マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

「見積は安いけど、信用力は?・・」の業者でも安心して工事を発注できる方法

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大規模修繕をはじめ管理組合が工事を発注する際に、相見積りを取るのは当然としても、どこの施工業者に発注すべきか悩ましい時があります。

 

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大手のゼネコンや管理会社が元請けする場合、企業自体の信用力は認められるものの、下請け・孫請けのピラミッド体系の中で往々にして発注金額が割高になってしまいます。

 

一方、中小規模以下の工事会社の場合、工事代金はリーズナブルであっても、特にこれまで発注実績がないと、施工品質に不安が伴うだけでなく将来瑕疵が見つかった時にしっかり対応してくれるのかと言った懸念が残ります。

 

施工品質をチェックする方法としては、設計事務所を起用して「工事監理」を委託するのも一案なのですが、そもそも優良な設計事務所を選ぶのも管理組合にとって容易ではなく、別途そのための費用(工事費の5%程度)も発生してしまいます

 

そんな時にぜひ覚えておきたいのが、「大規模工事瑕疵保険」の活用です。

 

これは、法律にもとづいて国(国交大臣)が認可した保険法人だけが取り扱える「現場検査付きの工事保険」です。

 

修繕工事の後に瑕疵が見つかり、高額な補修費用を工事会社が負担しなくてはならなくなった場合でも、あらかじめこの工事保険に加入しておくと、修補費用に近い保険金が工事業者に支払われる、というものです。

 

また、瑕疵が見つかった際に、その工事業者が倒産等で消滅していた場合には、たとえ工事請負契約に瑕疵担保責任が明記されていても、発注者はその履行を請求できなくなってしまいます。

 

しかし、このようなケースでも工事業者がこの保険に加入さえしていれば、発注者(管理組合)が保険法人に対して直接保険金を請求できるのです

 

さらに、施工品質への不安やリスクについても考慮されています。

 

保険法人が工事会社の保険加入を認める条件として、対象となる工事が一定の施工基準を満たしていることを確認することが必要条件となっており、工事着工前と工事完了後に保険法人の検査員(一級建築士等)が現場で検査を実施します。

 

そのため、工事監理を設計事務所に委託しなくても、瑕疵の発生リスクをあらかじめ低減することが期待できるわけです。

 

なお、対象は大規模修繕工事に限らず、不定期に行う共用部の工事や給排水管等の設備更新なども含まれます。

 

マンション管理組合として覚えておきたいのは、工事業者に対してこの保険への加入を発注の条件にすることです。

 

また、保証期間は原則工事完了時から5年間ですが、防水工事などは「10年の延長特約」もあります。

 

詳細は、下記の記事もご参照ください。

 

allabout.co.jp

 

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「民泊新法」の成立でマンション標準管理規約も改正へ!

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観光客などに有料で空き部屋・空き家などを貸し出す「民泊」のルールを定めた新法(住宅宿泊事業法)が先日国会で成立し、来年(2018年)1月にも施行される見通しとなっています。

 

法律の施行後は、旅館業法における「簡易宿所」などの営業許可や「特区民泊」などのケースを除いて、民泊ホスト(部屋の所有者)が各都道府県へ届け出ることが義務化されます。

 

民泊仲介最大手のAirbnbも、民泊業者の登録情報を都道府県に提供するなどして、違法民泊防止に向けて対策を進めていく方針とのことです。

 

この新法成立を受けて、国交省も動き始めました。

 

住宅宿泊事業法の成立を踏まえた「マンション標準管理規約」の改正案を示すとともに、国民からの意見を賜るべく、6/19にパブリックコメント(意見公募)を開始しました。(7/18 締め切り)

 

          【国交省の説明資料抜粋】             

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この標準管理規約改正案の主なポイントは以下の通りです。

 

■ 「民泊」を禁止する場合の追加条文の提示

 

<民泊を禁止する場合の追加条文>

「住宅宿泊事業法(第3条第1項)の届出を行って営む(同法第2条第3項の)住宅宿泊事業に使用してはならない。」

 

 なお、民泊を可能とする場合には、逆に「使用できる」旨明記しておくことが望ましいとしています。

 

■ 民泊実施前の広告の掲載等を禁止したい場合

たとえば「区分所有者は、前項に違反する用途で使用することを内容とする広告の掲載その他の募集又は勧誘を行ってはならない」のような規定を置く。

 

これに関連して、以下の補足事項も記載されています。

 

