マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

「相見積りの取得」で態度が豹変した管理会社に呆れるの巻

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当社のコンサルティング先で、今年の夏から管理委託費の減額交渉を始めたマンションの話です。

 

管理委託費の適正化に際しては、単純に減額を要請するだけではなく、そのマンションの「管理仕様の見直し」も検討します。

 

管理仕様とは、たとえば以下のような項目です。

■管理人の勤務日数や滞在時間(週◎日・1日×時間勤務)

■管理人は、日常清掃を兼務するか否か

■清掃や設備保守点検の頻度(年○○回実施など)

■理事会の開催頻度(毎月か、隔月以下か)

■設備保守業者はメーカー系か、非メーカー系か

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 このマンションでは、管理人は平日は朝から夕方まで勤務しているのに、日常清掃は業務に含まれておらず、別途専門スタッフ(2名)を派遣している状況です。

 

ただ、総戸数が約200戸と大規模物件ではあるものの、集会室・ホール以外に特別管理が必要な施設や設備もなく、日中常に管理室内に待機していなくてはならない事情はありません。

 

このような場合、管理人にも日常清掃作業を兼務してもらえば清掃スタッフも減員できる可能性があるし、清掃のために管理室を離れる際には携帯電話を所持すれば特に支障はないと思われます。

 

そういった見直しを依頼したところ、管理会社の「抵抗」の凄まじいこと・・・

フロント担当者から以下のような文書が送られてきました。

 

・管理員業務を行いながらの清掃補助であるため、単に清掃員1名までの作業量や作業仕上がりに至らないことを予めご承知おきください。

・清掃スタッフ1名減員による作業量および作業仕上がりが現状より低減することをご承知おきください。

・作業員の純粋減であることから物理的に作業範囲や作業回数・頻度等を減らさざるを得ないこと、それに伴う美観が低下する恐れがあることをご承知おきください。

 

こちらとしてはあくまで品質を落とさずに合理化する対策案として検討をお願いしたのですが、事実上お断りの意思表示と読めます。

 

しかも、代替案のオファーも一切なし。まったく、にべもありません。

 

こんな木で鼻をくくったような対応を繰り返したため、管理組合の理事会もついに憤慨して、「それなら相見積もりを取って他社からの提案も聴こうじゃないか」という流れになり、リプレイスを見据えた動きになってしまいました。

 

すると、それを知った管理会社の態度が文字通り豹変して、今度は立派なカラー冊子で以下のような提案をしてきたのです。

 

・フロント担当者、管理員、清掃スタッフがこれまで以上に連携し、仕様の変更がサービスの低下とならないようしっかりした体制を構築し、将来にわたってサービスの維持向上ができるような体制づくりに取り組みます。

・緊急の際に巡回中でも連絡が取れるよう、管理員に携帯電話を貸与させます。

・管理室に不在の場合には、インターホンから携帯電話につながるようにします。

・日常清掃作業の効率アップのため、清掃用具を見直し、新規購入します。

 

「このままだと解約されるかもしれない」との危機感からの思い切った方針転換なのでしょうが、やや遅きに失した感は否めません。

 

何よりも遺憾なのは、こうした提案は管理組合のためではなく、自社の立場を守りたい一心からだということが明らかということです。

 

なぜ最初からできなかったのか? 

ここに、マンション管理会社が抱える問題の本質があります。

 

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「やむを得ずマイホームを貸すことに・・」そんな時に気をつけたいことは?

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誰かに不動産を貸した経験ってありますか?

 

マンション管理士という仕事柄、会社に勤務しながら複数のワンルームマンションのオーナーとしてかなりの賃貸収入を得ている方にお会いすることも少なくありません。

 

ただ、そういった「副業」を持つ方以外に、仕事などの事情で一時的に転居を強いられたために止むを得ずマイホームを貸す、というケースもあるでしょう。

 

かく言う私も、新築マンションを購入してまだ間もない時期に大阪への転勤辞令が出たために、不本意ながら貸さざるを得なくなったという経験があります。

 

そんな時は、賃貸管理会社に依頼して、借り手を探してもらうのが一般的でしょう。

 

しかし、これまで不動産を賃貸した経験がない人は、民法や借家法について一定の知識がないとトラブルに陥る可能性があるので要注意です。

 

たとえば、借り手が決まれば賃貸借契約を結ぶことになりますが、そこで契約期間も決めます。

 

この契約期間が実は「曲者」です。

 

