マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

購入、それともリース?保険や保守は? 防犯カメラの契約で留意すべき3つのポイント

 

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先日、顧問先のマンションで防犯カメラが正常に作動していなかったことが判明し、新たに更新することになりました。

 

きっと皆さんのマンションにも何台か設置されていると思いますが、防犯カメラの契約をする際にどんな点に気を付けるべきかポイントを整理してみましたので、ご参考になれば幸いです。

 

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(1)購入、リース、レンタル・・・一体どれがお得か?

3つの選択肢の中でもっとも安価なのは、購入プランです。

 一括現金払いのため、資金的な余裕があればもっともお勧めです。

 

ただ、年数が経つにつれカメラの機能が陳腐化するので、5、6年経つとすっかり陳腐化していた・・ということが結構ありがちですね。

 

たとえば、数年前は、画素数は1メガ程度が標準でしたが、現在はもはや2メガ(200万超)が標準となっていますから、将来の更新の時期について留意が必要です。

 

一方、レンタルやリースは、購入に比べてトータル支払額が高くなります。

  

そもそも、リースとレンタルの違いとは何でしょう?

 

リースは、一定の期間(5、6年)にわたって、リース会社が購入したカメラ等の機器を賃貸借するしくみのため、契約途中での解約は認められません。(あるいは残期間分のリース料がペナルティとして課せられます)

 

また、管理責任がユーザー側にあるため、機器が故障した際の修理費等は管理組合の負担となります。

 

つまり、買取り額に期間分の金利、固定資産税、動産保険等の経費相当額が上乗せされたリース料を毎月支払うもので、割賦払いになるだけで実質的には購入とほぼ同じと考えればよいでしょう。

 

したがって、契約満了の時点で、カメラ機器一式が無償譲渡されるのが一般的です。

 

一方、レンタルは、ユーザーが必要とする一定期間の間、レンタル会社が所有している製品を管理組合に賃貸するしくみのため、管理責任が(所有者である)レンタル会社にあり、機器が故障した際には代替品を提供してくれます

 

当然、そうしたリスク分もレンタル料に加算されるので費用も上がりますが、管理組合側で面倒を見る手間から解放されるというメリットがあります。

 

ただ、レンタルの場合も契約期間内で中途解約ができないのが一般的のようです。

また、解約の際には、カメラの取外し等にかかる原状復旧費用の負担(1台あたり1万円程度)を求められるケースもありますので、事前にご確認ください。

 

(2)保守サービスを付帯するか?

カメラやHDD等の機器は、故障や不具合を起こすことも少なくありません。

 

そうしたリスクに備えた保守・点検サービスの付帯オプションも用意されており、以下のような対応をしてもらえます。

 

・遠隔点検サービス(月1回程度 映像の乱れ、録画状況等のチェック)

・機器保守点検(年1回程度)

・駆けつけ修理対応

・代替機器の貸与

・事故等発生時の警察への証拠提出代行

・消耗機器の交換(ハードディスク)など

 

これら一式まとめて月額数千円程度の費用がかかりますが、特に管理人が不在の小規模マンション等ではとても助かるサービスと思います。

 

ただ、業者によってサービス内容がグレード別に設定されていたり、対象範囲もまちまちだったりするので、複数社から情報を集めて比較されることをお勧めします。

 

(3)動産保険の付保は必要か?

カメラの盗難、いたずらによる紛失や故障、落雷や風水害による故障などに保証がつく動産保険は重要です。(※経年劣化による故障・修理等は保険対象外)

 

リースの場合には、リース料の中にあらかじめこの保険料が含まれていますが、(レンタルの場合、ユーザー側に所有権がないので考慮不要)購入の場合は別途付保する必要があります。

 

しかしながら・・・

マンション管理組合の場合、一般的に共用部分を対象に「マンション総合保険」に加入していますから、防犯カメラも共用設備の一部としてカバーされる可能性が高いです。

 

ただ、HDD等は什器備品の扱いとなるため、その保険の対象に含まれているかケースバイケースです。

 

事前に保険会社(代理店)に確認されることをお勧めします。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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東京23区内新築マンションの駐車場、平均附置率3割を割り込む!

