マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

長期修繕計画に「漏れ」のあるマンションは要注意!

 

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8月2日付の東京新聞に、「マンションの大規模修繕積立金 定期的に計画見直しを」と題する記事が掲載されていました。

 

www.tokyo-np.co.jp

本記事を要約すると、以下のような内容です。 

■マンションの維持に欠かせないのが、10数年ごとの大規模修繕工事だ。毎月住民が支払う修繕積立金が工事に使われるが、その金額は将来予想される工事をまとめた長期修繕計画が根拠となる。

■しかしながら、計画の漏れが判明して修繕積立金の値上げに踏み切る管理組合もあり、定期的に見直しをしておきたい。 

■名古屋市内にある築30年の分譲マンションの管理組合では2017年1月から、毎月の修繕積立金を一律8千円値上げした。

■値上げ前の修繕積立金は専有面積に応じて7,500~8,000円だったので、ほぼ倍増したことになる。

■値上げに踏み切ったのは、長期修繕計画に漏れがあったため。数年前に給排水管のメンテナンスをした際、将来的に管の取り換えをする必要があると分かったが、計画には入っていなかった

■新築で計画期間30年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金の額を設定しているマンションの割合は約65%。また、修繕積立金だけで工事費がまかなえた組合は約80%。残りは住民から臨時でお金を集めたり、融資を受けたりしている。

■長期修繕計画の見直しなどで修繕積立金の値上げが必要だと分かった場合は、管理組合は根拠を示して住民の合意形成を進めていくことが大切である

 このテーマについては本ブログでも実例をご紹介しましたが、このように新聞に取り上げられるということは、世間的には珍しいわけではなさそうです。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

今春からコンサルを開始した、都内の某大規模タワーマンション(約400戸)の長計をチェックしていた時のことです。

 

現在徴収している修繕積立金は、1㎡あたり150円/月。

 

新聞記事にも紹介されている、国交省が示したガイドラインよりも低いにもかかわらず、計画期間の資金収支上は大きく「黒字」になっていました。

 

どうにも腑に落ちないのでその長計をつぶさに調べてみたところ、謎が解けました。

 

30年間の長期修繕計画(築6年目から築35年目まで)の中に、エレベーターや機械式駐車場、給排水設備といった主要な共用設備の更新にかかかる費用(約10億円)が除外されていたのです。

 

そして、これら一切合切の実施時期が、計画期間の翌年である「築36年目」(!)に設定されていました・・・。

 

築36年目を対象期間に加えた場合には、明らかに資金ショートしてしまいます。

これは、きっと作成者(管理会社)が意図したものだろうと思います。

 

ここまで酷いのは例外としても、

給排水管の更新時期を計画期間の対象外に設定してしまうケースは時々見られます。

 

この背景には、管に使われる材質が、時代とともに耐久性の高いものに進化しているからです。

 

マンションの給水管の場合、70年代の中盤までは鉄管の内面に「亜鉛めっき」が施されているだけのため15年~20年程度で腐食し、赤水や漏水などの発生原因となっていました。

 

その後登場したのが「硬質塩化ビニルライニング鋼管」で、現在最も多くのマンションで使用されているとされています。

 

そして2000年以降は、より耐久性の高い「ステンレス管」を採用する事例が増えました。

 

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ステンレス鋼管はその耐用年数が30年超とされているため、新築当初の長期修繕計画で見込むのは時期尚早と判断し、その費用をあえて計上しないことがあるのです。

 

とは言え、ステンレス管でも経年劣化は避けられず、いつかは取替えざるをえないでしょうからどこかの段階でその資金を工面する算段をしておく必要があるでしょう。

 

つまり、共用設備全体の更新費用をカバーするための必要資金総額を確認したうえで、それを長期的に無理なく賄えるような修繕積立金の徴収方法を選択することが大切なのです。

  

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新たな管理会社選定までの怒涛の4ヶ月間!

