マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

マンションの斜面崩落事故で管理会社の不法行為責任が認められた理由

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先般、顧問先マンションの理事会で、管理会社から「マンションの擁壁について地質調査を行なってはどうか」との提案があり、調査会社の見積もり(税別20万円)が提示されました。

 

顧問になってまだ間もないため、理事さんに「こちらの擁壁に不具合等が生じているですか」と尋ねたところ、今のところそのような兆候はないとのことでした。

 

不思議に思い、管理会社に提案の理由を尋ねたところ、「管理受託している逗子のマンションでの斜面崩落に伴う死亡事故で管理組合や管理会社が損害賠償を求められる事例が発生したため」とのことでした。

 

逗子の事故については、もちろん知ってはいたものの、新聞やテレビの報道内容程度の知識しかなかったこと、また本訴訟については先日判決が出たこともあり、その経緯も含めて詳細を調べてみました。

 

その結果、日経アーキテクチャー(2024年2月2日号)掲載の記事「逗子斜面崩落事故で賠償命令 マンション管理会社の不法行為を認定」がもっとも分かりやすく纏められていたので、以下にその要約を記載します。

====

◾️ 2020年2月、神奈川県逗子市の分譲マンション敷地で風化した斜面が崩れ、直下の市道を歩いていた高校生が亡くなった。

◾️ 高校生の遺族は、裁判で当初マン ションの区分所有者約50人についても訴えていたが、2023 年6月に区分所有者側が1億円を支払うことで和解が成立している。

◾️ その後、横浜地裁は、2023 年12 月にこのマンションの管理業務を手掛けていた大京アステージに損害賠償を命じる判決を立て続けに下した

◾️ 訴訟の1 つは、遺族側が大京アステージと管理業務主任者の従業員に対し、事故の発生を防止する義務を怠ったとして事故の発生を防止する義務を怠ったとして、約6千万 万円の損害賠償を求めたもの。

◾️ 横浜地裁は管理会社と従業員の不法行為責任をそれぞれ認定し、連帯して計約107万円の支払いを命じた。( 同社は判決を受け入れたが、従業員は控訴した。 なお、この判決に先立って、業務上過失致死の疑いで書類送検された従業員を横浜地検は不起訴とした。)

◾️ 判決文によると、大京アステージは、管理業務を手掛けるにあたり、販売会社から斜面の地質調査報告書を受領しており、斜面の風化の進行ならびに落石の危険性が指摘されていた。

◾️ また、管理会社の従業員は、事故の前日、管理人から斜面上部に亀裂が生じているとの連絡を受けていたにもかかわらず、区分所有者や通行人への対応を取らなかった

◾️ 被告側は、亀裂の発見から短時間のうちに津公認の生命を奪う重大事故が発生するリスクを予見できなかったと主張した。

◾️横浜地裁は、亀裂の存在などから斜面崩落の可能性を認識可能であるとし、不法行為の責任を認定した。また、従業員に斜面の危険性を説明し、危険回避措置を講じさせる義務を怠ったとして、管理会社に使用者責任があることも認めた。

◾️ もう一つの訴訟は、区分所有者側が管理会社のほか、設計監理業者および販売業者等3社を相手取って斜面復旧費など約1億円の支払いを求めたもの。

◾️ 横浜地裁は管理会社の不法行為責任を認定し、約4,200万円の支払いを命じる一方、残りの3社への請求は棄却された(現在、区分所有者と管理会社が控訴中)

◾️裁判所は、マンション販売時の地質調査報告において、「植生の適切な管理によって斜面の風化を防止でき、直ちに風化対策が必要なわけではない」と読み取れることから、設計監理業者や販売業者に責任を問わないと判断した一方、 管理会社は地質調査報告書を受領している以上、管理組合に助言を行う義務を負っていとした。

 

つまり、管理会社がこの事故で不法行為責任を問われた理由は、管理受託前に実施していた地質調査報告書を受領し、斜面の風化に伴い強度が低下していることおよび風化を予防するための対策が求められていることを知りながら、そのリスクを管理組合や自社の従業員に認識させ、然るべき対策を講じる努力を長年怠っていたことにあります。

 

この事故に限らず、「なぜ失敗したのか」という原因を突き詰めたうえで再発防止策を講じることが最も重要であろうと思います。

 

しかしながら、逗子の事故に関する経緯や経過について自ら何ら説明もせず、唐突に地質調査を管理組合に提案する行動を見る限り、果たして事故の反省や学習がきちんとさなれているのかは甚だ疑問に感じます。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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マンション管理会社による9億円の組合財産着服事件の詳細が明らかに!

