マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

管理会社の見積りを疑う前に知っておきたい業界のジョーシキ

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12月18日付の毎日新聞に、「第7部 続・マンション漂流/中 言い値疑う目磨く」と題する記事が掲載されていました。

  

本記事の要約は以下のとおりです。

・・・・・

■ インターホンの取り換えを考えていた大阪のマンションの管理組合(110戸)に、管理会社の担当者が売り込んできた。

 

■ 管理組合の理事長が、電気工事店にも相見積もりを頼んで交渉したところ、管理会社の見積額にくらべて約2百万円出費が減った。

 

■ 当時の理事長は、その後も管理会社の見積書をチェックする「防波堤」になるべく、理事会の要請を受けて副理事長を続けている。

 

■ 管理会社の「言い値」を疑うようになったのは約5年前の駐輪場増設工事。当時の管理会社は約150万円の見積書を示したが、交渉すると約110万円に減額してきた。しかし、別業者から見積書を取ったら、約73万円だった。その後、管理組合はその管理会社をリプレースした。

 

■ 今の管理会社も疑わしい見積書を持って来るのは相変わらず。定期点検で見つかった非常灯の不具合に伴い、バッテリーの交換(約1万円強)が必要になった。だが、管理会社は非常灯を丸ごと取り換える6万円の工事を提案してきた。

 

■ 滋賀県のマンションは一昨年、卓球台を買うことになった。依頼した管理会社が示した見積書は約8万6000円。住民がスポーツ店で似た仕様のものを2万円台で見つけてくると、管理会社は約2万6000円の見積書を出し直した。不信感は今もぬぐえない。

 

■ 割高な見積額について、関西の管理会社に勤めた経験がある男性は「管理費だけではもうからない」と打ち明ける。インターホンやLED照明、防犯カメラなど設備関係の交換工事は利益を上げる好機だったという。


■ マンション管理のNPO法人の関係者は「業者が利益を考えるのは当然。住民自身が汗をかいて知恵を絞りながら、業者の善しあしを見極めてほしい」と指摘する。

 ・・・・・

分譲マンションの必須アイテムとなって久しい「オートロック」システム。

 

これを支える集合インターホン設備の耐用年数は、約15年とされています。

 

顧問先の管理組合(90戸)では、築18年目で設備更新を検討する際に、管理会社の見積を元に約1,600万円の予算を計上していました。

 

しかし、管理組合が当社を通じて他社から相見積もりを取得する動きを察知した途端、4割近く下げて1,000万円を切る価格を提示してきました。

 

なんと、6百万円(戸あたり換算で7万円弱)ものコスト削減効果です。

 

しかし、どうしてここまで大幅な減額ができるのでしょうか?

 

もちろん、専門知識に乏しい管理組合との情報格差を悪用していることも多いのですが、「多段階のコストピラミッド構造」によるケースも少なくありません。

 

たとえばインターホン設備の更新の場合、以下のような発注スキームになっています。

 

管理組合(注文者)→ 管理会社(元請け)→ 代理店(施工業者) → メーカー

 

結論から言えば、

管理組合がインターホンの代理店を自ら探して発注すれば、工事費用は概ね適正な水準になるでしょう。

 

しかし、実際には管理組合がそうした努力を怠って管理会社に「丸投げ」するケースがほとんどのため、余計な中間マージンが加わることで割高なコストを負担させられるわけです。

 

一方、代理店側も、管理会社を介したルートしか管理組合との接点を持つ方法がないので、管理会社からの紹介に依存するしかなく、管理会社に紹介手数料を支払ってでも受注したいと考えます。

 

これは管理委託費や修繕工事についてもまったく同様です。

 

管理会社の中には、元請けした業務のうち清掃、給水・消火設備の点検業務などを専門業者でなく、別の(規模の小さい)管理会社に再委託するケースが少なからずあります。

 

実態は「下請け」の管理会社に業務を丸投げして監督させているのですが、委託契約の仕様にも記載されていないので、管理組合にはその事実を知りようがありません。

 

つまり、割高なコストを負担させられている最大の要因は、(管理組合の無関心もあって、)管理会社が管理組合にアクセスするための流通経路を事実上牛耳っていることにあるのです。

 

これに対する有効な策は、

常に相見積もりの取得や管理会社の提示した金額を検証できるしくみとして「セカンド・オピニオン機能」を具備することです。

 

冒頭の記事に登場した管理組合で言えば、副理事長さんがその役割を担っていることになります。

 

しかし、どの管理組合にもそういった貴重な「人材」がいるわけではありません。

 

そういう場合には、当社のようなコンサルタントがお役に立てると思います。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

   

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騙す管理会社、騙される管理組合 どちらが悪いのか?