そもそも借家法では、「借り手=社会的弱者」という考え方のもと、借り手にとって有利なしくみになっています

 

たとえば契約期間を2年と定めていても、2年後の期間満了時点で借り手側が更新を希望した場合には、貸し手側は原則としてそれを拒めません

 

貸す側が「それでは困る、期間満了時には確実に明け渡してほしい」と考えるならば、上記のような普通借家契約ではなく、「定期借家契約」にする必要があります。

 

ただし定期借家の場合には、契約締結前にあらかじめ借り手に書面を交付して説明しなければならないなど、煩雑な手続きが必要になります。

 

したがって、こうした経験のない方は、プロの賃貸業者に委託して進めるのが無難でしょう。

 

なお、一時的な事情で持ち家を貸す場合には、友人・知人に借りてもらうということもあります。

 

貸し手側としては、「赤の他人」よりも自分の家を大切に使ってもらえるのではないかという期待もあるかもしれません。

 

ただ、知り合いだからこそ、互いに相手に期待する気持ちが強くなりがちで、かえって一度トラブルが生じると揉めやすいということもあるようです。

 

なので、知人に貸す場合でも契約書は必ず作成して、お互いの責任範囲をしっかり決めておくようにしましょう。

 

その際に最も大切なのは、もちろん「経済的負担に関する取り決め」です。

 

家賃・共益費の金額や支払方法や期限、敷金の有無は言うまでもありません。

 

それに加えて、実際に入居後のトラブルになりやすい原因として、住戸内の修繕や(明渡し時の)原状復旧費用の負担をどうするかが不明確だったからということがあります。こうした事項も明記するようにしましょう。

 

なお、本テーマについてより詳しく知りたい方は、本日SUUMOジャーナルで公開された記事を参考にしてみてください。

 

suumo.jp

 

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「住民同士の挨拶はしない」と決めたマンションの話

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マンション内で住民同士が挨拶すべきか否かというテーマで、新聞読者が投稿でボヤいていた記事がメディアで話題になっています。

 

たしかに最近の世相を反映しているとは言え、さすがに「ついにそこまで来たか・・」と驚きを禁じえませんでした。

 

その投稿がこちら。

 

【理解に苦しんでます】<11月4日付 神戸新聞>

住んでるマンションの管理組合理事をやってるんですが、先日の住民総会で、小学生の親御さんから提案されました。「知らない人にあいさつされたら逃げるように教えているので、マンション内ではあいさつをしないように決めてください」。子どもにはどの人がマンションの人かどうか判断できない。教育上困ります、とも。

すると、年配の方から「あいさつをしてもあいさつが返ってこないので気分が悪かった。お互いにやめましょう」と、意見が一致してしまいました。

 

その告知を出すのですが、世の中変わったな、と理解に苦しんでいます。
(神戸・西、自営、男、56)

 

 

投稿者の住むマンションの組合総会で、「住民同士の挨拶は止めよう」というルールが決まり、それを住人に告知することになったようで、この投稿者は「理解に苦しむ」と嘆いているのです。

 

投稿記事中に「一致した」とされている2つの意見の主張内容を整理すると・・

 

<「小学生の親御さん」の意見>

「子供が犯罪等に巻き込まれないよう、知らない大人から挨拶されても無視しろと教えている。住民の皆さんも敢えて子どもに声を掛けないでほしい」

 

<「年配の方」の意見>

「マンション内で他の住人に挨拶しても返事がなく、不愉快な思いをしていた。それなら、こちらも気を使わなくてよいように、いっそ挨拶はしないルールにしてもらいたい。」

 

たしかに、大人と子供の間の挨拶については防犯上の観点から「一理ある」とも言えます。

 

ただ、逆に「挨拶しないのは、防犯上好ましくない」という意見も少なくありません。

 

不審者は、コミュニティー的な習慣(近所付き合い・挨拶・人の目)を嫌う傾向があるからです。

 

<参考記事>

r25.jp

もう一つは、

挨拶をされて返さないのは何も子供に限ったことではない、ということです。

 

実際、ウチの子供も、「朝のゴミ出しの時に大人の住民に挨拶しても無視された」とボヤいていたことがあります。

 

穿った見方をすれば、「同じマンションの住人でも挨拶しないのが今やジョーシキ」となっていて、むしろ「挨拶をする大人は何か下心のあるアヤシイ奴」だと見なされつつあるのかもしれません。

 