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先日、現在コンサルティング中の都内の大規模マンション(築27年・290戸)で臨時総会が開催され、新たな管理会社との委託契約の締結が承認されました。

 

この組合では、この春から新たな管理会社を選定するサポートをすることになったのですが、本件については事情が少々「特殊」です。

 

というのも、今年2月、現在の大手デベロッパー系の管理会社から突如更新辞退の申し出がなされたからです。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

解約の理由として、その申入文書には「社内事情により管理業務の継続が難しくなったため」としか記載されていません。

 

また、管理組合との間でトラブルが発生していたわけでもありません。

 

この管理会社とは、20年ほど前に当初の管理会社からのリプレイスして以来の関係でした。にもかかわらず、たったの3ヶ月前の予告申し入れとは、なかなか冷淡な対応と言えます。(管理組合の申入れによって、何とか8月末までの契約延長で合意)

 

その後、組合内で管理会社選定のためのプロジェクトチームが立ち上がり、ご相談を受けて当社がサポートを開始したのが4月中旬。

 

その後、新たな管理会社の選定まで以下のようなスケジュールで進めていきました。

 

      現状の管理委託費の査定診断報告

      候補先会社の選定&見積もり依頼(5月下旬)

              ↓

      現地見学会の開催(6月初旬)

              ↓

      各社見積もり提出期限& 1次選考(6月下旬)

      各社プレゼン会&最終選考会(6月末)

              ↓

        理事会承認(7月初旬)

              ↓

        臨時総会決議(7月末)

 

計7社に見積もりを依頼した結果、引き継ぎ期間が短すぎるなどの理由で2社が辞退したため、結局5社の見積もり参加になりました。

 

また、このマンションでは設備保守点検業務を管理会社を介さず各専門業者に直接委託していましたが、査定したところ割高な業務も一部見られたため、リプレイスを機に適正化すべく委託範囲を拡大して見積ってもらうことにしました。

 

その結果、現管理会社の委託範囲だとコストアップになる可能性が高かったのですが、委託範囲を広げたことで逆に年間100万円程度削減することができました

 

また、総会承認の後、9月の委託開始まで実質1ヶ月間しかないため、管理員も継続雇用してもらうことを新管理会社に要請し、受け入れてもらいました。

 

まさに怒涛の4ヶ月間でしたが、組合内で危機感が共有されていたために団結力もあり、理事会と委員会間の連携も円滑だったため、理事会・総会ともほぼ全会一致で承認されました。

 

総会終了後には役員の方々から感謝の言葉もいただき、コンサルタント冥利に尽きます。

 

また、今回のプロジェクトに関わったことは、たいへん貴重な経験となりました。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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類は友を呼ぶ?悪徳業者を紹介したのは管理会社だったの巻

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先日、本ブログで電子ブレーカーで管理組合から搾取し続ける業者の話を紹介しました。

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

その契約の主な内容を要約すると、以下のようになります。

・・・・

■ 業者は管理組合と10年間のシステム利用契約を締結。

■ 業者が電子ブレーカーの設置工事を行い、組合が電気料金の削減効果を享受する。

■ 当初の5年間は、「システム利用料」として削減額の5割を業者に支払う。

■ 残りの5年間は、「システム利用料」として削減額の2割を業者に支払う。

■ 来春、契約期間が満了する際に、「更新料」25万円(税別)を請求する。

■ もし解約する場合は、電子ブレーカーを撤去。電気料金の削減効果がなくなるうえ、ブレーカーの撤去費用として5万円を請求する。

・・・・

 

このマンションでは、電子ブレーカー設置によって年間15万円の電気料金の削減効果が現在得られています。

 

ただ、上記の通り、当初の5年間は削減額の5割(合計:37.5万円)、後半の5年間は同2割(合計:15万円)を業者に支払う契約になっています。

 

つまり管理組合は、合計52.5万円を業者に支払う義務があるわけです。

 

電子ブレーカーを買い取った場合の費用は30万円程度なので、差引き20万円強も搾取されている計算になります。

 

しかも、まだ交換の必要のないブレーカーを新品に交換するという理由で更新料を取るという提案が今回なされました。

 

