マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

マンション管理委託費の「ゼイ肉」は意外な部分に隠れている!

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コンサルティングの依頼を受けた管理組合で、昨日「管理コスト適正化診断」の結果を報告してきました。

 

当社では、管理組合が管理会社と締結している「管理委託契約書」をご提示いただき、それを精査しながら「適正な金額」を査定しています。

 

では、この「適正な金額」とはどのように算定するのか?

 

委託金額 = 「価格」 × 「仕様」 です。

「価格」とは、たとえば清掃でいえば1回の作業当たりの金額のこと。

「仕様」とは、一定期間内での作業頻度(年4回、月1回など)のことです。

 

管理委託費の「ゼイ肉」(=割高な部分)は、「価格」だけでなく、「仕様」にも

隠れていることが少なくありません。

 

そのため当社では「価格」と「仕様」の両面から見直したうえで、適正な金額として以下のとおり「2通り」の査定をしています。

【パターン1】現在の管理仕様を継続した場合

【パターン2】物件規模・特性等をふまえた管理仕様に変更した場合

 

たとえば、冒頭の管理組合の場合では、

【パターン1】現契約比で約25%の削減余地あり

【パターン2】現契約比で約39%の削減余地あり

 という結果となりました。

 

つまり、

現在の管理仕様を変更した方がより大きなコスト削減ができるというわけです。

 

このマンションの場合、

中規模(約50戸)であるにもかかわらず、管理員の勤務時間がかなり「手厚い」設定になっていて、毎日(週7日)かつ1日9時間(休憩含む)の勤務となっていました。

 

さらに言えば、このマンションはタワー状の「内廊下型」のため、(外廊下型と違って)掃き・拭きの清掃にそれほど時間がかかりません

 

共用設備の状況もごく標準的で、管理員が長時間いないと困る状況ではありません。

 

そのため、

週6日・6時間/日(休憩込み)勤務に縮減しても品質が低下することはないと判断しました。

 

<参考記事> yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

これを仕様変更案として管理委託費に反映させたところ、「現状比39%の削減」となったのです。

 

このマンションの場合は、管理員業務については「価格」(時給単価)自体は妥当な水準でしたが、「仕様」にムダが隠れていた、というわけです。

 

一般的には、何度もマンションを買え換えたり、いくつも分譲マンションを所有している方は少数派だと思います。

 

そのため、自分のマンションの管理仕様が「世間標準」だと思い込みがちです。

 

しかし、実際にはマンション販売当時の売主の意向等によって恣意的に設定されたためにその管理仕様が「過剰」なケースが少なくありません。

 

管理見直しの余地は「価格」のみならず「仕様」にもあり! です。

 

<当社サイトページをご参照下さい>

■ マンション管理見直し事例(川崎市・90戸)の場合

■ マンション管理見直し事例(藤沢市・29戸)の場合

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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【理事長のギモン】マンションの大規模修繕費用が上昇する「意外な理由」

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先日、ある大規模マンションの理事さんから、「長期修繕計画の大規模修繕工事費用が増えた原因を教えてほしい」とのお問い合わせがありました。

 

以前、他のマンションでも長期修繕計画が更新される際に従前に比べて大規模修繕工事の費用が上昇した例が見られました。

 

冒頭の問い合わせのあったマンションについて理事さんが調べたところ、「見積りの前提条件である足場設置面積が2倍近く増えた」ことがわかりました。

 

これは、

「建築現場における労災防止のための安全対策強化」が原因と考えられます。

 

6年ほど前から足場からの墜落・転落による労働災害の防止対策を徹底するよう、厚労省から建築業者に対して指導がなされています。

(下記サイトページ参照)

足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱の策定について

建設現場における死亡事故原因のワーストが、足場からの墜落・転落、飛来落下であることは 半世紀余り変わっていません。

 

こうした足場からの墜落・転落事故を防止する対策として、

手すり先行工法という足場が新たに生まれました。

 

この「手すり先行工法足場」とはどういうものか?