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3月28日付の読売新聞に、「マンション管理組合から従業員が数千万円を着服…九州地方整備局、管理会社を監督処分 」と題した記事が掲載されていました。

 

<参考記事>

www.yomiuri.co.jp

本記事には詳細な経緯は記載されていませんが、「株式会社ダックス」の元従業員が2010年から2022年12月の間に、5つの管理組合から数千万円を横領着服したとのことです。(下記サイト参照)

 

www.mansion.mlcgi.com

また、マス媒体にこそ取り上げられていませんが、独立系大手の「日本ハウズイング」も、今年3月下旬に上記とまったく同様の組合財産着服事件を起こし、国交省の指示処分を受けていました。

 

ところで、昨年11月に発覚した、ビケンテクノの元社員による約9億円にのぼる組合財産着服事件で進捗がありました。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

同社では、外部専門家(弁護士、公認会計士)による調査委員会を設置し、本件の調査を進めていましたが、その委員会が作成した報告書がウェブ上で公開されていました。

 

この種の事件の報告としてはとても貴重な資料と思われますので、その概略を以下のとおり要約します。

【着服事件の概要】

・組合財産を着服したのは、マンション管理課の課長のX氏(現在所在不明)

・X氏は60 歳で、定年後に管理職待遇で再雇用されていた。

・X 氏が管理組合の複数の組合員やビケンテクノの複数の従業員を対象に、資産運用の目的で金銭を預託するよう投資勧誘を行っていた事実が判明している。

・担当する 14 のマンション管理組合の費用支出の際に必要となる払戻請求書を偽造し、銀行窓口から払戻された現金を着服したものと推認される。

・X 氏が担当する 14 管理組合のうち 8 組合について、X 氏が預金通帳とともに印鑑についても預かり保管しており、法令上の義務である分別管理を遵守できていなかった。

・各組合の決算報告書の預金残高はいずれも X 氏により改ざんされ、実際の預金残高とは乖離していたが、報告書に添付される預金残高証明書も X 氏によって偽造されたため、管理組合が気づかなかった。

・各組合に提出された決算報告書記載の預金残高と銀行から入手した預金残高との差異に相当する金額を着服により生じた損害額と推定した場合、推定される損害額は、合計 9 億 1474 万 4839 円 にのぼる。

 

【社内の管理体制上の問題点】

・各組合との窓口は X 氏が専権として執り行っており、課内には上席者が存在しておらず、X 氏の業務内容を監視・監督する者は不在であった。

・ X 氏は、 課長として部門の業務を統括する立場にあり、X 氏が他の課員に対して決済や報告を求めることはあっても、X 氏の業務内容について決済や報告を求める機会はなく、X 氏の業務の適正について確認する手続きが内部統制上組み込まれていなかった。 

・さらに、管理課において、マンション管理適正化法及び適正化指針に基づく業務手順が文書化等の方法で明示されておらず、X 氏が同法及び同指針に反して、管理組合の預金通帳と印鑑の分別保管を行わず、自由に当該預金通帳から金員を領得することが可能であった。 

・管理課では、各主担当者が担当する管理組合ごとに、縦割りで業務を遂行し、それぞれの方法で属人的に業務を実施していた。

各担当者間での業務の分担や意見の交換は基本的になされず、各主担当者は他主担当者の管理業務について全く関与していない。 
・その結果、X 氏がマンション管理課の参事として他の主担当者の業務を監督するこ とを除いて、マンション管理課内で各主担当者間の相互牽制が適切に行われていなかった。 