これに対して、今後10年間のキャッシュフローを試算した結果、電子ブレーカーを買取った方が有利なことが分かったため、この業者の提案は断って契約を解除することを先月の理事会で決議したのです。

 

ところが・・・

今月の理事会で、管理会社経由でその業者から新たな提案が持ちこまれました。

その内容とは、以下のようなものです。

■ 現在の契約を解除して電子ブレーカーの買取りも選択できる。

■ その場合、既存のブレーカーの撤去費用等の違約金は一切不要。

■ 電子ブレーカーの買取費用は30万円。

 

聞いて呆れるとはこのことです。

思わず「はあ? 今さら何言ってるの?」と憤慨してしまいました。

 

きわめて品の悪い「後出しジャンケン」ですね。

 

「バレたらしょうがない。買い取りプランも提案してやるか・・」

という業者の本音が透けて見えます。

 

「そんな提案ができるなら、初めから持って来い!!」です。

 

しかも、当事者である業者は理事会にさえ現れず、説明しているのは管理会社です。

 

予想していた通りですが、今回はからずも明らかになったのは

この業者を紹介した張本人が管理会社だったいうことです。

 

当然ですが、この提案は受け入れられず、却下となりました。

 

顧問に就任して約1年。

毎月の理事会に出席しながら痛感したのは、この売主系列の管理会社は自社の利益のことしか考えてないな、ということです。

 

ご多聞にもれず、工事費の見積りも割高です。

しかも、元請けの立場も忘れて、説明は協力業者に丸投げです。

 

ただ、自社と競合する別会社の提案があると知るや否や、恥も外聞もなく条件を下げてきます。

 

そして、そういう管理会社には、悪徳業者が寄って来るのです。

まさに、「類は友を呼ぶ」の諺のとおりです。

 

こんな行為の繰り返しで、顧客との信頼関係が築けると思っているのでしょうか?

 

もし「当社は売主系列だからリプレイスされっこない」と思っているとすれば、時代錯誤もはなはだしいと言わざるをえません。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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マンション管理会社の変更は「品質低下」を招きやすいのか?

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「マンションの管理会社変更、「成功報酬型」に潜む落とし穴 」という記事が19日付けでウェブサイトに掲載されていました。

 

news.goo.ne.jp 

本記事の要約は以下の通りです。

・・・・

■マンション管理組合では、管理会社への日頃の疑問や不満の声が噴出することがあり、それによって管理会社のリプレイス(交替)を検討するケースがしばしば見受けられる。

 

■管理組合のリプレイスを薦めるのは、たいていの場合、「年間削減管理費の50%」などの成功報酬型のコンサル会社である。この種のコンサル会社は、管理費を削減すればするほど儲かるため、とことん削減に走りがちだ。

 

■中でも多いのは、売主系列の管理会社からローコストが売りの独立系管理会社に変更するパターン。しかし、管理費が下がったものの、後になって管理のレベルが著しく下がることケースがある。

 

■例えば清掃時間を削減しすぎたあまり、かつてのようには清掃が行き届かない、共用部の電気交換をやってくれなくなった、ゴミの整理が以前より雑になった、管理組合広報などの投函をしてくれなくなったなどである。

 

■さらにまずいのは、こうした不満を管理会社に伝えると、1年更新の管理契約を管理会社の側から更新拒絶されるケース。

 

■管理費の削減成果に応じた報酬制によるコンサル会社の提案は、一見魅力的に思える。ところが、大幅な削減ができるパターンというのはたいていの場合、売主系列の管理会社から、劇安を売りにする管理会社への変更を伴う。

 

■しかし副作用の大きさを考えると、管理会社のリプレイスには相当慎重になったほうがいい。また、そもそも管理会社を変えるといったリスクを冒さなくても、管理費削減は可能だ。

 

■リプレイスを声高に吹聴するコンサルタントの提案を冷静に分析・検証しよう。管理会社を変更するデメリットを説明しないで、リプレイスを行うことのメリットだけを強調する場合は特に要注意だ。

 