 

具体的には、

■「先行型二段手すり」の設置

■「つま先板」の設置 という2つの特徴があります。(下図参照)

 

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つまり、現場の職人さんが足場を使用する際、「二段手すり」と「つま先板と呼ばれる幅木があらかじめ備えられているのでより安全な状態で作業が出来るということです。

 

悩ましいのは、

この足場は通常の枠組み足場に比べて仮設代金が5割ほど高くなることです。

 

これは行政指導であって法的な義務ではないため、必ずしもすべての工事業者がこれを採用しているわけではありません。

 

また、逆に枠組み足場も設置せず、いわゆる「ロープ・ブランコ工法」で行うことでより安価なコストを売りにした施工業者も多数あるのも事実です。(下図参照)

 

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管理組合としては、より広い視点で工事の発注先と工法を選択することが必要です。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com yonaoshi-honpo.hatenablog.com  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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マンション共用部の電気料金削減効果に「地域差」が生じる理由

 

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大阪の不動産賃貸会社が、ビル・マンションの大家や管理組合を対象に、共用部の電気料金を削減するサービスを開始したとの記事を見かけました。(下記サイトページ参照)

 

『管理組合・大家さんのためのトライアス電気』

trias-kanri.com

上記のサイトページを閲覧すると、新電力へのスイッチングによる電気料金の削減事例として以下のような実績が紹介されています。

■ 9階建て賃貸マンションの場合:従前比 約▲14%の削減

■ 6階建てオフィスビルの場合 :従前比 約▲15%の削減

 

 都内など首都圏のマンションでは、新電力各社から相見積もりを取得しても、せいぜい6~7%しか下がらないので、この高い削減率は画期的です。

 

このような「地域格差」が生じる理由について新電力の取次ぎ代理店にヒヤリングしたところ、その理由がわかりました。

 

主な理由は、以下の2つです。

 

【理由 その1】 託送料の違い

関西電力の管轄エリアの場合には、低圧受電でも高圧受電でも最低10%以上の削減効果が出るのが普通だそうです。

 

その理由は、新電力が地域電力会社に支払う「託送料」の水準にあります。

 

つまり、

■東京電力の託送料(A): 高い
■関西電力の託送料(B): 安い からです。

 

ちなみに、どれくらい違うのかというと約5割!とのことです。

(つまり、(A)=(B) × 1.5)

 

これを言い換えれば、

関西エリアの新電力は相対的に仕入価格(直接原価)が低いので、ユーザーに対して販売価格を下げやすいのです。

 

<小売電気事業者(=新電力)は送配電事業者(地域電力会社)に託送料を支払っている>

 

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【理由 その2】 地域電力会社間の料金差

東日本大震災後の料金改定履歴を見ると、関西電力の方が2回と東電より多い。

■東京電力:1回

(平成24年7月:平均8.5%UP

■関西電力:2回

(平成25年4月:平均9.7%UP、平成27年6月:平均8.4%UP)

 

その結果、現時点では関西電力の電気料金の方が東電よりも高い(基本料金)状況です

 

これも、関西の新電力の方がスイッチングによる削減幅が大きくなる原因の一つと言えるでしょう。

 

<参考記事>

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

 

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悩ましいマンションの漏水問題 その斬新な調査方法とは

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顧問先のマンションでは、地下駐車場内から漏水が発生している箇所が指摘されたため、目下のところ原因調査の実施を検討しています。

 

雨天の際に発生しているので、おそらく建物の外壁に生じたクラック等から浸水したのではないかと思われますが、常時発生しているわけでもないため原因箇所を特定することが難しい・・・。

 

というのも、

漏水・雨漏りの水みちは構造物の中で思いも寄らぬ方向へ流れる傾向があるためです。

 

この「水みち」を特定する方法としては、散水テスト(蛍光染料の注入)や赤外線サーモグラフィーを実施するのが一般的です。

 

また、漏水原因と推察される場所の周辺に点検孔等がない場合には、その調査のために既存の壁や内装を一部斫って(破壊して)工事を実施する必要もあります。

 