・管理課の人事異動は、退職者の発生に伴う補充採用以外には一切行われておらず、他の部門との人員交流はもとより、課内のジョブローテーションも行われていなかった。 

・こうした管理課の自律的な管理体制の欠如のほかに、本社管理部門や監査部門による統制の補完も適切に機能していなかったため、不正の発見が遅れ、被害金額が膨らんだ可能性がある。

・また、マンション管理事業は、会社全体の売上の1%にも満たず、損益上重要性が低い部門として評価されてきた。そのため、人材等の見直しその他の経営資源の投入が十分なされてこなかった側面がある。

 

報告書を読む限り、今回の恐るべき不正行為の背景に、この会社の管理業務を軽視する体質や内部統制上の緩みがあったことは否めないところです。

 

また、ビケンテクノに限らず、多くのマンション管理会社においても「各担当者が縦割りで業務を遂行し、それぞれの方法で属人的に業務を実施している」のが実情であり、フロント担当者をその上席者がサポートしているケースはきわめて稀です。

 

このようなお粗末な組織体制が管理業界の「あるある」である以上、今後もこうした着服事件は跡を絶たないことでしょう。

 

 

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マンション管理会社の「アコギな第三者管理」にご注意を!

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3月27日付けの朝日新聞デジタルに、「『何も抵抗できない』、マンション第三者管理規約に注意 国も対策へ」と題した記事が掲載されていました。

 

digital.asahi.com

本記事の要約は以下の通りです。

==========

◾️ 分譲マンションの「第三者管理」。住民の負担が減る一方、割高な修繕工事費などの問題が起きている。

 

◾️ 管理者(=理事長)業務を「プロ」の管理会社に任せる「第三者管理」では、管理規約にも注意を払う必要がある。

 
◾️ たとえば、広島のマンションでは昨年管理会社に任せる「第三者管理」に変えたが、改正された管理規約には、「管理者は、○○(管理会社名)もしくはその指名する者とする」と記載されている。
 
◾️ 規約の条文を変更するには、総会で組合員数と議決権総数の各4分の3以上の同意が必要になる。 そのため、このマンションの区分所有者は、規約から会社名を抜くことなどを提案したが、反対多数でそのままになったと言う。
 

◾️ 規約の記述によっては、住民が管理会社を変えようとしても、難しい仕組みになっていることを国も問題視し、対策に乗り出すことになった。

 

◾️ 国交省が昨年2~3月に管理会社45社に実施した調査では、20%が管理規約に管理者として管理会社の社名を「記載している」と回答した。また、管理組合の口座の通帳と印鑑を「どちらも管理会社内で保管」と答えたのは76%だった。
 
◾️ 国交省は「管理会社を変えたり、第三者管理をやめるのが難しくなり、囲い込みにつながる」と問題視し、昨年10月から第三者管理のガイドライン改訂に向けた有識者会議をスタートした。
 
◾️ 今月下旬にまとめる予定の改訂案では、規約に管理者の固有名詞を記載しないことを促す。このほか、管理会社の解任については、総会によって解任できる規定を設けることを求める。
 
◾️ 他にも、管理会社が修繕工事をグループ会社に割高に発注するなど、問題が相次いでいることを受けた対応策も盛り込む。
 
◾️ さらに、不正や不当なもうけがないかをチェックする監事を管理組合に設置し、マンション管理士や弁護士など専門家から選ぶよう求める。修繕積立金をためる預金口座の印鑑などは監事が管理することを促す。
 
◾️ただ、ガイドラインには強制力がない。有識者会議の座長は「ガイドラインの実効性を考慮し、問題が今後も大きくなれば、立法による制度導入もあり得る」と話す。

==========

マンション管理組合の運営形態は、区分所有者から理事長などの役員を選出し、組合運営を担い重要な業務を執行する「理事会方式」が一般的です。

 

ただ、区分所有者が賃貸事業で運用するためのワンルームなどの投資用マンションや、区分所有者が遠隔地に住むリゾートマンションなどの一部については、管理会社に管理者も委任する「第三者管理方式」を採用するケースもありました。(下図参照)