■成功報酬型のコンサルティングは勢い、管理組合のためではなく、自分のコミッションにつながる「削減額の最大化」に向けた仕事をしがちで、それまで住民が享受してきた様々なメリットを見逃しがちになる。

 

■まずは、住民が管理会社に対してどのように考えているのか、アンケート等で広く意見を聴取してみよう。理事会としては、管理会社は変更せざるを得ないと思っていたとしても、住民の管理会社への評価は、往々にして異なる場合があるためだ。

 

■そのうえで、まずは現行の管理会社と管理の中身やコストについて交渉の場を持つべきだろう。フロントマンに不満がある場合には管理会社に改善ないしは交替を求め、それでもなお改善されない場合に、管理会社の変更に取り組もう。

 

■一般的にはどの程度の管理費が適正なのか、理事会として物差しを持っておきたいもの。形態別では、単棟型が1万5970円、団地型が1万3134円。もちろんこれらはあくまで目安であり、具体的にどのようなサービスが行われるかによって異なる。

 

■こうしたプロセスを経たうえで、現在行われている管理の内訳やサービスの内訳を洗い出しリスト化、必要なサービスを委託契約に書き込んでいき、管理会社変更前と変更後で、具体的に何が変わるのか、住民にもわかるようによく説明したうえで管理会社変更に踏み切ろう。

・・・・

 

本記事で槍玉に上がっている成功報酬型のコンサルメニューも用意している当社にとっては、こうした記事がそのまま世の中に流布される影響を考えると捨て置けず、反論しておきたい項目を以下の通りまとめてみました。

 

<1> 成功報酬型コンサル ≒ リプレイス提案 ではない!

本記事では、成功報酬型コンサル=管理費削減(※正確には「管理委託費」削減)効果の最大化に執心 ⇒ ローコスト型独立系管理会社へのリプレイス提案 ⇒ 管理品質低下 というリスクが強調されており、記事タイトルのように「成功報酬型コンサルに落とし穴がある」というミスリードした印象につながってしまっています。

 

まず、成功報酬型コンサルとリプレイスがまるでセットメニューであるかのように位置づけられるのはまったくいい迷惑で、強く否定しておきます。

 

当社の場合、理事会等で業務内容を説明する際には、管理会社の変更ありきではなく、管理会社とのコスト交渉を代行することを謳っています。

 

<2> 管理委託費の削減手段 ≒ 管理仕様の低下 ではない!

本記事の中で最も気になったのは、「コスト削減効果には、予期しない管理品質の低下が生じるリスクがある」という主旨のくだりです。

 

そもそも、管理委託契約書には、管理会社の業務内容ならびに管理仕様の詳細が記載されています。

 

管理仕様とは、たとえば「管理人が週5日・4時間/日勤務する」、「清掃は年6回実施する」、「エレベーターは年4回の有人点検を行う」といった内容です。

 

管理委託費を削減したいなら、上記の仕様を落とせば簡単に実現できます。たとえば上記の例で管理人を「週3日」勤務に変更すれば、コストも当然下がります。

 

しかし、そういった仕様は原則変えずにコスト適正化(削減)を進めるのが常識です。

 

仕様を変えなくても、価格(1回の作業当たりの金額)が割高な部分を適正化するだけで2割~3割程度コストは下がりますから、その必要性も小さいのです。

 

ただ、数多くのコンサルティングを手掛けていると管理仕様に「過剰」な部分が見られるマンションも決して少なくありません。

 

<例>

■ 30戸の小規模マンションに、管理人が「朝8時から15時まで」勤務している

■ ポリッシャーによる廊下などの床洗浄作業を全館「毎月」実施している

 

したがって、当社では、管理委託費の適正化コンサルを行う場合には、「現行仕様案」と「仕様変更案」の2つを管理組合に提案することが多いです。

 

それと、「清掃が以前よりも雑になった」など、契約条文では詰め切れない部分については、たしかに品質低下のリスクはあるかもしれません。

 

ただし、それが「コスト削減」や「管理会社のリプレイス」自体が原因だと直ちに決めつけられるわけではありません。

 

管理会社が変更になれば、自ずと管理人や清掃員も交代となるのが一般的です。

現場に従事するスタッフの属人的な要素(モチベーションやパーソナリティ)によって管理品質が影響を受ける可能性も十分ありえます。(逆に従来よりも改善されるケースもありえます。)

 

もっといえば、そうした不満が生じたなら、管理組合自身が管理会社に対してそれを的確に伝えて改善を図るべきではないでしょうか。

 

それによって管理会社から「契約更新を拒否される」事例があるとのことですが、あったとしても極めて悪質でレアなケースだと思います。

 

<3> 管理費 = 管理委託費 ではない!