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ニュースサイトの「J cast」に、11/5付けで「都心でクルマはいらない! 新築マンションの駐車場設置率、いまや42.2%」という記事が掲載されていました。

 

www.j-cast.com

本記事によると、

・不動産経済研究所によると、首都圏マンションの駐車場設置率は2007年の77.3%をピークにその後下落に転じ、16年は45.2%、17年上半期(1~6月期)には42.2%まで落ち込み、低下傾向に歯止めがかからない。

 

・特に東京23区内は2007年の56.0%をピークに、16年には28.9%と20%台にまで落ち込んでいる


・主な要因は、若者のクルマ離れや高齢化の進行に伴いクルマを保有する人が減っているため。その他、公共交通機関の発達やカーシェアリングの普及等に伴って、「クルマの所有を必要としないライフスタイル」が広まったこともある。

 

・一方、既存マンションでは、駐車場の空き区画の増加で悩ましい問題が持ち上がっている。マンション内の駐車場は、管理費とは別に駐車場代を徴収し、その収入を管理費や修繕積立金に充当しているからだ。

 

・駐車場に空きが出るということは、予定していた管理組合の収入が減るので、管理費の増額が必要になるなどの問題が生じかねない。

 

・管理組合の中には、敷地外に借りている人や2台目の駐車場がほしい人などの希望者を募ったり、駐車場代や管理費を見直したりするなどの対策を取りはじめたり、マンション外の利用者に貸し出すところも出てきた。

 

 最近の新築マンションの広告を眺めていると、住戸数に対する駐車場の附置率はおよそ3〜4割くらいという印象がありますが、本記事のデータとも符合します。

 

数多くのマンション管理組合の財政状況を診断していると、

管理費の収入とほぼ同じくらいの金額を駐車場収入で賄っているところも珍しくありません

 

本記事のような空き区画の増加に悩むマンションが増えたことで、これまでの「管理組合は必ず一定の収益が見込める団体」という想定が崩れ始めているのです。

 

こうした悩みをきっかけに、管理委託費をはじめとするコスト削減に着手する管理組合も増えています。

 

当社顧問先のマンションでは、機械式を中心に全戸分(90戸)の駐車場を設置しているものの、いまや全体の4割もの空き区画を抱えている組合があります。

 

外部利用者への賃貸なども検討されましたが、セキュリティー面などでの不安もあって見送り、設備更新費用と点検費用の削減を図るために機械式駐車場の一部を平面化する方針を今年の総会で決議しました。

 

このマンションでは、重機で約30台分のパレット等の設備を撤去した後、ピット内に鋼製板を敷いて約10台の平置き駐車場にコンバージョンする予定です。

(※下の画像はイメージ)

 

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もちろん平面化のための工事費はかかりますが、将来必要とされる30台分の設備更新費用(約3千万円)の負担がなくなるうえ、定期保守点検費の節減(年間約30万円)も図れるため十分元は取れるという計算です。

 

マンション管理組合といえば、

区分所有者の大半の方がその運営に「無関心」なのが一般的です。

 

しかしながら、すでに「右肩下がり」の時代に突入した今、会社経営と同様の視点で管理や運営方法を見直し、時にはこのような外科的な処置を選択せざるを得なくなっているのです。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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マンション管理組合の活動は、「生活と資産防衛のため」と心得るべし!