 

 <出典:朝日新聞デジタル>

 

なぜかと言えば、管理組合に理事会を設置することも、区分所有者から理事長を選出することも区分所有法では義務ではないからです。

 

理事会を設置するか否かは管理組合の「裁量」であり、管理者の資格も法的には制限がないので、(管理会社を含めて)外部の人間を選出してもよいのです。

 

既存マンションで理事会方式がほとんどを占めているのは、国交省が理事会方式を前提とした「標準管理規約」を作成しており、デファクト・スタンダードとして新築マンションのほとんどで採用されているからにすぎません。

 

したがって、管理規約を改正すれば、あなたのマンションも理事会を廃止して、第三者管理方式に移行することが可能です。

 

ただ、国が管理会社を管理者に選任することについて消極的な姿勢を示してきたのは、管理組合の代表者と管理委託先が同じだと、いわば自己契約の状況になり、利益相反が生じるリスクが極めて高いためです。

 

さらに、本記事で紹介された事例のように、管理規約において特定の管理会社が管理者に指定されている場合、管理者を解任したり、他社に変更したくても、あるいは元の理事会方式に戻したくても、それぞれ管理規約の改正(特別決議)が必要になるため、スキームの変更自体が困難になります。(管理会社の変更なら普通決議で可能です。)

 

管理者に特定の業者を指名する規約の条項が管理組合の総意にもとづくものなら結構ですが、管理会社の「お手盛り」で誘導された結果、安易に了承してしまうと後悔することになります

 

第三者管理方式への変更に伴い、組合財産の管理をすべて管理会社に任せるのも大変リスキーです。最近でも、管理会社の社員が複数の管理組合から多額の組合財産を着服した事件が発生しています。(下記記事参照)
 
組合の資金の流れに不正がないかを外部の専門家が点検する、あるいは住人や外部の専門家を「監事」に選ぶなどのチェック体制の充実を図る必要があります。
 
国交省は近く第三者管理方式に関して管理会社を牽制するガイドラインを取りまとめる予定ですが、これは法律ではなく、参考とすべき基準にすぎません。
 
自分の財産を守るのはあくまで自分であることにご留意ください。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

2024年秋のマンション保険の増額改定に備えて管理組合がやるべきこと

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2024年秋までに損保各社が火災保険の料率を改定する予定です。

 

大手損保の一部発表によると、

今年の10月1日以降の新規契約から対象になるようです。

 

今回の改定は、過去最高の全国平均で13%の引き上げと発表されています。

(下記参照)

=========

・耐火構造(鉄筋コンクリート造等)の共同住宅
・保険金額:建物 2,000 万円 家財 1,000 万円、築 10 年以上 の例

<出典:2023年6月損害保険料算出機構「火災保険参考純率 改定のご案内」>

=========

この背景には、昨今の相次ぐ自然災害の発生に伴って保険金の支払いが急増していること、ならびに資材価格や人件費の上昇による修繕コストの高騰などの影響があります。

 

同一のマンションを定点観測で見た場合、築年数の増加に伴う保険料率の上昇による影響もあるため、次回の契約更改の際には二重の影響を受けて保険料が大幅に増加することが予想されます。

 

少しでも保険料の上昇を抑えるにはどのように対策をすればよいのか?

保険契約の見直し方について以下ご案内します。

 

1)料率改定前の契約更改を検討する

現在の契約の満期が来年以降の予定でも、値上げ前にこれを中途解約して早めに契約を更改する方が、トータルで支払う保険料を抑えられる場合があります。

 

2)相見積もりを取得する

マンション管理組合の場合、管理会社が保険代理店として契約手続きの媒介をしているケースが圧倒的に多いのが実情です。

 

ただ、管理会社に任せていると、相見積もりを取らずに現在と同じ保険会社一択で更改条件を提示するだけというケースも少なくありません。

 

大手損保間でも各社の保険料や補償条件の設定内容は異なるので、必ず相見積もりを取得するようにすべきです。

 

