23 × 40% × 70% × 5年)

 

要するに、違約金を含む導入費用の「償却年数」を計算すると、

(65+32)万円 ÷ 23万円 = 4.2年

 

設備耐用年数(15年)を考慮すれば十分に元が取れることがわかったため、管理組合さんに購入プランへの変更を提案する予定です。

 

<参考記事> 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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民泊の禁止だけじゃ足りない?マンション標準管理規約に潜むリスクとは

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8月8日付けの産経新聞に、「大阪のマンション管理組合 グループホーム禁止と社福法人を提訴」という記事が掲載されていました。

 

www.sankei.com

 本記事の内容は以下の通りです。

■ 大阪市の分譲マンションで、その専有部分を障害者が暮らすグループホームとしての利用しているのは住居以外の用途の利用を禁じる管理規約に反するとして、この管理組合が運営元の社会福祉法人を相手取って事業の停止を求める訴訟を起こした。

 

■ グループホームを運営する法人は、平成15年にこのマンションの区分所有者と賃貸契約を締結した。現在は2部屋にて運営中で発達障害などがある女性6人が暮らしている。

 

■ 管理組合側は16年、消防署からの指摘を受けてグループホーム事業が行われている事実を把握した。

 

■   管理組合は、このマンションが店舗や施設を対象とした「特定防火対象物」に変更されるため、防火設備の点検費などの金銭的負担が増える他、事業運営を容認すれば他の違反行為も誘発すると主張している。

 

国交省の標準管理規約には、専有部分の用途に関する制限として以下のような条項が定められています。

 

・・・・

第12条(専有部分の用途)

区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

・・・・・

 

ただ、このいわゆる「専ら住宅条項」の有効とされる範囲が問題です。

 

率直に言って、この条項だけで民泊やグループホームなどの利用を排除するのは難しいというのが実情です。

 

そのため民泊については、今年6月の住宅宿泊事業法の施行に伴って

国交省は標準管理規約を改正するとともに、既存の管理組合に対して民泊事業を禁止するか、あるいは容認するかを規約に明記するよう勧めています。

 

ただ、それ以外にも、不特定多数の見知らぬ人が出入りすることでトラブルを招きやすいと考えられる用途があります。

 

◆シェアハウス

◆短期賃貸住宅(ウィークリー・マンション、マンスリー・マンション)

◆グループ・ホーム

 

管理組合内でこうした用途を好ましくないとお考えでしたら、民泊とともに、これらも禁止用途として管理規約に明記されることをお勧めします。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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日経新聞でも取り上げられたマンションの「所有者不明問題」

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8月2日付の日経新聞に、「所有者不明の空き家問題、マンションでも深刻に 」と題する記事が掲載されていました。

 

www.nikkei.com

本記事を要約すると、以下のような内容です。

■ 所有者不明の不動産問題は、分譲マンションでも深刻になってきた。今後老朽化マンションが増えれば相続を放棄される部屋が増える可能性も高い。新たなルール整備を求める声もあり、東京都は独自に条例制定の検討に入った。

 

■ 今年1月、埼玉県内の管理組合の臨時総会にて、24戸のうち3戸の区分所有者の氏名と住所を特定できず、管理費などの滞納が続いていることが報告された。

 

■ 支払期日から5年近く経過し、支払請求権の消滅時効も迫っていたことから、管理組合は家庭裁判所に対し、不在者財産管理人の選任を申し立てる決議をした。ただ部屋を売却しても、滞納分に見合う売却代金を得られるかは不透明な状況。

 

■ 所有者不明問題は管理費などが徴収できなくなるほか、管理が行き届かない部屋は周囲の住環境を悪化させ、管理組合の意思決定の足かせにもなりかねない。

 

■ 管理組合における通常の決議では、区分所有者の議決権の過半数(<筆者注記>総会出席者に対して)の賛成が必要。一方、管理規約の変更・廃止などの重要事項の場合には(<筆者注記>区分所有者全体の)4分の3、建て替えは同5分の4の賛成が必要になる。

 

■  マンションを解体して敷地を売却する場合は、区分所有者全員の合意が必要になるため、区分所有者不明となればその意思決定はできなくなる。

 

■ 国交省が管理組合を対象に実施した調査によると、回答した組合のうち、連絡がつかない所有者らが存在する割合は「14%」に達したという。

 