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12月17日付の毎日新聞に、「続・マンション漂流/上 剪定8万円、管理に不信 不要な出費も 広がる委託変更」と題した記事が掲載されていました。

 

この記事の要約は以下のとおりです。

■ 大阪にある築約40年のマンションで修繕工事を実施することになった。設計監理は管理会社が担当し、前回の修繕の際と同じ施工会社が選定されていた。


■ 管理組合の理事長が提出された工事見積書をチェックしたところ、心当たりのない項目が幾つも並んでいた。

 

■ たとえば、足場を組む場所には植栽と呼べるものはないにもかかわらず、植栽の剪定に8万円の費用が計上されていた。これについて問い合わせると「では、外します」と機械的な返答が来た。

 

■ 工事作業員に共用のトイレを貸すことになったが、トイレに至る床にシートを敷くのに2万円が必要とのこと。前回の工事にも同じ項目があったにもかかわらず実施していなかったことを問い詰めると、あっさり非を認めて謝罪した。

 

■作業中は駐輪場を一時撤去するとの提案があったが、特に作業に支障はなさそうなのでその理由を尋ねるとこれもすぐに撤回した。

 

■ 前回の外壁補修の後、100箇所以上の施工不良が見つかり、設計監理を担う管理会社が機能していなかったという印象も強まった。


■ 管理会社への不信感が頂点に達したため、その後管理組合は管理会社リプレースに向けて動き、管理会社は40年目をもって変更となった。

 

■管理組合の当時の理事長は「任せきりでは管理会社を替えた意味がない。自分たちの住まいにどれだけ関心を持ち続けられるか。私たちの姿勢が問われている」と気を引き締めている。


■国土交通省による13年度の調査では、分譲時の管理会社をリプレースした経験があるのは、管理会社に委託しているマンション全体の18%。10年前の10%から大幅に増えた。なお、築39~43年では31%に上るとのこと。

 

 さて、「騙す管理会社」と「騙される管理組合」どちらが悪いのか?

 

もちろん騙す方が「悪い」に決まっているのですが、

その場合、管理組合は「信じて任せていたのに裏切られた・・」と言うのが常套句になっています。

 

本記事の例では、理事長が見積書を確認した際に不自然な項目を見つけたことから業者らの不正行為が発覚したわけですが、それ自体は特に専門知識が必要でもなく、あくまで常識的なレベルで問い合わせるなどの対応していたと思われます。

 

つまり、本件の最大の問題は、

業者側が「この管理組合はきっと見積書のチェックもしないだろう」とタカをくくっていた節が見受けられるということです。

 

もし管理組合の理事らが日常的に基本的なチェックも怠り、業者に一切を「丸投げ」していたとすれば、逆に組合員から理事会役員の「善管注意義務違反」を指摘されるおそれがあります。

 

また、管理組合側の「丸投げ」体質が変わらない限り、たとえリプレイスしたとしても常に騙されるリスクはあることを肝に銘じるべきでしょう。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

 

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いよいよ「臨界点」に近づいてきたマンション価格

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12月12日付けの東洋経済オンラインに、「首都圏のマンション高騰はいつまで続くのか 」と題する記事が掲載されています。

 

toyokeizai.net 

本記事の要約は以下のとおりです。

・・・

■2年前からマンション価格下落の懸念がささやかれてきたが、実際には小幅な調整を繰り返しながら上昇を続けている。

■完成在庫も、昨年12月末時点では7千戸までいったん積み上がったものの、その後消化が進み今年の10月末には6千戸まで減っている。

■これまでの経験則が当てはまらない一因として、「マンションデベロッパーの寡占化」が進んだことが考えられる。

■マンションの供給戸数は、2000年のピーク時には首都圏で9.5万戸あったが、2016年には3.5万戸と約3分の1まで縮小した。

■しかし、「メジャーセブン」と呼ばれる大手デベロッパー7社のシェアは2000年当時は25%程度だったのに対し、2016年時点ではその約2倍の43%まで上昇している。