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「OCEANS」というサイトの「 不動産の噂の真相」コーナーで、「マンション管理組合の活動は面倒な割に成果が少ない、は本当か?」という記事が掲載されていました。

 

oceans.tokyo.jp

本記事の要約は、おおむね以下の通りです。

・・・・・

■「マンションの管理組合活動は大変なわりに成果が少ない」というウワサの真偽ついては、大変な場合もあればそうでない場合もあり、成果についてはパワーをかけた分だけ、プラスにはね返ってくることもある。

 

■重要なことは、その成果が住環境の改善にとどまらず、資産価値に表れる場合もあることだ。

 

■資産価値の維持率を左右するのは「管理の良し悪し」で、「違いを生み出す」管理ができるかどうかにかかっている。

 

■例えば、大規模マンションなどで地域を巻き込んでお祭りや季節のイベントを企画したり、共用スペースを地域のサークル活動などに貸し出し、管理組合の財務を改善してより手厚い管理に使ったりなどの事例もある。そうした積み重ねが地域の評判を生み、地元で人気化することにつながっていく。

 

■そして、他のマンションと比べて優位性を生む独自の取り組みができるかという点で、理事会が意志をもつことが重要だ。

 

■理事会参加のベネフィットとして、イベントの企画や組織のマネジメントの経験を積めたうえ、世代を超えた人脈が広がったと話す理事もいる。管理組合の活動は、たしかに面倒な側面もあるが、関わり方次第で有意義な活動にすることもできる。

・・・・・

 この記事が何を目的に書かれたかはよくわかりません。

 

筆者が言いたいことは、

マンションをいかに住みよくできるか、長きにわたって資産価値を維持できるかは、管理組合の理事会のマネジメントの良し悪しにかかっている」ということなのでしょう。

 

その結論に対して、異論はありません。

 

ただ、管理組合活動の「意義」をもっと可視化しない限り、結局は区分所有者のもともとの「民度」(=意識・関心の高さ)によって管理組合の運命はほぼ決まってしまうことになるように思えます。

 

私の意見としては、「私たちの生活水準や資産価値を守るため」という観点から、組合活動参加の重要性を説き、無関心状態から脱却する必要があると考えます。

 

管理組合の皆さんにとって必要なのは、たとえば以下のような問いかけではないでしょうか。

 

■ 毎月徴収されている管理費の中から管理組合が支払っている管理委託費をはじめとする経費の水準ははたして適正なのか?今より3割くらい削減できるとしたら、見直すべきではないのか?

 

■ 将来の大規模修繕に備えて集める修繕積立金は今の水準で足りるのか?新築時に比べて3~4倍増額しないと足らなくなるのではないか?その際は、増額を受け入れる覚悟と経済的余裕はあるのか?

 

■ マンション管理組合は億単位の財産管理も担う団体なのに、なぜ理事会役員は素人集団の輪番制で運用しているのか?会社組織との違いに違和感を感じないのか?

 

■ 管理会社は管理組合の利益になるような提案やサポートをしてくれているか?管理組合の運営を管理会社に「丸投げ」して機会損失を蒙っている可能性はないのか?

 

■ 設備の更新や大規模修繕工事の際には、相見積りを取得したり、専門家を起用して情報収集・コストの適正化の努力をしているか

 

こうした質問にすべて自信をもって答えることができる管理組合は、当面は安心してもよいでしょう。

 

 <参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

   

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築11年目マンションの外観目視点検

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久しぶりの晴天のもと、管理会社とともに

都内にある顧問先のマンション(築11年目)で外観目視点検を行いました。

 

まずは、屋上に上がって防水床の劣化状況を確認。

 

このマンションの屋上部は「アスファルト露出防水」ですが、防水層に膨れやひび割れ等は見られなかったものの、さすがに築10年を超えて紫外線や風雨の影響で床表面の劣化が見られました。(画像参照)

 

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屋上防水の更新周期は12~15年とされていますが、ライフサイクルコスト低減のために全面改修の時期をなるべく遅らせるよう長持ちさせたいところです。

 

そのため、トップコート(最上位の塗膜部分)の再塗装を管理組合に提案するよう管理会社に依頼しました。

 

直接外気に触れる塗膜部分は、紫外線や風雨の影響によりダメージを受け、経年的に劣化していきます。

 

これが続くと、防水層の劣化が進み、やがて雨漏りや建物内部の劣化(コンクリートの中性化⇒内部の鉄筋が錆び、腐食が進行)に繋がってしまいます。

 

そこで防水層の最上部にトップコートを塗り防水層を保護することによって延命を図るのです。

 

専門業者によると、5年くらいの周期でトップコートを再塗装するのが理想的とのことです。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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NHKクロ現+ 「マンション修繕工事の闇 狙われる修繕積立金」は要チェック!