■ 「家主居住型の民泊」のみを可能とする場合

 マンションによっては、いわゆる家主居住型の住宅宿泊事業のうち、民泊ホスト自身が生活の本拠として使用している専有部分において宿泊させる場合に限って可能とするケースも想定されるため、そのための条文を別途用意しています。

 

■ 民泊が可能な場合でも、管理組合への届出を義務化する場合

民泊事業を可能とする場合でも、管理組合がタイムリーに事業開始を把握することが住民間のトラブル防止に資すると考えられます。

 

そのため、「区分所有者は、その専有部分において住宅宿泊事業を実施することを内容とする届出を都道府県等に行った場合は、遅滞なくその旨を管理組合に届け出なければならない」等と規約に定めることも有効としています。

 

パブリックコメントへの対応を経て、今夏頃に改正内容が決定・通知される予定とのことです。

 

標準規約が改正されれば、今後供給される新築マンションについては、民泊の可否は明確化されることになるのでしょう。

 

ただ問題は、すでに全国600万戸以上にも及ぶ既築の分譲マンションです。

 

管理規約の改正は、特別決議事項に該当(組合員全体の4分の3以上の賛成が必要)するため、容易には実現できない管理組合も少なくないはずです。

 

そのような場合の「次善の策」は、下記のブログを参考にしてください。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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マンション一括受電業者が「黄昏れ」つつある事情とは?

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「オリックスが電力子会社を売却へ」という興味深い記事を見かけました。

 

digital.asahi.com

その内容を要約すると、

■オリックスが、マンション一括受電サービスを主業とする子会社のオリックス電力を売却することがわかった。

■売却先は6~8月に入札で決める方針で、関西電力など電力大手や都市ガス大手が参加を検討している。
■ オリックス電力は、首都圏を中心に約800棟(約8万世帯)に販売しており、最新の年間売上高は約70億円。

■ただ、オリックス電力単独では事業拡大が難しいと判断した。売却額は数百億円になりそうだ。

 

その後、このオリックス電力の事業売却の背景について下記のような観測記事も出ています。

 

biz-journal.jp

この記事の内容は、ざっとこんな感じです。

 

■2005年の電気事業法の改正に伴い、50KW以上(※およそ50戸程度のマンションの規模に相当)の高圧電力が自由化の対象となった。

 

■そのため、マンションでの高圧一括受電サービスの提供を目的としてオリックスも20子会社を設立して参入し、一気に事業を拡大した。

 

■しかしながら、2016年4月の「電力小売りの完全自由化」後はこの事業を発展を継続させるのは難しくなることが予想される。

 

■小売りの完全自由化によって、各家庭をはじめとする小口利用者も自由に電力会社を選べるようになったため、すでに一部の住民が新電力などに契約先を切り替えている場合、管理組合が新たに高圧一括受電を導入することに対して反対するものと考えられる。

■その場合、一括受電実現の要件として全戸同意を得ることが必要なため、今後はマンション全体として高圧一括受電を実現することが難しくなると予想される。


■オリックスの撤退を契機に、今後高圧一括受電事業者に対する融資や投資が厳しくなり、資本力のない同業者の倒産も予想される。

 

■仮に事業者の倒産に見舞われると、マンション内の変圧器は債権者によって差押えされることになり、債権者の意向によっては電力供給がストップすることもあり得る。

 

もともと2005年に始まった高圧一括受電自体が、電力自由化の「はしり」的な存在だったわけですが、昨年の「完全自由化」によって一般の家庭を含む小口利用者も自由に電力会社を選べるようになってしまいました。

 

それがいわば「パンドラの箱」を開けた格好になり、マンション管理組合が一括受電の合意形成をすることを難しくしています。

 

と言うのも、一括受電の導入には(区分所有法で定める)総会の承認決議を得るだけでは足らず、電気事業法の定めにもとづき「現受電契約の解約のための同意書を全住戸から回収する」ことが必要だからです。

 

言い換えれば、総会決議で過半数の承認を得られて機関決定できたとしても、全戸分の同意書がないと東電などの地域電力会社が一括解約を認めてくれないのです。

 

そのため、昨春の自由化後に新電力等と契約した住民は、一括受電に反対する可能性が高いと推測されるので、全員分の同意書が集めるのが困難になるというわけです。

 

ただ、上の記事の後半部分にある、一括受電業者の倒産 ⇒ 債権者の意向による電力供給停止のリスク という部分はやや煽りすぎの印象を受けます。

 