■つまり、マンション価格が維持されているのは、(供給戸数の減少に加えて)大手デベロッパー各社が“自主判断”で価格調整を行って市況を支えているためと考えられる。

■大手デベロッパーは概して財務内容が良好なため、目先の販売物件を売り急ぐ必要がない。多少の需要が衰えても供給戸数を絞ることで「程よい需給環境」を作り出せる。

■不動産経済研究所によると、首都圏における新築マンションの価格は2017年1~10月平均で5960万円。2016年に比べ、400万円近くも値上がりした。

■しかし、大手デベロッパーが市況の手綱を握っているかぎり、価格崩壊は先送りされることになりそうだ。

 ・・・

 

弊社が運営するサイト「ilodolist」  でも、先日同じテーマを取り上げました。

 

ilodolist.me

首都圏のマンションの平均価格は、平成14年時点では4,003万円でした。

 

その後、多少の上下はあるものの、10年後(平成24年)には4,540万円

さらに5年後の現在(平成29年8月)では5,795万円となっています。

 

この水準は、バブル最盛期にあたる平成2年当時の平均価格:6,130万円にも迫る水準となっているのです。

 

この価格の上昇トレンドはどこまで続くのでしょうか?

 

マンションの販売状況の良し悪しを示す材料として、「販売初月の契約率」の動向がそれを占う重要なデータのひとつとされています。

 

不動産経済研究所のデータによれば、この初月契約率は平成25年の79.5%を境に低下傾向にあり、昨年(平成28年)は69.8%と、好不調のボーダーラインとされる7割を下回っています。

 

しかし、そこからさらにもう一段階崩れていないのは、冒頭の記事で紹介されている大手デベロッパーによる寡占と価格維持政策の「成果」によるものではないかと考えられます。

 

ただ、人為的に市場を支えると言っても、それにもおのずと限界があります。

 

「官製相場」と言われながらも、依然上昇トレンドを維持している日本の株式市場とともに、マンション価格もそろそろ「臨界点」が近づいているように思います。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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東京・板橋区の「良質なマンション推進条例」は効果が見込めるか?

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12月4日のNHKニュース( おはよう日本)で、東京の板橋区はマンションの適正な管理を促すため、新条例の制定を目指すことになったと報じられました。

記事の要約は以下のとおりです。

■東京 板橋区で老朽化が進んだ分譲マンションでは管理組合が十分機能していない事例が増加している。

■こうしたマンションの適正な管理を促すため、板橋区は新条例の制定を目指すことになった。

■条例案では管理規約ならびに長期修繕計画の作成をしたうえで、区への届け出が義務づけられた。

■違反を繰り返すなど悪質な場合には、マンション名・所在地などを公表する罰則が設けられた。

 

このような条例は、板橋区に先んじてすでに2013年7月に豊島区も制定しており、マンション管理組合に対して「マンション管理状況届出書」の提出(および5年ごとの更新)手続きを義務化しています

 

区のホームページでは、以下の項目についてその有無と保管場所を届出用紙に記載の上提出することが定められています。

・管理者等(理事長)
・管理規約
・区分所有者名簿
・居住者等名簿
・設計図書
・修繕履歴
・管理組合用郵便受け
・緊急連絡先表示板
・法定点検・定期点検の実施
・長期修繕計画
・町会の加入

 

 ただし、こうした届出が「義務化」されたとは言っても、あくまで管理組合側の主体性に委ねられており、決して厳格なものではありません。

 

その証拠に、豊島区の案内文書には以下のようなQ&Aも記載されています。

・・・・

Q.届出書を提出しないとどうなりますか。


A.条例では、指導・要請・勧告をしても届出書を提出しないマンションに対し、マンション名の公表を行う罰則があります。届出書の提出が難しいご事情等があればご相談ください。


Q.条例の義務項目の内容を現在満たしていない場合、すぐに罰則が適用されるのですか。


A.『マンション管理状況届出書』は、現在の管理状況を管理組合と区の双方で把握し、改善していくためのものですので、義務項目を満たしていないということで直ちに罰則が適用されることはありません。

