12月18日付の毎日新聞に、「第7部 続・マンション漂流/中 言い値疑う目磨く」と題する記事が掲載されていました。
本記事の要約は以下のとおりです。
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■ インターホンの取り換えを考えていた大阪のマンションの管理組合(110戸)に、管理会社の担当者が売り込んできた。
■ 管理組合の理事長が、電気工事店にも相見積もりを頼んで交渉したところ、管理会社の見積額にくらべて約2百万円出費が減った。
■ 当時の理事長は、その後も管理会社の見積書をチェックする「防波堤」になるべく、理事会の要請を受けて副理事長を続けている。
■ 管理会社の「言い値」を疑うようになったのは約5年前の駐輪場増設工事。当時の管理会社は約150万円の見積書を示したが、交渉すると約110万円に減額してきた。しかし、別業者から見積書を取ったら、約73万円だった。その後、管理組合はその管理会社をリプレースした。
■ 今の管理会社も疑わしい見積書を持って来るのは相変わらず。定期点検で見つかった非常灯の不具合に伴い、バッテリーの交換(約1万円強)が必要になった。だが、管理会社は非常灯を丸ごと取り換える6万円の工事を提案してきた。
■ 滋賀県のマンションは一昨年、卓球台を買うことになった。依頼した管理会社が示した見積書は約8万6000円。住民がスポーツ店で似た仕様のものを2万円台で見つけてくると、管理会社は約2万6000円の見積書を出し直した。不信感は今もぬぐえない。
■ 割高な見積額について、関西の管理会社に勤めた経験がある男性は「管理費だけではもうからない」と打ち明ける。インターホンやLED照明、防犯カメラなど設備関係の交換工事は利益を上げる好機だったという。
■ マンション管理のNPO法人の関係者は「業者が利益を考えるのは当然。住民自身が汗をかいて知恵を絞りながら、業者の善しあしを見極めてほしい」と指摘する。
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分譲マンションの必須アイテムとなって久しい「オートロック」システム。
これを支える集合インターホン設備の耐用年数は、約15年とされています。
顧問先の管理組合(90戸)では、築18年目で設備更新を検討する際に、管理会社の見積を元に約1,600万円の予算を計上していました。
しかし、管理組合が当社を通じて他社から相見積もりを取得する動きを察知した途端、4割近く下げて1,000万円を切る価格を提示してきました。
なんと、6百万円(戸あたり換算で7万円弱)ものコスト削減効果です。
しかし、どうしてここまで大幅な減額ができるのでしょうか?
もちろん、専門知識に乏しい管理組合との情報格差を悪用していることも多いのですが、「多段階のコストピラミッド構造」によるケースも少なくありません。
たとえばインターホン設備の更新の場合、以下のような発注スキームになっています。
管理組合(注文者)→ 管理会社(元請け)→ 代理店(施工業者) → メーカー
結論から言えば、
管理組合がインターホンの代理店を自ら探して発注すれば、工事費用は概ね適正な水準になるでしょう。
しかし、実際には管理組合がそうした努力を怠って管理会社に「丸投げ」するケースがほとんどのため、余計な中間マージンが加わることで割高なコストを負担させられるわけです。
一方、代理店側も、管理会社を介したルートしか管理組合との接点を持つ方法がないので、管理会社からの紹介に依存するしかなく、管理会社に紹介手数料を支払ってでも受注したいと考えます。
これは管理委託費や修繕工事についてもまったく同様です。
管理会社の中には、元請けした業務のうち清掃、給水・消火設備の点検業務などを専門業者でなく、別の(規模の小さい)管理会社に再委託するケースが少なからずあります。
実態は「下請け」の管理会社に業務を丸投げして監督させているのですが、委託契約の仕様にも記載されていないので、管理組合にはその事実を知りようがありません。
つまり、割高なコストを負担させられている最大の要因は、(管理組合の無関心もあって、)管理会社が管理組合にアクセスするための流通経路を事実上牛耳っていることにあるのです。
これに対する有効な策は、
常に相見積もりの取得や管理会社の提示した金額を検証できるしくみとして「セカンド・オピニオン機能」を具備することです。
冒頭の記事に登場した管理組合で言えば、副理事長さんがその役割を担っていることになります。
しかし、どの管理組合にもそういった貴重な「人材」がいるわけではありません。
そういう場合には、当社のようなコンサルタントがお役に立てると思います。
<参考記事>
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