しかし、マンション内の住人同士が知り合いになる機会としては、以下の3つくらいしかありません。

 

・部屋が隣り同士のために接触頻度が高く、自然と知り合いになるケース

・「ママ友」付き合いのように、子供同士の関係を通じて知り合いになるケース

・管理組合や自治会の役員になることで知り合いになるケース

 

そう考えると、特に子供のいない世帯では、マンション内で知り合いをつくる機会はほぼゼロです。

 

もちろん、マンション内で知り合いがいないなら、町内会(自治会)への参加もあったものではないのでしょう。

 

いわば、地域コミュニティーの崩壊です。

 

 「挨拶はすべきもの、されたら返すべきものだ」という不文律がいつしか風化し、「挨拶をしないことをルール化する」ようなご時世・・・世知辛い。

 

結婚や出産も当たり前ではなくなり、年々単身世帯の割合が増えています。

 

職場も、正規・非正規雇用問題やブラック化によって、家族的な雰囲気は望めない

自分が暮らす地域でも近所づきあいもなく、コミュニティが成立しない

深まる孤独感・・・

 

日本の都市生活はこれからどこへ向かっていくのでしょう?

 

後編の記事につづく。

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 <参考記事>

www.mlab.ne.jp

 

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管理規約の遵守を求めるなら、皆を平等に扱わないとNG!?

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国交省の標準管理規約には、専有部分の用途として「専ら住宅」制限を設けていますが、これに倣ってほとんどのマンションも規約を定めているのが実情です。

 

しかしながら、すでに昨今民泊やシェアハウス等での活用が議論を呼んでいるように、この「専ら条項」にどこまでの効力があるのかが怪しいわけです。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

たとえば、管理規約上は住宅兼事務所まではセーフとなっているものの、その「事務所」の業種・業態によって来客の有無あるいはその多寡はさまざまで、どこまでを許容するのかという「線引き」は結構難しいものがあります。

 

そんな中、11月3日付の産経新聞では、大阪の某タワーマンションの管理組合において、専有住戸の使用方法を巡って区分所有者との間で裁判にまで発展する事件となった記事が出ていました。

 

この裁判の判決内容(ただし一審)が興味深かったので、記事をご紹介します。

 

www.sankei.com

記事を要約すると、以下の通りになります。

■ 繁華街にある30階超のマンションの管理規約では、専有部分を「住宅または住宅兼事務所(いわゆるホームオフィス)として使用する」と規定していた。

■ さらにその使用細則では、「店舗使用の禁止」も明記しており、不特定多数の人の出入りがあったり、会員等の特定の人間が訪れるようなケースもNGとしていた。

■ ところが、区分所有者の中に婚活業者がおり、その事務所には約1週間で約70人の来訪者があったため、組合側は規約や細則を遵守して営業を中止するよう警告した。

■ これに対して、婚活業者は裁判所に調停を申し立て、管理組合との間で以下のような調停条項がまとまった。


・婚活業者は、マンション内で来訪客のある窓口業務一切を中止することを約束する。

・と同時に、業種の如何にかかわらず、来訪客のある窓口業務を行った場合には例外なく管理規約や使用細則に違反するものとする。

 

■ ただ、その後も両者のトラブルは解決しなかった。婚活業者を訪れる毎月の来客数は以前月間50人を超え、窓口業務を縮小させようとする兆しが見られなかったからだ。

■ 管理組合からの警告に対して、婚活業者は「他の区分所有者の事務所が規約や細則を順守しているかどうかを説明せよ」と組合側を牽制した。

 

■管理組合は「他の事務所などにも個別の連絡をしながら改善対応の要請に当たっている」と回答したが、婚活業者側がこれに納得せず、「管理規約や使用細則が区分所有者間に公平かつ平等な方法で運用されていない」と主張した。

■ 今年9月にあった一審判決では、婚活業者の主張が認められて勝訴した。

■ 管理組合が他の事務所として使用する他の区分所有者に対し、細則を遵守するようどんな措置を講じたのか明らかでない以上、婚活業者だけを相手取って訴訟を起こしたことは「権利濫用に当たる」と裁判所は管理組合を批判した。

 

今回の判例から窺える判断の基準とは、

単に、当該区分所有者が規約や細則を違反しているかどうかでは十分な対応とは言えず、管理組合がこれらルールの運用に際して当該区分所有者と他の区分所有者とを同等に取扱っていることも求められている、ということでしょう。

 