オリックスも今後の事業拡大は難しいと判断したからこそ今回売却方針を選択したかもしれませんが、本事業の安定性・採算性自体は決して悪くないと考えられるからです。

 

<「マンション一括受電サービス」のイメージ図>

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高圧で受電することによって、マンションの各住戸の電力を定価に比べておよそ3割安い料金(大口価格と小口価格の差額分)で仕入れることができます

 

たしかに事業会社には変圧器等の投資とそれに伴う償却負担はありますが、管理組合に(電気料金の値下がり分の)一部を還元したとしても10数年で初期投資を回収できるように仕組んでいるはずです。

 

しかも、変圧器の平均耐用年数は38年と言われています。つまり、初期投資の回収後20数年間は電気料金の差額マージンを享受できることになります。

 

さらに、このサービスは、マンション共用部のほかに各住戸の電気料金の出納・請求も毎月実施する業務の収益も長期にわたって得られます。

 

その意味で、この業界も全体のパイの成長が乏しくなることに伴って優勝劣敗が進み、今回のオリックスのような事業譲渡による「合従連衡」が進んでいく可能性が高いと思います。

 

 <参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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民泊トラブル増加中!管理規約の改正が難しい場合の「次善の策」とは?

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先日の毎日新聞に、都内のマンション管理組合(全46戸・ワンルームマンション)が、組合員の一人が無断で「民泊」の営業をしていたとして、所有者に営業停止と損害賠償を求めて東京地裁に提訴したという記事が掲載されていました。

 

mainichi.jp

記事の内容によると、

■ 部屋の所有者は、一泊5千円で旅行者に部屋を提供していた。

■ 旅館業の登録はしていなかった。

■ マンションの管理規約では、「居住目的の利用は禁止」されていた。

とのこと。

 

また、大阪のマンションでは、これとほぼ同様の民泊の無断営業が「不法行為に当たる」として、今年1月、賠償金(50万円)の支払いを部屋の所有者に命じたという判例が発生しています。

 

www.nikkei.com

この管理組合では、2年前に管理規約を改正し、住戸を「不特定多数が宿泊する施設として使用することを禁止」していたとのこと。

 

 

ホテルや旅館以外でも、「民泊」のように「宿泊料金を取って人を宿泊させる営業行為」を行うには、旅館業法に基づき営業許可を取ることが必要です。

 

ただ言い換えると、その営業許可さえあれば不法行為を理由に民泊利用を禁止することができなくなってしまいます。

 

そのため、民泊利用を排除するには、マンションの管理規約で明確に禁止条項に定めておくことが必須条件とされているのです。

 

ただ、管理規約の改正は「特別決議事項」に該当するため、区分所有者全体の4分の3以上の賛成を取り付けることが必要です。

 

無関心層の割合の高い管理組合では、全体の4分の1が委任状すら集まらないというマンションも少なくないため、規約の改正をしたくてもできないというジレンマがあります。

 

このような場合には、使用細則の改正で対応するという「次善の策」があります。

 

一般的な管理規約に定められている「居住目的以外の利用禁止」については事務所等での利用がどこまでOKで、どこからがNGなのか曖昧になっており、この条項では民泊利用もグレー的な位置づけにとどまってしまいます。

 

そのため、規約の内容を補足するために、使用細則で「禁止に該当する事例を具体的に列挙する」とよいでしょう。

 

たとえば、「当マンション管理規約 第××条に定められた専有部分及び専用使用部分の
用途につき、次の各号に掲げる行為をしてはならない。」として、以下のような事項を定めます。

 

■ インターネット等の広告媒体を利用し、専有部分を1ヶ月未満の短期で借受ける者を募集する行為

■ 不特定の第三者を対象とした旅館業及びこれに準じる行為

 

使用細則改正の利点は、管理規約の改正に比べるとかなりハードルが低いという点にあります。

 

と言うのも、使用細則の改正は「普通決議事項」のため、総会に出席した組合員の過半数の承認が得られれば成立するからです

 

つまり重要なのは、

管理組合のルールとして民泊を明確に禁止したという既成事実を作っておくことで、管理規約の改正が難しい場合には使用細則を改正で手当てしておけば、ほぼ同様の効果が得られるのではないかと思われます。

 