 本記事でもう一つ気になった点は、あたかも「管理費=管理委託費」だと誤解されそうなくだりです。

 

管理費の水準について、本記事では、「単棟型が1万5970円、団地型が1万3134円」というデータが紹介されていますが、これだけでは果たして管理委託費に削減余地があるかプロのコンサルタントでも判断するのは困難です。

 

なぜなら、管理費とは管理組合が区分所有者から徴収する収益の一部であり、このほかに駐車場などの専用使用料も組合収入に加算されるのが一般的だからです。

 

一方、削減対象となる「管理委託費」とは、管理費と駐車場等の使用料を合算した収入全体から支払われる費目です。

 

したがって、仮に管理費が「安い」としても、他の駐車場収入等が占める割合が大きいケースも少なからずあり、それだけで管理委託費も「安い」という判断はできないのです。

 

また、清掃費や消防設備等の点検費がはたして「適正」かどうかは、管理組合サイドでは判断がつきかねるのが実情です。

 

なお、本記事の締めくくりには、「住民が管理会社に対してどのように考えているのか、アンケート等で広く意見を聴取」、「現在行われている管理の内訳やサービスの内訳の洗い出し・リスト化」、「必要なサービスを委託契約に書き込み、具体的に何が変わるのか住民にもわかるようによく説明」などのアドバイスが述べられています。

 

しかし、こうした一連の作業を専門知識や他のマンションの情報もない、ボランティアの組合役員に求めるのは現実的とは思えません。

 

数多くのマンションを手掛け、専門知識と確かな情報を持つコンサルタントのサポートが不可欠だと思います。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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管理会社のリプレイス提案でわかる管理委託契約見直しのポイント

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先日、都内の大規模マンションで、管理会社のリプレイス(変更)に伴う新たな候補先3社によるプレゼン会が開催されました。

 

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事前に管理委託費の見積もり条件についての提示は受けているため、当初の候補先5社から3社に絞り込まれた後の「最終選考会」という位置付けでした。

 

フロント担当の候補者も陪席してもらったうえで、会社の概要や受託実績はもちろんのこと、具体的な運営業務の内容や品質管理上の工夫などについても説明してもらいました。

 

プロジェクターを使用して演出する会社もあれば、プレゼンの担当を項目ごとに複数で分担して行う会社もあり、各社の特徴がみて取れます。

 

そんな中、委託契約に付帯する条件として以下のような追加提案がありました。

 

1)印刷代、通信費等の負担

通常は管理組合が負担することの多い総会議案書等のコピー・郵送料、管理室の電話代、文房具等の消耗品費などを管理会社が負担するという会社が2社ありました。

 

これによって、この管理組合では管理委託費に加えてこれらの経費削減効果も得ることができました。

 

2)長期修繕計画の更新頻度

 通常は、概ね5年ごとに見直して更新するという契約が多いのですが、修繕実施状況に応じて毎年更新しながらメンテナンスすることをコミットする会社がありました。

 

3)理事会議事録案の作成期限

理事会の開催後、フロント担当者による議事録案の作成に2、3週間かかるケースも少なくありませんが、1週間以内の提出をコミットする会社が2社ありました。

 

「釣った魚には餌はやらない」の諺のように、すでに10数年を越える長い契約関係にあってすでに「お得意先」の管理組合であるにもかかわらず、逆に馴れることによって緊張感が薄れ、業務品質が徐々に低下していく残念な管理会社が多いのが実情です。

 