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 10月19日に放映されたNHKの「クローズアップ現代+」で、マンションの修繕積立金がコンサルタントや工事業者に搾取される実態が取り上げられていました。

 

 番組の内容を要約すると、おおむね以下の通りです。

 ・・・・・・・

【事例 その1】

180世帯のマンションでは、大規模修繕のために起用した設計事務所(A社)が見積もった概算工事費が3億6千万円にものぼった。これは当時の管理組合の修繕積立金残高をほぼ同額であった。

不審に思い、別の建築士に見積もってもらったところ、それより1億円以上安かったた。そのため、A社抜きで施工業者を選定しようとしたところ、A社から本業務を辞退するとの連絡があった。

 

一部の設計事務所に見られる「やり口」とは・・・

まず報酬を安く見積もってコンサル業務を受託し、その後施工業者の選定に関与しつつ、落札した工事業者からバックマージンを受け取って目標の利益を確保する

 

そのマージンは修繕費用に上乗せされているということだ。

 

関係者によると、「バックマージンを断ると、設計コンサル業界でその情報が共有され、その工事業者は声がかからなくなり、以後入札の参加さえ難しくなる」との由。

 

【事例 その2】

26世帯のマンションでは、格安の設計コンサルを起用して、2回目の大規模修繕を実施した。やはり修繕積立金の残高とほぼ同じの費用(約4千万円)がかかった。しかし、工事後の報告も不十分で、その後外壁タイルの不具合が多数見つかったため工事のやり直しを要請したものの、業者は補修に応じてくれなかった。

 

本ケースの解説として、設計コンサルの施工品質に対するチェックが甘いこと、また施工業者がバックマージン(修繕費の10〜20%)を負担する構図のため、自社の利益も確保しようとして工事が手抜きになるケースがあるとのこと。

 

こうした分譲マンションの修繕工事をめぐるトラブルの起きる背景として、2つの要因が考えられる。

1)新築マンションの供給減少に伴い、多くの建築士が修繕工事の市場に流れたが、修繕工事のコンサル報酬に関する適正水準がないため、バックマージンの慣習が生まれたこと。

 

2)マンション住民が総じて無関心なため、工事業界に関する情報が共有されにくいこと。

 

一方、マンション管理会社が設計コンサルの役割を兼ねるケースも多く、バックマージンや「場所代」を工事業者に請求する事例が見られるとのこと。

 

「悪質コンサルの見分け方」の一例として、「不自然な入札条件」を設定していることが紹介されました。

 

たとえば、施工業者の応募条件として「資本金1億円以上」など、ほとんどの工事業者が入札に参加できない条件を設定しているような場合は、あらかじめ水面下でコンサルが提携している工事業者がいるため、高いハードルを設定することによって競合業者を排除することを目的としたものではないかと推察できる・・とのこと。

 

最後に、「悪質コンサルから身を守るための方法」について解説がありました。

 

<ポイント1> 格安のコンサル報酬には要注意

・相見積もりを取って比較する。ただし、極端に安いコンサル料の業者は怪しいと考える必要があるかもしれない・・とのこと

 

<ポイント2> 工事金額の目安を知る

・戸あたり150万円以上の費用は高すぎる可能性があるので、セカンドオピニオンとして相見積もりを取る。

・国交省が紹介する相談窓口(マンション管理センターなど)を利用しても良い。

・・・・・・

業界にいる人間としては、こうした話はどこまで事実かはさておき、まことしやかに流通していることは事実です。

 