■ 所有者不明問題の原因は、相続に伴う区分所有権の移転登記がされないのが一因だが、相続そのものがなされないケースも広がっている。管理組合が調査して突き止めた区分所有者の子が相続を放棄したため、管理組合はその部屋の競売手続きを迫られるケースも出ている。

 

■ 老朽化で資産価値が下がり、管理費も滞納しているマンションは、相続する魅力に乏しく、将来相続放棄されてしまう恐れがある。

 

■ 東京都は18年3月に「マンションの適正管理促進に関する検討会」を設置し、管理組合に管理状況を5年ごとに行政に届け出てもらう制度の創設や、分譲会社などの事業者に対して管理組合の管理のしやすさに配慮した物件供給に努めるよう求めることなどを議論している。検討会による報告書をを踏まえて、都はそれ条例化を検討するとのこと。

 

■ マンション管理を充実させて資産価値を保つ取り組みは、所有者不明物件の増加を防ぐうえで大切だ。また、住人による自治を前提とした区分所有法はもはや実態に合わなくなっているとの指摘もあり、現行法の見直しや新たなルールも幅広く議論していかなければならない。

 

相続放棄に伴う所有者不明問題については、本ブログでもすでに取り上げていますが、今後のマンション管理組合の運営にとってかなり深刻なリスクになるのは間違いないでしょう。

 

<参考記事> 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 これには、「区分所有者の高齢化に伴う相続の発生」と「建物老朽化に伴う資産価値の下落の2つの要因が重なっていることが影響しています。

 

2017年の国交省による推計値によれば、分譲マンションの総ストック:約644万戸のうち築30年以上が185万戸あり、すでに全体の3割弱を占めています。

 

その10年後にはこれがほぼ倍増し、352万戸にも達すると予測が出ています。

 

ヒトの命が有限である以上、相続の発生自体は避けられるものではありません。

 

ただ、「老朽化に伴う資産価値の下落」については管理組合が主体性を持ち、しっかりとした財政運営を行うことができれば、ある程度食い止めることも可能です。

 

マンション購入を「ババ抜きゲーム」にしないための対策の「一丁目一番地」は、築浅の段階から長期修繕計画で求められる修繕資金を無理なく賄えるよう、均等積立方式にもとづいた修繕積立金の徴収と運用を行うように「改革」することです。

 

しかしながら、ほとんど全ての新築分譲マンションは、必要な積立金に対して半額以下の水準しか徴収しないところからスタートしているという実情があります。

 

これは販売価格の維持を主な目的とする、分譲デベロッパーの「策略」によるものです。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 しかし、修繕積立金をいきなり2倍に増額するのは、さすがに「痛み」が伴います。

 

これを緩和する方法としてお勧めするのが、「管理コストの適正化」です。

 

管理組合の主要な支出である、以下の3費目をなるべく早期に適正化することです。

 ■ 管理委託費〔管理会社に支払う経費)

 ■ 共用部の電気料金

 ■ 共用部の損害保険料

 

分譲デベロッパー系の管理会社の場合であれば、彼らの言い値で管理委託費が決まっているため、かなり割高な金額になっているのが実情です。

 

これまでの経験から当初決まった管理委託費については3割程度下がる余地があると思います。

 

なるべく早めにこれを見直し、コスト削減を通じて管理組合の剰余金を増やすことによって修繕積立金の増額リスクを抑えることをお勧めします。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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長期修繕計画に「漏れ」のあるマンションは要注意!

 

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8月2日付の東京新聞に、「マンションの大規模修繕積立金 定期的に計画見直しを」と題する記事が掲載されていました。

 

www.tokyo-np.co.jp

本記事を要約すると、以下のような内容です。 

■マンションの維持に欠かせないのが、10数年ごとの大規模修繕工事だ。毎月住民が支払う修繕積立金が工事に使われるが、その金額は将来予想される工事をまとめた長期修繕計画が根拠となる。

■しかしながら、計画の漏れが判明して修繕積立金の値上げに踏み切る管理組合もあり、定期的に見直しをしておきたい。 

■名古屋市内にある築30年の分譲マンションの管理組合では2017年1月から、毎月の修繕積立金を一律8千円値上げした。

■値上げ前の修繕積立金は専有面積に応じて7,500~8,000円だったので、ほぼ倍増したことになる。

■値上げに踏み切ったのは、長期修繕計画に漏れがあったため。数年前に給排水管のメンテナンスをした際、将来的に管の取り換えをする必要があると分かったが、計画には入っていなかった