 

・・・・

 これでは、思惑通り管理組合からすべからく届出がなされ、運営の適正化が促されるとはとても思えません。

 

まもなく制定される板橋区の条例も、豊島区の条例をほぼ踏襲しているように見受けられます。

 

www.city.itabashi.tokyo.jp

もともと管理組合の設立や年1回の定期総会の開催等は条例の制定以前に区分所有法で義務付けられているのですから、これさえ違反している管理組合に対してはなんらかのペナルティを科すことが必要なのでしょう。

 

しかし、現行法にしても条例にしても罰則らしいものは設けられておらず、届出がきちんと履行される仕組みが担保されているとは言い難い状況です。

 

もっとも、罰則を科そうにも、現状ではマンションの区分所有者を正確に把握することも容易ではありません。

 

その理由は、不動産登記は法的義務ではないからです。

 

昨今、地方を中心に所有者不明の不動産が急増しており、面積ベースでは今や「九州」の規模にも匹敵するようです。

 

相続が発生しても登記情報を変更する手続きが行われないため、各自治体は課税対象者をタイムリーに把握することもままならず、固定資産税の徴税手続きに苦心しています。

 

今後は、こうした所有者不明化問題ともあいまって、老朽分譲マンションの管理不全問題がますます深刻化していくことが懸念されます。

 

 <過去記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

 

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マンション管理組合の理事会は、理事長を解任できるか?

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11/25付の日本経済新聞に「マンション理事会は理事長を解任できるのか」という記事が掲載されていました。

 

この問いに対して、近々 最高裁が初めて判断を示すことが話題になっています。

 

www.nikkei.com

本記事の要約は、以下の通りです。

・・・・

■2013年に、福岡県のマンションで当時理事長だった男性が管理会社をリプレイスしようとしたところ、他の理事らが反発。「理事長は解任した」と住民に通知。男性は解任は無効として管理組合を相手に訴訟を提起した。


■裁判の争点は、「理事会が理事長を解任できるか」という点。このマンションの管理規約では「理事長は理事の互選で選ぶ」と定める一方、理事会が理事長を解任して単なる理事に「降格」させられるかどうかは明記していなかった。


■一審の地裁判決では、解任の規定がないことを重視して解任を無効とした。二審の高裁でも原告が勝訴した。


■一方、敗訴した管理組合側は、「学説や実務の慣行では、選任に準じて解任もできるとの考えが定着している」として上告した。株式会社の取締役会が代表を解職できることなども根拠に挙げ、二審の見直しを求めている。

 

■原告側代理人は「規約に明記されていない解任を認めれば、理事長の地位が不安定になる」と強調。「意に沿わない理事長を排除したい管理会社が他の理事を巻き込んで解任に追い込めるようになる」との懸念も示す。


■最高裁は11月30日に双方の意見を聞く弁論を開くが、上告審の弁論は二審の結論を変更する際に開かれるのが通例で「解任できる」と判断する公算が大きい。


■このマンションの管理規約は、国土交通省の「マンション標準管理規約」に沿った内容となっている。国交省は「最高裁判決を踏まえ、必要があれば標準管理規約の見直しを検討したい」と説明している。

 ・・・・・

この記事を読んでそもそも疑問に感じたのは、「理事長の専横を止めるために理事長を解任した」という部分です。

 

このマンションの管理規約が「標準規約に沿った内容」なのであれば、理事会の議事運営の方法も同様のはずで、理事長が提案する議事に他の理事が反対すれば多数決で否決することもできたと思います。

 

区分所有法上の「管理者」も兼務しているとはいえ、理事長一人の権限で決定できる事項はかなり限定されています。

 

また、標準管理規約は、民主主義に則って(総会・理事会ともに)多数決制を採用していますから、理事会の議案も出席した理事の過半数の承認で可決されます。

 

管理会社のリプレイスに反対という理由だけで理事長を解任したとすれば「行き過ぎ」と言わざるを得ません。

 

むしろ、他の理事たちが「管理会社のシンパ」だったのでは?と訝ってしまいます。

 

さて、理事長解任の理由の是非はさておき、

記事の本題である「理事会は理事長を解任できるのか」を検討しましょう。

 