現在の管理会社を変更するまでは考えていない管理組合でも、こうした事例にもとづいて委託契約更新の際には管理会社に一部見直しを要請してみるのもよいかもしれません。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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マンション管理組合が抱える「相続資産の承継リスク」

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 7月3日付けの「文春オンライン」に、「相続人が見つからない! 老朽化マンションの悲鳴」という記事が掲載されていました。

 

bunshun.jp

この記事の要約は以下の通りです。

・・・・・

■ 国交省による2013年度の調査結果によると、東京都内のマンションのうち、70歳以上が世帯主である住戸が2割、50歳以上が7割を占めるという。今後多くのマンション住戸が相続の対象となってくることが容易に想像される。

■ かつては親が子に残す財産で最も価値の高いもののひとつが不動産だった。ところが最近は親の自宅を相続しても自身で「住む」というケースは少ない。また、現在空き家は東京都内だけで60万戸もあり、家賃収入を得るのも容易ではない。

■ 親の残した不動産がそれほどの価値もないことに気付き始めた相続人たちは、不動産を敬遠して相続人同士で押し付けあうような場面も増えているという。

■ こうした状況の中、マンションを相続したことを管理組合に連絡しないケースも増えている。住戸を無理やり相続させられた相続人は、その事実を告げずに放置し、その結果として管理費・修繕積立金が滞納となる。

■ 相続人が確認できれば、管理組合は当然にして相続人に対して管理費・修繕積立金の請求を行うが、相続人としての届け出が行われないためどこに請求してよいのかわからなくなるケースが発生している。

■ 相続人を見つけ出しても、外国住まいであったり、複数の相続人が存在するためになかなか思うように徴収できないケースも増えている。

■ 最終的にはマンション住戸を差し押さえたうえで、競売等にかけて滞納分を回収していくというのが法律上の手続きとなるが、立地や築年数、設備の状況などによっては全く買い手がつかないマンションも出始めている。また、競売によって滞納金が回収できるという保証はどこにもない。

■ 管理費の滞納が300万円、住戸内の後片付け費用で100万円、リニューアル費用で300万円、管理組合で計700万円かけて売却に出したものの、売れない。最終的に売却できた金額は400万円だったなどという事例も珍しい事例ではなくなっている。差し押さえるための手続き、弁護士費用などを支払うにも組合員から集めた管理費しか元手がない中、管理組合も手が出しにくいというのが現状だ。

■ さらにやっかいなのが、相続人がいないマンション住戸の増加だ。相続人が存在しない、または相続人が全員相続を放棄した場合、マンション管理組合は家庭裁判所等が選定する相続財産管理人と対峙することとなる。つまり管理費・修繕積立金等の請求を相続財産管理人に行うこととなる。

■ 管理費の滞納が多いマンションほど老朽化が激しく、流通性に欠ける物件が多くなる。そうした住戸ほど誰も相続したがらない。相続を放棄する、相続をしても住戸を放置し、管理費・修繕積立金の支払いを免れ続ける。売却しても債務全額の回収には程遠く、そもそも売却すら叶わない、こんな物件が今後急速に増加してくる可能性が高くなっている。

・・・・

分譲マンションが相続放棄されることで、管理組合が管理費等の長期滞納リスクに直面するリスクについては、昨秋の朝日新聞の記事でも取り上げられていました。

 

<参考記事> 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

また、わが国の場合、相続された不動産の所有者が名義変更となっても登記手続きを行うことが法的に義務付けられているわけではありません

 

そのため、所有者不明の不動産が全国的に急増し、その面積は今や「九州」の広さに相当すると言われています。

 

 <参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

したがって、管理組合としてはマンション内に相続が発生した際に、管理費滞納のリスクに直面する可能性があるだけでなく、所有者不明のためにそれを請求する手立てが見つからないという厄介な問題も抱え込む可能性もあるということです。

 

特に現在単身世帯で、相続人もいないという住戸は最もリスクが高いわけです。

 

分譲マンションの場合、管理費の徴収は銀行口座からの自動振替えによる方法を取っているのが一般的ですから、残高不足で引き落としができなくなるまで相続の発生に気づかないケースが多いと思われます。