■新築で計画期間30年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金の額を設定しているマンションの割合は約65%。また、修繕積立金だけで工事費がまかなえた組合は約80%。残りは住民から臨時でお金を集めたり、融資を受けたりしている。

■長期修繕計画の見直しなどで修繕積立金の値上げが必要だと分かった場合は、管理組合は根拠を示して住民の合意形成を進めていくことが大切である

 このテーマについては本ブログでも実例をご紹介しましたが、このように新聞に取り上げられるということは、世間的には珍しいわけではなさそうです。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

今春からコンサルを開始した、都内の某大規模タワーマンション(約400戸)の長計をチェックしていた時のことです。

 

現在徴収している修繕積立金は、1㎡あたり150円/月。

 

新聞記事にも紹介されている、国交省が示したガイドラインよりも低いにもかかわらず、計画期間の資金収支上は大きく「黒字」になっていました。

 

どうにも腑に落ちないのでその長計をつぶさに調べてみたところ、謎が解けました。

 

30年間の長期修繕計画(築6年目から築35年目まで)の中に、エレベーターや機械式駐車場、給排水設備といった主要な共用設備の更新にかかかる費用(約10億円)が除外されていたのです。

 

そして、これら一切合切の実施時期が、計画期間の翌年である「築36年目」(!)に設定されていました・・・。

 

築36年目を対象期間に加えた場合には、明らかに資金ショートしてしまいます。

これは、きっと作成者(管理会社)が意図したものだろうと思います。

 

ここまで酷いのは例外としても、

給排水管の更新時期を計画期間の対象外に設定してしまうケースは時々見られます。

 

この背景には、管に使われる材質が、時代とともに耐久性の高いものに進化しているからです。

 

マンションの給水管の場合、70年代の中盤までは鉄管の内面に「亜鉛めっき」が施されているだけのため15年~20年程度で腐食し、赤水や漏水などの発生原因となっていました。

 

その後登場したのが「硬質塩化ビニルライニング鋼管」で、現在最も多くのマンションで使用されているとされています。

 

そして2000年以降は、より耐久性の高い「ステンレス管」を採用する事例が増えました。

 

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ステンレス鋼管はその耐用年数が30年超とされているため、新築当初の長期修繕計画で見込むのは時期尚早と判断し、その費用をあえて計上しないことがあるのです。

 

とは言え、ステンレス管でも経年劣化は避けられず、いつかは取替えざるをえないでしょうからどこかの段階でその資金を工面する算段をしておく必要があるでしょう。

 

つまり、共用設備全体の更新費用をカバーするための必要資金総額を確認したうえで、それを長期的に無理なく賄えるような修繕積立金の徴収方法を選択することが大切なのです。

  

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新たな管理会社選定までの怒涛の4ヶ月間!

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先日、現在コンサルティング中の都内の大規模マンション(築27年・290戸)で臨時総会が開催され、新たな管理会社との委託契約の締結が承認されました。

 

この組合では、この春から新たな管理会社を選定するサポートをすることになったのですが、本件については事情が少々「特殊」です。

 

というのも、今年2月、現在の大手デベロッパー系の管理会社から突如更新辞退の申し出がなされたからです。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

解約の理由として、その申入文書には「社内事情により管理業務の継続が難しくなったため」としか記載されていません。

 

また、管理組合との間でトラブルが発生していたわけでもありません。

 

この管理会社とは、20年ほど前に当初の管理会社からのリプレイスして以来の関係でした。にもかかわらず、たったの3ヶ月前の予告申し入れとは、なかなか冷淡な対応と言えます。(管理組合の申入れによって、何とか8月末までの契約延長で合意)

 

その後、組合内で管理会社選定のためのプロジェクトチームが立ち上がり、ご相談を受けて当社がサポートを開始したのが4月中旬。

 

その後、新たな管理会社の選定まで以下のようなスケジュールで進めていきました。

 

      現状の管理委託費の査定診断報告

      候補先会社の選定&見積もり依頼(5月下旬)

              ↓

      現地見学会の開催(6月初旬)

              ↓

      各社見積もり提出期限& 1次選考(6月下旬)

      各社プレゼン会&最終選考会(6月末)

              ↓

        理事会承認(7月初旬)