漏水調査の費用については共用部に付保している「マンション総合保険」の補償範囲になっているのが一般的なので、管理組合の経済的負担は原則として生じませんが、その費用が高額に及ぶ場合は一部認定されないケースもあるようです。

 

また、斫りなど一部構造体や内装等の破壊を伴うことは、場所によって居住者の日常生活への負担にもなるためなるべくなら避けたいところです。

 

しかし、「蛇の道は蛇」というか

サーチしてみると斬新な調査方法もあることがわかりました。

 

それは、「電気抵抗試験による調査」です。

 

<原因と想定されるひび割れ箇所の調査イメージ>

 

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コンクリート構造物の雨漏り・漏水の多くは、コンクリートのひび割れやジャンカを通って漏水しています。

 

一方、乾いた健全なコンクリートは殆ど電気を通しませんが、コンクリートが湿っている場合やひび割れやジャンカ等を水が流れた場合は電気を通します。

 

そのため、電気抵抗値を読み取るとともに、そのデータから建物の各部材によって異なる導電率を勘案のうえ、漏水箇所と原因を判断できるというわけです。

 

ここで素朴な疑問が・・・。 

漏水した直後でなければ電気を通さないので、結局原因となる箇所を特定できないのではないか?

 

しかし、それは特に支障にはならないようです。

むしろ、乾燥していた方が正確に調査できるとのことです。

 

コンクリートのひび割れ等の中を一度でも水が流れると、コンクリート中のアルカリ成分が溶けてひび割れに沿ってエフロレッセンス等の汚れが付着します。

 

この乾燥した(乾燥状態に近い)汚れの成分が電気を通すため電気抵抗値を持つことで判定が可能なのだそうです。

 

ただし、電気抵抗値はたとえ同じような構造体であっても数多くの動き方を示す性質があるので、調査にはそれなりの経験と熟練が必要とのことです。

 

こうした業者は首都圏でも何社かありますので、受注実績や見積もり金額等を確認のうえ調査を依頼する予定です。

 

その結果と効果が判明したら、本ブログでもご紹介したいと思います。

 

 <参考記事>

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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【理事長のギモン】電力会社の変更は総会決議が必要なの?

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顧問先の管理組合でも、共用部の電力料金を節減するために東京電力から新電力に変更するケースが相次いで発生しています。

 

この際に議論になるのが、こうしたスイッチングの際にも総会決議が必要かということです。

 

まず、管理規約の内容を確認してみましょう。

 

共用部の電力供給について契約先を変更するのは、下記の(9)項に該当することになります。

 ・・・・・

(管理組合の業務)

管理組合は、次の各号に掲げる業務を行う。

(1)    管理組合が管理する敷地及び共用部分等(以下本条及び第49条において「組合管理部分」という。)の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理

(2)    組合管理部分の修繕

(3)    長期修繕計画の作成又は変更に関する業務

    ・・・・・<略>・・・・・・・

(9)敷地及び共用部分等の変更及び運営

 

一方、総会決議事項の内容を確認すると、「電力会社の変更」という項目は記載されていません。

 ・・・・・

(総会の議決事項)

次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。

(1)    収支決算及び事業報告

(2)    収支予算及び事業計画

(3)    管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法

                ・・・・<略>・・・・・・

(15)その他管理組合の業務に関する重要事項

 ・・・・・・・

強いて本件を当てはめようすると、15項の「その他管理組合業務に関する重要事項」しかありません。

 

一方、本件が理事会決議事項に該当するか、規約で確認してみます。

・・・・・・

(理事会の議決事項)

理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。

(1)    収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画

(2)    規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する

(3)    長期修繕計画の作成又は変更に関する

(4)    その他の総会提出議案

(5)    略

(6)    略

(7)    総会から付託された事項

 ・・・・・

以上から、

電力会社の変更が総会決議事項の「その他重要事項」に該当するかどうかは不明であるものの、 理事会で決議できる事項が総会に上程する議案、ならびに総会で付託された事項のみだとすると、本件も総会決議事項とみなすのが無難でしょう。