 <参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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館業法の許可を得ず1泊5000円で旅行者らを宿泊させていたことが発覚した。組合は「居住目的以外の使用を禁じる」とする規約に反しているとして、今年4月に約75万円の賠償も求めて提訴した。
旅館業法の許可を得ず1泊5000円で旅行者らを宿泊させていたことが発覚した。組合は「居住目的以外の使用を禁じる」とする規約に反しているとして、今年4月に約75万円の賠償も求めて提訴した。
旅館業法の許可を得ず1泊5000円で旅行者らを宿泊させていたことが発覚した。組合は「居住目的以外の使用を禁じる」とする規約に反しているとして、今年4月に約75万円の賠償も求めて提訴した。

「避雷針があるから大丈夫」は甘い!マンションでも落雷対策が必要なワケ

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先日全国的に梅雨入りし、今年も初夏を迎えましたが、近年は夏の時期にゲリラ豪雨に見舞われる機会が増えてきました。


そして、ゲリラ豪雨や夕立ちとともに時折発生するのが、カミナリです。

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「マンションには避雷針があるから、カミナリは落ちないんでしょ?」と思った貴方!



その考えは、残念ながら甘い・・・。


たしかに、鉄筋コンクリート造のマンションでは、建築基準法にもとづき避雷設備(※ただし、地上20メートルを超える建物が対象。)が導入されています。



ただ、避雷針はあくまで「建物を雷から守るため」のもの、建物の中にある物を守ることまでは考慮していません・・・。


現代では、電子機器がたくさんあります。テレビや冷蔵庫、エアコンはもちろんのこと、エアコン、パソコン、電話など電源以外のラインをつなげた機器もありますね。


たとえマンションに避雷針が設置されていても、落雷電流の一部が電源回路だけでなく、通信回線やアース線を経由して建物内にも侵入することがあるのです。


これを「雷サージ」と言います。

その「雷サージ」によって流れた電流が異常に大きい場合には、上記の電気機器や電子機器が故障することがあります。


こうしたリスクを回避するには、

雷が落ちる可能性がある間、雷サージの侵入経路を遮断するためコンセントや通信回線等を抜いておくことです。


100%の保証はありませんが、まず被害に遭うことはないでしょう。


ただ、家を留守にしている時などは、この方法では対応できません


こうした不在時も含めた予防策として、

設備機器にあらかじめ避雷器(サージ防護デバイス)を取り付ける方法があります。


この避雷器には、機器ごとに取り付けるタイプのほかに、居室内の分電盤に取り付けて家中全体の器機を保護するタイプもあります。

 

家庭で簡単に使えるものなら、下のような機器がネットでも購入できます。

決して高額なものではありません。

 

● 電源タップ:【ELECOM 電源タップ 雷ガード マグネット付】

 

● アンテナ線:【日本アンテナ 雷ガードタップ付2分配器】

 

というわけで、マンション住まいの方も万が一に備えて落雷対策を考えておかれることをお奨めします。

 

 

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駐車場の空き問題に悩むマンションで進められている一大プロジェクト

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顧問先のマンションでは、先日機械式駐車場の一部「平面化」を進めるプロジェクトについて住民向けの説明会が開催されました。

 

まもなく築20年を迎えるマンションですが、その当時は立駐設備を導入してでもなるべく駐車場の附置率を上げようとする商品設計がなされるのが珍しくありませんでした。

 

そのトレンドに沿って、このマンションは全戸分の駐車場が用意されており、分譲当時はそれが購入客への訴求ポイントになっていたのです。

 

ところが、蓋を開けてみるとフル稼働になったことはほぼなく、年経るごとに稼働率は低下して、現状は6割の稼働を維持するのが精一杯という状況です。

 

つまり、立駐設備の4割が事実上の「遊休施設」と化してしまったわけです。

 

それによって管理組合が負担する経済コストはどれくらいになるのでしょうか?