つまり、実際の管理規約の運用はグズグズに緩いのに、特定の区分所有者だけに厳格に遵守を求めるような「差別的対応」は認められない、ということです。

 

これを言い換えると、「他の違反者を見逃すなら、自分も見逃せよ!」と主張したら通っちゃったみたいなケースですが、今回のように「規約」でなく「法律」の運用なら当然認められないのでしょうね・・。

 

ただし、今回の判決でまだ確定したわけではありません。

この事件に今後どのような決着がつくのか、続報に興味津々です。

 

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11月セミナー開催のお知らせ

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「11月度 マンション管理セミナー」を開催いたしますので、下記の通りご案内申し上げます。

  

先着10名様のお申し込みを受け付けております。どうぞお早目にご応募ください。

【日時・会場】

平成28年 11月 19日(土) 14:00~16:00

 

LEAGUE 5階 ミーティングスペース(501号室)

 

東京都中央区銀座3-11-3

東京メトロ「東銀座」駅歩2分 「銀座」駅歩5分 

 

 

【参加料金】

 お一人様  5,000円(税込) 

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方

弊社に個別にご相談いただける方

※ご希望の方には、管理組合様宛の領収証を発行いたします。

 

【内 容】

1. 講 演 


(1)   電力小売りが全面自由化!マンション一括受電は今後どう進めればいい?


鳴り物入りで、4月から始まった電力小売りの完全自由化。しかしながら、新電力に契約を変更した割合は、半年経過しても全世帯のたった3%と言われています。

理由は簡単で、わざわざ切替えたとしても、料金がせいぜい5%程度しか下がらないからです。また、標準プラン以外の契約変更には対応していない、あるいは料金が今と変わらないといった事情もあります。

一方、管理組合が主体となって高圧一括受電を導入すれば、大きく料金を削減することが可能です。ただ、一括受電のしくみやメリットはもちろん、それに伴う変更点やリスクまでを正しく理解している方はとても少ないために普及が進んでいません。

一括受電には大きく2つのスキームがありますが、それぞれの特徴から、導入の条件、メリットやリスクが何かを論点を整理して解説いたします。


(2)5年ぶりの改正で「標準管理規約」はどこが変わった?

マンションの管理ルールについて、高齢化等を背景とした管理組合の担い手不足、管理費滞納等による管理不全、暴力団排除の必要性、災害時における意思決定ルールの明確化など様々な課題が指摘されてお り、これら課題に対応した新たなルールの整備として標準管理規約が約5年ぶりに改正になりました。

過去の標準規約改正の経過とともに、今回改正された主な内容とポイントを整理して解説いたします。

<主なテーマ>

・管理規約と区分所有法の違いとは?

・「標準管理規約」が制定された背景と趣旨

・直近2回(平成16年、平成23年)の改正内容について
・マンション管理士などの外部専門家が組合役員に就任する場合の対応方法について
・自治会等との機能分担を想定した「コミュニティ条項」が再整理されたわけ
・住戸の価値に連動した議決権の設定が可能に
・駐車場の使用権の割当て方法の見直しについて

【講 師】 村上 智史(弊社代表取締役)

 

2. 個別相談会(※希望者のみ)

貴マンションの管理委託費を簡易診断させていただきます。(無料)その他、管理会社の変更や大規模修繕、高圧一括受電、省エネ対策などのご相談も随時承ります。

 

【お申込み方法】

弊社サイトの問合せページからお申し込みください。 

 

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マンションの民泊対策で後手に回る国交省の対応

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10月27日付の朝日新聞で、

分譲マンションにおける「民泊」の普及への対応として、国土交通省はマンションの管理規約に民泊の受け入れの可否を明示するよう促すことを決めた、という記事が出ています。

 

www.asahi.com

今後、国交省が管理規約の改正案を作成し、業界団体などに通知するとのことです。

 

また同じ日の毎日新聞では、「東京・新宿区が、旅館業法の許可を得ていない違法な民泊への対策に取り組むべく、住民や不動産団体、警察署などによる検討会議をつくり、独自ルールとして条例案をまとめようとしている」との記事が掲載されています。

 

なお、正式に合法と認められている民泊は、現時点では以下の2つしかありません。

①旅館業法に定める「簡易宿泊所」(住居専用地域内では不可)

②政府が「国家戦略特区」として定めた特定地域(大田区、大阪府大東市など4市)

 