標準規約では、各理事の役職は「役員間の互選で決める」と定められています。

 

「何かと矢面に立つ理事長だけにはなりたくない!」と考える役員がもっぱらで、互いに押し付け合ったうえ、それでも決まらない場合は公平に(?)くじ引きで決めるのがよく見られる光景ですが・・・。

 

理事会の発足時に互選で決めた役職を再度互選で決め直すのは「あり」でしょう。

 

たとえば、仕事の都合で理事会に出席が困難になったなどの急な事情の変更も考えられます。

 

これまでの理事長が副理事長や(平)理事に変わる、といったことも再び互選でできるはずです。

 

ただし、当の本人を含めて最終的に「理事全員の承諾を得ること」が前提でしょう。

 

一方、「一旦互選で決めた役職について、理事会内の多数決という手段で(強制的に)解任できるか?」となると、確かに今の標準規約にも明確な記載がありません。

 

したがって、現行の区分所有法にしたがうと、臨時総会を開催のうえ理事長を「役員として解任する(=理事会から追い出す)」しかないと考えられます。

 

そこで問題になるのは、

その「総会を招集する主体が理事長本人」ということです。

 

他の理事の圧力に屈し、意に反して自分が解任される議案のために、理事長の自分自身が総会を招集する・・というのはあまりにも酷ですね。

 

その意味では、理事会の(多数決による)決議で理事会内の役職変更ができるように標準規約を改正するのが良いのではないかと考えます。

 

ただし、理事会内の意見対立から端を発した事実上の「理事長解任」のようなケースもあることを踏まえると、その決議要件(=出席した理事の過半数で決する)はより厳格にしておく必要があるかもしれません。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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12月度 マンション管理セミナー開催のお知らせ

「12月度 マンション管理セミナー」を開催いたしますので、ご案内いたします。

  

先着10名様のお申し込みを受け付けております。どうぞお早目にご応募ください。

【日時・会場】

平成29年 12月 16日(土) 10:30~12:30

 

LEAGUE B1階 ミーティングスペース

東京都中央区銀座3-11-3

東京メトロ「東銀座」駅歩2分 「銀座」駅歩5分 

 

 

【参加料金】

 お一人様  5,000円(税込) 

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方

弊社に個別にご相談いただける方

 個別相談をお申込みの方には、もれなく私の著書「マンション管理見直しの極意」を進呈いたします!

 

【内 容】

1. 講 演 


(1)   管理コスト3割削減を実現したマンションの事例紹介


弊社のサポートでコスト3割削減を実現したマンションの事例(3物件)について、見直し実現までのプロセスと経済効果をご紹介します。

従前の管理組合の財政事情や管理委託費の査定結果、管理仕様の見直しポイント、管理会社との交渉経過、最終的に妥結した内容までをわかりやすく解説します。


【主な内容】

・1年間で段階的に管理委託費を下げて適正化を実現した事例

・管理会社の抵抗を受けて、設備保守業務を専門業者に委託して減額した事例

・コスト以外にも管理会社の対応能力への不満が原因でリプレイスした事例


(2)駐車場空き区画問題と対策の進め方

高齢化やクルマ離れの影響もあり、昨今駐車場の空き区画に悩む管理組合が増えています。

 

その結果、駐車場収入の減少が管理組合の会計収支を圧迫し、将来管理費の負担が増えるリスクが高まっています。

特に機械式駐車場の場合、日常の保守点検費に加えて設備更新の際に多額の資金が必要になりますが、この問題を放置すると稼働していない設備に無駄なおカネを費やすことになってしまいます。

空き区画対策を一体どのように進めていけばよいのか、見直し事例の紹介も含めてその手順とメニューを解説いたします。

【主な内容】
・駐車場の空き区画が増える事情

・おカネをかけずに稼働率が改善した事例

・「駐車場空き対策」の進め方と対策メニューのご紹介
 ■ 管理規約や使用細則の変更 

 ■ 外部利用者への賃貸と留意すべき点

 ■ 他用途への変更プラン

 ■ 機械式設備の「平面化」工事とその経済効果

 

【講 師】 村上 智史(弊社代表取締役)

 

2. 個別相談会(※希望者のみ)

貴マンションの管理委託費を簡易診断させていただきます。(無料)その他、管理会社の変更や大規模修繕、高圧一括受電、省エネ対策などのご相談も随時承ります。

 