 

長期修繕計画で見込まれる修繕や設備更新費用、そして定期保守点検費用を合わせた「トータル維持コスト(TRC)」を積算してみました。

 

その結果、1台あたり年間8万円かかることがわかりました。

 

たとえば約30台の空き区画がある場合、その分の使用料が得られないにもかかわらず、年間240万円もの負担を強いられていることになります。

 

このマンションでは、管理委託契約の見直しで3割のコスト削減を実現した結果、年間の剰余金が500万円以上増加したのですが、この遊休設備の維持負担分でその余剰金の約半分も費消してしまう計算になるわけです。

 

この状況は看過できないということで、この2年の間に外部貸しの検討、住民アンケートの実施、遊休化した設備の閉鎖などの種々の検討を進めてきた結果、この管理組合にとって最適なプランとして導き出した答えが、一部平面化のプランでした。

 

32台分を収容する立駐設備を撤去したうえで鋼製板を敷いて「平面化」し、12台分の平面駐車場にリニューアルしてしまうというプロジェクトです。

 

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もちろん平面化のための工事費を当初負担しなければなりませんが、将来軽減されるTRCを考えるとそれでも十分元が取れることは確認済みです。

 

車のサイズや高さの制限がないうえ、使い勝手の良い駐車区画が増えることで、稼働率が今より改善されることも期待されます。

 

こうした管理組合を取り巻く財政事情や、これまでの検討経過をまとめた資料を作成して事前に配布したうえで迎えた住民説明会では、その方針に対して反対や疑問を呈する声は一つもありませんでした。

 

以前から駐車場の空き問題は気になっていたが、ここまで具体的な見直し案が今回提示されたのに驚いた」というご意見もいただきました。

 

説明会の終了後、理事会や専門委員会のメンバーの方々が一様に安堵された表情が印象的でした。

 

どうやら「総会承認」という大きな関所は越えられそうですが、工事実施に向けたアクションプランの詰めはまだまだ必要です。

 

引き続き、気を引き締めて取り組んでいきます。

 

 <参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

 

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マンション管理組合も「個人情報取扱業者」に!組合役員なら知っておきたい4つのポイント

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個人情報保護法で定められた「個人情報取扱業者」には、これまで取扱う個人情報の数が「5,000人超」という要件がありました。

 

しかし、本年5月30日をもって改正個人情報保護法が施行されるのに伴い、この要件が撤廃されました。

 

そのため、マンション管理組合も「個人情報取扱業者」とされ、この法律を理解のうえ遵守することが求められることになったのです。

 

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そこで、管理組合の役員さんなら最低限知っておきたいポイントをご紹介します。

 

#1 個人情報の利用目的を特定し、公開する

個人情報(氏名だけでなく、生年月日や部屋番号など特定の個人を識別できるもの)を取得する際には、その利用目的を特定するとともに、これを公表する必要があります。

 

まず、利用目的の「特定」については、たとえば「共用部分等の管理、ならびに規約または総会決議にもとづく管理組合業務のため」のような文言を記載するというイメージです。

 

「公開」については、組合員に提出してもらう入居届などの文書にも、その利用目的を明記するとよいでしょう。

 

そして、特定した利用目的以外には個人情報を利用してはいけません。

 

#2 「第三者」に情報を提供する際には、本人の同意を得る

ただし、「第三者」には下記のようなケースは対象外となります。

 ■ 業務委託契約に伴い、その委託先に提供する場合

  (管理会社との管理委託契約など)

 ■ 法令にもとづく場合(警察からの照会など)

 ■ 本人の同意を得るのが困難な場合(急病・事故・災害など)

 

なお、管理費等の滞納に関する情報もこの法律の対象になりますが、マンションの売買に伴って仲介業者に提供するような場合は、滞納者本人の同意は不要とされています。

 

#3 個人情報を訂正する際には、本人の同意を得る

 本人から情報の開示を求められた際には、確かにその本人であることを必ず確認するようにしましょう。

 

そのため、(すでにルール化されている管理組合も多いでしょうが、)組合員の情報を訂正する際には、口頭ではなく署名・捺印がなされた届出書を提出してもらうようにしましょう。

 

 #4 個人情報の管理者・保管場所・保管方法などを決める

最後が、最も厄介な項目です。

組合員名簿や、駐車場等の専用使用部分の利用者リストは、紙ベースの場合は施錠できる場所に管理しましょう。

 

あるいは、これらをパソコン等でデータとして管理する場合には、外部に漏洩しないようパスワード設定やウィルス対策を実施することが必要です。

 

最近は、共用部に防犯カメラを設置することはもはや当然のようになっていますが、そこに記録された映像にも個人情報が含まれています

 

そのため、「防犯カメラ運用細則」を作成し、利用目的の記載はもちろんのこと、記録映像の閲覧ができる役員をあらかじめ定めておくとよいでしょう。

 

なお、この法律に違反すると、個人情報保護委員会の勧告や命令を受けることがあり、その命令にも違反した場合には、罰則として懲役刑や罰金刑もあります。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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