              ↓

        臨時総会決議(7月末)

 

計7社に見積もりを依頼した結果、引き継ぎ期間が短すぎるなどの理由で2社が辞退したため、結局5社の見積もり参加になりました。

 

また、このマンションでは設備保守点検業務を管理会社を介さず各専門業者に直接委託していましたが、査定したところ割高な業務も一部見られたため、リプレイスを機に適正化すべく委託範囲を拡大して見積ってもらうことにしました。

 

その結果、現管理会社の委託範囲だとコストアップになる可能性が高かったのですが、委託範囲を広げたことで逆に年間100万円程度削減することができました

 

また、総会承認の後、9月の委託開始まで実質1ヶ月間しかないため、管理員も継続雇用してもらうことを新管理会社に要請し、受け入れてもらいました。

 

まさに怒涛の4ヶ月間でしたが、組合内で危機感が共有されていたために団結力もあり、理事会と委員会間の連携も円滑だったため、理事会・総会ともほぼ全会一致で承認されました。

 

総会終了後には役員の方々から感謝の言葉もいただき、コンサルタント冥利に尽きます。

 

また、今回のプロジェクトに関わったことは、たいへん貴重な経験となりました。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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類は友を呼ぶ?悪徳業者を紹介したのは管理会社だったの巻

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先日、本ブログで電子ブレーカーで管理組合から搾取し続ける業者の話を紹介しました。

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

その契約の主な内容を要約すると、以下のようになります。

・・・・

■ 業者は管理組合と10年間のシステム利用契約を締結。

■ 業者が電子ブレーカーの設置工事を行い、組合が電気料金の削減効果を享受する。

■ 当初の5年間は、「システム利用料」として削減額の5割を業者に支払う。

■ 残りの5年間は、「システム利用料」として削減額の2割を業者に支払う。

■ 来春、契約期間が満了する際に、「更新料」25万円(税別)を請求する。

■ もし解約する場合は、電子ブレーカーを撤去。電気料金の削減効果がなくなるうえ、ブレーカーの撤去費用として5万円を請求する。

・・・・

 

このマンションでは、電子ブレーカー設置によって年間15万円の電気料金の削減効果が現在得られています。

 

ただ、上記の通り、当初の5年間は削減額の5割(合計:37.5万円)、後半の5年間は同2割(合計:15万円)を業者に支払う契約になっています。

 

つまり管理組合は、合計52.5万円を業者に支払う義務があるわけです。

 

電子ブレーカーを買い取った場合の費用は30万円程度なので、差引き20万円強も搾取されている計算になります。

 

しかも、まだ交換の必要のないブレーカーを新品に交換するという理由で更新料を取るという提案が今回なされました。

 

これに対して、今後10年間のキャッシュフローを試算した結果、電子ブレーカーを買取った方が有利なことが分かったため、この業者の提案は断って契約を解除することを先月の理事会で決議したのです。

 

ところが・・・

今月の理事会で、管理会社経由でその業者から新たな提案が持ちこまれました。

その内容とは、以下のようなものです。

■ 現在の契約を解除して電子ブレーカーの買取りも選択できる。

■ その場合、既存のブレーカーの撤去費用等の違約金は一切不要。

■ 電子ブレーカーの買取費用は30万円。

 

聞いて呆れるとはこのことです。

思わず「はあ? 今さら何言ってるの?」と憤慨してしまいました。

 

きわめて品の悪い「後出しジャンケン」ですね。

 

「バレたらしょうがない。買い取りプランも提案してやるか・・」

という業者の本音が透けて見えます。

 

「そんな提案ができるなら、初めから持って来い!!」です。

 

しかも、当事者である業者は理事会にさえ現れず、説明しているのは管理会社です。

 

予想していた通りですが、今回はからずも明らかになったのは

この業者を紹介した張本人が管理会社だったいうことです。

 

当然ですが、この提案は受け入れられず、却下となりました。

 

顧問に就任して約1年。

毎月の理事会に出席しながら痛感したのは、この売主系列の管理会社は自社の利益のことしか考えてないな、ということです。

 

ご多聞にもれず、工事費の見積りも割高です。

しかも、元請けの立場も忘れて、説明は協力業者に丸投げです。

 

ただ、自社と競合する別会社の提案があると知るや否や、恥も外聞もなく条件を下げてきます。

 

そして、そういう管理会社には、悪徳業者が寄って来るのです。

まさに、「類は友を呼ぶ」の諺のとおりです。

 

こんな行為の繰り返しで、顧客との信頼関係が築けると思っているのでしょうか?