 

そのため、私の場合は「本件は総会で決議されるほうが望ましい」と助言しています。

  

なお、各マンション管理会社が所属する業界団体である「一般社団法人マンション管理業協会」にも確認してみたところ、以下の2つの理由から本件については管理組合に対して総会決議を勧めるよう会員各社に通達しているとのことです。

 

 ・管理組合の事業計画ならびに予算収支の変更に該当する事項であること

 ・管理組合が主体となる契約行為に該当すること

 

ちなみに、ネットで検索したところ、共用部分に関する電力会社の変更は区分所有法上の「管理行為」に該当するため総会決議が必要とする見解がありました。

 

<平賀功一氏(住宅コンサルタント)の投稿記事>

https://realestate.yahoo.co.jp/magazine/khiraga/20151225-00000001

 

一方、新電力への切り替え自体が電気供給というライフラインに影響を及ぼすようなリスクもなく、単なる購入先の変更にすぎないことから理事会決議でも問題ないとする意見もあります。

 

<廣田信子氏(マンション管理士)のブログ>

https://ameblo.jp/nobuko-hirota/entry-12363288950.html

 

各マンションの管理規約は、国交省の標準管理規約に準拠したものであるがゆえに、「区分所有法」の原則を忠実に反映しており、理事会の権限範囲は極力狭く設定されているのが一般的です。また、理事会が設置されていない管理組合も少なくありません。

 

そのため、管理組合の意思決定は原則として総会決議によるべきとするという考え方に則っているのです。

 

ただ、区分所有法において「集会(総会)決議」と定めている事項でも「管理規約で別途定めるのも可」とする事項もあり、その範囲内であれば理事会決議に変更できる事項が少なからずあります

 

電力の小売り自由化のように規約作成当時は想定していなかった環境の変化に対して管理組合が機動的に対応できるよう、総会決議事項と理事会決議事項の内容を一体で見直すのもよいと思います。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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日経独自調査「マンションの75%  修繕積立金が国の目安を下回る」の実態はいかに?

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3/27付の日経新聞で、「マンション75% 修繕積立金に不安 国の目安届かず 高齢化で増額難しく」という記事が掲載されていました。

 

www.nikkei.com 

記事の要約は以下の通りです。

・・・・・

■ マンションの区分所有者が払う修繕積立金の水準を独自に調べたところ、全国の物件の75%が国の目安を下回っていた。特に大都市に多い超高層住宅(タワーマンション)は増額に不安がある。

 

■ 国土交通省は2011年に「修繕積立金ガイドライン」を策定。30年間の均等払いを前提にすると、15階建て未満は1平方メートルあたり月178~218円、20階建て以上のタワーマンションは同206円を必要額の目安とした

 

■ 日経は全国の物件の1割にあたる1万4千棟の修繕積立金を分析したところ、このうち約1万500棟が国の目安を下回った。なお、約900棟あるタワーマンションは8割弱が未達だった。国の目安の半分に達していない物件も1割ある。

 

一般的に新築時の積立金は安く設定し、段階的に上げる計画を立てることも多い。ただ、積立金の増額には管理組合の総会で過半の出席・賛成が必要だ。

 

■ 世帯数が多く、住民の世代も所有目的もバラバラな傾向がある大規模物件ほど合意形成が難しいとの見方もある。実際、築20年以上で国の目安に満たないタワーマンションの割合は68%と高いままだ。

 

■ 日経の調べでは築20年以上でも56%が国の目安に届いていない。マンションの世帯主が60歳以上の比率は1999年度の26%から13年度は50%に高まっており、低成長・高齢化時代の限界を強調する声もある。

 

新築時の積立金が安く、徐々に増額する手法は見直しが必要との指摘もある。最初から高くすると購買意欲をそぎかねず、不動産会社も安く設定しがちだ。

 

■ 適切な修繕に手が回らなくなるとマンション老朽化の速度が上がり、景観悪化や防災機能の低下を招く。

・・・・・

段階的な増額改定や一時金の徴収をを避けるには、どんなマンションでも概ね新築当初から1平方メートルあたり月額200円の徴収が必要です。

 