ただ、民泊に対する管理組合の懸念とは、それが違法か合法かという問題ではないでしょう。

 

具体的には、民泊の普及によって騒音やゴミ出しのマナー等に関する宿泊客とのトラブルが発生したり、本来共用施設である「ゲストルーム」が悪用されて他の住人が不利益を蒙る、といった事態を未然に防ぐことがとても重要なのだと思います。

 

もちろん、ワンルームマンションなど賃貸によって資産運用を図りたいと考える人もいるでしょうから、管理組合の意思として民泊を容認するのかどうかはある意味「価値観の問題」でしょう

 

とは言え、国交省の「標準管理規約」をはじめ、現在ほとんどのマンションの規約で定められている専有住戸の用途制限条項(=「もっぱら住宅として使用する」)では、民泊に対する賛否の意思がグレーだと判断されてしまうことに最大の問題があります

 

この「専ら住宅条項」に関連するリスクとして、近年シェアハウスやグループホームのような新たな業態も登場し、民泊と同様のトラブルが発生しています。

 

そのため、意識の高い管理組合では、こうした実例がまだなくても、少しでも予防効果を上げようと規約の改正を実施しているケースもすでに複数あります。

 

もちろん、規約改正で民泊等の活用禁止を明示したとしても、確信犯的な事例が出ることも十分あり得るでしょう。しかし、何も手を打たないよりは、はるかにマシです。

 

ここで問題としたいのは、これまでの国交省の緩慢な対応です。

国交省も当然こうしたリスクを認識していたはずなのに、今年3月に発表した「改正標準管理規約」では上記の「専ら住宅条項」について何も見直されなかったのです

 

その辺の事情がちょっと腑に落ちません。

 

景気を浮揚させるために政府が「肝いり」で進める規制緩和策に対して国交省が水を差すのを恐れたからではないのか、と訝りたくなりますね。

 

 【参考記事】

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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コストの大幅削減に成功した管理組合!次の課題は「駐車場の空き対策」

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顧問先のマンション管理組合では、当社のサポートによって昨年から管理委託契約の見直しに着手した結果、管理委託費を33%削減することに成功しました。

 

1住戸当たりの経済効果としては、年間6万円にものぼります。

 

一方、このマンションでは、次の大きなテーマとして「駐車場の空き対策」を掲げ、専門委員会で具体的な対策の検討を進めていくことになりました。

 

というのも、全90台(ほとんどが機械3段式)のうち、現在約4割が空き区画となっているからです。

 

また、大幅な管理コストの削減のおかげで、組合収支は十分黒字を維持できているものの、修繕積立金については長期修繕計画で予定している必要資金に対してまだ2割不足している状況です。

 

長計をもとに、設備の保守点検費や、修繕・設備の更新に必要な資金を計算したところ、パレット1台につき年間合計で8万円の経費がかかることが分かりました。

 

つまり、常時30台分が空いていると、年間240万円ものおカネが無駄になってしまうわけです。

 

この組合では、居住者アンケートも実施して今後の利用ニーズを確認したところ、使用料の負担やパレットによるサイズ等の制限が特に影響しているわけでなく、クルマの利用ニーズ自体が減少していることが分かりました。

 

最寄駅から至近距離にあるため、中古市場でも人気が高いマンションなのですが、その恵まれた立地条件と築20年目を目前に控え進行する居住者の高齢化が駐車場の稼働率の低下に繋がっていると思われます。

 

空き対策としては、「外部貸し」も検討の遡上に上がったものの、セキュリティ面からの不安や課税対策などの問題もあり、組合内でコンセンサスを得るには容易ではないとの結論になりました。

 

こうした事情も踏まえて委員会で審議した結果、まずは今後も稼働が見込めない駐車設備のメンテナンスや補修のコストを節約する方針を掲げ具体的なプランを検討していくことになりました。

 

現在有力なのは、全体として10区画ある機械式パレットのうち、4区画を事実上平置き化し、設備を稼働させないようにしてはどうかという案です。

 

そのためには、点在している空き区画をなるべく集中させなければならないため、利用者の一部に車を別の区画に移動してもらうことも必要になるなど、様々な調整業務も今後生じてくることが予想されます。

 

でも、こちらの専門委員会の皆さんは、立候補で選任されたこともあって意識だけでなく協調性も高く、責任感も強いのでたいへん頼もしい方々です。

 

やがて、大きな成果が得られるのではないかと期待しています。

 

【参考記事】

suumo.jp

 

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