 

もし「当社は売主系列だからリプレイスされっこない」と思っているとすれば、時代錯誤もはなはだしいと言わざるをえません。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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マンション管理会社の変更は「品質低下」を招きやすいのか?

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「マンションの管理会社変更、「成功報酬型」に潜む落とし穴 」という記事が19日付けでウェブサイトに掲載されていました。

 

news.goo.ne.jp 

本記事の要約は以下の通りです。

・・・・

■マンション管理組合では、管理会社への日頃の疑問や不満の声が噴出することがあり、それによって管理会社のリプレイス(交替)を検討するケースがしばしば見受けられる。

 

■管理組合のリプレイスを薦めるのは、たいていの場合、「年間削減管理費の50%」などの成功報酬型のコンサル会社である。この種のコンサル会社は、管理費を削減すればするほど儲かるため、とことん削減に走りがちだ。

 

■中でも多いのは、売主系列の管理会社からローコストが売りの独立系管理会社に変更するパターン。しかし、管理費が下がったものの、後になって管理のレベルが著しく下がることケースがある。

 

■例えば清掃時間を削減しすぎたあまり、かつてのようには清掃が行き届かない、共用部の電気交換をやってくれなくなった、ゴミの整理が以前より雑になった、管理組合広報などの投函をしてくれなくなったなどである。

 

■さらにまずいのは、こうした不満を管理会社に伝えると、1年更新の管理契約を管理会社の側から更新拒絶されるケース。

 

■管理費の削減成果に応じた報酬制によるコンサル会社の提案は、一見魅力的に思える。ところが、大幅な削減ができるパターンというのはたいていの場合、売主系列の管理会社から、劇安を売りにする管理会社への変更を伴う。

 

■しかし副作用の大きさを考えると、管理会社のリプレイスには相当慎重になったほうがいい。また、そもそも管理会社を変えるといったリスクを冒さなくても、管理費削減は可能だ。

 

■リプレイスを声高に吹聴するコンサルタントの提案を冷静に分析・検証しよう。管理会社を変更するデメリットを説明しないで、リプレイスを行うことのメリットだけを強調する場合は特に要注意だ。

 

■成功報酬型のコンサルティングは勢い、管理組合のためではなく、自分のコミッションにつながる「削減額の最大化」に向けた仕事をしがちで、それまで住民が享受してきた様々なメリットを見逃しがちになる。

 

■まずは、住民が管理会社に対してどのように考えているのか、アンケート等で広く意見を聴取してみよう。理事会としては、管理会社は変更せざるを得ないと思っていたとしても、住民の管理会社への評価は、往々にして異なる場合があるためだ。

 

■そのうえで、まずは現行の管理会社と管理の中身やコストについて交渉の場を持つべきだろう。フロントマンに不満がある場合には管理会社に改善ないしは交替を求め、それでもなお改善されない場合に、管理会社の変更に取り組もう。

 

■一般的にはどの程度の管理費が適正なのか、理事会として物差しを持っておきたいもの。形態別では、単棟型が1万5970円、団地型が1万3134円。もちろんこれらはあくまで目安であり、具体的にどのようなサービスが行われるかによって異なる。

 

■こうしたプロセスを経たうえで、現在行われている管理の内訳やサービスの内訳を洗い出しリスト化、必要なサービスを委託契約に書き込んでいき、管理会社変更前と変更後で、具体的に何が変わるのか、住民にもわかるようによく説明したうえで管理会社変更に踏み切ろう。

・・・・

 

本記事で槍玉に上がっている成功報酬型のコンサルメニューも用意している当社にとっては、こうした記事がそのまま世の中に流布される影響を考えると捨て置けず、反論しておきたい項目を以下の通りまとめてみました。

 

<1> 成功報酬型コンサル ≒ リプレイス提案 ではない!