 

本人が死亡している場合、管理会社は督促しても連絡が付かないため当然回収が進まないまますぐに半年くらい経過してしまうでしょう。

 

相続が発生しているにもかかわらず、(相続放棄のケースも含めて)これを承継する相続人がいないことになったら、さらに大変です。

 

滞納債権があるからといって、管理組合が勝手にその住戸を処分するわけにはいきません。

 

家庭裁判所に「相続財産管理人」の選任を申請し、適法に資産を処分してもらうための手続をとる必要が出てきます

 

その際、100万円程度の「予納金」が必要ですし、相続人がいない(あるいは相続放棄がなされた)事実として戸籍謄本などを収集しなくてはなりません

 

そんな仕事はとても自力ではできないでしょうから、弁護士を起用するなどで管理組合としては別途費用の負担が必要になってきます。

 

とは言え、相続財産管理人が選任され、そのマンションが無事処分されて相応の資金が回収できればまだ「御の字」でしょう。

 

そのマンションが老朽化していたり立地条件の劣る物件の場合だと、二束三文の値段にしかならなかったり、酷い場合には買い手が一向につかないということも考えられます。

 

こうした場合は、裁判所に納めた予納金や弁護士費用が回収できないだけでなく、滞納管理費も毎月増え続けるという最悪の状況も覚悟しなくてはならないのです。

 

こうしたリスクを考慮して、管理組合としては少なくとも日常的に以下のような対策をとっておくべきでしょう。

 

(1)区分所有者名簿の定期的更新を行う

 緊急連絡先も含めたメンテナンスが必要です。

 また、区分所有者本人の年齢や家族構成を把握しておきたいところです。

 

(2)滞納が生じた場合は早期に状況把握を行う

 管理会社任せにせずに、滞納が2ヶ月以上になった段階で本人の居住状況や滞納理由を早めに把握することが大切です。

 

 

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マンション管理セミナー<8月開催>のお知らせ

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8月度 マンション管理セミナー」を開催いたしますので、下記の通りご案内いたします。

  

先着10名様のお申し込みを受け付けております。どうぞお早目にご応募ください。

【日時・会場】

平成30年 8月 18日(土) 

14:00~15:30

 

LEAGUE 地下1階 ミーティングスペース

東京都中央区銀座3-11-3

東京メトロ「東銀座」駅歩2分 「銀座」駅歩5分 

 

 

 

【参加料金】

 お一人様  2,000円(税込) 

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方

弊社に個別にご相談いただける方

 

 セミナー後の個別相談をお申込みの方には、もれなく弊社代表の著書「マンション管理見直しの極意」を進呈いたします!

 

【内 容】

1. 講 演 

管理コストを3割削減するための見直し術

これまで弊社のコンサルティングによって大幅なコスト削減を実現した事例を紹介しながら、その費用項目ごとに効果的な見直しポイントを解説します。

【内 容】

ポイント1】 管理人の勤務体制と業務内容


最も多く見られるのが、管理員の勤務時間が過剰なケースです。また、その業務範囲も物件の特性によって違いが見られます。

ポイント2】 各種共用設備保守点検の契約


エレベーター、消防、機械式駐車場など各種共用設備の保守点検費用は管理組合側には相場観がないため、メスが入りにくいテーマです。

ポイント3】 遠隔監視&緊急対応費用

 

設備保守点検と同様に相場観が掴みづらい項目ですが、そのため割高になりがちです。

ポイント4】 事務管理費などの管理会社経費

 

管理会社によって提示金額が異なりますが、物件の規模に応じたで適正な市場価格がわかります。

【講 師】 村上 智史(弊社代表取締役)

 

2. 個別相談会(※希望者のみ)

貴マンションの管理委託費を簡易診断させていただきます。(無料)その他、管理会社の変更や大規模修繕、高圧一括受電、省エネ対策などのご相談も随時承ります。

 

【お申込み方法】

弊社サイトの問合せページから「セミナー参加希望」と明記のうえ、お申し込みください。 

 

 

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