3)「マンション管理適正化診断サービス」を受診する

「日新火災海上保険」が、マンションの運営管理や修繕の状況が良好と診断した場合には保険料の値引きを受けられる商品(マンションドクター火災保険)を販売しています。

診断結果が良好な場合には基本保険料から割引きを受けられるため、下記の成約事例のとおり同業他社に比べると廉価な保険料で契約更改できることが少なくありません。

 

ただし、保険料の見積もりを取るには、日本マンション管理士連合会による「マンション管理適正化診断サービス」(無料)を受けることが必要です。

 
4)現在の補償条件・付保内容を見直す

地域ハザードマップをもとに、地盤の揺れやすさ、津波・洪水、土砂災害などのリスクを確認のうえ、必要な補償が担保されているかを確認してください。

 

たとえば「高台に立地しているのに、水災補償が付いている」といった事例も散見されます。

 

5)保険会社の免責金額を調整する

免責金額とは、事故発生時の「管理組合の負担額」を指します。

これを引き上げることによって、保険料を引き下げることが可能です。

 

マンション保険の見直し方についてもっと詳細を知りたい方は、

下記の執筆記事をご参照ください。

 

<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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所有者不明・相続放棄のマンションを処分しやすくする法改正!?

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3月10日 付の朝日新聞に、「所有者不明のマンション「空き部屋」売りやすく 法務省が新制度検討」と題した記事が掲載されていました。

 

<参考記事>

digital.asahi.com

本記事の要約は以下の通りです。

==========

◾️ 分譲マンションで、独居老人が亡くなった後の相続人が分からないなどの理由で、所有者が不明のまま放置される「空き部屋」が問題になっている。

◾️ 国交省の調査(2018年度)によると、所有者の所在が不明だったり連絡がとれなかったりする部屋が「ある」と回答した管理組合の割合は、築40年を超えるマンションの場合は約14%にのぼり、そうした部屋が全体の2割を超えるところも5%あった。

◾️ こうした部屋の管理・売却を進めやすくするため、法制審議会(法務大臣の諮問機関)は2月、新制度を設けることを区分所有法の改正要綱に盛り込み、答申した。

◾️  現行法では、相続放棄等の理由で相続人のいない住戸が発生した場合、管理費等の滞納を回収するため、管理組合が「債権者」として裁判所に「相続財産清算人」(旧・相続財産管理人)の選任の申し立てを行い、清算人の主導によって住戸が売却されて新たな区分所有者が決定した後、管理費等の滞納分を回収することができる。

◾️  ただ、亡くなった人の負債を含む全財産を調べたうえですべて処分する仕組みのため、他の債権者との関係などによっては処分までに時間がかかり、管理組合が支払う報酬の負担も大きいという問題がある。

◾️  そのため、今回の法改正では、当該区分所有者の財産のうちマンションの住戸だけを清算できる「所有者不明専有部分管理人」制度の創設をめざす。

◾️  その他の遺産等は清算の対象外になるため、相続財産清算人制度を使うよりも短期間で済み、管理組合の経済的負担も軽減されることが期待される

◾️ 所有者がわからない土地や建物をめぐっては、2023年度の改正民法で、個々の土地や建物に限った財産管理制度が措置されているが、「所有者不明専有部分管理人」制度は、その「マンション版」ともいえる。

==========

管理組合にとって悩ましいのは、区分所有者の所在不明、あるいは相続放棄となった住戸が発生した場合に、これを放置していると滞納管理費等の回収が進まないため、組合の財政問題に発展していくリスクが高まることです。

 

上の記事でも紹介されているように、管理組合として現行法で対応する場合は、所有者不明の住戸の場合は「不在者財産管理制度」、相続放棄された住戸の場合には「相続財産管理制度」をそれぞれ活用してその住戸の処分を申請するしかありません。

 

ただし、そのためには、家庭裁判所への申立てが必要で、100万円程度の「予納金」も納付しなければならないとされています。

 

今回の法改正によって、マンション住戸のみを対象とする清算制度ができれば、処分までの時間も短縮化され、清算人への報酬を含む経済的負担も軽くなることが期待できるわけで、それ自体は朗報と言えるでしょう。