本記事では、成功報酬型コンサル=管理費削減(※正確には「管理委託費」削減)効果の最大化に執心 ⇒ ローコスト型独立系管理会社へのリプレイス提案 ⇒ 管理品質低下 というリスクが強調されており、記事タイトルのように「成功報酬型コンサルに落とし穴がある」というミスリードした印象につながってしまっています。

 

まず、成功報酬型コンサルとリプレイスがまるでセットメニューであるかのように位置づけられるのはまったくいい迷惑で、強く否定しておきます。

 

当社の場合、理事会等で業務内容を説明する際には、管理会社の変更ありきではなく、管理会社とのコスト交渉を代行することを謳っています。

 

<2> 管理委託費の削減手段 ≒ 管理仕様の低下 ではない!

本記事の中で最も気になったのは、「コスト削減効果には、予期しない管理品質の低下が生じるリスクがある」という主旨のくだりです。

 

そもそも、管理委託契約書には、管理会社の業務内容ならびに管理仕様の詳細が記載されています。

 

管理仕様とは、たとえば「管理人が週5日・4時間/日勤務する」、「清掃は年6回実施する」、「エレベーターは年4回の有人点検を行う」といった内容です。

 

管理委託費を削減したいなら、上記の仕様を落とせば簡単に実現できます。たとえば上記の例で管理人を「週3日」勤務に変更すれば、コストも当然下がります。

 

しかし、そういった仕様は原則変えずにコスト適正化(削減)を進めるのが常識です。

 

仕様を変えなくても、価格(1回の作業当たりの金額)が割高な部分を適正化するだけで2割~3割程度コストは下がりますから、その必要性も小さいのです。

 

ただ、数多くのコンサルティングを手掛けていると管理仕様に「過剰」な部分が見られるマンションも決して少なくありません。

 

<例>

■ 30戸の小規模マンションに、管理人が「朝8時から15時まで」勤務している

■ ポリッシャーによる廊下などの床洗浄作業を全館「毎月」実施している

 

したがって、当社では、管理委託費の適正化コンサルを行う場合には、「現行仕様案」と「仕様変更案」の2つを管理組合に提案することが多いです。

 

それと、「清掃が以前よりも雑になった」など、契約条文では詰め切れない部分については、たしかに品質低下のリスクはあるかもしれません。

 

ただし、それが「コスト削減」や「管理会社のリプレイス」自体が原因だと直ちに決めつけられるわけではありません。

 

管理会社が変更になれば、自ずと管理人や清掃員も交代となるのが一般的です。

現場に従事するスタッフの属人的な要素(モチベーションやパーソナリティ)によって管理品質が影響を受ける可能性も十分ありえます。(逆に従来よりも改善されるケースもありえます。)

 

もっといえば、そうした不満が生じたなら、管理組合自身が管理会社に対してそれを的確に伝えて改善を図るべきではないでしょうか。

 

それによって管理会社から「契約更新を拒否される」事例があるとのことですが、あったとしても極めて悪質でレアなケースだと思います。

 

<3> 管理費 = 管理委託費 ではない!

 本記事でもう一つ気になった点は、あたかも「管理費=管理委託費」だと誤解されそうなくだりです。

 

管理費の水準について、本記事では、「単棟型が1万5970円、団地型が1万3134円」というデータが紹介されていますが、これだけでは果たして管理委託費に削減余地があるかプロのコンサルタントでも判断するのは困難です。

 

なぜなら、管理費とは管理組合が区分所有者から徴収する収益の一部であり、このほかに駐車場などの専用使用料も組合収入に加算されるのが一般的だからです。

 

一方、削減対象となる「管理委託費」とは、管理費と駐車場等の使用料を合算した収入全体から支払われる費目です。

 

したがって、仮に管理費が「安い」としても、他の駐車場収入等が占める割合が大きいケースも少なからずあり、それだけで管理委託費も「安い」という判断はできないのです。

 

また、清掃費や消防設備等の点検費がはたして「適正」かどうかは、管理組合サイドでは判断がつきかねるのが実情です。

 

なお、本記事の締めくくりには、「住民が管理会社に対してどのように考えているのか、アンケート等で広く意見を聴取」、「現在行われている管理の内訳やサービスの内訳の洗い出し・リスト化」、「必要なサービスを委託契約に書き込み、具体的に何が変わるのか住民にもわかるようによく説明」などのアドバイスが述べられています。

 

しかし、こうした一連の作業を専門知識や他のマンションの情報もない、ボランティアの組合役員に求めるのは現実的とは思えません。

 

数多くのマンションを手掛け、専門知識と確かな情報を持つコンサルタントのサポートが不可欠だと思います。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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