しかしながら、築5年未満の新築マンションの修繕積立金の平均は(専有面積)1平方メートルあたり月額95円という調査データがあります。<国交省の修繕積立金ガイドラインにも記載>

 

最近の新築マンションの動向を見る限り、その傾向には特に変化は見られません。

 

30年間で必要な修繕資金が月額平均200円が必要なのに、90円の水準から徴収をスタートすれば30年目の時点では3〜4倍以上増額していないと足りなくなるだろうなんてことは小学生でも予想がつきます。

 

では、なぜ人為的に設定金額が低く抑えられているのか?

 

それは、販売金額をなるべく高くしたいと考える売主であるデベロッパーの思惑によるものです。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

ただ、この日経の調査記事には一点重要な指摘が抜けています。 

 

それは、「機械式駐車場」が設置されたマンションに関する問題です。

 

分譲マンションの場合、限られた敷地内になるべく多くの駐車場を附置するために2〜3段式のピット式駐車設備が多数設置されているケースが少なくありません。

 

特に、住戸数に対して敷地面積が狭いタワーマンションのような場合、駐車場もタワー式の立体駐車場が採用される傾向があります。

 

そして、国交省の「ガイドライン」では、機械式駐車場が附設されているマンションの場合には、その設備の修繕・更新費用を加算して必要な積立金を計算するよう指導しています。(下記抜粋参照)

・・・・・・

       <国交省の「修繕積立金ガイドライン」抜粋>

 

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・・・・・・

たとえば、

先日私が診断した14階建・52戸のマンションには、40台分のタワー型立体駐車場が附設されていました。

 

このマンションの場合、上記の「ガイドライン」で均等積立方式で必要とされる修繕積立金を試算してみたところ、以下のようになります。                

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タワー式駐車場の場合、「4段昇降横行式」の設備と同水準の修繕費が見込まれるとみなして試算したところ、マンション本体だけで必要な積立金は@202円ですが、 その駐車場の追加分が@147円も加算されるため、合計@349円に跳ね上がってしまいます。

 

現状の積立金の徴収額が@117円なので、均等積立方式に変更するなら現時点で3倍以上の増額が必要というわけです。

 

この日経の調査において、機械式駐車場の設置状況を含めてどこまで精緻に分析したかは定かでありませんが、もしこの点が考慮されていないと「75%」という数字はもっと高くなるはずです。

 

ちなみに、私が起業後の約5年間で個別に診断してきたマンションでは、(見直し前の段階では)ほぼ100%不足していました。

 

ともあれ、このように管理組合に対して注意喚起を促す記事ははとても意義のあることですし、今後も定期的に発信してもらいたいと切に願います。

 

<参考記事>
 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com  

 

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今年は、新潟でもマンション管理を見直します!

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先週末、営業で初めて新潟市のマンション管理組合へ出張に行ってきました。

 

築12年目のマンションですが、「大規模修繕工事に備えて組合員の意識を高めたい」と考えた理事長さんの提案で、私がマンションのホールで講演をさせてもらうことになりました。

 

        【理事長さん作成のチラシ】              

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全50戸ほどのマンションにもかかわらず、当日20名近くの方に集まっていただき、約90分の長丁場に及んだ私の拙い話を聴いていただきました。

 

そして、講演の後に理事会役員の方々と面談したところ、当社の「管理コスト適正化診断プログラム」をお申込みいただきました。

 

yonaoshi-honpo.co.jp

 こちらのマンションでも、長期修繕計画から試算したところでは、現状の修繕積立金を現時点で3倍以上に増額しないと将来資金不足に陥るのは確実だと講演の中でお伝えしました。

 

そのため、一刻も早く管理委託費の適正化を実現させて剰余金を創出することがリスクの軽減に繋がることをご理解いただけたようです。

 

昨年の京都のマンションと同様、今年は新潟でも管理見直しを実現します!

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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