 

とは言え、管理組合としては、こうした問題が深刻化しないよう日頃から必要な対策をとっておくべきです。

 

具体的には、なるべく早期に問題の発生を察知することが重要です。

管理会社の協力を得ながら、区分所有者の連絡先の届出や変更された情報の随時アップデートを行うほか、管理費等の滞納状況のモニタリングを毎月行うようにしましょう。

 

自治体による「マンション管理計画認定制度」の基準には、「組合員・居住者の名簿を備え、年1回以上はその内容を確認する」ことが盛り込まれていますが、上記のリスクに対応したものと思われます。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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         f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

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マンション修繕積立金に「下限額」を設ける国交省の「本気度」はいかに!?

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2月22日付けのNHKニュースで「マンション修繕積立金の目安 毎月の徴収額に下限 国交省素案」と題した記事が掲載されていました。

 

www3.nhk.or.jp

その記事の要約は以下の通りです。

=====

▪️ 国土交通省の調査では、修繕積立金が不足しているマンションの割合が2018年度までの5年間でおよそ2倍に増えている。

▪️ その要因として、マンション開発業者が、新築時に販売しやすいよう、当初の徴収額を低く抑えるケースが多いためと指摘されている。

▪️ こうしたことを受けて、国土交通省による積立金の徴収額の目安に関する素案が明らかになった。

▪️  毎月の徴収額に「下限」を設け、当初から計画的な積み立てを求めるもので、この素案が、近く開かれる国土交通省の有識者会議で示される予定。

▪️ 具体的には、長期修繕計画にもとづいて必要となる積立金の総額を月額ベースに換算した「基準額」を定め、新築時でもその基準額の少なくとも6割以上を徴収するよう求めるとのこと。

▪️ 一方で、その後、築年数が経過するに従って、徴収額を引き上げる場合も基準額の1.1倍以内に収め、必要な資金を計画的に積み立てるよう求める方針。

▪️マンションの修繕費をめぐっては、資材価格の高騰で当初の想定より膨らむケースも増えていますが、国土交通省は、そうした場合も当初から計画的に積み立てれば対応しやすくなるとしている。

=====

この記事については、昨年10月にこのブログで紹介した記事のアップデート版と言えます。

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

上記ブログで取り上げた日経新聞の記事の要約は、以下のとおりです。

=======

■ 現在、多くのマンションで修繕のための積立金の増額幅が大きすぎて住民合意ができないトラブルが相次いでいる。

■ 国交省によると、長期修繕計画の当初から最終年までの増額幅は平均3.6倍。10倍を超える事例もあるという。

■ 国交省が2018年度に実施したマンション総合調査では、長期修繕計画に対して積立金が不足するマンションは34.8%にのぼり、前回調査(13年度)に比べて割合が倍増している。

■ また、老朽マンションほど修繕積立金などの滞納割合が高い。1969年以前に竣工したマンションのうち42.9%で滞納があった。計画通り集金できなければ、修繕工事の遅延などが相次ぐ恐れがある。

■ 国土交通省はマンションの修繕積立金を巡り、積み立て途中での過度な引き上げにつながらないよう目安を設け、管理組合に計画的な積み立てを促す

管理組合が長期修繕計画をつくる際に参考にする国交省の指針を改め、マンションの規模ごとに積立額の基準を示すガイドラインなどにも負担金の目安を盛り込む方針。

■ こうした問題を受け、国交省は積立金の引き上げ幅の目安を示す必要があると判断。上げ幅について管理組合の決議が成立した範囲などを調査し、妥当な水準を探る。

■ 国交省は有識者による作業部会を設置し、2024年夏までに対策をまとめる方針

=======

売主であるデベロッパーの裁量によって、マンションの新築時に修繕積立金が過度に低い水準で設定されているため、長期にわたって修繕積立金が増額改定されずに放置された場合、築20年前後には将来的に資金不足の見通しが明らかになるため、当初の3〜5倍も増額しなくてはならない事態に陥るのが一般的です。