【お申込み方法】

弊社サイトの問合せページからお申し込みください。 

 

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購入、それともリース?保険や保守は? 防犯カメラの契約で留意すべき3つのポイント

 

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先日、顧問先のマンションで防犯カメラが正常に作動していなかったことが判明し、新たに更新することになりました。

 

きっと皆さんのマンションにも何台か設置されていると思いますが、防犯カメラの契約をする際にどんな点に気を付けるべきかポイントを整理してみましたので、ご参考になれば幸いです。

 

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(1)購入、リース、レンタル・・・一体どれがお得か?

3つの選択肢の中でもっとも安価なのは、購入プランです。

 一括現金払いのため、資金的な余裕があればもっともお勧めです。

 

ただ、年数が経つにつれカメラの機能が陳腐化するので、5、6年経つとすっかり陳腐化していた・・ということが結構ありがちですね。

 

たとえば、数年前は、画素数は1メガ程度が標準でしたが、現在はもはや2メガ(200万超)が標準となっていますから、将来の更新の時期について留意が必要です。

 

一方、レンタルやリースは、購入に比べてトータル支払額が高くなります。

  

そもそも、リースとレンタルの違いとは何でしょう?

 

リースは、一定の期間(5、6年)にわたって、リース会社が購入したカメラ等の機器を賃貸借するしくみのため、契約途中での解約は認められません。(あるいは残期間分のリース料がペナルティとして課せられます)

 

また、管理責任がユーザー側にあるため、機器が故障した際の修理費等は管理組合の負担となります。

 

つまり、買取り額に期間分の金利、固定資産税、動産保険等の経費相当額が上乗せされたリース料を毎月支払うもので、割賦払いになるだけで実質的には購入とほぼ同じと考えればよいでしょう。

 

したがって、契約満了の時点で、カメラ機器一式が無償譲渡されるのが一般的です。

 

一方、レンタルは、ユーザーが必要とする一定期間の間、レンタル会社が所有している製品を管理組合に賃貸するしくみのため、管理責任が(所有者である)レンタル会社にあり、機器が故障した際には代替品を提供してくれます

 

当然、そうしたリスク分もレンタル料に加算されるので費用も上がりますが、管理組合側で面倒を見る手間から解放されるというメリットがあります。

 

ただ、レンタルの場合も契約期間内で中途解約ができないのが一般的のようです。

また、解約の際には、カメラの取外し等にかかる原状復旧費用の負担(1台あたり1万円程度)を求められるケースもありますので、事前にご確認ください。

 

(2)保守サービスを付帯するか?

カメラやHDD等の機器は、故障や不具合を起こすことも少なくありません。

 

そうしたリスクに備えた保守・点検サービスの付帯オプションも用意されており、以下のような対応をしてもらえます。

 

・遠隔点検サービス(月1回程度 映像の乱れ、録画状況等のチェック)

・機器保守点検(年1回程度)

・駆けつけ修理対応

・代替機器の貸与

・事故等発生時の警察への証拠提出代行

・消耗機器の交換(ハードディスク)など

 

これら一式まとめて月額数千円程度の費用がかかりますが、特に管理人が不在の小規模マンション等ではとても助かるサービスと思います。

 

ただ、業者によってサービス内容がグレード別に設定されていたり、対象範囲もまちまちだったりするので、複数社から情報を集めて比較されることをお勧めします。

 

(3)動産保険の付保は必要か?

カメラの盗難、いたずらによる紛失や故障、落雷や風水害による故障などに保証がつく動産保険は重要です。(※経年劣化による故障・修理等は保険対象外)

 

リースの場合には、リース料の中にあらかじめこの保険料が含まれていますが、(レンタルの場合、ユーザー側に所有権がないので考慮不要)購入の場合は別途付保する必要があります。

 

しかしながら・・・

マンション管理組合の場合、一般的に共用部分を対象に「マンション総合保険」に加入していますから、防犯カメラも共用設備の一部としてカバーされる可能性が高いです。

 

ただ、HDD等は什器備品の扱いとなるため、その保険の対象に含まれているかケースバイケースです。

 

事前に保険会社(代理店)に確認されることをお勧めします。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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