本ブログでは、番組で紹介されたアドバイスに加えて、管理組合として知っておいてもらいたい事項として以下2点を追記しておきます。

 

1)設計事務所を起用する目的を明確にしておく

 管理組合が施工業者に見積りを依頼すると、チェックが甘いことをよいことにまだ修繕が不要な箇所も含められてしまうリスクがあります。(工事範囲が多いほど、売り上げも増えるという仕組みのため。)

 

 番組でも紹介されていたように、管理組合の財布具合(=修繕積立金の残高)から、どこまでが上限リミットかも認識しているのでなおさらです。

 

  一方、設計事務所を起用する主な目的は、見積書の前提条件となる工事範囲と工事の仕様(部分補修か、全面更新かなど)を決めること、そして外部の専門家に施工後の品質チェックをさせることの2つだと考えます。

 

 必要な工事範囲と工事の仕様を決めたうえで、適正な工事予算の目安を把握することが肝要です。設計事務所を選ぶ際には、その点を重視して事務所の「力量」を確認することが必要でしょう。

 

2)施工業者の「大規模工事瑕疵保険」への加入を発注条件にする

 これは、法律にもとづいて国(国交大臣)が認可した保険法人だけが取り扱える「現場検査付きの工事保険」です。

 

 修繕工事の後に瑕疵が見つかり、高額な補修費用を工事会社が負担しなくてはならなくなった場合でも、あらかじめこの工事保険に加入しておくと、修補費用に近い保険金が工事業者に支払われる、というものです。

 

 また、瑕疵が見つかった際に、その工事業者が倒産等で消滅していた場合には、たとえ工事請負契約に瑕疵担保責任が明記されていても、発注者はその履行を請求できなくなってしまいます。

 

 しかし、このようなケースでも工事業者がこの保険に加入さえしていれば、発注者(管理組合)が保険法人に対して直接保険金を請求できます

 

 したがって、施工業者がこの保険に加入していれば、大手ゼネコンや管理会社でなくとも、発注先のクレジットをそれほど気にする必要がなくなります。

 

 また、施工品質への不安やリスクについても、この保険で手当てがなされています。

 

 施工業者の保険加入を認める条件として、対象となる工事が一定の施工基準を満たしていることを確認することが必要条件となっているため、着工前と完了後に保険法人の検査員(一級建築士等)が現場で検査を実施するからです。

 

 そのため、責任施工方式を選んでも(=工事監理を設計事務所に委託しなくても)、瑕疵の発生リスクを低減する効果が期待できると思われます。

 

<参考記事>

 yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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既築マンションで一括受電が盛り上がらなくなったワケ

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昨年の4月に、電力小売りが完全に自由化されました。

ガス会社、通信会社、管理会社など異業種から数多くの参入があり、市場規模も携帯電話とほぼ同じ7兆円超と言われ、相当のの経済効果があるものと期待されていました。

 

・・が、その後の状況はどうなったのでしょうか?

 

資源エネルギー庁が今年の7月に発表した資料によると、

新電力への契約先の切り替え(スイッチング)が行われた割合は、今年3月末時点で4.7%(全国平均)に過ぎません。

 

その内訳をみると地域差があり、たとえば大都市圏では 東京:7.1% 関西:6.1%と全国平均に比べると高めではありますが、しょせん一桁台にとどまっていることに変わりはなく、全体の9割以上の世帯は切り替えはしていないことが分かりました。

 

スイッチングが進まない主な原因は、

新電力と地域電力会社との電気単価の差が4%程度と低いからでしょう。

 

既存の受電契約の解約手続きの煩雑さを考えると、この程度の価格差では利用者側のモチベーションが上がりません。

 

また、地域電力会社の基本プラン以外で節約できるプランを利用している場合には、スイッチングによって逆に料金が上昇してしまうケースもあります。

 