 

そのため、途中で過度な引き上げ幅にならないよう、新築時から修繕積立金の設定額を一定以上に設定するよう指針(ガイドライン)を設けるとのことです。

 

<参考:国交省「今後のマンション政策のあり方に関する検討会資料」より抜粋>

 

 

 

 

その具体的な目安として、長期修繕計画(30年)で必要な修繕資金を毎月ベースに換算して求められる修繕積立金(つまり、均等積立方式にもとづく金額)の60%相当額にする、ということです。

 

仮に、あるマンションの長期修繕計画で必要とされる今後30年間の修繕資金を月ベースに割戻し、かつ専有面積で割った金額が@350円/㎡だったとします。

 

この@350円/㎡が「基準額」となります。

 

本記事によると、今回策定中の「ガイドライン」の方針としては、新築時から上記基準額の6割相当である@210円/㎡以上で修繕積立金を設定するよう求める、ということです。

 

ただ、長期修繕計画は5〜10年スパンで更新すべきとされていますが、法的な義務ではなく、計画の作成にも費用がかかるため、長年放置されている管理組合も少なくありません。

 

また、昨今のインフレ傾向から考えると、必要な修繕資金も右肩上がりに増えていくことが予想されます。

 

にもかかわらず、新築時の修繕積立金を「基準額の6割以上を下限とする」のは甘すぎると言わざるを得ません。

 

しかも、これはガイドラインであって法的な拘束力はありません

 

そもそも、新築時の修繕積立金の設定を低く設定することによってメリットがあるのは、売上を最大化したい開発業者か、あるいは早い時期にマンションの転売を目論んでいる投資家くらいです。

 

結局、国交省はデベロッパー業界に忖度しているだけなのではないかと思ってしまいます。

 

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【終了しました】マンション管理セミナー<3月>開催のお知らせ

来月開催予定のセミナーのご案内です。

 

5名様までに参加人数を絞ってセミナーの開催と個別相談会を開催します。

先着順でお申し込みを受け付けますので、お早目にごお申し込みください。

 

【日時・会場】

令和6年 3月  23日(土) 13:30~15:00

 

LEAGUE 地下1階 ミーティングスペース

東京都中央区銀座3-11-3

東京メトロ「東銀座」駅歩2分 「銀座」駅歩5分 

 

【参加料金】

 お一人様  2,000円(税込) 

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方

弊社に個別にご相談いただける方

 

 

1. 講 演

 

管理コストを3割削減するための見直し術」

これまで弊社のコンサルティングによって大幅なコスト削減を実現した事例を紹介しながら、その費用項目ごとに効果的な見直しポイントを解説します。

【内 容】

■ ポイント1:管理人の勤務体制と業務内容
最も多く見られるのが、管理員の勤務時間が過剰なケースです。また、その業務範囲も物件の特性によって違いが見られます。

■ ポイント2:設備保守点検の契約形態と実施頻度(エレベーター、機械式駐車場など)
エレベーター、消防、機械式駐車場など各種共用設備の保守点検費用は管理組合側には相場観がないため、メスが入りにくいテーマです。

■ ポイント3:遠隔監視&緊急対応費用(ホームセキュリティを含む)
設備保守点検と同様に相場観が掴みづらい項目ですが、そのため割高になりがちです。

■ ポイント4:事務管理費など管理会社の経費
管理会社によって提示金額が異なりますが、物件の規模に応じたで適正な市場価格がわかります。

【講 師】 村上 智史(弊社代表取締役)

 

2. 個別相談会(※会場参加者のうち希望者のみ 事前にご予約ください。)

貴マンションの管理委託費を簡易診断させていただきます。(無料)

その他、管理会社の変更や大規模修繕、設備更新工事などのご相談も随時承ります。

 

【お申込み方法】

弊社サイトの「問い合わせページ」より、お申し込みください。

 

お問い合わせ内容は「その他」を選択のうえ、コメント欄に「セミナー参加希望」とご記載ください。(お名前、マンション名、メールアドレス、電話番号等を必ずご記載ください。)

 

 

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