ただ、この電力小売りの自由化は、

マンションの一括受電のニーズを冷やすには大きな効果があったことを痛感します。

 

それは、自由化前に比べて一括受電のコスト・パフォーマンスが相対的に悪化したからです。

 

一括受電サービス業者の提案条件は、「共用部の電気料金の40%削減」が一般的です。

 

ただ、これを専有部住戸への還元に換算すると、8%程度にしかなりません。

(∵専有部の電気使用量は、共用部の約5倍あるのが一般的です) 

 

各世帯で数ある新電力の中から好きに選んでも4~5%のコスト削減ができるなら、さらに3~4%(月額:数百円)の料金差のために、わざわざ一括受電を選択して全戸同意を取り付ける手間をかけるだろうか? ということになるわけです。

 

ましてや、(割合はまだ少ないとはいえ、)すでに新電力にスイッチした世帯がマンション内に1戸でもあれば、すでに実現したコスト削減メリットとの差や中途解約の制約などがネックになり、一括受電の導入に難色を示す可能性はかなり高くなったと考えられます。

 

こうした事情から、既築のマンションでの一括受電の導入は極めて難しくなったと思います。

 

おそらく、今後は新築マンションで初めから一括受電業サービスがビルトインされるケースにとどまるでしょう。

 

既存のサービス業者の経営戦略上も、新築マンションを供給できるデベロッパーとの提携が生き残りの必須条件になってきますね。

 

 <参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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マンションの長期修繕計画で発覚した信じられないミス

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知人が所有する都内のワンルーム・マンションで、あるトラブルが発生しました。

 

マンションの分譲販売といえば、一般的に新築物件を想像するでしょうが、中には中古物件をデベロッパーが賃貸マンション一棟を取得したうえで区分所有権として販売するということも、たまに見られます。

 

このマンションがまさにそのケースで、竣工時から約6年間賃貸マンションとして運用されていたのですが、それをデベロッパーが中古物件として一棟を取得して、築7年目に一般分譲した物件でした。

 

しかし、販売後2年が経過した時点で、販売時にデベロッパーが作成した長期修繕計画に大きなミスがあることが発覚したのです。

 

一般的な長期修繕計画では、築12年目から12年周期で大規模修繕工事の実施を予定することが多いのですが、そのマンションは築7年目の中古分譲なのにもかかわらず、分譲販売後12年目、つまり築19年目に第1回目の大規模修繕が予定されているのでおかしいと気づいたのです。

 

1回目のタイミングとしては、築15年目までに予定しておくことが望ましいと考えられるため、これではやや遅すぎるというわけです。

 

しかし、それよりもっと深刻なのは、

長計と表裏一体の関係にある、修繕積立金の問題です。

 

本来、分譲時(築7年目)から30年間の長期修繕計画では築12年目(分譲後5年目)、築24年目(分譲後17年目)、築36年目(分譲後29年目)の計3回の大規模修繕が予定されるべきところ、竣工年=分譲時だと錯覚したために第2回目までの分しか修繕費用を見込んでいませんでした

 

長期修繕計画作成の目的は、修繕見込み額にもとづいて将来的に確保すべき修繕積立金の金額を積算することにあるため、このミスによって必要な積立金の額が過少に見込まれたことになります。

 

言い換えれば、

区分所有者は購入時に想定していたよりも大幅に修繕積立金の負担が増えてしまうことになるわけです。

 

この長期修繕計画の作成上の瑕疵については、売主がその責任を認めたうえで、売主の負担で竣工時から分譲販売時点までの期間にかかる修繕積立金を管理組合に補てんする提案がなされ、その後管理組合の総会でも承認されたようです。

 

長期修繕計画を真剣にチェックする方は極めて少ないと思いますが、世の中にはこのようなトラブルも起こっていることを知っていただき、ご注意いただきたいと思います。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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